ミラはダイハツのハッチバック型軽自動車。本稿では6代目のL250およびL260系のデビュー当初である2002年12月~2005年7月までを前期型とし、これについて扱う。
出典:Goo-net
6代目 ダイハツ・ミラとは?
2002年12月にフルモデルチェンジし、6代目となったミラ。
新規格から数えて2回目のフルモデルチェンジではハッチバック型でありながら全高が先代よりも75mmもアップし、「背の低いムーヴ」という表現が数多く聞かれた。6打目ミラはワゴンタイプであるムーブ寄りのモデルチェンジとなっている。
6代目では外観からも想像がつくようにプラットフォームを一新(3代目ムーヴのプラットフォームを適用)。初代ミラの基本コンセプトである「広々空間&小粋なスタイル」を受け継ぎながら軽乗用車の本質である「高い経済性&高い実用性」に加えて「クラスを超えた高品質・高性能」を実現した革新的なパッケージングとなった。
ボディサイズは5代目の全長3395×全幅1475×全高1425mmから全長3395×全幅1475×全高1500mmと上述のとおり上方向に高さが75mmアップ。
全長と全幅は5代目と変わらないものの室内空間は室内長1720×室内幅1220×室内高1180mmから1895×1300×1250mmへと拡大。室内長と全高に至っては100mm以上もの大幅拡大となった。これにより室内空間は飛躍的にアップ。ムーヴのようなゆったり広々とした居住空間を確保している。
インテリアも新プラットフォームに相応しくそれまでのデザインを一新。シンプルでありながら上質感を感じるデザインが与えられた。特にインパネは面構成とウェーブデザインで親しみやすい雰囲気を与えている。
エンジンは従来どおりのEF-SE型直列3気筒SOHC自然吸気エンジンとEF-VE型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンに上級モデルの「AVY(アヴィ)」にはEF-DET型直列3気筒DOHCインタークーラー付ターボエンジンの3種類に加えて、EF-VE型を直噴化したEF-VD型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンを設定。
このエンジンとアイドリングストップ機構を組み合わせることにより、ミラVグレードの5MTのFFで30.5km(10.5モード)を達成した。
6代目ミラ・L250V/L260V/L250S/L260Sの違い
6代目ミラのL250V/L260V/L250S/L260Sとではそれぞれ駆動方式や乗用モデル、貨物バンなどが異なる。
L250SとL250VはFFモデルの6代目ミラ。語尾にSが付くL250Sは乗用モデルで5ナンバーのFFの6代目ミラ。Vが付く方のL250Vは4ナンバーでFFの6代目ミラバン。
L260SとL260Vは4WDモデルの6代目ミラ。L260Sが5ナンバーの乗用モデルの4WDミラ。L260Vは4ナンバーで貨物タイプの4WDミラ。
6代目・前期型ミラのグレード A、U、2シーター、V、L、Xの違いなど
6代目前期型ミラのグレード展開は乗用モデルのエントリーグレード「L」、上級「X」、低燃費仕様「V」の3種類。このうちミドルグレードLには3ドアモデル「L 3door」が設定されていた。
軽貨物(軽バン)のミラバンは廉価グレード「2シーター」、エントリー「A」、上級「U」の3種類。ミラバンはすべて3ドアのみ。
特別仕様車には「Lリミテッド」を設定。上級・ラグジュアリー思考の「ミラアヴィ」はこちらから。
A
6代目ミラバンの廉価グレード。
エクステリアは
- 樹脂タイプのドアミラー(手動式)
- 樹脂タイプドアハンドル
- 鉄チンホイール
- リアプライバシーガラスレス
の軽バンらしい簡素な外観が特徴。
インテリアでも簡素化されたデザインで、とてもベーシック。ステアリングのメッキオーナメントすら付かない。
快適装備は
- パワーステアリング(油圧式)
- マニュアル式エアコン
- AMラジオ
- リアウィンドデフォッガー
などを標準装備。パワーウィンドウはオプション設定。キーレスエントリーは非設定。
安全装備は運転席エアバッグのみ標準装備で、助手席エアバッグとABSはセットでオプション設定。
ボディカラーは「ホワイト」と、「ブライトシルバーメタリック」の2種類のみ。
トランスミッションは5MTまたは3ATの2種類。
2シーター
6代目ミラバンの最廉価グレード。2名乗車限定の2シーターモデル。
Aグレードをベースにリアシートをレス仕様とし、ラゲッジスペースとしたグレード。リアシートを取り払ったことで一部装備を省略でき、新車価格と車体重量が下げられていた。
装備内容は「リアシート」が無いのと「フォースリミッター機構付きフロント3点式ELRシートベルト」が非装備な意外はAと同じ。
ただし、4WDが非設定で、2WDのみ。
U
6代目ミラバンの上級グレード。
