N-BOXはホンダのトールワゴン型軽自動車。N-BOX カスタムはそのスポーティーモデルである。本稿では初代・JF1およびJF2系の2015年2月マイナーチェンジ以降の後期型について扱う。
出典:ホンダ認定中古車
- 初代 ホンダ・N-BOXとは?特徴など
- 初代・後期型N-BOXカスタムの改良点と前期との違い
- 初代N-BOX「あんしんパッケージ」とは?
- 初代・後期型N-BOXカスタムのグレード G、G・Lパッケージ、2トーンカラースタイル、G・ターボLパッケージ、SSパッケージ、SSブラックスタイルパッケージ、モデューロXなどの違い
- 初代・後期N-BOXカスタムのエクステリア(外装)
- エンジン・機能装備・安全装備など
- 初代・前期N-BOXカスタムの持病 CVTの不具合について、ガラガラ、ギー、ゴーなど変なうなり音がする原因など
- 初代N-BOXカスタム・JF1とJF2との違い
- 初代・後期N-BOXカスタムのインテリア(内装)
- 初代・後期N-BOXカスタムの総評
初代 ホンダ・N-BOXとは?特徴など
2011年12月にデビューしたホンダ・N-BOX。加熱する軽自動車市場でそれまでの出遅れを払拭すべく、当時の売れ筋となっていたハイトワゴンタイプのボディを採用。
ホンダの得意とするミニバンの魅力を軽自動車サイズに詰め込んだ渾身の1台である。
N-BOXはそれまでのボンネットが独立したワゴンタイプとしては最も全高が高い1780mmとし、室内高もセンターレイアウトなどの採用で異例の1400mmを確保。
加えて室内長は軽自動車として最小のエンジンルームサイズにより2180mm、室内幅も1350mmとすることでホンダの軽自動車としては異例の広大な居住スペースを実現した。
これは同社のコンパクトカーであるフィットよりも広い室内設計(※室内幅除く)でまさに軽自動車のミニバン的なモデルとなっていた。
エンジンもそれまでのライフやゼストとは異なる新開発のS07A型エンジンを採用。
特にターボエンジンにおいてはF1で培った技術を応用することで低回転域(2600rpm)からの力強い加速と優れた燃費性能を両立させた。
さらにトランスミッションもそれまでの4ATを廃止し、全グレードで新開発のCVTとすることで燃費性能を向上させた。
出典:ホンダ認定中古車
安全装備では当時の軽自動車としては珍しい横滑り防止装置のVSA(車両挙動安定化制御システム)とヒルスタートアシストを全グレードで標準装備化。
運転席エアバッグに加え助手席用エアバッグも全グレードで標準装備とした。
初代・後期型N-BOXカスタムの改良点と前期との違い
そのN-BOXカスタムは2015年2月にフロントデザインの変更を伴うマイナーチェンジで後期型となった。
後期型では全グレードでグリルまわりが新デザインとなった他、ターボ車にLEDポジションランプとLEDフォグランプを標準装備。加えてターボ車ではシート表皮を一新して質感を向上せた。
機能面では「チップアップ&ダイブダウン機構付スライドリアシート」と「シートバックテーブル」をメーカーオプション設定。
快適装備としては「IRカット<遮熱>/スーパーUVカットガラス(フロントコーナー/フロントドア)」をタイプ別に設定。
リアドアの「ロールサンシェード」もタイプ別に設定。「オートリトラミラー」はカスタムでは全グレードで標準装備とした。
出典:ホンダ認定中古車
ボディカラーでは「プレミアムベルベットパープル・パール」を追加し、2トーンルーフ仕様には「シルバールーフ」を新たに設定。
加えてFFモデルは若干燃費がアップするなど、デビュー当初よりもより上質に仕上げたマイナーチェンジとなっている。
初代N-BOX「あんしんパッケージ」とは?
