軽自動車といえば経済性が高く、低燃費や価格も安いといったイメージが一般的。
エンジンも小排気量では一般的な3気筒エンジンのイメージが強いが、かつてバブル時代にはホンダを除く各社が660CCの4気筒エンジンを開発・生産。軽自動車のエンジンにも豪華さを求めた時代があった。
現在では効率や低回転域での出力、燃費性能や製造コストの面から3気筒エンジンだけになってしまったが、3気筒エンジンにはない優れた魅力があるのも事実。
その4気筒エンジンを搭載した軽自動車と、特徴やオススメ中古車をご紹介する。
出典:ガリバー
軽自動車用4気筒エンジンの特徴と3気筒エンジンとの違い
4気筒エンジンとは1つのエンジン内にシリンダーが4つあるエンジンのこと。逆に3つしかないエンジンは3気筒エンジンとなる。
現在の軽自動車はこのシリンダーが3つあるのが一般的だが、4気筒エンジンでは3気筒よりも一回り小さいシリンダーが4つ並ぶ。
3気筒エンジンは4気筒エンジンに対しシリンダーひとつあたりの容量が大きく、低回転でもトルクがより多く出せる特徴がある。これゆえに燃費に有利なエンジンといえる。
また、4気筒エンジンに対し部品数が少なくなるメリットやエンジン自体も軽量化できることもあり、コストを掛けられない軽自動車では3気筒エンジンが合理的とされ、4気筒エンジンは姿を消してしまった。
その一方で3気筒エンジンには特有の振動がある。アイドリングや特に低回転では振動が大きく、安っぽい独特のエンジン音を放つ。
エンジンを掛けた瞬間にわかる4気筒の静かなアイドリング音は、3気筒に慣れきった人なら感動モノの違い。
また、高回転域においては4気筒よりもフィーリングは劣り、騒音のようなエンジン音は軽自動車であることを再認識させる部分でもある。
最新の3気筒エンジンはこの振動を上手く制御して、安っぽさを感じさせないものが出てきているが、それ以前の軽自動車では安っぽい音を感じさせるのが一般的。4気筒エンジンとは大きく異る部分である。
一昔前に流行った軽4気筒エンジンはアイドリングの静かさ、滑らかな回転、高回転域の官能的なエンジンサウンドなど、普通車のように上質かつ軽自動車であることを感じさせない魅力を持っている。
各メーカーの4気筒エンジンと搭載する軽自動車、一覧とその特徴
ダイハツ・JB型エンジン
ダイハツの4気筒エンジンは1994年6月にL500系ミラに搭載してデビュー。
出典:ダイハツ認定中古車
当初から最先端のタイミングチェーン方式を採用し、滑らかな回転と騒音や振動の少なさ、特にターボ仕様では高回転域でのパワフルさが特徴である。
一方でショートストローク型エンジンのため低回転域のトルクは薄く、街乗りで扱いづらく燃費が悪い。モータースポーツ向けのエンジン特性を持つ。
頑丈な設計により耐久性も高く、チューニングベースとしても人気。
初代コペン(L880K) JB-DET型
軽自動車の4気筒エンジン搭載で最も有名な車種の初代コペン。デビュー当初から初代の生産終了まですべてのグレードに4気筒ツインスクロールターボエンジン(JB-DET型)を搭載。
工場出荷状態では64馬力だが、パワーアップ次第ではノーマルでも150馬力まで、対応パーツを組み込むと200馬力近くまでチューニング可能なポテンシャルを持つ。2代目コペンのKFエンジンではノーマル状態でも90馬力程度しか持たないため、ポテンシャルがかなり高い。
FFだが軽自動車でも唯一無二な電動オープンカーであり、今なお人気のモデル。マニュアルモード付きの4ATのほか、5MTの設定もあり、アフターパーツも豊富。
近年では中古価格が上昇しつつあり、アメリカ25年ルールを控えてこれからも価値が上がり続けると推測される車種。
4代目ミラ・TR-XXアバンツァート(L502S/L512S) JB-JL型
ダイハツを代表するセダンタイプの軽自動車ミラ。現行ではミライースにバトンタッチしているが、それ以前の4代目ミラに設定されたスポーツ仕様のホットハッチが「TR-XXアバンツァート」。
出典:Goo-net