装備はAグレードと同じだが、トランスミッションに4ATを採用したモデル。
Aグレードの3ATではなく、4ATの採用で燃費や静粛性が高められていた。
L
6代目前期ミラのミドルグレード。5ドアのほか、3ドアも設定する。
エクステリアにはDグレードに追加で
- カラード電動式ドアミラー(4WDモデルはヒーテッドタイプ)
- スモークガラス
- カラードドアハンドル
インテリアでも2トーンカラーインパネに
- メッキ付きエアコンレジスター
- シルバー塗装センタークラスター
などの加飾で質感が向上する。
快適装備は
- 集中ドアロック
- キーレスエントリー
- 電動パワーステアリング(※2WDは油圧式)
- マニュアル式エアコン
- 1DIN AM/FMカセット付きステレオ+10cmスピーカー
を標準装備し使い勝手を向上。
ボディカラーはミラバンよりも豊富で、
- ブリティッシュグリーンマイカ
- ホワイト
- ラベンダーメタリックオバール
- ローズメタリック
- ブライトシルバーメタリック
- レッド
- マジョリカブルーマイカメタリック
- シャンパンメタリックオパール
安全装備は運転席&助手席エアバッグを標準装備し、ABSはオプション設定。トランスミッションは5MTまたは3ATで、駆動方式も2WDと4WDを設定する。
X
6代目前期ミラの上級グレード。
Xグレードに追加で
- メッキグリル
- リアにプライバシーガラス
- アルミホイールをオプション設定
- 電動格納式リモコン・カラードドアミラー
トランスミッションには5MTのほか、静粛性の高い4ATを採用。
安全装備や快適装備は
- 運転席&助手席エアバッグ
- EBD付きABS
- 1DIN AM/FM付CDステレオ&16cmフロントドアスピーカー
- リアワイパー
を標準装備する。後期モデルでは廃止され、Lグレードに統合された。
V
6代目後期ミラの低燃費グレード。3ドアのみ。
6代目ミラで唯一のEF-VD型エンジン(直噴エンジン)を搭載し、車体の軽量化ともあわせて燃費性能を高めたエコカーグレード。
エクステリアでは軽量化のためミラバンのような手動式ドアミラーを採用。リアのプライバシーガラスも非装備で、簡素な見た目に。
一方で12インチアルミホイールを標準採用し、スチールホイールよりも重量抵抗を低減。
インテリアでもミラバンと同じモノトーンインパネを採用。シートもグレー色でヘッドレスト一体型のバンタイプのシートを採用する(※リアシートは乗用タイプを採用)。
快適装備のパワステは電動式を採用。このほかマニュアル式エアコンが付く程度で、パワーウィンドウやキーレスエントリーは非装備で軽量化。
トランスミッションは5MT、駆動方式も2WDの硬派な仕様ながら、ミラバンに匹敵する車体重量700kgを実現。低燃費と優れた加速性のがウリのモデルであった。
特別仕様車 Lリミテッド
2004年10月設定の特別仕様車。廉価グレードのLをベースにベースに「1DIN AM/FM付CDステレオ」や「スモークドガラス」、「専用シート表皮(ベージュ)」などを装備しつつ、お買得とした特別モデル。
Lリミテッドではエクステリアに
- FF車で電動格納式カラードドアミラー
- 4WD車では電動ヒーテッドカラードドアミラー
- リアドアとバックドアウィンドウをスモークドガラス
内装では
- ベージュ色の専用シート表皮
- 大型一眼スピードメーター
- ツートンインパネ
- AT車ではメッキプレート付きシフトノブ
- メッキ付きエアコンレジスター
- 1DIN AM/FM付CDステレオ&16cmフロントドアスピーカー
を標準装備とし、廉価グレードでは省略されていた便利装備や快適装備をプラスしつつ約5万円アップにおさえた特別仕様車となっていた。
6代目前期ミラのエクステリア(外装)
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フロントデザイン。先代をイメージさせるような台形型のヘッドライトを装備。非常にオーソドックスで誰からも受け入れやすいデザインだ。乗用タイプと商用タイプでは外観は同じ。
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なお、乗用モデル上級グレードの「X」グレードではメッキグリルを装着し、ちょっとだけオシャレな外観となる。
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商用モデルのサイド。ミラバンでは3ドアのみの設定。横から見るとボンネット部分が少し狭くなり、全高がアップしたのがわかる。
先代は1425mmだったのが6代目では1500mmになっている。ボンネットを切り詰めたのと天井が高くなったことで乗った時にかなり広く感じる。ミラバンではドアハンドル、ドアミラーは非塗装タイプ。
