【初代・後期型】マツダ フレアクロスオーバー XGスペシャル(MS41S型) | シン・軽自動車マニア

【初代・後期型】マツダ フレアクロスオーバー XGスペシャル(MS41S型)

フレアクロスオーバー

フレアクロスオーバーはマツダのクロスオーバー型軽自動車。スズキ・ハスラーのOEMモデルである。本稿では初代の2015(平成27)年5月マイナーチェンジ(S-エネチャージ搭載)以降のモデルを初代・後期型に設定された特別仕様車、「XGスペシャル」を扱う。

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概要

2014年1月にスズキからハスラーのOEM供給を受け、販売開始となったマツダ・フレアクロスオーバー。マツダは古くからスズキのOEM供給を受けて軽自動車を販売しているが、この手のクロスオーバーSUVタイプはハスラーの先祖にあたる「スズキ・Kei」のOEMモデル、「マツダ・ラピュタ」が2006年4月にカタログ落ちして以来の復活となる。

本格的なSUVであるジムニーのOEMモデル、「マツダ・AZオフロード」は2014年3月まで販売されていたが、2014年4月にカタログ落ちとなったため、実質フレアクロスオーバーがAZオフロードの後継モデルとなっている。

フレアクロスオーバーはワゴンタイプの軽自動車にSUVの性能を与えて融合させた「クロスオーバーSUV」という軽自動車で、ワゴンタイプと同等の室内空間に大径タイヤ、高めの最低地上高に悪路走行に強い4WDシステムを備えるなど実用性の高いモデルとなっている。一方で外観は可愛らしい丸目ヘッドライトに愛着感ある丸みを帯びたボディなど親しみやすさを強調しており、見た目と機能性でスズキ版は大ヒットなった。

エクステリアはフロントウィンドウの切り込みとボクシースタイルのボディに立体的な丸目ヘッドライト、特徴的なツートンカラー。

インテリアではボディカラーに合わせたカラーパネルとインテリアに採用し、ポップな印象をもたせた。

室内空間は前モデルのラピュタよりも大幅に広くなり、特に後部座席に大人が乗ってもゆとりある室内空間を確保。

快適装備としてはチルトステアリング、シートリフター、シートヒーターを運転席に標準装備。利便性の高い収納(テーブル機能付きインパネボックス、センターミドルトレー、助手席シートアンダーボックス)を用意した。

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※アプローチアングルは28度、デパーチャーアングルは46度、ホイールベースは2425mm

機能面では全車で15インチタイヤを採用し、最低地上高を2WDで180mm、4WDでも175mm確保。アプローチアングルは28°、デパーチャーアングルは46°に加え、急勾配な下り坂での「ヒルディセントコントロール」、ぬかるみや轍で発信を助ける「グリップコントロール」を4WDモデルに標準装備としSUV性能を高めている。

環境面では新世代のR06A型エンジンを採用。加えてエネチャージを採用し、CVT・自然吸気エンジンの4WD仕様でも28.0km/l(JC08モード)と高い燃費性能を実現している。先進安全技術として、レーダーブレーキサポート「衝突被害軽減ブレーキ」、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESPを全グレードに標準装備とした。

安全装備としては衝突軽減ブレーキの「レーダーブレーキサポート」を採用し、タイヤのスリップや横滑りを抑える「DSC&TCS」と
「EBD(電子制御制動力配分システム)付4W-ABS+ブレーキアシスト」を標準装備とした。

XGスペシャルの特別装備

そのフレアクロスオーバーに2018年11月に設定された特別仕様車がこの「XGスペシャル」である。ハスラーのOEMとして初、マツダの軽自動車としても久しぶりの特別仕様車であった。OEMのベースは初代ハスラーのタフワイルドがベース。ただしマツダ仕様として一部省略された部分があり、外観上に若干の違いがある。

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XGスペシャルのエクステリアはAピラーやルーフ、リアクォーターパネル、LEDターンランプ付きドアミラー、アウタードアハンドルをブラック塗装。さらにスチールホイールをブラックメタリック塗装。単なる2トーンカラーとは異なる個性的な塗り分けでより個性を強調させた。

ボディカラーには専用色「オフブルーメタリック2トーン」を含む全3色を設定。

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インテリアではハスラーのタフワイルド同様に専用カラー「オフブルー」の専用インパネカラーパネル&専用色ドアトリムカラーパネル、「ガンメタリック」の専用エアコンガーニッシュ&専用エアコンルーバーリング&専用スピーカーパネル&専用ステアリングガーニッシュ、「ネイビー&ブラウン」カラーの専用レザー調&ファブリックシート表皮、メッキインサイドドアハンドル、ステアリングオーディオスイッチを特別装備。