この代では3気筒ターボエンジンのほか、4気筒ターボエンジンも設定。コペンの4気筒エンジンの前身である、JB-JL型エンジンを搭載。
トランスミッションには4ATと5MTを設定し、FFと先代から続く4WD仕様も設定するなど、ラリーを意識したモデルだった。
中古市場ではほとんど見かけなくなり、出てきてもプレミアム価格がつくほどのモデル。気軽には買えないが、見つけたらその過激ぶりを味わうチャンスでもある。
3代目ムーヴ カスタムRS/RSリミテッド(L152S)JB-DET型
ダイハツを代表する軽自動車のムーヴ。3代目までのトップグレード「カスタムRS」にはコペンと同じ4気筒ターボエンジンを搭載するカスタムRSが設定されていた。
出典:Goo-net
MTの設定はないが、4速マニュアルモード付きATでそこそこ楽しめるモデル。コペンと違い荷物や人も乗せられ、普段使いにも重宝する。
また、中古価格がかなり安く手頃に入手可能なのも大きな特徴。ただしFF(2WD)モデルのみの設定で、4WDモデルが無い。近年ではタマ数がめっぽう減り、希少グレードとなってきている。
2代目ムーヴSR-XX、2代目ムーヴカスタム、エアロダウンカスタム、エアロRS-XX(L902S/L912S) JB-DET型
ダイハツを代表する軽自動車ムーヴ。3代目ムーヴカスタムには最上級RSのみだったが、2代目ではカスタムグレードと前期標準グレードの最上級グレードSR-XXに搭載。
前期エアロダウンカスタムやSR-XXでは5MTの組み合わせもあり、かなり硬派なモデルであった。4ATはマニュアルモードが付いておらず、一般的なATだが最上級グレードとして設定。
3代目と同じく前期モデルはFF(2WD)モデルのみの設定で、4WDモデルが無い。後期モデルになると4WD仕様(L912S型)が追加された。
中古車ではほとんど見かけること無く、3代目ムーヴカスタムRSよりも希少モデルとなった。
初代ムーヴ・SR-XX、ムーヴカスタム・エアロダウンカスタムXX(L602S) JB-JL型
ムーヴとムーヴカスタムは初代から4気筒ターボエンジンを設定し、最上級グレードとしていた。
こちらも5MTの設定があり、ミラターボのようなパワフルな走りが特徴。中古車ではめったに見かけない絶版車となった。 2代目と同じくFF(2WD)モデルのみの設定で、4WDモデルが無い。
MAX RS(L952S/L962S)JB-DET型
出典:Goo-net
ソニカが登場する間に発売されていたミラの上級思考モデル。
ムーブとミラの中間を埋めるモデルとして発売されていたが、そのトップグレード、RSにはコペンと同じ4気筒ツインスクロールターボエンジンを搭載していた。
さらにマニュアルモード付きの4ATに4WD仕様では「サイバー4WD」を組み合わせたホットなグレード。
サイバー4WDは電子制御式4WDを採用し、「スポーツ」「オート」「2WD」を任意に選択でき、生活4駆とは異なる本格的な4WDシステムを実現していた。
中古車ではこちらもめっきりタマ数が減り、希少グレードとなっている。
2代目オプティ エアロダウンビークス(L802S) JB-DET型
軽自動車で史上唯一、独立したトランクルームを持つセダンとして登城した2代目オプティ。
出典:Goo-net
そのスポーツグレード、エアロダウンビークスのFFモデルにはコペンと同じ4気筒ツインスクロールターボエンジンを搭載していた。
4ATのほか、5MTの設定もありその独特のスタイリングからコアなファンも多かった。
中古車ではタマ数が激減し、MAX RSと同じく希少モデルとなっている。
スバル・EN07型エンジン
スバルの4気筒エンジンは1989年のKH型レックスに初搭載し、翌年の軽自動車規格改正にあわせて660CC化。EN05型からEN07型エンジンとなり、以後は2012年の6代目サンバー生産終了まで小改良を続けながら続いた。
他車と大きく異なるのは過給器にターボチャージャーを用いず「スーパーチャージャー」を組み合わせている点で、過給器仕様では低速トルクを補いながら、高回転域は4気筒特有の吹け上がりで全域においてパワフルな特徴を持つ。
