ミラはダイハツのハッチバック型軽自動車。TR-XXはそのスポーツモデルである。本稿では4代目・L500系の1996年5月マイナーチェンジ~1998年9月を後期型とし、これを扱う。
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4代目 ダイハツ・ミラとは?
1994年9月にフルモデルチェンジし、4代目となったダイハツのミラ。
4代目ではそれまで続くスクエアを基調としたボディラインから丸みを帯びたボディを採用し、全体的に上級なイメージを与えたフルモデルチェンジとなった。
4代目ミラではベーシックモデルを低価格かつ経済性の高い人に優しいモデル。もうひとつのターボモデルは先代同様に過激でスポーティーなホットハッチとして位置づけていた。
TR-XXではベースのミラに対し外装では専用グリル、専用フォグランプ付きフロントバンパー、専用エアダクト付きボンネット、専用リフレクター内蔵リアバンパー、リアスポイラー、ゲートスポイラーなどでドレスアップ。
内装でも専用シートに専用タコメーター付きスピードメーターなどでスポーティーな装いに。そして今回のフルモデルチェンジではエンジンをパワーアップ。
それまでのSOHCからDOHCに変更され、さらに3気筒に加えて4気筒DOHCターボエンジンも設定するなどライバルのアルトワークスと熾烈な競争を繰り広げていた。
4代目・後期型ミラ TR-XX アバンツァートとは?特徴と前期との違い
その4代目ミラのTR-XXは1996年5月のマイナーチェンジでフロントデザインの変更を行い後期型となった。
後期型ではフロントグリルを新デザインとしたほか、マルチリフレクターヘッドライトを採用し、顔つきをリフレッシュ。
内装ではスピードメーターをホワイト化し、新シート表皮を採用するなどしてよりスポーティーなイメージを高めた。
4代目TR-XXのエクステリア(外装)
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フロントデザイン。後期型最大の特徴は開口部を絞られたグリルの採用だ。往年のアルトワークスでも見られたデザインは非常に勇ましく、いかにも速そうである。
前期型はミラ・モデルノという上級モデルのグリルとほぼ同じものを使っていたため、スポーティーというよりは上品なデザインだったが、これならやんちゃ臭のする過激なデザインといえるだろう。
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サイドから。車高が低くスポーツ走行するには大事なポイント。サイドアンダースポイラーは前期型ではボディと一体型だったが、後期型では後付タイプとなり、迫力がアップした。
ボディ後部には「TR-XX」のデカールが付き、サイドからもスポーティーな雰囲気を漂わせている。
足元は13インチアルミホイールでタイヤサイズは155/60R13。
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リア。モデルノと共通部分があるが専用のリアスポイラー、専用リアバンパー等でこちらもスポーティーなデザインだ。
前期型ではリフレクターを内蔵したバンパーだったが、後期型ではリフレクターがコンビランプに移動。バンパー形状もSUVのバンパーガードのようなデザインを取り入れスパルタンなデザインとした。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはEF-RL型3気水冷直列3気筒DOHC12バルブインタークーラー付きターボエンジンとJB-JL型筒水冷直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンの2種類。
3気筒ターボは最高出力64ps(47kW)/6800rpm、最大トルクは10.7kg・m(104.9N・m)/4000rpm。
4気筒ターボは最高出力64ps(47kW)/7500rpm、最大トルクは10.2kg・m(100.0N・m)/4000rpmを発生する。
トランスミッションは5MTまたは4AT。駆動方式はFFまたは4WDで、「アバンツァート」が3気筒ターボでノーマルのFF、「アバンツァートR」が4気筒ターボ&FFにLSDを標準装備した2駆のスポーツ仕様、「アバンツァートR4」が4気筒ターボ&4WDモデルとグレードによってエンジンと駆動方式などが設定されていた。
なお、前期型には3気筒ターボがあるが後期型では全て4気筒ターボに統一された。
このJB型の4気筒ターボエンジンは一時、ダイハツの各種スポーツグレードに搭載されていた名機で、2代目ムーヴカスタム、2代目ムーヴSR-XX、3代目ムーヴカスタムRS、MAX・RS、オプティ・エアロダウンビークス、初代コペンなど数多くのモデルに設定があった。




