N-BOXはホンダのトールワゴン型軽自動車。N-BOXカスタムはそのカスタムモデルである。本稿ではJF3およびJF4型の後期型(2020年12月~)に設定された特別仕様車「スタイル+ブラック」を扱う。
出典:ホンダ認定中古車
2代目 ホンダ・N-BOXカスタムとは?
2017年8月にフルモデルチェンジし、2代目となったホンダ・N-BOX。初代は軽自動車メーカーの中での劣勢を挽回すべく売れ筋ジャンルにストレート勝負で挑んだホンダの意欲作であった。
他社を研究しミニバンやF1で培った技術を取り入れ結果的にダイハツ(タント)やスズキ(スペーシア)、三菱(eKスペース)、日産(デイズルークス)などのライバルを寄せ付けないモデルに成長した。
約5年ぶりのフルモデルチェンジとなった2代目のJF3およびJF4型は前モデルと同じく標準モデルとカスタムモデルの2種類を設定。標準モデルは初代のイメージそのままにより上品さをアップ。正当な進化を果たした。
カスタムの大幅デザイン変更
一方の本稿で扱うカスタムモデルではかなり顔つきに変化が与えられた。また、ヘッドライトはホンダの軽自動車としては初となるLEDヘッドライトを全グレードで標準装備。
ルーフ部分においてはそれまでの樹脂パーツを廃止。レーザーブレーズ溶接による形成ですっきりとしたルーフパネルを実現した。
出典:ホンダ認定中古車
パッケージング・エンジン・メカニズムなど
ボディや骨格まわりでは高効率フロアフレーム構造や高張力鋼板の適応拡大に加え、新たな接合技術を導入することで軽量化と高剛性化を両立。先代比最大で約80kgの軽量化(実際に軽量化そのものは150kgで安全装備や剛性向上で70kg分増えている)。
エンジンでは自然吸気エンジンにはこちらもホンダ軽自動車史上初となるi-VETCを搭載。ターボエンジンには電動ウェイスとゲートを搭載。このほかにCVTやサスペンションシステムの高性能化、フロントピラーの極細化による視界向上などで安心感ある走りと低燃費、快適な乗り心地を実現。
静粛面では「高性能エンジンマウントシステム」の採用と防音材や遮音材を最適に配置することで前モデルよりも静粛性を高めた。
安全装備など
安全装備としてはホンダセンシングを全グレードに標準装備。軽自動車としてはホンダ初となる後方誤発進抑制機能や歩行者事故低減ステアリング機能の採用でライバルのスズキやダイハツに負けない充実装備を与えた。
快適装備や進化した助手席スーパースライドシートなど
利便性においてはエンジンルームのコンパクト化、テールゲートの薄型化により室内空間をさらに拡大。加えて新採用の助手席スーパースライドシートは最大570mmのスライド量を与えたことで後ろドアから子供の乗り込んで運転席に座るといった幅広い使い方やシートアレンジが可能となった。
快適装備ではシート表皮に付着したアレルゲン(ダニ・スギ花粉)の不活性化に加え、抗ウイルス加工を施した「アレルクリーンプラスシート」、紫外線と赤外線を軽減する「360°スーパーUV・IRカット パッケージ」をすべての窓に採用するなど、車内の環境を快適に整える先進装備を充実させた。
2代目・後期型N-BOXカスタム(JF3/JF4)とは?前期型との違いなど
その2代目N-BOXは2020年12月にマイナーチェンジをうけ後期型に。
出典:ホンダ認定中古車
後期型では外装でフロントグリルとヘッドライトの形状が変更。それまでのイメージそのままに上部のメッキグリルを立体化。かつ、下部のメッキグリルもよりラインを強調することで前期よりも高級感や存在感をアップさせた。
また、フロントのナンバープレート(ライセンスナンバー)の位置を中央に移動、リアバンパーにメッキを追加。アルミホイールのデザインも変更した。
内装ではブラック内装やシート表皮はそのままにマルチブラック塗装の加飾を刷新。シート表皮のアクセントカラーも変更してより上質な印象とした。
ボディカラーでは新色の「ミッドナイトブルービーム・メタリック」を「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」の入れ替えで追加。このほか「ミッドナイトブルービーム・メタリック&シルバー」、「プレミアムクリスタルレッド・メタリック&ブラック」を追加した。
自動ブレーキでは後方誤発進抑制制御機能に用いるソナーセンサーを4個に増やしたことで、後方の障害物検知を追加。駐車時に便利なパーキングセンサーシステムが備わった。
また、グレード体系も変更され、それまでGが付いていたグレードはベーシックなグレード以外にはGの名称がつかなくなり、単純に「Lグレード」や、「EXグレード」となった。
加えて後期型ではダークメッキ加飾や専用アルミホイール、専用2トーンボディカラー、フル合皮シートなどでより個性や豪華さを強調した新グレード「N-BOXカスタム コーディネートスタイル」が追加された。
2021年12月の一部改良ではパーキングブレーキがオートブレーキホールド付き電子制御式に変更。ホンダセンシングに付随のACCは「渋滞追従機能付き」となった。また、ボディカラーも一部変更され「ピーチブロッサム・パール」が廃止された。
特別仕様車 N-BOXカスタム スタイル+ブラックとは?特別装備とノーマルとの違いなど
その2代目N-BOXカスタムに2021年12月。ブラックのアクセントカラーを用い、クールかつ高級感を高めた特別仕様車を設定した。