また、モデル後半には自然吸気エンジンDOHCエンジンで可変バルブタイミング機構も取り入れるなど環境や燃費性能も追求したエンジンだった。
バリエーションも多く、自然吸気エンジンSOHC、自然吸気エンジンDOHC、スーパーチャージャー+SOHC、スーパーチャージャー+DOHCのほか、耐久性を大幅向上させた軽貨物・赤帽専用エンジン(クローバー4)など種類が多い。
ヴィヴィオ(KK3/KK4) EN07型
言わずとしれたスバルの軽ホットハッチ。軽量ボディにパワフルな4気筒DOHCスーパーチャージャー付きエンジンで、恐ろしいほどの加速力と最高スピードをほこる。
足回りも4輪ストラット式独立懸架サスペンションにより路面の食いつきが良く、乗り心地とスポーツ走行に優れていた。
5MTのほか、6速マニュアルモード付きCVTも設定するなどATでも走りを楽しめる独自機構もユニークなポイント。
特に初期モデル最上級グレード、「RX-R」のA型は64馬力規制を上回る実測値80馬力もあった伝説の軽自動車。1993年のWRCでクラス優勝したことも高性能さをものがったっていた。
中古車ではタマ数が少ないが、同時にプレミアム価格が付いており気軽には買えないモデル。ただ、今後も値下がりすることは考えられず旧車として価値が上がっていくと思われる。
ヴィヴィオ・ビストロ(KK3/KK4) EN07型
RX-Rのほかにはレトロ仕様のヴィヴィオ・ビストロも当時人気があり、ミラジーノやアルトラパンの源流ともいうべき個性的な内外装で大流行した。
ヴィヴィオ T-TOP(KK3) EN07型
さらに当時流行した軽オープンカーに対抗してヴィヴィオをタルガトップ仕様にした「T-TOP」を追加するなど、様々なバリエーションがある。
初代プレオ/プレオRS(RA1/RA2) EN07型
ヴィヴィオの後継モデルとして登場した初代プレオ。
ベーシックな軽バンから最上級スポーツグレードのRSまですべて4気筒エンジンを搭載し、4輪ストラット式独立懸架サスペンションの採用で乗り心地も良いモデルだった。
エンジンはSOHC自然吸気エンジン、SOHCスーパーチャージャー付きエンジン、DOHCインタークーラー付きスーパーチャージャー付きエンジンの3種類を設定。
出典:Goo-net
特に最上級スポーツグレードのRSはヴィヴィオ譲りのDOHCスーパーチャージャー付きエンジンで、パワフルな走りが特徴。5速マニュアルのほか、7速となったマニュアルモード付きCVTの採用で、誰でも気軽に走りを楽しめた軽ワゴンだった。ただしプレオRSのガソリンはハイオク仕様。
中古車はタマ数が減って特にRSは数が少ない。状態の良いタマだと高値になることも。
ただしヴィヴィオよりは買いやすい価格帯である。
RS以外のグレードも全グレード4気筒エンジン採用で、こちらはSOHC自然吸気エンジンかSOHC+スーパーチャージャー仕様となり過給器でも60馬力とかなりマイルドになる。過激さはないがレギュラー仕様で燃費も少し良くなるので、LSリミテッドやL タイプSあたりもオススメ。
男の軽バン(4ナンバー)仕様、Aグレードの設定もありあえてこれをベースにカスタムするのも面白いかも。
初代プレオ・ネスタ(RA1/RA2) EN07型
初代プレオの派生モデルでレトロ仕様の「ネスタ」も4気筒エンジンを搭載する。
かつて大ヒットしたヴィヴィオ・ビストロの後継モデルでもあり、丸目ヘッドライトにメッキグリル、専用テールランプ、ミニライト製アルミホイールなどレトロな外観が特徴。
スーパーチャージャー搭載モデルや2トーンカラーの設定もあり、標準プレオよりも質感が高かった。
R1/R2(RC1/RC2)EN07型
初代プレオの後継モデルとした登場した新世代軽自動車。奇しくもスバルの軽自動車自社生産撤退の要因ともなったモデル。
軽自動車でありながらクラスを感じさせない走りやプレミアム感を追求したパッケージングで、見た目も内装も上質かつコストのかかった作りが特徴。
エンジンはプレオ時代に似ており、SOHC自然吸気エンジン、DOHC自然吸気エンジン、DOHCインタークーラー付きスーパーチャージャー付きエンジンの3種類を設定。
