N-BOXはホンダのトールワゴン型軽自動車。N-BOX カスタムはそのスポーティーモデルである。本稿では前期型(2011年12月~2015年1月)に設定された特別仕様車「G SSパッケージ」と「G ターボSSパッケージ」を扱う。
出典:ホンダ認定中古車
ホンダ 初代・N-BOXカスタムとは?
2011年11月にデビューしたホンダ・N-BOX。加熱する軽自動車市場でそれまでの出遅れを払拭すべく、当時の売れ筋となっていたハイトワゴンタイプのボディを採用。ホンダの得意とするミニバンの魅力を軽自動車サイズに詰め込んだ渾身の1台である。
N-BOXはそれまでのボンネットが独立したワゴンタイプとしては最も全高が高い1780mmとし、室内高もセンターレイアウトなどの採用で異例の1400mmを確保。
加えて室内長は軽自動車として最小のエンジンルームサイズにより2180mm、室内幅も1350mmとすることでホンダの軽自動車としては異例の広大な居住スペースを実現した。これは同社のコンパクトカーであるフィットよりも広い室内設計(※室内幅除く)でまさに軽自動車のミニバン的なモデルとなっていた。
エンジンもそれまでのライフやゼストとは異なる新開発のS07A型エンジンを採用。特にターボエンジンにおいてはF1で培った技術を応用することで低回転域(2600rpm)からの力強い加速と優れた燃費性能を両立させた。
さらにトランスミッションもそれまでの4ATを廃止し、全グレードで新開発のCVTとすることで燃費性能を向上させた。
安全装備では当時の軽自動車としては珍しい横滑り防止装置のVSA(車両挙動安定化制御システム)とヒルスタートアシストを全グレードで標準装備化。運転席エアバッグに加え助手席用エアバッグも全グレードで標準装備とした。
ホンダ 初代・N-BOXカスタムとは?
そのカスタムモデルとなる「N-BOX-カスタム」は他社ライバルのモデルと同じく標準モデルに対し内外装をスポーティにあしらったモデルである。
外装では専用ヘッドライト(ディスチャージヘッドランプ)、フロントメッキグリル、フロントバンパー、サイドアンダースポイラー、アルミホイール、ルーフエンドスポイラー、リアバンパーを。
内装ではブラックタイプのインパネやシート表皮で上級感をアップさせたカスタムモデルである。
初代前期・N-BOXカスタム G SSパッケージ/G ターボSSパッケージとは?特別装備とノーマルとの違い
そして2013年5月。ミドルグレード「G・Lパッケージ」をベースとし右側パワースライドドアやディスチャージヘッドランプ、ピアノブラック調ガーニッシュ付き本革巻ステアリングホイールなどを標準装備としつつお買い得とした特別仕様車を設定した。
それがこの「G SSパッケージ」と「GターボSSパッケージ」である。
初代・前期N-BOXカスタム G SSパッケージの特別装備
自然吸気エンジン仕様の「G SSパッケージ」では特別装備として
- 右側パワースライドドア
- ブラックカラーの14インチアルミホイール
- ピアノブラック調ガーニッシュ付き本革巻ステアリングホイール
- 本革巻セレクトレバー
- 運転席ハイトアジャスター
- LEDランプ(フロントマップランプ/ラゲッジルームランプ/テールゲートランプ)
を標準装備。
初代・前期N-BOXカスタム G ターボSSパッケージの特別装備
ターボ仕様の「G ターボSSパッケージ」では
- ナビ装着用スペシャルパッケージ
<リアワイドカメラ、リア2スピーカー、マイクロアンテナ(ワンセグTV対応)付き> - ピアノブラック調ガーニッシュ付き本革巻ステアリングホイール
- 本革巻きセレクトレバー
- 運転席ハイトアジャスター
- LEDランプ
(フロントマップランプ/ラゲッジルームランプ/テールゲートランプ)
を標準装備とし魅力をアップさせつつお買い得とした特別仕様車となっていた。
エクステリア
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。N-BOXカスタムの前期型(2011年12月~2015年1月)では中央部に4本の段状のメッキグリル。その下部に横長の大型メッキグリルが特徴だ。
標準モデルでは控えめな1本のグリルが与えられている程度だったが、これらすべてをメッキ化することで精悍さや存在感を演出している。
加えてカスタム専用のプロジェクター式ヘッドライトにより眼力もアップ。カスタムにふさわしい堂々とした風貌である。
出典:ホンダ認定中古車
ヘッドライトのロービーム側はディスチャージヘッドランプとなる。
出典:ホンダ認定中古車
サイド。カスタムではサイドアンダースポイラーにLEDターンランプ付きドアミラーを標準装備。
自然吸気エンジンの「G SSパッケージ」ではオプション設定の右側パワースライドドアが標準装備となった。
出典:ホンダ認定中古車
このほか足元に自然吸気エンジンの「G SSパッケージ」では専用となるブラック塗装を施した14インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは155/65R14。
出典:ホンダ認定中古車
