【7代目・軽バン(軽貨物)】ダイハツ ミラバン(L275V/L285V型) | シン・軽自動車マニア

【7代目・軽バン(軽貨物)】ダイハツ ミラバン(L275V/L285V型)

ミラ

ミラはダイハツのハッチバック型軽自動車。ミラバンはその商用グレード(貨物バングレード)である。本稿では7代目のL275VおよびL285Vを扱う。

出典:トヨタ認定中古車

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7代目 ダイハツ・ミラとは?

2006年12月にフルモデルチェンジし、7代目となったダイハツ・ミラ

軽自動車新規格から数えて3回めのフルモデルチェンジであり、先代の居住性を重視したパッケージングを継承しながら愛嬌のある可愛らしいデザインとなった。

7代目ではエンジンやプラットフォームを一新し、クラスを超えた軽乗用車を目指して開発。コンセプトは「街乗りクオリティ・ミニ」でダイナミックかつフレンドリー感あふれるデザインと、乗り降りのしやすいパッケージング、優れた低燃費などが大きな特徴だ。

ミラは先代の6代目からムーヴのような全高を与え室内空間が飛躍的にアップしたが、7代目では新設計により室内長、室内幅、室内高をもうひとまわり拡大。

外観上は全高が30mmほどアップした程度だが、室内長は1895mmから2000mm。室内幅は1300mmから1350mm、室内高は1250mmから1265mmとなるなど背の低いハッチバックタイプながら優れた居住性を与えている。

もちろんムーヴタントでは不可能な立体駐車場に入る高さ(全高1530mm)も健在で、従来のニーズに答えられるパッケージングとしている。

出典:DAIHATSU U-CAR

デザイン面でもそれまでの保守的なデザインから一新。フレンドリー感あふれるスタイリッシュかつダイナミックなデザインとなり、内装もシンプルながら上質感を高めたのものとした。

エンジンはエッセから採用された新開発のKF型エンジンを採用。一部グレード(最上級のXリミテッド)ではアイドリングストップ機構を採用し、FFのCVTモデルで25.5km/L(10.5モード)の優れた低燃費を実現した。

なお、先代では商用バンと乗用モデルが同時フルモデルチェンジだったが、この7代目では先行して乗用モデルが先にデビュー。本稿で扱う商用バン(ミラバン)は遅れること1年後の2007年12月にフルモデルチェンジとなった。

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7代目ミラバンとは?特徴とミラとの違い・5MTの中古軽自動車としての魅力

ミラバンは乗用モデルのミラに対して装備を簡略化し、リアシートを軽貨物の規格にあうよう荷室優先で設計されたモデルである。

そのためリアシートの足元はかなり狭く、また簡易的なリアシートのため居住性がかなり悪い。基本的には2シーター的な使い方で、緊急的にリアシートに人を乗せるという形となる。

また、フロントシートもコストカットのため乗用モデルよりも簡素なシートとなっており、インパネデザインも簡略化される。

非常にシンプルな内装とエクステリアでも電動格納ミラーを装備せず、塗装もされない樹脂タイプで、アウタドアハンドルも同じく非塗装タイプ。足元もスチールホイールを標準装備とし、内外装で簡略化される。

一方で装備が簡略化されたことにより車重はかなり軽く(5MTのFFモデルで710kg)、また乗用モデルのミラにはない5MTが設定されるなど、走りの面では楽しいモデルでもある。

ただし、スピードメーターは簡素な1眼式メーターのため、モータースポーツでの使用を考えると後付タコメーターは必須である。

また、新車価格は当時67万円からとかなり安く、中古においてもかなり安い。さらに税金も乗用モデルよりも少し安め。

そのため安価に購入できる軽自動車で、維持費も安く背の低いセダンスタイルな5MTモデルとして密かな人気がある。

そして初めから4ナンバーの貨物車なので、フードデリバリーで使う場合も5ナンバー乗用モデルのように改造&車検取り直しする必要がない。

そのまま黒ナンバーへ申請するだけである。ミラバンの特にAT車はフードデリバリーへの対応も用意だ。

ミラバンは楽しい5速ミッションとカスタムで大人のおもちゃ

ミラバンは乗用モデルの7代目ミラ(L275S/L285S)と基本的には同じため、外装パーツや内装パーツでの流用が可能だ。

例えばヘッドライトやコンビランプをミラカスタムのものへ交換してみたり、スピードメーターをミラカスタムのタコメーター付きに交換したり、シートやモモステアリングをミラカスタム用のものに交換することも。