この世代ではDOHC自然吸気エンジンに可変バルブタイミングを採用するなど、熟成が図られていた。主に女性をメインターゲットとしたモデルで、女性に特化させた特別仕様車(レフィ、レフィ ビターセレクション)も存在したが、男性好みな硬派なモデルも設定。
5MTはSOHC&DOHC自然吸気エンジンのみの設定だったが、4輪ストラット式独立懸架サスペンションを採用しつつ手軽な中古価格でMTを楽しめるとあって密かに人気。
DOHCスーパーチャージャーエンジンはSグレードに搭載し、7速マニュアルモード付きCVTと組み合わせて先代プレオRSのようなホットな走りを楽しめた。
さらにかつてのプレオRSのようなWRブルー・マイカメタリックをボディカラーに設定した特別仕様車(カスタムS R、カスタムS S)やグレード(カスタムS)も設定され、走行性能を高めたホットな軽自動車でもあった。
デビュー当初はプレオRSと同じくハイオク仕様だったが、モデル後半では出力を抑えてレギュラー仕様に変更された。
R1の方はMTの設定が無かったが、全体的にR2よりもプレミアム感が高く、アルカンターラも内装に設定し他の軽自動車とは一線を期する高級路線でもあった。
初代ステラ(RN1/RN2) EN07型
R1とR2の販売不振を受けて急遽作られたスバルのトールワゴン型軽自動車。R2のプレミアムや走りを追求した路線を改め、メインターゲットを女性にシフトし作り込みがなされた。
エンジンはR1やR2と同じSOHC自然吸気エンジン、可変バルブタイミング付きDOHC自然吸気エンジン、DOHCインタークーラー付きスーパーチャージャー付きエンジンの3種類を設定。
5MTモデルは標準ステラに設定するなど、CVT以外のモデルも一部設定していた。
4輪ストラット式独立懸架サスペンションの採用で乗り心地が良く、4気筒エンジンとの組み合わせでムーヴやワゴンRとは異なる雰囲気が特徴。
最上級モデルのRSにはDOHCインタークーラー付きスーパーチャージャーエンジンの搭載でパワフルな走りも楽しめる。
また、派生グレードとして「ステラリベスタ」など、レトロ感を演出したモデルも追加設定している。
6代目サンバートラック(TT1/TT2)/サンバーバン(TV1/TV2) EN07型
スバルを代表する自社生産最後の軽トラ&軽バン。
軽トラや軽バンでありながら4気筒エンジンを採用し、独立懸架式サスペンションによるしなやかな乗り心地と、悪路での脚付きの良さが特徴で、生産終了後でも今なお根強い人気をほこるモデル。
エンジンはSOHC自然吸気エンジンのほか、SOHCスーパーチャージャー付きエンジンも設定し、5MTや3ATの組み合わせで走りも楽しめるホットな商用車。
モデル終盤で生産終了直前には生誕50周年を記念する「WRブルーリミテッド」が販売されたが発表後即日完売し、カタログが発行されたのが完売後という伝説を持つ
中古市場では5MTでスーパーチャージャー付きのモデルが人気で高値となりやすい。また入手したオーナーがなかなか手放さないことから出回るタマ数も5MTスーパーチャージャー仕様は少ない(魅力にハマってしまうため)。
さらにWRブルーリミテッドはプレミアム価格が付いていおり、低走行で状態が良いと新車を上回る中古価格が付くこともしばしば。
三菱・4A30型エンジン
三菱の4A30型エンジンは1993年9月登場の7代目のH30系ミニカとミニカトッポシリーズに初搭載。
SOHC自然吸気エンジンとDOHCターボエンジンの2種類があり、特にターボエンジンはスポーツモデルのミニカダンガン用に5バルブ仕様とするなど、世界的に類をみない豪華なエンジンとなっていた。
特にツインカムターボエンジンは20バルブゆえの重厚サウンドが特徴的で、ダイハツもスバルにも無い独特のエンジン音を奏でる。ただし3気筒15バルブの先代と比較するとそこまで特段のパワーアップはしておらず、パワー的には平凡だった。
低速域のトルクはスカスカで乗りづらいが、中速域は5バルブらしい分厚いトルクが自慢。高回転域は4気筒エンジンらしくスルスル気持ちよく回る。官能的なエンジンサウンドはまるでVTECのよう。