ターボ仕様の「G ターボSSパッケージ」では標準モデルと同じ15インチアルミホイールとなる。こちらのタイヤサイズは165/55R15。
出典:ホンダ認定中古車
リア。このあたりはベースと全く同じ。カスタム用のルーフエンドスポイラーに専用リアバンパー、クリアータイプのコンビランプ(ブレーキランプはLED)が備わる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはSSパッケージとしてS07A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類を設定。
自然吸気エンジンは最高出力、58ps(43kW)/7300rpm。最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/3500rpm。
ターボ仕様では最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.6kg・m(104N・m)/2600rpmとなる。トランスミッションはCVTのみ。
駆動方式はFFか4WDで、雪国にはうれしいVSA(横滑り防止装置)とヒルスタートアシストが標準装備となっている。
安全技術としては2014年5月設定のSSパッケージで「あんしんパッケージ」を標準設定。シティブレーキアクティブシステム、サイドカーテンエアバッグシステム、前席用i-サイドエアバッグシステムをひとまとめにしたオプションとなっている。
初代N-BOXカスタム・JF1とJF2との違い
N-BOXカスタムのJF1とJF2との違いは駆動方式。JF1は前輪を駆動するFFのN-BOXカスタム。JF2はJF1をベースに全部のタイヤを駆動する4WDのN-BOXカスタム。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるビスカスカップリングを用いたパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。
インテリア
出典:ホンダ認定中古車
インパネ。SSパッケージではLEDタイプのフロントマップランプ、ラゲッジルームランプ、テールゲートランプを標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
SSパッケージでは自然吸気エンジンとターボの両方で専用シルバーステッチが施されたピアノブラック調ガーニッシュ付き本革巻ステアリングホイールを標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
同じくシルバーステッチが施された本革巻きセレクトレバーも標準装備とした。エアコンはフルオートエアコン。
出典:ホンダ認定中古車
スピードメーターはベースと同じ。
出典:ホンダ認定中古車
加えてターボ仕様ではリアワイドカメラ、リア2スピーカー、マイクロアンテナ(ワンセグTV対応)をセットにした「ナビ装着用スペシャルパッケージも標準装備とした。
出典:ホンダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。こちらは標準モデルと同じ共通品。自然吸気エンジン、ターボ共通装備としてハイトアジャスター(ラチェット式)が備わる。
また、2014年5月モデルでは4WD仕様で運転席シートヒーターを標準装備。FFではメーカオプション化される。
出典:ホンダ認定中古車
リアシート。スライド機構に加えチップアップ&ダイブダウン機構と2段リクライニング機能付き。
出典:ホンダ認定中古車
N-BOXでは室内高を最大限有効利用できるよう、チップアップという従来の手前に倒れる以外に後ろ側に粗利上げてシートをたたむことが可能となっている。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
出典:ホンダ認定中古車
N-BOXの前期型に設定された特別仕様車、「G SSパッケージ」と「G ターボSSパッケージ」はベーシックなGグレードに便利なオプション設定のパワースライドドアや専用アルミホイール(※共に自然吸気エンジン)、ピアノブラック調ガーニッシュ付き本革巻ステアリングホイールにターボ仕様ではナビ装着用スペシャルパッケージなどを標準装備としつつお買い得とした特別仕様車である。
外観上はほとんど変更がないのだが、細かい部分でこだわりの特別装備が与えられ、標準モデルや上級の「G・Lパッケージ」とも異なる魅力がアップしたモデルとなっている。
中古市場では大人気のN-BOXカスタムとあって高値のタマが多く手頃なモデルとはいえない状況となっている。裏を返せばそれだけ人気があるということになるが、ここは思い切って新車を検討してもいいのかも。
それでも中古を選ぶ場合で多少のこだわりが欲しい人は最初から専用の特別装備が付いているこのSSパッケージを念頭に入れておくといいだろう。
注意点としては同年代のライバルよりも割高で、価格の割に状態が良くないタマもあるため、購入の際には消耗度合いや交換履歴などよく確認することを強くオススメする。
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