出典:マツダ認定中古車
スズキ 6代目・エブリイとは?
2015年2月にフルモデルチェンジし、6代目となったエブリイ。先代からおよそ10年ぶりのフルモデルチェンジとなり、最新技術を盛り込んだ軽ワンボックスとなった。外観では先代を踏襲しつつ若干の精悍さをプラスしスタイリッシュ感を演出。パッケージングではタイヤ位置とダッシュパネルを前方に移動することにより乗員スペースの広さをキープしつつ荷室が先代よりも拡大。 PCやPAグレードでは1910mm(※2名乗車でリアシート倒した状態)の荷室長でクラストップレベルを実現した。低燃費化に関しては高張力鋼板などの使用範囲の拡大やエンジン、足回り、内装、電装部品などで軽量化を実施し先代比で最大40kgの軽量化を実現。加えてエンジンは先代までのK6Aに置き換わり吸気VVT機構を採用した次世代のR06A型エンジンを採用。オートマチックトランスミッションも先代までの3ATに変わり5MTをベースにクラッチを自動化した5AGSを新規採用。ターボ用は4ATを用いるなど商用モデルでありながらワンランク上の部品で静粛性アップや低燃費化を実施した。これにより2駆(FR)の5AGSモデルでは20.2km/L(JC08モード)の低燃費を実現するなどフルモデルチェンジに相応しいメカニズムが与えられた。収納スペースもインパネドリンクホルダーやセンターミドルトレー、フロントドアポケットなどをインパネに効率よく配置。頭上の上にはオーバーヘッドシェルフの採用(※ジョイン、ジョインターボ、PCグレードのみ)でより利便性を高めた。また、6代目エブリイからは同社の軽乗用モデルで先行していた自動ブレーキ技術の「レーダーブレーキサポート」をグレード別に設定。 (※デビュー当初は)ライバルの商用ワンボックスにはない自動ブレーキの採用で万が一の際にも心強いシステムを取り入れた。グレード構成は標準ルーフで廉価グレードの「GA」、同じくハイルーフで廉価グレードの「PA」、ハイルーフ仕様でミドルグレードの「PC」、ABSやCDプレイヤーなど充実装備が与えられた「ジョイン」とそのターボ仕様の「ジョインターボ」の5種類を設定。このうち本稿で扱うのはミドルグレードのPAおよびPCをベースとした特別仕様車、PAリミテッドおよびPCリミテッドである。エブリイ(DA17V) PAとPCの違い
PAグレードとは?特徴と装備など
ベースモデルのPAとPCの違いは装備。 PAはエブリイの中でも最も安い廉価グレードで、快適装備や機能装備が最低限のグレード。その分価格は安く、ザ・軽バン的なグレード。安いながらもPAでは- マニュアル式エアコン
- パワーステアリング
- ABS+EBD
- 運転席&助手席エアバッグ
- 前後カラードバンパー
PCグレードとは?特徴と装備など
一方のPCはPAよりも一つ上のグレードで、PAに比べて快適装備の- キーレス
- パワーウィンドウ(※フロントのみ)
- 電動格納ミラー
- プライバシーガラス
- ホイールキャップ
PAリミテッド/PCリミテッドの特別装備&他グレードとの違い
PAリミテッド、PCリミテッドの特徴や特別装備
その6代目エブリイに2015年12月。ハイルーフの廉価グレードであるPAとハイルーフのミドルグレードであるPCをベースに快適&実用装備や安全装備をプラスした特別仕様車が設定された。それが「PAリミテッド」と「PCリミテッド」である。 PAリミテッドではPAをベースに- 電波式キーレスエントリー
- スモークガラス
- 全面UVカット機能付ガラス
- セキュリティアラームシステム
- CDプレイヤー
- 電動格納式リモコンドアミラー
- ヒーテッドドアミラー(※4WDのみ)
- フロント2スピーカー
- ヘッドライトが4灯式のLEDヘッドライトに変更
- シートバックテーブルの標準装備
- 運転時シートヒーターの標準装備
PAリミテッドとPCリミテッドの違い