自然吸気エンジンに関しては4気筒らしく高回転までスルスルまわるが、少し高め回転数までまわさないとトルク感が無く、特に低回転ではトルク不足感がある。燃費性能も良くなく、車重の重たいパジェロミニとの組み合わせではしばし酷評されることがある。
なお、DOHC20バブルターボエンジンはミニカ・ダンガン以外にブラボーGT、タウンボックス、パジェロミニ、トッポBJの最上級グレードにも搭載。他社に無い高性能エンジンをウリとしていた。
さらにダンガンとトッポBJ、パジェロミニやタウンボックスではエンジン特性が異なり、パジェロミニやタウンボックス、トッポBJに搭載した時は中速域を重視したセッティングがなされていた。そのため高回転域は良く回るが、伸びが薄い。
2002年9月以降は排気ガス規制に対応できず、5バルブ仕様のDOHCターボエンジンを廃止。かわって既存のSOHC自然吸気エンジンをターボ化したSHOCターボエンジンに置き換えられた。
SOHCターボはDOHCほどのパンチ力や高回転域の伸びはないものの、街乗りでは乗りやすく燃費性能も少し良くなっていた。置換後は搭載モデルもパジェロミニだけとなり、その後パジェロミニが生産終了する2012年まで生産され続けた。
7代目ミニカ・グッピー、パルフェ、Px、SR-Z、ダンガン(H31A/H36A) 4A30型
かつて三菱を代表するベーシックな軽自動車ミニカ。7代目ミニカは3気筒エンジンと4気筒エンジンの2種類を設定し、特にベーシックでも上級グレードには4気筒SOHC自然吸気エンジンを採用。
7代目のホットモデル、「ダンガン」や「SR-Z」用にはスポーツエンジンとしてかの有名な4気筒20バルブツインカム・ツインスクロールターボエンジンを搭載。
4気筒ならではの高回転域まで吹け上がりと、中速域では5バルブによる独特の重厚サウンドが楽しめる豪華なエンジンで、後にも先にもこれだけとなった。
ミニカトッポ(H31A) 4A30型
ミニカをベースとしたトールワゴンのミニカトッポ。この7代目にはミニカと同じ4気筒SOHC自然吸気エンジンのほか、ダンガンと同じターボエンジンを積むグレード「RT」と「アミスタターボ」が設定されていた。
トランスミッションもダンガンと同じ5MTや4ATを設定。広々キャビンとダンガンの勇ましいフロントデザインの組み合わせはなんとも独特の雰囲気を持つ。これと同時に実用性も高く、より多くの荷物を積むことができた。
中古市場ではめったに見かけない希少グレードで、場合によってはミニカ・ダンガンよりもレア。
初代パジェロミニ(H51A/H56A) 4A30型
三菱がジムニーに対抗して登場させた初代パジェロミニ。
4気筒SOHC自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類を設定し、特にターボエンジンはミニカダンガン用の20バルブターボを搭載するなど、豪華な仕様となっていた。
中古車では以前よりも台数がかなり減り、解体されたか海外に輸出されたと推測される。
中古価格は比較的安価だが、最近では純正部品の新品が一部無くなってきており、修理や維持が難しくなりつつある。
2代目パジェロミニ(H53A/H58A) 4A30型
大ヒットを記録した初代パジェロミニの2代目モデル。
2代目でも初代と同じく4気筒SOHC自然吸気エンジンと4気筒DOHCターボエンジン(20バルブ)を設定。
数年後には丸目4灯のリンクスや個性的なグリルのデュークを追加するなどバリエーションも豊富だった。
ただし2002年9月には排気ガス規制によりDOHCターボエンジンを廃止。かわってSOHC自然吸気エンジンをターボ化したSOHCターボエンジンに置き換えられた。
以後はパジェロミニのターボはすべてシングルカムのターボエンジンとなり、2代目全体の中でもこちらの方がタマ数が多い。
モデル中盤には法規制に対応させるためテールランプをリアバンパーに移動する改良(中期型)や、
出典:三菱認定中古車