また、ミラカスタム用のターボエンジンにスワップも可能で、この場合はミラカスタムで純正採用されているエンジンのため車検証上も問題なくとおる。

5MTにミラカスタムのターボエンジンを組み合わせればかなり面白い。まさに改造ベースとしてはうってつけの1台である。

ミラバン(L275V/L285V)の生産終了

ミラシリーズのメインが「ミライース」にシフトした後も軽貨物グレードとしてミラバンの販売が続いていたが、衝突安全基準の強化に伴い2018年2月に生産終了。

【2代目 低燃費で安価なエコカー】ダイハツ ミライース(LA350S/LA360S型)グレード一覧・概要解説

2018年3月30日にはホームページからの掲載も終了し、完全な販売終了となった。

ミライースにはミラバン後継の廉価グレード「Bグレード」が存在するが、5MT仕様が非設定で、かつ4ナンバーでなく5ナンバーとなるなどミラバンとは仕様が大きく異る。

そのため5MTでセダンタイプのミラとしては7代目ミラバン(L275V/L285V)が最後のモデルとなった。その後もセダンタイプの軽バンの需要が無いことから、5MT仕様や4ナンバーのバンタイプがミライースに設定されることは無かった。

ちなみに同じような理由でライバルのアルトバンも8代目(HA36V)を最後に貨物バンが設定されていない。

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7代目ミラバンのグレード TX、TLの違いなど

7代目ミラバンのグレード展開は下から順に「TL」と「TX」の2種類。

2011年7月マイナーチェンジで、廉価TLグレードを廃止。「TX」のみの1本グレードに移行した。

バンではない、乗用モデルの7代目ミラについてはこちらから

【7代目・前期型】ダイハツ ミラ(L275S/L285S/L275V/L285V型)

カスタム仕様でターボの設定があるミラカスタムについてはこちらから。

【前期型】ダイハツ ミラカスタム(L275/285型)

TL

7代目ミラバン(軽バン)の廉価グレード。TXグレードよりも一部装備が簡略化され価格を抑えたグレード。

TXと比較してTLではセキュリティアラーム、パワードアロック、キーレスエントリーが非装備。スモークガラスとABSはオプション設定。

快適装備のユースフルパック(パワーウィンドウ&フューエルリッドオープナー&助手席サンバイザー)も非設定。

ドアミラーは手動タイプで、樹脂タイプアウタードアハンドル(無塗装)にホイールキャップの設定が無い。

このほかパワステ、UVカットガラス(フロントウィンドウ)、デュアルSRSエアバッグ、マニュアル式エアコンは標準装備となる。

ボディカラーはオフホワイトとブライトシルバーメタリックの2色のみ。

2011年11月のマイナーチェンジで廃止。

TX

7代目ミラバン(軽バン)の上級グレード。

TLで省略されていたセキュリティアラーム、パワードアロック、キーレスエントリーを標準装備。

パワーウィンドウや助手席サンバイザー、フューエルリッドオープナーをセットにした「ユースフルパック」がオプション設定で選択可。スモークガラスとABSはTLと同じでオプション設定。

2011年7月のマイナーチェンジではABSが標準装備化。3ATを廃止し、CVTを搭載した。

エクステリア

出典:トヨタ認定中古車

フロントデザイン。ミラバンは7代目ミラシリーズの中でも最も安いグレード。そのため必要最低限の装備となる。

ヘッドライトはマルチリフレクター式にハロゲンランプ。フォグランプは非装備。バンパーは樹脂タイプでなく、ボディと同色タイプとなる。

出典:トヨタ認定中古車

サイド。ミラバンではドアミラーが手動式の樹脂タイプ、アウタドアハンドルも樹脂タイプで未塗装となる。ワンボックスの軽バンや軽トラでよく見られるコストカットだが、ミラバンでも同様の装備となる。

ミラバンは運転席・助手席・リアハッチの3ドア仕様で、昨今では珍しい構成。そのため軽自動車であっても全体の見た目のバランスが取れており、意外とスポーティな雰囲気もある。全高は1530mm。

ボディカラーは「ホワイト」と「ブライトシルバーメタリック」の2種類のみ。

出典:トヨタ認定中古車

足元は13インチスチールホイール。ホイールキャップは無し。タイヤサイズは145/80R13。

出典:トヨタ認定中古車

リア。ミラバンではリアハッチが非塗装。また、リアガラスも標準ではスモークタイプのプライバシーガラスとならず、完全筒抜け(プライバシーガラスとしてオプション設定)。いかにもバンらしい外観となる。

