2代目 ホンダ・N-BOXとは?
2017年8月にフルモデルチェンジし、2代目となったホンダ・N-BOX。初代は軽自動車メーカーの中での劣勢を挽回すべく売れ筋ジャンルにストレート勝負で挑んだホンダの意欲作であった。
他社を研究しミニバンやF1で培った技術を取り入れ結果的にダイハツ(タント)やスズキ(スペーシア)、三菱(eKスペース)、日産(デイズルークス)などのライバルを寄せ付けないモデルに成長した。
約5年ぶりのフルモデルチェンジとなった2代目のJF3およびJF4型は前モデルと同じく標準モデルとカスタムモデルの2種類を設定。カスタムモデルではかなり顔つきに変化が与えられたが、本稿で扱う標準モデルは初代のイメージそのままにより上品さをアップ。
特にリアにかけてはコンビランプが作り込まれ赤いレンズとLEDテールランプの組み合わせでLEDテールランプ初期のいかにも感がなくなった。これにより全体的なデザインの底上げがなされている。
また、ヘッドライトはホンダの軽自動車としては初となるLEDヘッドライトを全グレードで標準装備。ルーフ部分においてはそれまでの樹脂パーツを廃止。レーザーブレーズ溶接による形成ですっきりとしたルーフパネルを実現した。
出典:ホンダ認定中古車
ボディや骨格まわりでは高効率フロアフレーム構造や高張力鋼板の適応拡大に加え、新たな接合技術を導入することで軽量化と高剛性化を両立。
先代比最大で約80kgの軽量化(実際に軽量化そのものは150kgで安全装備や剛性向上で70kg分増えている)。
エンジンでは自然吸気エンジンにはこちらもホンダ軽自動車史上初となるi-VETCを搭載。ターボエンジンには電動ウェイスとゲートを搭載。
このほかにCVTやサスペンションシステムの高性能化、フロントピラーの極細化による視界向上などで安心感ある走りと低燃費、快適な乗り心地を実現。
安全装備としてはホンダセンシングを全グレードに標準装備。軽自動車としてはホンダ初となる後方誤発進抑制機能や歩行者事故低減ステアリング機能の採用でライバルのスズキやダイハツに負けない充実装備を与えた。
利便性においてはエンジンルームのコンパクト化、テールゲートの薄型化により室内空間をさらに拡大。
加えて新採用の助手席スーパースライドシートは最大570mmのスライド量を与えたことで後ろドアから子供の乗り込んで運転席に座るといった幅広い使い方やシートアレンジが可能となった。
快適装備ではシート表皮に付着したアレルゲン(ダニ・スギ花粉)の不活性化に加え、抗ウイルス加工を施した「アレルクリーンプラスシート」、紫外線と赤外線を軽減する「360°スーパーUV・IRカット パッケージ」をすべての窓に採用するなど、車内の環境を快適に整える先進装備を充実。
静粛面では「高性能エンジンマウントシステム」の採用と防音材や遮音材を最適に配置することで前モデルよりも静粛性を高めた。
2代目N-BOX(JF3/JF4)の前期と後期との違い
2代目N-BOX後期モデルの改良点
その2代目N-BOXは2020年12月にマイナーチェンジをうけ後期型に。
後期モデルでは前期モデルに対してフロントデザインの変更、インパネカラーの変更、ボディカラー入れ替え、安全装備の強化、グレード構成の変更などが実施された。
※2代目後期N-BOXカスタムについてはこちらから。
出典:ホンダ認定中古車
後期型では外装でフロントグリルとヘッドライトの形状が変更され、落ち着きと親しみやすさをアップさせた顔つきに。加えてグリルにメッキバーを追加したことでワイド基調とした。
出典:ホンダ認定中古車
内装ではダークブラウン内装に変更。加えてホワイトの加飾を与えて前期よりも魅力をアップ。
そしてボディカラーでは新色の「プレミアムサンライトホワイト・パール(※オプションカラー)」を追加。「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」、「モーニングミストブルー・メタリック」、「プレミアムアイボリー・パールII」を廃止して全8色とした。
自動ブレーキでは後方誤発進抑制制御機能に用いるソナーセンサーを4個に増やしたことで、後方の障害物検知を追加。駐車時に便利なパーキングセンサーシステムが備わった。
また、グレード体系も変更され、それまでGが付いていたグレードはベーシックなグレード以外にはGの名称がつかなくなり、単純に「Lグレード」や、「EXグレード」となった。
さらに廉価グレードを除いて内外装をドレスアップした「コーディネートスタイル」が新グレードとして追加された。
2021年12月・一部改良について
2021年12月の一部改良ではパーキングブレーキがオートブレーキホールド付き電子制御式に変更。ホンダセンシングに付随のACCは「渋滞追従機能付き」となった。