モデル終盤には内外装を刷新する大規模マイナーチェンジを実施。顔つきがパジェロそっくりになり、2代目パジェロミニの中でも後期型は人気で高値となりやすい。
パジェロミニOEM 日産・初代キックス(H59A) 4A30型
なお、2代目後期型パジェロミニは日産の初代キックスとしてOEM供給された。
日産仕様のグリルによりエクストレイル風の雰囲気が与えられており、シート表皮もキックス専用品を採用。ボディカラーはモノトーンのみ、ターボ車のみというグレード展開だった。
タマ数はパジェロミニに比べると少なく、MTも含めてレアなモデル。
ブラボー、ブラボーGT(U43V/U44V) 4A30型
ミニキャブバンをベースとした4ナンバー乗用モデル。後期モデルではその最上級グレードGTにミニカダンガンの4気筒DOHCターボエンジン(20バルブ)を搭載を搭載し、ホットな軽バンに生まれ変わった※ノーマルのブラボーには自然吸気エンジンの4気筒を搭載。
エクステリアではアンダースポイラーやリアスポイラー、アルミホイールでスポーティな外観とし、内装ではセミバケットシートを標準装備するなど、4ナンバー軽バンとは思えない豪華なモデルであった。
特にダンガン譲りのエンジンはレッドゾーン9000rpmまで刻まれており、5MTとの組み合わせで軽貨物とは思えない異常なまでの速さと上質感を演出。
当時の流行したアトレーワゴンやエブリィワゴンに対抗した三菱の自信作だった。
その後、軽自動車新規格に伴いタウンボックスへ移行する。
タウンボックス(U63W/U64W)4A30型
1999年4月にそれまでのブラボーを5ナンバー乗用モデルとして独立する形でフルモデルチェンジし登場した三菱の軽バン・乗用モデル。
出典:Goo-net
その最上級グレードRXにはミニカダンガン用の4気筒DOHCターボエンジン(20バルブ)を搭載。1トン近くのボディに5MTと4ATを組み合わせていた。
2002年9月のマイナーチェンジで排ガス規制に引っかかり4気筒ターボを廃止。以後は3気筒ターボに置換され普通の軽ワゴンに戻った。
トッポBJ(H42A/H47A)4A30型
ミニカトッポから改名し、トッポBJとして1998年10月に登場した三菱の元祖トールワゴン。その最上級グレード「R」にはミニカダンガンの後継グレードとして4気筒DOHCターボエンジン(20バルブ)を搭載を搭載していた。
出典:Goo-net
トランスミッションも4ATのほか5MTも設定し、ダンガンほどではないが4気筒エンジンの吹け上がりや重厚サウンド、分厚い中速トルクが楽しめるモデルであった。
マイナーチェンジ後はエクステリアデザインが大きく変更。そのため前期と後期では見た目が大きく異る。
2002年9月以降は排ガス規制により廃止。グレードそのものが無くなりカタログ落ちした。
スズキ・F6B型エンジン
F6B型エンジンはスズキがバブル時代に登場させたスズキ唯一の軽自動車用4気筒エンジン。4代目セルボの最上級グレード「SR-FOUR」1車種だけに搭載させ、その後は消滅したレアなエンジン。
当時としては先進的なスズキ初のセミダイレクトイグニッション方式に白金プラグを標準装備した豪華エンジンでもあった。
3気筒のF6A型とは特性が大きく異なり、低速トルクはスカスカで街乗りではものすごく乗りづらい。
一方で高回転域のパワーバンドに突入すると鬼のような加速力を発揮し、そのエンジン音と相まって刺戟的なフィーリングを味わえる。タコメーターのレッドゾーンは驚異の9000rpm。
バイクのようにスルスルと回る高回転域ゾーンは、そのサウンドとも相まってこのエンジンの魅力でもあった。
4代目セルボモード SR-FOUR(CN31S/CP31S)F6B型
4代目セルボモードの最上級グレード。4代目セルボはアルトの上位グレードとして誕生したが、その最上級グレードとして設定されたのが「SR-FOUR」
エンジンはスズキでも珍しいF6B型直列4気筒インタークーラー付きターボエンジンで、超高回転よりのレーシーなエンジン。
中古市場ではめったに見かけないモデルで、絶滅危惧種。
4気筒エンジン搭載の軽自動車を買うなら?オススメはどれ?