機能&便利装備としてはディスチャージヘッドライトにLEDフォグランプ、オートライトシステム、フロンドアにプレミアムUV&IRカットガラス、カテキン・エアコンフィルター付きナノイーオートエアコン、フロント2スピーカー、フロント2ツィーター、リア2スピーカー、電動格納式リモコンドアミラーを。

安全装備としてはXGグレードに本来非設定の「デュアルカメラブレーキサポート」を標準装備とし、これ以外でもXGグレードと同じ誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発信お知らせ機能を標準装備とし、さらにメーカーオプションで全方位モニター用カメラパッケージを設定するなどタフワイルド同様に内外装や機能&安全装備面でベースグレードよりも魅力をアップさせた特別仕様車となっている。

初代ハスラーの特別仕様車、「タフワイルド」との違い

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タフワイルドとXGスペシャルの違いは外観にある。タフワイルドではハスラーの特別仕様車に多く標準装備となっていたグリル上部の専用アルファベットエンブレム「HUSTLER」が付くのに対し、マツダ版では省略される。

また、タフワイルドを示すリアの専用エンブレム「TOUGH WILD」も無く、代わりのXGスペシャルを示すエンブレムともならずこれまた省略されている。そのためフロントやリアにかけては特別仕様車であることがわかりずらくなっている。

さらにタフワイルドに設定されていたボディカラーのうち、赤系の「フェニックスレッドパール」と黄色系の「アクティブイエロー」は非設定で全体的に大人しい仕様である。

エクステリア

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フロントデザイン。マツダ版としてはフロントのエンブレムがマツダマークに変更されている以外はハスラーとまったく同じ。XGスペシャルの特別装備としてボディカラーと同じバンパーガーニッシュとなり、全カラーでブラック2トーンカラー仕様のためAピラーもブラック塗装される。

なお、上述のとおりスズキ版「タフワイルド」ではハスラーのアルファベットエンブレムがグリル上部に付いているのだが、マツダ版では省略される。

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サイド。XGスペシャルではDピラーからリアタイヤハウス付近までブラックでツートンカラー化。それまでにはないタフ感ややんちゃ感を出している。好き好きは分かれる部分だが個性を求めるユーザーにはアピールできるポイントだ。このほかXGスペシャル仕様としてブラックカラーのLEDターンランプ付きドアミラー(リモコン格納式)を標準装備とした。

アウタードアハンドルもタフワイルド仕様としてブラック塗装となる。

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足元はXGスペシャルとしてブラックメタリックカラーの15インチのカラードスチールホイール。

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リア。XGスペシャルではフロント同様バンパーにボディカラーと同じ色の専用リアバンパーガーニッシュを標準装備。これ以外にスズキ版のタフワイルドではリアゲート左下に専用エンブレムの「TOUGH WILD」が付くが、マツダ版では省略される。

エンジン・機能

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エンジンはR06A型3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力52ps(38kW)/6000rpm、最大トルク6.4kg・m(63N・m)/4000rpmを発生。XGスペシャルはS-エネチャージ仕様となり圧縮比の向上やEGRシステム採用に加え、吸気、排気系を見直し、低中速の動力性能を高めた改良型R06Aとなり、カタログスペックも最高出力52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/4000rpmに変化している。トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WDとなる。

後期型(2015年5月マイナーチェンジ)では上述のとおり自然吸気エンジンのXGグレードでそれまでの「エネチャージ」が「S-エネチャージ」に置き換わった。S-エネチャージでは従来型のオルタネーターに加えてアシスト用のオルタネーター機能付きのモーター(出力1.6kW)が加わり、モーターによる回生発電&アシストのマイルドハイブリッド仕様となる。。特にモーターアシスト領域がエネチャージの「15km~85km/h」に対し、「発進後~85km/h」に拡大している。エコクールが全グレードで標準装備となる。

S-エネチャージではハイブリッド化による走りのモーター感は皆無なものの、登坂時や発進加速時ではモーターのアシストで若干登坂能力が改善されており、特に自然吸気エンジンでは効果が期待できる。さらに素晴らしいのはアイドリングストップ時の再始動音で、あの独特の「キュルキュル」というエンジンスタート音が無くとても静かな点。これは確実に軽自動車の質感を向上させるポイントである。