また、ボディカラーも一部変更され「ピーチブロッサム・パール」が廃止された。
2代目N-BOX(JF3/JF4)のグレード一覧 G、L、EX、コーディネートスタイルの違いと特徴
2代目N-BOXでは初代のGグレード、Lグレードに加えて最上級のEXグレードを追加した3種類のグレード展開。
2代目後期モデルではGグレード以外に「G」の名称がつかないが、基本的には「G」が最廉価。「L」がミドルグレード、「EX」が最上級という位置づけ。
カスタムモデルのN-BOXカスタムはこちらから。
このほか内外装をドレスアップした「コーディネートスタイル」も後期モデルで設定された。
Gグレード
Gグレードは2代目N-BOXの中で最も安いグレード。
ただしこの手のモデルの特徴ともいうべきスライドドアを電動化した「パワースライドドア」が非設定で、かつオプションでも選択不可という大きな特徴がある。
また、ターボ仕様はGグレードには非設定。
これ以外では自動ブレーキの「ホンダセンシング」や、便利&快適装備の「LEDヘッドライト」、「フルオートエアコン」は付くもののエアコンのプラズマクラスターが省略されたり、運転席ハイトアジャスター、スライドドアイージークローザー、充電用のUSBジャックなども省略される。
Lグレード
Lグレードは2代目N-BOXの中でも真ん中に位置するミドルグレードで、Gグレードには無いターボ仕様の設定や内外装をドレスアップした「コーディネートスタイル」も選択可能なグレード。
快適装備でも後席左側パワースライドドアを標準装備し、後席右側もオプション選択可(※ターボやコーディネートでは右側も標準装備)となるなどGグレードでは選択できない快適装備が増えるのが特徴だ。
また、ロールサンシェードや運転席アームレスト、充電用のUSBジャックも標準装備となるため、使い勝手が向上する。
EX、EXターボ
EXグレードは2代目N-BOXの中でも最上級グレード。
EXグレード最大の特徴は助手席が「スーパースライドシート」に変更されること。
これにより助手席のスライド幅がノーマルよりも大きくなり、運転席に乗ったまま一旦降りること無く後部座席へ移動したり、後部座席の子供の様子をみたりと後部座席へのアクセスが容易になる。
また、オートエアコンにはプラズマクラスターが標準装備となり、シート表皮には「アレルクリーンプラスシート」仕様へ変更。
EXターボではパドルシフトが追加されるなど、N-BOXカスタムのような豪華な装備となる。その分価格も高くなり、Gグレードと比較して23万円ほど高くなる。
ちなみに3代目モデルではターボ仕様が廃止され、標準タイプは自然吸気エンジンのみの設定となった。
コーディネートスタイル
2代目後期型で新たに設定となった上級カスタムグレード。N-BOXカスタムにも同様に「コーディネートスタイル」の設定があるが、装備が異なる。
標準N-BOXのコーディネートスタイルではミドルグレードで、自然吸気エンジンのLとLターボの2種類がベース。
これに外装ではルーフ同色ドアミラー、専用カラードスチールホイール(ハーフホイールキャップ付き)、クロームメッキドアハンドルを。
ボディカラーは専用のブラウンルーフと組み合わせた2トーンカラーのみとし、
- プラチナホワイト・パール&ブラウン
- プレミアムアイボリー・パールII&ブラウン
- ピーチブロッサム・パール&ブラウン(※2021年12月一部改良でピーチブロッサムは廃止)
を設定。
内装では
- 専用ダークブラウンインパネ
- 専用ブラウンカラーシート(トリコット素材)
- ダークタン塗装のドアオーナメントパネル
- ダークタン塗装のステアリングロアガーニッシュ
- クロームメッキインナードアハンドル
など内外装でダークブラウンを基調にエレガントな雰囲気を与えたグレードとなっている。
なお、このコーディネートスタイル。2021年6月頃に生産終了の話が出てきて一旦カタログ落ち(公式WEBカタログページからも消滅)したものの、2021年12月の一部改良で復活した。
そのためネット上では生産終了と復活の話題が混在している。
2代目後期N-BOXのエクステリア(外装)
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。2代目N-BOXの後期型ではグリルデザインとヘッドライト形状が変更された。
特にグリルは中央付近の開口部のデザインを変更し、かつメッキ加飾も前期の上部から中央よりにし水平基調としたことで精悍さをアップ。親しみやさにの中に上品なイメージをもたせた。
また、後期ではフロントのナンバープレートの位置が左よりから中央よりに変更された。
ヘッドライトは全グレードでLEDヘッドライトを標準装備する。LEDフォグランプはカスタムのみに設定で標準モデルには非設定。
