N-BOXはホンダのトールワゴン型軽自動車。N-BOX カスタムはそのスポーティーモデルである。本稿では前期型(2013年12月~2015年1月)に設定されたメーカーオプションカラーの「2トーンカラースタイル」を扱う。
出典:ホンダ認定中古車
初代 ホンダ・N-BOXカスタムとは?
2011年11月にデビューしたホンダ・N-BOX。
加熱する軽自動車市場でそれまでの出遅れを払拭すべく、当時の売れ筋となっていたハイトワゴンタイプのボディを採用。ホンダの得意とするミニバンの魅力を軽自動車サイズに詰め込んだ渾身の1台である。
N-BOXはそれまでのボンネットが独立したワゴンタイプとしては最も全高が高い1780mmとし、室内高もセンターレイアウトなどの採用で異例の1400mmを確保。
加えて室内長は軽自動車として最小のエンジンルームサイズにより2180mm、室内幅も1350mmとすることでホンダの軽自動車としては異例の広大な居住スペースを実現した。これは同社のコンパクトカーであるフィットよりも広い室内設計(※室内幅除く)でまさに軽自動車のミニバン的なモデルとなっていた。
エンジンもそれまでのライフやゼストとは異なる新開発のS07A型エンジンを採用。特にターボエンジンにおいてはF1で培った技術を応用することで低回転域(2600rpm)からの力強い加速と優れた燃費性能を両立させた。
さらにトランスミッションもそれまでの4ATを廃止し、全グレードで新開発のCVTとすることで燃費性能を向上させた。
安全装備では当時の軽自動車としては珍しい横滑り防止装置のVSA(車両挙動安定化制御システム)とヒルスタートアシストを全グレードで標準装備化。
運転席エアバッグに加え助手席用エアバッグも全グレードで標準装備とした。
そのカスタムモデルとなる「N-BOX-カスタム」は他社ライバルのモデルと同じく標準モデルに対し内外装をスポーティにあしらったモデルである。
外装では専用ヘッドライト(ディスチャージヘッドランプ)、フロントメッキグリル、フロントバンパー、サイドアンダースポイラー、アルミホイール、ルーフエンドスポイラー、リアバンパーを。
内装ではブラックタイプのインパネやシート表皮で上級感をアップさせている。
初代前期・N-BOXカスタム 2トーンカラースタイルとは?特徴とノーマルとの違い
そして2013年12月。それまで福祉車両仕様だったN-BOX+のみに設定されていた専用オプションの2トーンカラーが他のN-BOXシリーズ(N-BOX、N-BOXカスタム、N-BOX+カスタム)にも適用となった。これが本稿で扱う「2トーンカラースタイル」である。
N-BOXカスタムの2トーンカラースタイルでは個性的な専用ボディカラー、「レッド&ブラック」。
「ホワイト&ブラック」の2色が設定され、2トーンルーフ、ドアミラー、フロントメッキグリル、アルミホイールをブラックカラーとすることで個性やスタイリッシュ感をアップ。
また内装でもレッドステッチや赤色のアクセントを与え、個性を強調。
ノーマルのN-BOXカスタムとは一味違う魅力を持ったモデルに仕上がっている。
エクステリア
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。カスタムの2トーンカラースタイルではフロントグリルをブラック化。ホンダのロゴエンブレムの内側にもメッシュ調のパーツを与えて立体感を。
加えてルーフもブラックカラーとすることで2トーンによる個性を与えた。
ヘッドライトはプロジェクター式でロービーム側がディスチャージヘッドランプとなる。このほかフォグランプも標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
サイド。2トーンカラースタイルではルーフをブラックカラーとし、ドアから上半分をブラックに統一することで標準モデルにはない独特の雰囲気を与えた。このほかLEDターンランプ付きドアミラーもブラックカラーとなり、2トンカラーが際立つようドアハンドルはボディカラーと同じとした。
アルミホイールも2トーンカラースタイルではブラックカラーに塗装。自然吸気エンジン仕様では14インチアルミホイール。
ターボ仕様では外枠を少し残し他をブラック塗装した専用デザインの15インチアルミホイールとなる。
出典:ホンダ認定中古車
リア。2トーンカスタムスタイルではルーフエンドスポイラーとバックドアのライセンスガーニッシュがブラックカラーに。これ以外はベースモデルと同じ。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはS07A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類を設定。
自然吸気エンジンは最高出力、58ps(43kW)/7300rpm。最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/3500rpm。
ターボ仕様では最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.6kg・m(104N・m)/2600rpmとなる。トランスミッションはCVTのみ。
駆動方式はFFか4WDで、雪国にはうれしいVSA(横滑り防止装置)とヒルスタートアシストが標準装備となっている。
安全技術としては2014年5月設定のSSパッケージで「あんしんパッケージ」を標準設定。シティブレーキアクティブシステム、サイドカーテンエアバッグシステム、前席用i-サイドエアバッグシステムをひとまとめにしたオプションとなっている。
初代N-BOXカスタム・JF1とJF2との違い
N-BOXカスタムのJF1とJF2との違いは駆動方式。JF1は前輪を駆動するFFのN-BOXカスタム。JF2はJF1をベースに全部のタイヤを駆動する4WDのN-BOXカスタム。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるビスカスカップリングを用いたパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。
インテリア
出典:ホンダ認定中古車
インパネ。2トーンカラースタイルではエアコン吹き出し口をレッドカラーに。
出典:ホンダ認定中古車
スピードメーターにも赤のアクセントカラーを与えた。
出典:ホンダ認定中古車
ステアリングは本革巻ステアリングホイール。レッドのステッチでこちらも個性を。さらにシフトレバーも同様にレッドステッチ入となる。
フロントシートはベンチシートタイプ。2トンカラースタイルではシートにも赤のステッチ入りとなり上質感をプラス。
リアシート。
ベースモデル同様に室内高を最大限有効利用できるよう、チップアップという従来の手前に倒れる以外に後ろ側に粗利上げてシートをたたむことが可能となっている。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
まとめ
N-BOXカスタムの前期型に設定された2トーンカラースタイルは外装ではルーフ、フロントグリル、アルミホイール、ドアミラー、ルーフエンドスポイラーをブラックカラーとし2トーンによる個性を。
内装ではブラックインテリアを基調にステアリング、シフトレバー、シートにレッドステッチを。エアコン吹き出し口には赤リングをプラスすることで上質感を与えたメーカーオプション仕様車である。
ノーマルのカスタムモデルとは一味違う落ち着いた印象が特徴的で、標準カスタム特有のコテコテ感が薄れている点がポイントだ。ノーマルのカスタムでは物足りなかったり、落ち着き感、個性を求めたいユーザーには嬉しい仕様である。
中古市場では依然として人気の初代N-BOX。その中でも人気なカスタムの2トーンカラーとあって同年代の他社ライバルモデルと比較しても価格は割高。N-BOXはよく売れたモデルのためタマ数はかなり豊富なのだが、このツートンカラースタイルのタマ数は全体の3%ほどしかなくかなりレアとなっている。
そのため状態が良く低走行だと新車に近い値段が付くことも珍しくない。逆に言えばそれだけ人気なことの裏返しであるが、値段の割に状態の悪いタマを買わないよう、中古購入の際にには十分注意頂きたい。
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