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乗用モデルのサイド。ミラバンと異なり、乗用モデルでは独立した後部座席を持つ5ドアとミラバンと同じ3ドアの2種類を設定。
廉価グレード(Lグレード)ではミラバンと同じくドアハンドルとドアミラーが非塗装だが、ミドルグレード以上(DグレードとXグレード)ではドアハンドルとドアミラーがカラータイプとなり、ドアミラーも電動格納式ミラーに。リアガラスもスモークタイプとなる。
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足元は乗用モデルのLグレードとDグレードが12インチフルホイールキャップ。
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上級のXグレードでは13インチフルホイールキャップ。バンタイプではホイールキャップなしのスチールホイールのみとなる。
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コンビランプは同年代のムーブに似たようなデザイン。先代からはかなりのデザインチェンジなので新鮮に感じる。
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特に斜め後ろからの眺めは「背の低いムーヴ」という表現がうなずけるぐらい似ている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはEF型、3気筒のNAのみの設定で直列3気筒SOHCと可変バルブタイミング機構(DVVT)付きDOHC、軽初の直噴DOHCの計3種。
バンや乗用モデルのLグレードにはEF型直列3気筒SOHC自然吸気エンジンを搭載。最高出力は48ps(35kW)/6400rpm、最大トルクは5.7kg・m(56N・m)/4800rpm。
乗用モデルの上級グレード、XグレードにはEF型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンを搭載。最高出力は、58ps(43kW)/7600rpm、最大トルクは6.5kg・m(64N・m)/4000rpm。
乗用モデルのVグレードではEF-VE型を直噴化したEF-VD型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンを搭載。最高出力は60ps(44kW)/7600rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4000rpm。
このVグレードのみ5MTにFFのみという硬派な設定ながらアイドリングストップ機構と組わせることで当時のミラとしては驚異的な30.5km/L(10.5モード)の低燃費を達成した。
先代にあったターボモデルはミラアヴィに設定されている。トランスミッションはCVT(最上級のXグレードのみ)、3AT、4ATあるいは5MTのいずれかで、駆動方式はFFまたは4WD。アルト同様、乗用モデルと商用モデル(バンタイプ)を用意する。
6代目前期ミラのインテリア(内装)
インパネ。基本はブラック系のカラーを中心とした商用モデルのようなデザイン。これは乗用タイプのインパネで、
乗用タイプのスピードメーターは背景がブルータイプ。タコメーターなし&大きな1眼式スピードメーターで見やすい。
商用タイプのインパネ。後期型では乗用モデルでデザイン変更がなされるが、前期型では乗用モデルとほぼ同じデザイン。オーディオパネル付近がわずかに違う程度となっている(商用モデルはセンターのエアコン吹き出し口上にAMラジオ。乗用モデルはこの部分は収納スペースで、オーディオはエアコン操作部の下にくる)。
スピードメーターはタコメーターレスの1眼タイプ。背景色は完全ブラックタイプ。まさに商用モデルといった感じだ。
乗用モデル、商用モデル共にフロントシートはセパレートタイプ。乗用モデルでは濃いブルー系のシートにドアトリムクロスも同色。
一方商用モデルのシートはいかにも質素で貧弱そうなシート。軽ワンボックスの商用モデルのようなシートだ。商用モデルではドアトリムクロスは無い。
乗用タイプのリアシート。ヘッドレストは無い。
バンタイプのリアシート。乗用タイプよりさらに質素になっている。後部座席での長時間乗車はかなりつらそうだ。ここらへんはアルトと同じで4名乗車よりは普段は1~2名がメイン。もしかしたら+2名と考えたほうが良いだろう。
ちなみにこの6代目までミラバンには「2シーター」という完全2名乗車の貨物グレードがあり、このグレードのみ乗車定員が2名となる。2シーターグレードで後部座席が付いていても4人乗ると法律違反となるのでこの点は要注意。
乗用モデルのラゲッジルーム。
商用モデルのラゲッジルーム。商用モデル(3ドア車)では荷物を乗せることを前提にリアシートを倒さずともラゲッジスペースが広く取られている。
