N-BOXはホンダのトールワゴン型軽自動車。N-BOX カスタムはそのスポーティーモデルである。本稿では後期型(2015年2月~)に設定された特別仕様車「SSパッケージ」を扱う。
出典:ホンダ認定中古車
初代 ホンダ・N-BOXカスタムとは?
2011年11月にデビューしたホンダ・N-BOX。
加熱する軽自動車市場でそれまでの出遅れを払拭すべく、当時の売れ筋となっていたハイトワゴンタイプのボディを採用。ホンダの得意とするミニバンの魅力を軽自動車サイズに詰め込んだ渾身の1台である。
N-BOXはそれまでのボンネットが独立したワゴンタイプとしては最も全高が高い1780mmとし、室内高もセンターレイアウトなどの採用で異例の1400mmを確保。
加えて室内長は軽自動車として最小のエンジンルームサイズにより2180mm、室内幅も1350mmとすることでホンダの軽自動車としては異例の広大な居住スペースを実現した。これは同社のコンパクトカーであるフィットよりも広い室内設計(※室内幅除く)でまさに軽自動車のミニバン的なモデルとなっていた。
エンジンもそれまでのライフやゼストとは異なる新開発のS07A型エンジンを採用。特にターボエンジンにおいてはF1で培った技術を応用することで低回転域(2600rpm)からの力強い加速と優れた燃費性能を両立させた。
さらにトランスミッションもそれまでの4ATを廃止し、全グレードで新開発のCVTとすることで燃費性能を向上させた。
出典:ホンダ認定中古車
安全装備では当時の軽自動車としては珍しい横滑り防止装置のVSA(車両挙動安定化制御システム)とヒルスタートアシストを全グレードで標準装備化。運転席エアバッグに加え助手席用エアバッグも全グレードで標準装備とした。
そのカスタムモデルとなる「N-BOXカスタム」は他社ライバルのモデルと同じく標準モデルに対し内外装をスポーティにあしらったモデルである。
外装では専用ヘッドライト(ディスチャージヘッドランプ)、フロントメッキグリル、フロントバンパー、サイドアンダースポイラー、アルミホイール、ルーフエンドスポイラー、リアバンパーを。内装ではブラックタイプのインパネやシート表皮で上級感をアップさせている。
初代・後期型N-BOX カスタムとは?特徴と前期との違い
2015年2月実施のマイナーチェンジ(後期型)ではメッキグリルやバンパーのデザインを変更したほか、カスタムのターボ仕様でLEDポジションランプとLEDフォグライトを標準装備。
リアシートにはそれまでのチップアップ機構に加えスライド機構をプラス。さらにメーカーオプションとして「シートバックテーブル」も新たに盛り込んだ。
快適装備としてはIRカット<遮熱>/スーパーUVカットガラス(フロントコーナー/フロントドア)」と後部座席用のロールサンシェードをタイプ別に設定。オートリトラミラーはカスタムで標準装備とした。
初代・後期型N-BOX カスタム SSパッケージとは?特別装備とノーマルとの違い
そして2015年7月。N-BOXシリーズが2015年上半期における軽自動車販売台数No.1を記念して人気装備を追加しつつお買い得とした特別仕様車を設定した。それがこの「SSパッケージ」である。
SSパッケージそのものは前期型でも存在したが、後期型では今回が初となった。
SSパッケージでは「G・Lパッケージ」をベースに
- あんしんパッケージ
(自動ブレーキとサイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグなどのセットオプション) - リア右側のパワースライドドア
- シルバー塗装パワーウィンドウスイッチパネル
- クロームメッキ・リアバンパーガーニッシュ
を追加装備しお買い得したものであった。
エクステリア
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。SSパッケージでは外観上の大きな変更点はなく、ベースモデルのG・Lパッケージに準ずる。
後期型ベースのためグリルデザインが変更されている前期ではエンブレム付近のグリルは細いラインが複数並んでいたが後期ではこれを3本の太いグリルに変更した。前期では独特のコテコテ感があった後期ではシンプルなデザインとすることですっきりとしたフロントとなった。
加えてバンパーにもメッキ加飾を行うことで精悍さをアップさせている。
出典:ホンダ認定中古車
サイド。このあたりも特に変更点はなく、ベースモデルと同じ。後期型の快適装備として「IRカット<遮熱>/スーパーUVカットガラス(フロントコーナー/フロントドア)」を標準装備。
SSパッケージでは本来オプション設定となっていたリア右側のパワースライドドアが標準装備となる。
足元は14インチアルミホイール。
出典:ホンダ認定中古車
リア。こちらもほぼ同じだが、SSパッケージではクロームメッキ・リアバンパーガーニッシュが標準装備となる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはS07A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。
最高出力は58ps(43kW)/7300rpm。最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4700rpm。
駆動方式はFFか4WDで、雪国にはうれしいVSA(横滑り防止装置)とヒルスタートアシストが標準装備となっている。安全技術としては「あんしんパッケージ」を標準設定。
シティブレーキアクティブシステム、サイドカーテンエアバッグシステム、前席用i-サイドエアバッグシステムをひとまとめにしたオプションとなっている。
初代N-BOXカスタム・JF1とJF2との違い
N-BOXカスタムのJF1とJF2との違いは駆動方式。JF1は前輪を駆動するFFのN-BOXカスタム。JF2はJF1をベースに全部のタイヤを駆動する4WDのN-BOXカスタム。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるビスカスカップリングを用いたパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。
インテリア
インパネ。内装に関してもG・Lパッケージベースで特段の変更点はなし。自然吸気エンジン仕様ながら本革巻ステアリングホイールとタコメーター付きのスピードメーターが備わる。エアコンはフルオートエアコン。
出典:ホンダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。こちらもベースモデルと同じ。SSパッケージではシルバー塗装パワーウインドウスイッチパネルが標準装備となる。
出典:ホンダ認定中古車
リアシート。スライド機構に加えチップアップ&ダイブダウン機構と2段リクライニング機能付き。G・Lパッケージベースのため後部座席にはロールサンシェードも標準装備となる。
出典:ホンダ認定中古車
N-BOXでは室内高を最大限有効利用できるよう、チップアップという従来の手前に倒れる以外に後ろ側に粗利上げてシートをたたむことが可能となっている。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
出典:Goo-net
N-BOXカスタムの後期型に設定されたG・Lパッケージベースの「SSパッケージ」は、刷新された外装のN-BOXカスタムに自動ブレーキやエアバッグなどを一緒にした「あんしんパッケージ」、オプション設定のリア右側のパワースライドドア、シルバー塗装パワーウィンドウスイッチパネル、クロームメッキ・リアバンパーガーニッシュを追加装備し、価格を抑えた特別仕様車となっていた。
自然吸気エンジンのグレードがベースながら快適性や安全性を高めたこの特別仕様車は、ベースモデルから約7万円アップの価格設定で、「ターボ仕様まで要らないものの快適&便利なN-BOXカスタムが欲しい」というニーズに答えられそうな仕様となっていた。
なお、この後の2016年8月にはターボ仕様や2トーンカラースタイル、ブラックスタイルパッケージなど様々なバリエーションのSSパッケージが設定されることとなる。
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