リアコンビランプは乗用モデルと共通でウィンカーやバックランプの部分が作り込まれている。

なおテールランプはミラカスタムのキラキラしたマルチリフレクター式を流用できるので、見た目にこだわりたい人は交換がオススメ。

エンジン・機能装備・安全装備など

エンジンはKF-VE型直列3気筒DOHC12バルブ自然吸気エンジンのみ。ターボモデルはミラカスタムのみに設定されている。エッセから搭載された新世代エンジンで可変バルブタイミング機構付き。

最高出力は58ps(43kW)/7200rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4000rpmを発生。

トランスミッションはデビュー当初は3AT、5MTの2種類。2011年7月の一部改良では3ATが廃止されCVTに置換され、5MTとCVTの2種類となった。

駆動方式はFFまたは4WD。安全装備として2011年7月以降モデルではABSを標準装備する(それ以前はオプション設定)。

7代目ミラバンL275VとL285Vとの違い

ミラバンL275VとL285Vの違いは駆動方式。L275Vは前輪を駆動するFFのミラバン。L285VはL275Vをベースに全部のタイヤを駆動する4WDのミラバンとなる。

ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるビスカスカップリングを用いたパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。

なお型式の「V」は軽貨物のバンを意味する記号で、乗用タイプであればここが「S」となる。

インテリア

出典:トヨタ認定中古車

インパネ。ミラバンでは軽バンらしくインパネは樹脂タイプのままで非塗装。質素でとてもシンプルだが、デザインそのものはベースの7代目ミラと同じ為使いやすさなど洗練されている。

出典:トヨタ認定中古車

ステアリングはウレタンステアリング。

出典:トヨタ認定中古車

エアコンはマニュアル式エアコン。

出典:トヨタ認定中古車

5MTのシフトノブは革タイプ。ドリンクホルダーはこの位置。

出典:トヨタ認定中古車

3ATはフロアシフト。

出典:トヨタ認定中古車

2011年7月以降のCVTモデルではインパネシフトとなる。

出典:トヨタ認定中古車

スピードメーター。デビュー当初はミラの乗用タイプの廉価グレードと同じ1眼式だったが、

出典:トヨタ認定中古車

2011年7月マイナーチェンジでブラックタイプのシンプルなメーターに変更された。

出典:トヨタ認定中古車

フロントシートはセパレートタイプ。軽バンに見られるヘッドレスト一体型のシート。乗用モデルのミラのシートと互換性があるため、見た目が気に入らない場合は入れ替えても面白い。

なお、パワーウィンドウはオプション設定となっており、タマによって手動式(手回し)ウィンドウの個体がある。

出典:トヨタ認定中古車

リアシート。セダンタイプで軽バンのリアシートのため、足元が極端に狭く、シート座面も角度が直角なシート。

このため居住性が悪く、乗用モデルのミラの後部座席とはかなり異なる。基本的には2シーターと考えるのがベスト。

出典:トヨタ認定中古車

ラゲッジスペース。リアシートの足元が狭い分、こちらはかなり広い。

出典:トヨタ認定中古車

リアシートを倒した状態。ミラバンは基本的にこの状態で使うことが多い。

7代目ミラバンの総評

出典:トヨタ認定中古車

7代目のミラバンは7代目ミラをベースにリアシートを簡素化&ラゲッジスペース優先タイプとし、5MTを設定する軽貨物グレードである。

装備が簡略化され必要最低限になっているが、これのお陰で車重はFFの5MTモデルで710kgとかなりの軽量となっている。

このためターボエンジンが無くても5MTと合わせれば軽快に走り、スポーティな走行を楽しめる1台である。

中古価格も新車時点で安く、一般的には人気が無いものモデルたのため購入しやすい価格帯である。また、カスタムベースとしても面白いモデルで、流用などで楽しめる。

軽自動車でセダンタイプの軽バンといえばアルトバンが有名だが、あえてミラバンを選んでみるのも楽しいと思う。設計がHA36Vアルトバンよりも古いため、単純比較で劣る部分もあるが、7代目ミラバンはつい最近まで生産されていたモデルたのめ高年式でも安い個体がある。

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現時点ではHA36Vアルトバンを最後にスズキのセダンタイプのバンも消滅。ともに絶滅危惧種となった。台数でいえば7代目ミラバンの5MTはかなりタマ数が少ないが、あえてミラバンを選んでみるのも面白いと思う。

ただし、7代目・5MTのミラバンは全国でも100台を切る掲載数なので見つけづらいのがネックか。

ちなみにスバルへは同時期にプレオバンとしてもOEM供給されている。ミラバンよりもさらに見つけづらいが、エンブレム違いのOEMモデルなので中身はまったく同じプレオバンで探すのもアリ。

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