4代目ミラTR-XX L500/L502/L512型、アバンツァート、アバンツァートR、アバンツァートR4の違いなど
4代目ミラTR-XXのL500型、L502型、L512型の違いは駆動方式とエンジン型式、グレード名にある。
L500SのTR-XXはEF-RL型3気筒ターボを搭載する2駆(FF)モデルで、グレード名は「TR-XX アバンツァート」。
L502S型のTR-XXはJB-JL型4気筒ターボを搭載する2駆(FF)モデルで、グレード名は「TR-XX アバンツァートR」。
L512S型TR-XXはJB-JL型4気筒ターボを搭載する全輪駆動(4WD)モデルで、グレード名は「TR-XX アバンツァートR4」。
それぞれに5MTと4ATの2種類のトランスミッションが設定されていた。
グレードで簡単に見分ける場合は無印の「アバンツァート=3気筒ターボのFFモデル」。「アバンツァートR=4気筒ターボのFFモデル」。「アバンツァートR4=4気筒ターボで4WDモデル」と見分けると簡単だ。
4代目ミラTR-XXのインテリア(内装)
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インパネ。ミラベースだが、5本ステアリングや専用タコメーター付きスピードメーターでスポーティな雰囲気がある。
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スピードメーター。後期型ではデザインが一新され、文字盤背景もホワイトタイプとなった。
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フロントシートはアバンツァートの刺繍が入ったセミバケットタイプ。表皮もゼブラ柄でノーマルのミラとは大きく雰囲気が異なる。
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リアシート。3ドア車なので補助的なもの。
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ハッチバックなのでリアシートを倒すと実用性もある。
4代目後期ミラTR-XXの総評
後期モデルはスポーティ感や特別感を高めたTR-XX専用グリル、ガラス製マルチリフレクターヘッドライト、ホワイトスピードメーターの採用などで内外装を一新し、前期よりも内外装の魅了を高めたマイナーチェンジだった。
4代目ミラのTR-XXは実質、当時のアルトワークスのライバルであり、ハッチバックである点、ターボやマニュアルなど性格が非常に似ていたホットハッチだった。
大きく違うのはエンジンが3気筒か4気筒かの違いだが、アフターパーツが多いのはアルトワークスに軍配があがる。加えて街なかでよく走っているのはアルトワークスなので、希少性で言えばこっちのミラTR-XXの方が上。
さらにスムーズな吹け上がりや高回転域の伸びなど4気筒ターボ特有のフィーリングは3気筒ターボのアルトワークスにはない特徴で、コペンには無い4WDに5MTの組み合わせなど、ラリー走行を想定した仕様もマニア心をくすぐるポイント。
この4代目は新規格がはじまる直ぐ前にでたので、今の軽自動車に比べると室内空間や最大サイズが小さい。この点の欠点はあるが、700kg台の車重による加速性能は素晴らしいものがあり、コペンを凌ぐ加速を魅せる。
ただ、残念ながら市場ではこのTR-XXの良質な中古車がほとんど存在しない。登場から20年以上経過している点が大きな要因だと思われる。
また近年はタマ数も極端に減りほとんど見かけないモデルとなった。一部はアメリカ25年ルールで輸出されたものもあり、探す場合は困難を極める。特に5MTモデルは希少で、中古市場に出てきた場合はその希少性から高値となる傾向がある。
ミラTR-XXのその後とターボ仕様の廃止、ミライースに統合
ミラはその後フルモデルチェンジし、5代目でもターボ仕様が設定されたもののアバンツァートは廃止された。

6代目ではターボ仕様はミラアヴィに名称変更し、RSグレードとしてターボ&5MTが設定されたが6代目を最後にターボ&5MTモデルは終了となった。

7代目では上級思考に完全シフトし、ミラカスタムとして設定されるもののモデル終盤ではターボ仕様も廃止されミラバンを最後にミライースへとバトンタッチした。



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