出典:ホンダ認定中古車
サイドから。このあたりは前期と同じ。
出典:ホンダ認定中古車
パワースライドドアも前期と同じくGグレードは非設定。Lグレード以上で後部左側が標準装備。後部右側はLターボ仕様とEX・EXターボグレードで標準装備で、Lグレードではオプション選択可となる。
出典:ホンダ認定中古車
足元は14インチフルホイールキャップ。
2代目N-BOXはGグレードから最上級のEXターボのいずれもアルミホイールは非設定で、「コーディネートスタイル」を除いてすべてこのフルホイールキャップとなる。タイヤサイズは155/65R14。
出典:ホンダ認定中古車
リア。後期型ではカスタムモデルでリアバンパーにメッキ加飾が追加された(標準モデルはそのまま)。これ以外は前期型と同じ。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:ホンダ認定中古車
エンジンは初代の改良型となるS07B型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。
後期モデルではエンジン廻りの変更はなし。2代目では自然吸気エンジンに軽自動車初のi-VTECを搭載。低回転域での出力そのままに4000回転以上での出力アップがなされた。
最高出力は58ps(43kW)/7300rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4800rpmを発生する。
ターボエンジンは電動ウェイスゲートを採用し理想的な加給を実現。出力を確保しつつ低燃費とレスポンス向上を果たした。
こちらは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.6kg・m(104N・m)/2600rpmを発生する。
このほか安全装備としてはエマージェンシーストップシグナルとヒルスタートアシスト機能、VSA(横滑り防止装置)のほか、「ホンダセンシング」を全グレードに標準装備。
ホンダセンシングとは自動ブレーキや誤発進抑制機能などを一つのパッケージとしてまとめたものでそれまでの「シティブレーキアクティブシステム」にかわる新システムである。
従来はフロントウィンドウ上部のセンサーだけを用いたものだったが、ホンダセンシングでは単眼カメラ、ミリ波レーダー、ソナーセンサーの3つを用いたシステムで初代N-BOXには無かった先進的な安全装備となる。
具体的には衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>、LKAS<車線維持支援システム>、先行車発進お知らせ機能、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、標識認識機能、後方誤発進抑制機能、オートハイビームの8つが含まれる。
2019年10月の一部改良時では自動ブレーキのホンダセンシングがグレードアップ。衝突軽減ブレーキの性能が向上し、追加で横断中の自転車と街頭のない夜間の歩行者検知の制度が向上。
加えてリアカメラの画素数が30万画素から100万画素へ。
さらに後期モデルはホンダセンシングがさらにパワーアップ。
自動ブレーキでは後方誤発進抑制制御機能に用いるソナーセンサーを4個に増やしたことで、後方の障害物検知を追加。駐車時に便利なパーキングセンサーシステムが備わった。
2021年12月の一部改良ではパーキングブレーキがオートブレーキホールド付き電子制御式に変更。ホンダセンシングに付随のACCは「渋滞追従機能付き」となった。
また、ボディカラーも一部変更され「ピーチブロッサム・パール」が廃止された。
2代目N-BOX JF3型とJF4型との違い
2代目N-BOXのJF3型とJF4型との違いは駆動方式にある。JF3型はエンジンを前に配置し、前輪を駆動するFFタイプの2代目N-BOX。JF4型はJF3をベースに4WD化した2代目N-BOX。
ただしN-BOXの4WDシステムは「ビスカスカップリング式4WD」と呼ばれるもので、ジムニーやパジェロミニのパートタイム4WDとは異なるシステム。
4WDといって普段はFFで走行し、滑りやすい路面で後輪との回転差が生じたときに自動的に4WDに切り替わるもの。
よってジムニーやパジェロミニのように自分で切り替える必要がなく、とても扱いやすい4WDシステムとなっている。
またパートタイム4WDで起きやすい「タイトブレーキング現象」は起きづらいが本格的な4WDではなくあくまで街乗りメインの4WDのため本格的なオフロード走行などには適していない。その点は注意が必要だ。
JF3型N-BOXのリコール 2022年6月2日届け出・低圧燃料ポンプの不具合