「あんしんパッケージ」は初代N-BOXの2013年12月の一部改良以降に設定されたセットオプション。安全装備などの
- シティブレーキアクティビティシステム
(低速域衝突軽減ブレーキ + 誤発進抑制機能) - サイドカーテンエアバッグシステム
- 前席用i-サイドエアバッグ
をセットにしたオプション。2代目モデルでは「ホンダセンシング」として一部を除いて自動ブレーキなどの安全装備は標準装備化されているが、初代では一部を除いてオプション扱いだった。
初代・後期型N-BOXカスタムのグレード G、G・Lパッケージ、2トーンカラースタイル、G・ターボLパッケージ、SSパッケージ、SSブラックスタイルパッケージ、モデューロXなどの違い
初代・後期型N-BOXカスタムのグレード構成は自然吸気エンジンがエントリー「G」、上級「G・Lパッケージ」、上級2トーン仕様「2トーンカラースタイルG・Lパッケージ」。
ターボモデルは上級ターボ「G・ターボLパッケージ」、上級ターボ2トーン仕様「2トーンカラースタイルG・ターボパッケージ」で全5種類。
これ以外に特別仕様車で「SSパッケージ」と「SSブラックスタイルパッケージ」、コンプリートカーの「モデューロX」が設定されていた。
Gグレード
初代・後期N-BOXカスタムのエントリーグレード。
カスタムの中でも装備がシンプルで新車価格が一番安いグレード。
電動パワースライドドアは後方左側のみ標準装備。右側はオプション設定。アレルクリーンシートは非装備で、インテリアの加飾も無し。
「あんしんパッケージ」は非設定で、13インチスチールホイール+ホイールキャップの簡素な内外装が特徴。
G・Lパッケージ
初代・後期N-BOXカスタムの上級グレード。
それまでは「G・Aパッケージ」となっていたが、廃止され「G・Lパッケージ」が復活した。
G・Lパッケージは自動ブレーキの「あんしんパッケージ」をオプション設定。
インテリアはピアノブラック調のインパネ&ドアガーニッシュ、クロームメッキのインナードアハンドル&セレクトレバーボタンによる加飾、ステアリングオーディオスイッチを標準装備。
快適装備にはリア左側の電動パワースライドドアを標準装備。右側はオプション設定。エクステリアでは14インチアルミホイールを標準装備する。
2トーンカラースタイルG・Lパッケージ
上述のG・Lパッケージに2トーンカラーを適用した専用グレード。
後期の2トーンカラースタイルではボディカラーが2色増え、「ブリリアントスポーティブルー・メタリック&シルバー」と、「プレミアムベルベットパープル・パール&シルバー」。
2015年11月には「ブリティッシュグリーン・パール&シルバー」が追加され全5色を設定。
2トーンカラーではルーフ部分とグリル、ドアミラー、アルミホイールがブラック。またはルーフとドアミラーがシルバーによる2トーンカラー仕様となり、特徴的なボディカラーが与えられる。
インパネでは2トーンカラー専用インパネに本革巻きステアリングやシフトノブ、フロントシートがレッドステッチを入れた専用品となる。
2トーンカラースタイルについてはこちらから。
G・ターボLパッケージ
G・Lパッケージにターボエンジンを採用した上級ターボグレード。G・Lパッケージの装備に加えて、
15インチアルミホイール、パドルシフト、クルーズコントロール、両側パワースライドドア、プライムスムース&トリコットコンビシート、本革巻きステアリングが標準装備となる。
特に前期には設定のなかったターボ仕様専用の上質なシートが与えられ、質感が大幅に向上する。
2トーンカラースタイルG・ターボパッケージ
上記G・ターボLパッケージに2トーンカラーを採用した最上級ターボの2トーンカラーグレード。
ボディカラーは2トーンカラースタイルと同じく
- 「ブリリアントスポーティブルー・メタリック&シルバー」
- 「プレミアムベルベットパープル・パール&シルバー」
を新設定。
2015年11月には「ブリティッシュグリーン・パール&シルバー」が追加され全5色を設定。
2トーンカラーではルーフ部分とグリル、ドアミラー、アルミホイールがブラック。またはルーフとドアミラーがシルバーによる2トーンカラー仕様となり、特徴的なボディカラーが与えられる。
インパネでは
- 2トーンカラー専用インパネ
- 本革巻きステアリング
- シフトノブ
- 常時レッド照明3眼式メーター
- パドルシフト
- クルーズコントロール
- プライムスムース&トリコットコンビシートにレッドステッチを入れたターボ専用品シート
となる。
特別仕様車 SSパッケージ
2016年8月に再登場したスズカ・スペシャル特別仕様車。
G・Lパッケージをベースに両側パワースライドドアやシートバッグテーブル、あんしんパッケージ、クロームメッキ仕様のエアコンアウトレットダブルリング、クロームメッキのLEDフォグライトガーニッシュ、LEDポジションランプを標準装備し、スタイリッシュさと快適装備、安全装備を強化した特別仕様車。
SSパッケージについてはこちらから。
特別仕様車 SSブラックスタイルパッケージ/ターボSSブラックスタイルパッケージ
2016年8月に設定されたブラックカラーをテーマとしたスズカ・スペシャル特別仕様車。