それがこの「スタイル+ブラック(STYLE + BLACK)」である。
スタイル+ブラックはN-BOX誕生10周年を記念するモデルでもあり、他のNシリーズでも特別仕様車が設定された。
このうちN-BOXカスタムをベースとした「スタイル+ブラック」では「L」と「Lターボ」をベースにエクステリアで
- ベルリナブラック加飾ヘッドライト(9灯式フルLED)
- ベルリナブラック加飾フロントグリル
- ベルリナブラック加飾フォグライトガーニッシュ
- ベルリナブラック加飾リアライセンスガーニッシュ
- ベルリナブラック加飾リアバンパー
- ベルリナブラック加飾テールランプ
- クリスタルブラック・パール ドアミラー
- クリスタルブラック・パール アウタードアハンドル
- 専用塗装N-BOX Custom エンブレム
- 専用ダーククロームメッキフロントグリルガーニッシュ
- ブラック塗装アルミホイール(14インチまたは15インチ)
を特別装備。インテリアでは
- グレーステッチ入り本革巻きステアリング(※ターボ仕様は標準装備)
- グレーステッチ入り本革巻きセレクトノブ(※ターボ仕様は標準装備)
- メタルスモーク偏光塗装助手席インパネドアガーニッシュ
- メタルスモーク偏光塗装ドアオーナメントパネル
- メタルスモーク偏光塗装ステアリングロアガーニッシュ
ボディカラーは
- プラチナホワイト・パール (※オプションカラー)
- メテオロイドグレー・メタリック (※オプションカラー)
- クリスタルブラック・パール
の3色のみを設定。
快適装備としてはLグレードベースで「右側パワースライドドア」を特別装備とし、内外装でブラックやグレーによる加飾で個性的かつ上質感を高めた特別仕様車となっている。
エクステリア
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。スタイル+ブラック仕様ではエクステリアでベルリナブラック塗装を施した専用パーツが採用される。
フロント部分はヘッドライト、フロントグリル、フォグライトガーニッシュがベルリナブラック塗装となり、パールブラックによる独特の雰囲気が与えられる。
ノーマルではこのあたりがメッキ加飾となっていたが、ベルリナブラック塗装により顔つきが変化。漆黒の黒塗装でクール感もただよう。
出典:ホンダ認定中古車
サイド。スタイル+ブラック仕様としてドアミラーとアウタードアハンドルがクリスタルブラック・パール塗装となる。
出典:ホンダ認定中古車
足元はLグレードが14インチ。ターボ仕様が15インチで、ベースモデルのアルミホイールをブラック塗装したものが採用される。
Lグレードには本来右側後方のパワースライドドアがオプション設定だが、スタイル+ブラックでは標準装備とした(※ターボ仕様はベースモデルに既装備)
タイヤサイズはそれぞれ L STYLE+ BLACKが155/65R14、L・ターボ STYLE+ BLACKが165/55R15。
出典:ホンダ認定中古車
リア。スタイル+ブラック仕様としてLEDテールランプ、リアライセンスガーニッシュ、リアバンパーがベルリナブラック加飾となる。
さらにN-BOXエンブレムとCustomエンブレムもブラック仕様の専用塗装となり、特別感がアップする。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:ホンダ認定中古車
エンジンはベースモデルと同じ07B型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。エンジン廻りの変更点は特になし。
2代目では自然吸気エンジンに軽自動車初のi-VTECを搭載。低回転域での出力そのままに4000回転以上での出力アップがなされた。
Lスタイル+ブラックの最高出力は58ps(43kW)/7300rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4800rpmを発生する。
出典:ホンダ認定中古車
L・ターボスタイル+ブラックのターボエンジンは電動ウェイスゲートを採用し理想的な加給を実現。出力を確保しつつ低燃費とレスポンス向上を果たした。
こちらは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.6kg・m(104N・m)/2600rpmを発生する。
自動ブレーキのホンダセンシングや機能装備について
このほか安全装備としてはエマージェンシーストップシグナルとヒルスタートアシスト機能、VSA(横滑り防止装置)のほか、「ホンダセンシング」を標準装備。
ホンダセンシングとは自動ブレーキや誤発進抑制機能などを一つのパッケージとしてまとめたものでそれまでの「シティブレーキアクティブシステム」にかわる新システムである。
従来はフロントウィンドウ上部のセンサーだけを用いたものだったが、ホンダセンシングでは単眼カメラ、ミリ波レーダー、ソナーセンサーの3つを用いたシステムで初代N-BOXには無かった先進的な安全装備となる。
具体的には
- 衝突軽減ブレーキ
- 誤発進抑制機能
- ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>
- LKAS<車線維持支援システム>