それ以外に「レーダーブレーキサポート」、「誤発進抑制機能」、「エマージェンシーストップシグナル」、「車両走行安定補助システム(ESP)」の4点を標準装備。

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安全装備としてはXGに本来非設定のメーカーオプションとなる「デュアルカメラブレーキサポート」を標準装備。誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能も備え、全方位モニター用カメラパッケージは追加のオプションとして選択可能とした。

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「デュアルカメラブレーキサポート」は、以前のレーダーブレーキサポートでは~30kmまでが作動領域だったのに対し、なんと~100kmまでとかなりの進化を遂げた。

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4WD仕様車では上述の通り悪路走破性を高めるため「グリップコントロール」を標準装備。軽乗用車では初となるグリップコントロールは一般的なSUVが持つデフロック機能に近いシステム。デフロックそのものは持たないものの、悪路でスタックしそうになったとき自動でスリップしているタイヤを感知。そのタイヤに対して機械が自動的にブレーキを与えることでグリップする側の駆動力を確保し、スムーズな発進をアシスト。これにより日常走行(特に市街地等での雪道)での走破性が高くなっている。

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これ以外では4WD仕様車に坂道でゆっくりと下る「ヒルディセントコントロール」も標準装備。

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FFモデルと4WDモデルの両方でヒルスタートアシストを標準装備。ラピュタ時代ではいずれの装備もなく、ちょっと車高の高い生活四駆程度だったが、フレアクロスオーバーではよりSUVとしての性能をアップさせている。

インテリア

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インパネ。XGスペシャルでは「オフブルー」を用いた専用インパネカラーパネルと特別装備。このほかガンメタリックのエアコンガーニッシュ&エアコンルーバーリング&スピーカーリング&ステアリングガーニッシュを特別装備。

ステアリングまわりでは本革巻ステアリングホイールではないもののステアリングガーニッシュをガンメタリック塗装。ステアリングオーディオスイッチも備える。

なお、スズキ版との違いはステアリングのオーナメントがSマークからMマークに変更となるのみ。

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スピードメーター。前期と同じくエコ運転を上部のグリーン(エコ)やブルー(通常)、ホワイト(エネルギー回生)状態を光りで表示(ステータスインフォメーションランプ)。さらにアイドリングストップインフォメーションを液晶パネルに表示する。タコメーターは液晶パネル部分の表示を切り替えて表示させる(写真は燃料計を表示中)。

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XGスペシャルはS-エネチャージ搭載モデルのため液晶パネルに回生発電やモーターアシストなどの状態を表示する「エネルギーフローインジケーター」が追加された。

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快適装備としてXGスペシャルではナノイー搭載のオートエアコンも標準装備。

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フロントシートはベンチシートタイプ。XGスペシャルでは専用のネイビー&ブラウンの専用レザー調&ファブリックシート表皮となる。

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リアシートも同様に上質な雰囲気のシートとなる。スライド機構を備え、左右独立して最大160mmスライドする。XGスペシャルではリアにも2スピーカーを標準装備し、少し豪華なオーディ構成となる。

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ラゲッジルーム。

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リアシートを倒した状態。

まとめ

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フレアクロスオーバーの初代・後期に設定されたXGスペシャルは、ブラックで塗り分けられた特徴的な外観にオフブルーの専用ボディカラー、専用インパネカラーにネイビー&ブラウンの専用レザー調シート、標準装備されたデュアルセンサーブレーキサポートなどベースモデルよりも内外装を個性的かつ上質にかつ自動ブレーキを備えた特別仕様車となっている。

OEM元のスズキ版、タフワイルドと比較するとワンポイントが嬉しいハスラーアルファベットエンブレムが無かったりと若干大人しめであるが、ノーマルのフレアクロスオーバーよりは充分個性的であり、マツダエンブレム効果によりスズキ車由来の安っぽさが無くて人によっては嬉しい仕様である。

なお、中古市場ではOEMモデルの特別仕様車ということで本家よりもタマ数が極端に少なく、超希少モデルとなっている。ターボ仕様が無いため絶対的な加速感は劣ってしまうがS-エネチャージよるマイルドハイブリッドの出来が良く発進加速や追い越し加速などで十分機能する。

また自動ブレーキの「デュアルセンサーブレーキサポート」が付いているのもポイントで装備内容的には自然吸気エンジンの上級グレードに匹敵する。もしマツダ版初代ハスラーを探していて、ターボ無しでもいい場合は一考の価値はある1台といえよう。

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