自然吸気エンジンのG・Lパッケージとターボ仕様のG・ターボ+パッケージがベース。
それぞれの既装備に加えて外装では黒塗装フロントグリル、オールブラック14インチ(ターボは15インチ)アルミホイール、リア右側のパワースライドドア。
LEDポジションランプ、フォグライトガーニッシュ付きLEDフォグランプ、親水/ヒーテッドドアミラー+フロントドア撥水ガラスを。
内装ではエアコンアウトレットダブルリングにチップアップ&ダイブダウン機構付スライドリアシート、運転席&助手席シートヒーター。
シートバックテーブルブルーステッチのステアリングホイールとブルーステッチ入り合皮コンビシート(※ターボのみで自然吸気エンジンは通常のブラックシートにブルーステッチ入り)を。
安全装備として「あんしんパッケージ」を標準装備としお買い得とした特別仕様車となっている。
SSブラックスタイルパッケージ/ターボSSブラックスタイルパッケージについてはこちらから。
コンプリートカー モデューロX
2013年1月に設定されたN-BOXカスタムをベースとしたコンプリートカー。
モデューロX専用フロントバンパーやグリル、ヘッドライトに専用シート(専用インテリア)、専用サスペンション等を装備し独特の存在感や、しなやかな乗り心地を実現した特別モデル。
FFのみの設定で、4WDモデルは非設定。前期ベースと後期ベースの2種類がある。
後期モデルではヘッドライトやテールランプが専用のブラック仕様となり、内装にモデューロXロゴ入りプライムスムース&トリコットコンビシートをシートを採用するなど、質感が向上している。
モデューロXについてはこちらから。
初代・後期N-BOXカスタムのエクステリア(外装)
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。後期型ではエンブレム部分のメッキグリル(ダーククロムメッキ)のデザインを変更。前期では細いラインが複数並んでいたが後期ではこれを3本の太いグリルに変更した。
前期では独特のコテコテ感があった後期ではシンプルなデザインとすることですっきりとしたフロントとなった。
また、ターボモデルではLEDポジションとLEDフォグランプ(クロームメッキフォグライトガーニッシュ付き)を新たに標準装備。
夕方等のポジションライト点灯時、白系のライトで見た目が良くなっている。このほかヘッドライト下にはフロントアクセサリーLED(ブルーまたはホワイト)を備え、フロントバンパーにはバンパーロアグリルモールが付く。
出典:ホンダ認定中古車
サイドから。前期同様、セキュリティーアラームを標準装備し、LEDターンランプ付きドアミラーには後期型として新たに「オートリトラミラー」を搭載。
これはドアロックに連想してミラーが自動格納する便利な機能だ。スライドドアはG・LパッケージとG・ターボLパッケージで両側とも電動タイプ。
廉価グレードのGは非装備。電動搭載グレードではイージークローザー付き。アウタードアハンドルはクロームメッキ仕様。スマートキーシステムは全グレードで標準装備。
快適装備として「IRカット<遮熱>/スーパーUVカットガラス(フロントコーナー/フロントドア)」をグレード別に設定。
2015年2月マイナーチェンジではフロントウインドウにIRカット〈遮熱〉/UVカット機能付ガラス、フロントコーナー/フロントドアにIRカット〈遮熱〉/UVカット機能付ガラスを装着していたが、2015年11月マイナーチェンジではこれがサイドガラスとリアガラスを含む360度に対応。
すべての窓で紫外線と赤外線をカットできるようになった(ただし、グレード別設定)。
自然吸気モデルのG・Lパッケージでは14インチアルミ(タイヤサイズは155/65R14 )。
2トーンカラースタイルはブラック塗装専用14インチアルミホイール、2トーンカラースタイルのターボ仕様は同じデザインで15インチ仕様。
ターボ仕様のG・Lターボパッケージでは15インチアルミ(タイヤサイズは165/55R15)を標準装備。廉価グレードのGでは14インチスチールホイール+ホイールキャップとなる。
出典:ホンダ認定中古車
リア。最上級のG・ターボLパッケージのみ、クロームメッキのリアバンパーガーニュシュが加わる。全グレードでエマージェンシーストップシグナルを標準装備。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはS07A型3気筒の自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンの最高出力は58ps(43kW)/7300rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4700rpm。
ターボ仕様では最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.6kg・m(104N・m)/2600rpm。
トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WD。アイドリングストップを全グレードで標準装備する。
安全技術としてはVSA(ABS+TCS+横すべり抑制)とヒルスタートアシスト機能を標準装備。