- 先行車発進お知らせ機能
- 歩行者事故低減ステアリング
- 路外逸脱抑制機能
- 標識認識機能
- 後方誤発進抑制機能
- オートハイビーム
の8つが含まれる。
このうちの「歩行者事故低減ステアリング」はホンダの普通車で先行する技術でスズキやホンダにはない機能(※2018年1月現在)。
万が一の際に前方の歩行者を検知して衝突すると判断した場合自動でステアリング操作を行い回避するものだ。特に子供の送り迎えや買い物などで生活道路を走るケースが多い軽自動車で取り入れた意義は大きい。
2019年10月の一部改良時では自動ブレーキのホンダセンシングがグレードアップ。
衝突軽減ブレーキの性能が向上し、追加で横断中の自転車と街頭のない夜間の歩行者検知の制度が向上。加えてリアカメラの画素数が30万画素から100万画素へ。
加えて後期モデルはホンダセンシングがさらにパワーアップ。自動ブレーキでは後方誤発進抑制制御機能に用いるソナーセンサーを4個に増やしたことで、後方の障害物検知を追加。駐車時に便利なパーキングセンサーシステムが備わった。
2021年12月の一部改良ではパーキングブレーキがオートブレーキホールド付き電子制御式に変更。ホンダセンシングに付随のACCは「渋滞追従機能付き」となった。
インテリア
出典:ホンダ認定中古車
インパネ。スタイル+ブラック仕様としてメタルスモーク偏光塗装による加飾やグレーステッチによる装飾がプラスされる。
出典:ホンダ認定中古車
ステアリングは両グレードで本革巻きステアリングを採用。シフトノブの本革巻きシフトノブを採用。グレーステッチ入の専用品で、メタルスモーク加飾にあわせて質感を向上させている。
ステアリングロアガーニッシュはメタルスモーク偏光塗装を採用し上質感を与えている。
出典:ホンダ認定中古車
スピードメーターはベースモデルと同じ。タコメーター付きでメーター左側の液晶パネルはマルチインフォメーションパネルでオドメーター、トリップメーター、外気温表示、燃費情報、タイヤ角度モニターなどのほか以上を検知すると警告メッセージを表示する。
出典:ホンダ認定中古車
カスタムでは全グレードでプラズマクラスター付きのオートエアコンとなる。その下には同じく全グレード標準装備のUSB充電口(2個)が備わる。
出典:ホンダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。スタイル+ブラック仕様として助手席インパネドアガーニッシュがメタルスモーク偏光塗装となる。
これ以外はベースと同じでLスタイル+ブラックはトリコットシート。L・ターボスタイル+ブラックではプライムスムース&トリコットシートを採用する。
出典:ホンダ認定中古車
リアシート。
出典:ホンダ認定中古車
初代から好評のチップアップ&ダイブダウン機構付きスライドリアシートは全グレードに標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
ロールサンシェードはカスタムの全グレードに標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
便利なシートバックテーブル(コンビニフック付き)はも標準装備する。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジスペース。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
2代目N-BOXカスタムの後期モデルに設定された特別仕様車、「スタイル+ブラック」はブラック塗装による精悍なエクステリアと、メタルスモーク塗装のインテリアなど、ブラックをテーマに上質感や高級感を高めた特別仕様車である。
初代N-BOXカスタムにも黒をテーマとした特別仕様車があったが、2代目ではベースモデルの良さを活かしさらに個性的に仕立てた特別仕様車となっている。

特にブラックカラーは軽自動車の中でも安定した人気があるが、これをテーマにカスタムしたことで、スーパーハイトワゴンでありながらコテコテ感が薄れ非常に良く出来たモデルとなっている。
このあたりスタイル+ブラックの大きなポイントでもある。
なお、スタイル+シリーズはその後第2弾としてN-ONEへスタイル+アーバン、第3弾としてN-WGNにはスタイル+ビターとしても設定された。N-BOXほど室内空間が必要ない人や箱型が苦手な人はN-ONEやN-WGNの特別仕様車もオススメである。


特別仕様車のN-BOXカスタム スタイル+ブラックが遂に生産終了
2023年秋に予定している3代目N-BOXの登場に伴い、2代目N-BOXと特別仕様車スタイル+ブラックの生産終了時期がディーラ筋の情報として出ている。
これによれば
カタログモデルが2023年9月生産終了し、新規受注も終了。
特別仕様車のスタイル+ブラックは少しはやく2023年6月生産終了し、新規受注も終了予定。
またこれに伴い最上級グレードのコーディネートスタイルもスタイル+ブラックと同時期で生産終了となる見方が出ている。
2代目モデルの特別仕様車や上級コーディネートスタイルが欲しい人は新規受注が終了してしまう前の購入を強くオススメする。
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