6代目前期ミラの総評
6代目ミラは、先代よりも室内空間が大幅にアップし快適さが増したフルモデルチェンジとなっている。一方で先代までの古典的なセダンタイプのデザインから離れ、ムーヴ寄りとなっているのも事実でこのあたりは好き好きが分かれるポイント。
ライバルはスズキの6代目アルトになるがデザインのスタイリッシュ感でいえばミラに軍配がありそうだ。ただ、ミライースに燃費でどうしても劣ってしまうので、ガソリン代がきになる場合は思い切って新車のミライースを買ったほうが良い。
軽自動車の中古は需要(維持費の安さ)の面から年式が古く、走行距離が多くても高い場合が多いため、その観点から見れば新車で低燃費や自動ブレーキなど付加価値があるほうが無難である。
それでもデザイン性や、安価という点では魅力的な部分があるためそういった需要であれば6代目ミラでも良いのかもしれない。特に後期型では外観と内装がリフレッシュされ、ちょっとだけ上級なイメージに変化したので、買うのなら後期型がオススメだ。
コメント
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アルトの写真一枚混じってない?
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ご指摘ありがとうございます。アルトの内装と1枚混じってましたね。
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この代のミラが好きなので、未だに乗ってます
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悪魔のミラさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
この6代目L250系ミラは5代目よりもボディサイズがひと回り大きくなり室内空間が飛躍的に拡大しました。外観も先代のイメージを残しつつボディに合わせた台形のヘッドライトなどベーシック感と新規性の調和の取れたデザインだと思います。この後出た7代目ではデザインがかなりかけ離れましたので、旧来のベーシックな感じが好みの人にとってはやはりこの6代目になりますね。ただ、よく売れる車種&足車として人気があり地方都市ではアルトと同様に非常に多く見かける1台です。特にホワイト系は他人と被る確立が高いのがちょっと難点でしょうかね。
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間違った文面があったので指摘させていただきますね。
商用タイプのインパネでは操作パネルがあるセンターパネル部分がブルー系に着色され、>画像で青く見えるだけで黒いままですよ。
バンタイプのリアシート。4名乗車よりは普段は1~2名がメイン。>もともと2人乗りですよ。車検証の乗車定員も2名になっています。なのでリヤシート(のような物)に人を乗せると違反になります。
以上、参考になれば幸いです。
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L250Vミラバン乗りさん、はじめましてこんにちは。ご指摘ありがとうございます。
インパネの件、どうやらその通りのようでオーディオパネル付近の色は関係ないようですね。
あと、バンタイプの乗車定員についてですが、ご指摘くださったのは「2シーター」グレードのことでしょうか?これだと確かに2名乗車オンリーで、4名乗ると法律違反となるみたいです。2シーター以外のグレード(AグレードとUグレード)はバンタイプでも4名乗車可能なようですが…
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大変申し訳ありません。
バンタイプに2シーター以外のグレードがあることを知りませんでした(汗)
おっしゃる通り当方の車両が2シーターだっただけのことのようです。
逆に4人乗りとの違いが知りたくなってきました!
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いえいえ。こちらこそです。ご指摘は大変ありがたいので、もし他にも見つけましたら気軽にコメントください(本記事の該当部分は修正しました)。
ミラバンについては僕もほとんどわからないのですが、ネットで調べた限りでは2シーターグレードでも後部座席あったり無かったりのようで、完全な貨物仕様なのかちょっとわかりませんでした。4人乗りのAやUグレードでは2シーターと同じ後部座席にシートベルトもあったので、この点が違う部分でしょうか。足元の狭さはかわりませんが。
ちなみにこのあとの7代目ミラバンでは2シーターの設定がなく、ライバルのアルトバンも1998年10月の5代目・前期型までのみで、以後は設定が無いようです。