2022年6月2日にホンダから国交省へN-BOXのリコールが届け出られた。対象となるのはJF3型N-BOXとN-BOXカスタムで、対象となるのは2018年3月から2018年12月までの車体。
内容は燃料ポンプの不具合。燃料ポンプ内のガソリンを吸い上げる樹脂製の羽根車に不具合があり、使用し続けるこの歯車が変形しガソリンをエンジンに送れなくなる。
これにより最悪エンジンが止まる恐れがある。ただし現状はそこまで重大な事故は発生しておらず、エンジンがかからないケースが68件報告されているとのこと。
なお、今回のリコールはの2代目N-BOX、N-BOXカスタムの中でも前期型モデルでかつFFモデルが対象。4WDモデルはリコール対象外。さらに2代目の後期モデルではFFモデルも含め完全に対象外だ。
対象車種を使用している人は交換部品の準備ができ次第、リコール対応が実施される。
なお、今回のリコールでは初代N-WGN、初代W-WGNカスタム、N-VAN、初代N-ONE、N-BOXスラッシュ、S660も対象車種となっており、全部で21万9623台が対象となる大型リコールとなった。
2代目後期N-BOXのインテリア(内装)
出典:ホンダ認定中古車
2代目N-BOXの後期型では内装カラーが変更された。後期ではダークブラウンを基調とし、これにホワイトの加飾によるアクセントでダークブラウンを引き立てるインパネカラーとした。
本革巻きステアリングホイールはLターボ、EXターボ、Lコーディネートスタイルのみに標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
スピードメーターは前期と同じ。タコメーターとスピードメーターがアナログ式。
出典:ホンダ認定中古車
エアコンは全グレードでフルオートエアコン。上級のEXグレードのみ追加でプラズマクラスターが標準装備となる。
出典:ホンダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。シート表皮は前期と同じで変更点はなし。運転席&助手席シートヒーターはGグレード(Gスロープ含む)のFF仕様以外で全グレードに標準装備となる。
出典:ホンダ認定中古車
リアシート。こちらも前期と同じ。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートは全グレードにチップアップ&ダイブダウン機能付きスライドリアシートとなる。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジスペース。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートを倒した状態。初代からセンタータンクレイアウトを採用した室内高の高さは健在で、シティサイクルやママチャリもラクラク詰めてしまうほど実用的な高さ&低床をほこる。
2代目後期N-BOXの評価
出典:ホンダ認定中古車
2代目N-BOXの後期型は、刷新されたフロントデザインにダークブラウンへの内装色の変更。強化された自動ブレーキのホンダセンシングなど、前期モデルよりもより魅力をアップさせたマイナーチェンジとなった。
特に後期モデルではより個性を強めた「コーディネートスタイル」の投入で標準モデルでもカスタムに劣らないエクステリアとインテリアが与えられており、その人気の強さに拍車をかけるマイナーチェンジとなっている。
ただし新車でも一番安いGグレードが約145万円から。上級の「L・ターボコーディネートスタイル」の4WDとなるとN-BOXカスタム並みの204万円という価格設定となる。
もちろん自動ブレーキが最初から付いているのでその分の価値はあると思うが、高いか安いとみるかは…時代の流れか。
ちなみに軽自動車の新車販売ではN-BOXが初代の発売当初から無敵の強さをほこり、元祖のダイハツ・タントを追い抜いて1位に君臨してしまうほど。
中古車でもN-BOXは不動の人気で、それゆえ初代の10年落ちや10万キロ走行でも意外と値段が高いモデルである。
逆を返せばそれだけ軽自動車としてのデキがよく、売れていることの裏返しなのだが特に中古で買う場合は近年の中古車高騰の影響で、状態があまり良くなくても「人気のN-BOX」という点だけで相場よりも高いモデルも存在する。
人気車種だけに中古車を検討する場合は本当に見合った中古価格なのかよく調べてから購入すること強くオススメする。
2023年10月にはフルモデルチェンジを実施し、3代目へとバトンタッチ。親しみやすいデザインと使い勝手や視認性をアップさせたインパネ、アクセルとブレーキの踏み間違いに対応させたホンダセンシングなど、さらなる進化を果たすこととなる。
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