2人乗りまでで予算があるなら初代コペン
1人か2人乗りまでで、予算に余裕があるのなら初代コペン。
エンジンの完成度が高く、軽オープンスポーツカーとしての魅力も持っており、特に休日のドライブは最高なモデル。アフターパーツやネットの情報量も多くカスタムも楽しめる。
ただし中古価格が近年上昇傾向。かつ2027年には初期モデルがアメリカ25年ルール解禁で輸出可能となるため、ここから値段が下がっていくことは考えづらい。
高価な中古価格がネックで、荷物もあまり載せられないのが難点。
安い予算でJB型エンジンを楽しむなら3代目ムーヴカスタムRS(RSリミテッド)
4人乗車や荷物を載せて、かつ低予算でもJB型エンジンを味わいたい人は3代目ムーヴカスタムRSかムーヴカスタムRSリミテッドがオススメ。
中古車価格が底値に近く、走行距離にもよるが安いタマは10万前後。高くても30~40万円程度で購入可能。
20年選手に近いため、年数経過による経年劣化や消耗部品の交換など、購入後のメンテナンスや予備整備が必須だが、値上がり続けるコペンよりはかなり安く、後部座席やラゲッジスペースには大量の荷物も載せられるため実用性はかなり高い。
なお、2WDモデルしかないため降雪地帯の人は注意。
マニアックな20バルブエンジンを楽しみたいならパジェロミニかトッポBJ
年式が古く、メンテナンスや経年劣化による部品交換が気になるものの中古価格がかなり安いパジェロミニとトッポBJ。
パジェロミニは2008年9月以降の後期モデルが高い傾向にあるが、それ以前の2008年以前、特に2002年ぐらいまでのモデルはかなり安価。
2代目前期と初代の20バルブターボを積むモデルは手頃な価格で、あの伝説のエンジンを堪能できるチャンス。
後にも先にも三菱だけだった20バルブターボはマニアな人にはたまらないエンジンである。
なお、4ATモデルは持病的な故障事例が多く最悪ミッションブローを招くので可能な限りMTモデルをオススメする。
低価格でMTを楽しむならR2、初代ステラ、初代プレオバン
R2とステラの自然吸気エンジンには5MTモデルの設定があり、中古価格も安価。
可変バルブタイミング付きのDOHC自然吸気エンジンに独立懸架式サスペンションによるしなやかな足回りは、アルトバンやミラバン、エッセでは味わえない独特の世界観がある。
特にエンジンを掛けた瞬間からわかる上質な4気筒エンジンは、所有欲も満たしてくれる。
また、台数は少ないが初代プレオバン(Aグレード)にも5MTの設定がある。SOHC自然吸気エンジンのみの設定だが比較的最近まで生産され、高年式なモデルがあり格安で買える4気筒+独立懸架式サスペンションのMTモデルとしても魅力がある。
中程度の予算で上質な軽を求めるならスバルR1(※2人乗りまで)
R1は内外装にコストをかけてプレミアム感を高めたモデル。そのボディや内装、独立懸架式サスペンションに4気筒エンジンが組み合わさると、まさに小さい普通車のようなモデル。
室内は実質2シーターで狭いものの、ラゲッジスペースは確保されており、シートアレンジでちょっとした長モノも積むことができる。
スーパーチャージャー付きモデルも設定されており、R2よりも上質感が高い。
MTの走りと大型荷物も載せたいならサンバーバン
4気筒エンジン搭載の軽自動車中では唯一のRR方式レイアウトを採用するサンバーバン。
4気筒エンジンの上質さもさることながら、MTであればシフトフィールや運転も楽しめるモデル。
スーパーチャージャー付きは高価だが、自然吸気エンジンであれば価格も安価なので、荷物を大量に載せたい人はサンバーバンがオススメ。
古い4気筒エンジンの軽自動車を売却するならオークション業者へ
軽自動車で10年落ち、それ以上となると値段が付きづらく場合によっては廃車のような値段でしか価値がつかない場合がある。
10年落ち以上となると中古車としての価値が大幅に下るため、元々の中古価格が安いという理由のほか、買取業者が自分のところで再販できない場合、USSなどのオートオークションに出品して利益を出すためで、買取業者の価格はUSSでの相場に大きく影響される。
また買取業者は儲けを出す分、最初の買取時点で利益を上乗せする分買取価格が下がるし、USSに運搬するまでに陸送費もかかるため、この分が買取価格全体に上乗せされさらに安くなる。
一方で最近は買取業者、オートオークション、陸送費などの中間マージンをカットしたネットオークション業者が登場してきている。
売りたい人と業者を直接結びつけて中間マージンを大幅カット。高価買取を実現するサービスである。
古くなった軽自動車でも価値あるモデルの場合で高価買取したい場合は、こういったネットオークション形態の業者を利用するのも一つの手段だ。
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