メーカーオプションとして低速度域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能のシティブレーキアクティビティシステムとサイドエアバッグシステムをセットにしたあんしんパッケージを設定。
このほか後期型ではFFモデルにおいて若干燃費が向上。JC08モード燃費で25.2km/lから25.6km/lにアップした。
初代・前期N-BOXカスタムの持病 CVTの不具合について、ガラガラ、ギー、ゴーなど変なうなり音がする原因など
CVT不具合の内容と原因
初代の前期型N-BOXカスタムのCVTは、走行距離が増えるとミッション内部の加工片が偶発的にドリブンプーリーベアリング内部に噛み込み、ベアリング内部の軌道面が剥離して異音が発生するケースがある。
これに関してはホンダからCVTの延長保証が出ており、不具合が発生しやすいようだ。
特にCVTフィールドを定期的に交換していないと異音が発生しやすく、一度も交換していないようなN-BOXは発生の可能性が高くなる(N-BOXカスタムのCVTフィールドは4万キロごとが交換推奨時期)。
保証期間
①初度登録日から経過、6年未満の車両
5年または10万km以内 ⇒ 7年または10万km以内
②初度登録日から経過、6年以上の車両
5年または10万km以内 ⇒ 保証期間延長開始後から1年または10万km以内
CVT不具合に対する修理費用について
万が一この現象が出ているモデルで保証期間がすぎると自己負担による有償修理(ミッション載せ替え)が必要。
新車登録年以外に10万キロ以上の車では保証外なため、過走行車を買う場合は要注意。
ミッション本体と工賃をあわせると約30万円ぐらいの高額修理になる場合がある。
そのため中古で初期モデルのN-BOXカスタムを買う場合はこの不具合が出ていないか、あるいは対策済みなどかを確認してから購入することを強くオススメする。
初代N-BOXカスタム・JF1とJF2との違い
N-BOXカスタムのJF1とJF2との違いは駆動方式。JF1は前輪を駆動するFFのN-BOXカスタム。JF2はJF1をベースに全部のタイヤを駆動する4WDのN-BOXカスタム。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるビスカスカップリングを用いたパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。
初代・後期N-BOXカスタムのインテリア(内装)
出典:ホンダ認定中古車
インパネ。カスタムでは全グレードでブラックインテリアとなる。加えてGグレード以外ではインパネとドアガーニッシュがピアノブラック調の専用パネルとなる。
ターボ仕様ではシルバーステッチ入り本革巻きステアリングホイール&パドルシフトとなる。エンジンスタートは全グレードでプッシュスタート式。
出典:ホンダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。ターボ仕様ではに合皮コンビシートを採用し、質感が向上している。
出典:ホンダ認定中古車
ターボのシート表皮は後期モデルでプライムスムース&トリコットコンビシートに変更され、上級感がある。
出典:ホンダ認定中古車
リアシート。チップアップ&ダイブダウン機構付スライドリアシート(5:5分割式、4段リクライニング付)はGグレードで以外で標準装備。また、強い日差しから車内を保護するロールサンシェードは全グレードで標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
初代・後期N-BOXカスタムの総評
出典:ホンダ認定中古車
初代・後期N-BOXカスタムの評価
初代・後期型のN-BOXカスタムは前期よりも見た目が向上し、かつ燃費も若干良く一応自動ブレーキもオプション設定するカスタムモデルである。
燃費の面では当時のスズキのスペーシアカスタムに軍配があり、自動ブレーキ自体もライバルに比べてそんなにすごいわけではないが、女性や子持ちの主婦には嬉しい360°スーパーUV・IRカットガラスを設定するなど使い勝手の良さも向上し、人気のN-BOXカスタムの後期モデルとして上手くまとまった1台である。
顔つきがいかせん好き好きが分かれるが、この手を探していて予算に余裕があるのなら素直に選んでみたいモデルである。
標準グレードのほか、SSパッケージやSSブラックスタイルパッケージ、2トーンスタイルなど個性的な特別仕様車も存在し、選択肢の幅も広い。
3代目N-BOXの登場と中古車バブル崩壊で初代・後期モデルも価格が下落
中古市場では新車と同じく人気モデル。かつては初代・後期モデルは高値が続いていたが、ここ最近は3代目モデルの登場やコロナ渦による中古車バブルが崩れたことで初代は2世代前のモデルとなり以前よりは買いやすい価格帯に落ち着いてきている。
カスタム仕様はノーマルよりも値が張るが、その分見た目や内装、機能装備なども良くなるので価格に見合った価値は十分にある。
ただし、同年式のライバルモデルよりも少し高い傾向にあるので、状態をよく確認して購入することを強くオススメする。
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