PAリミテッドとPCリミテッドとの違いは装備面やボディカラーにある。 PAリミテッドはハイルーフで一番安いPAグレードがベースのため、特別仕様車といっても追加装備は限定的で必要最低限となる。また、ボディカラーも「ホワイト」か「シルバー」の2色のみと質実剛健な軽貨物といったところ。一方のPCリミテッドはPAリミテッドよりも装備が豪華で、より乗用モデルに近い特別装備が与えられる。また、ボディカラーも「ホワイト」と「シルバー」に加え「ブラック」、2018年6月以降は3代目ジムニーの「ブルー」や初代ハスラーの「グリーン」の全5種類から選択可能で、軽貨物としてはかなり乗用モデルに近い装備とボディカラーとなっている。なお、その後の改良やPCリミテッドの廃止によりPAリミテッドでもホワイトまたはシルバー以外のボディカラー(モスグリーンメタリックやデニムブルーメタリック)が選択できるようになった。DA17V型の2型、3型、4型の改良点まとめ
6代目エブリイはデビュー後に小改良や一部仕様変更が行われている。以下に列挙する(※ここで特に関係あるのはそれぞれリミテッドのベースとなっているPAとPC)。2015年12月・2型改良
2015年12月の2型改良ではGA、PA、PCの5AGS車にABSとヒルホールドコントロールを標準装備。さらに特別仕様車の「PAリミテッド」と「PCリミテッド」の5AGS車に「レーダーブレーキサポート」をオプション設定とした。2016年3月・一部仕様変更
2016年3月の一部仕様変更では5AGS車に2速発進モードを標準装備化。さらにクリープ時の推進力を強化し、発進時や低速時の使い勝手を向上。 2016年11月の一部仕様変更では特別仕様車のPAリミテッドとPCリミテッドに4ATを追加設定。2017年5月・3型改良
2017年5月の3型改良では4AT車をGAのFF仕様車、PA、PC、ジョイン、車いす移動車にも追加設定。さらにジョインの4ATにはレーダーブレーキサポート・ESP・エマージェンシーストップシグナルのセットオプションも用意。このほかGA、PA、PCはリアシートを形状変更。荷室をフルフラットにした時の張り出しを無くして積載性を向上させた。 2018年6月にはエブリイシリーズの国内累計販売台数300万台を記念し、ボディカラーを追加。3代目ジムニーの「ノクターンブルーパール」、初代ハスラーの「クールカーキパールメタリック」がPCリミテッドに追加された。2019年6月・一部仕様変更
2019年6月の一部仕様変更では安全装備を強化。レーダーブレーキサポートから「デュアルセンサーブレーキサポート」にアップデート。加えて車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストも追加。さらに後退時用衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」も追加され、誤発進抑制機能は前方に加え後方にも対応した。これに伴いジョインの4AT、5AGS車とジョインターボ4ATではデュアルセンサーブレーキサポートが標準装備化。PAとPCでは5MT仕様を除いてメーカーオプション設定化された。ボディカラーでは一部入れ替えが行われ、「クールカーキパールメタリック」を新設定。かわりに「ガーデニングアクアメタリック」を廃止した。2021年9月・4型改良
2021年9月の4型改良ではジョインターボの5MTを廃止。さらにジョインターボでは乗用モデルのディスチャージライトがオプション設定で選択可能となった。インテリアでは4ATのパーキングブレーキが足踏みシイからレバー式に変更。パワーウィンドウがPAリミテッドにも標準装備化。PAを除くグレードでUSB電源ソケットを標準装備化。ジョイントジョインターボにはフロントメッキグリルが追加された。また、特別仕様車だったPAリミテッドがカタロググレード化する一方でPCリミテッドを廃止。PCグレードに統合している。2022年4月・5型改良 ジョインターボ廃止
2022年4月の5型改良では7インチのディスプレイのバックカメラ付きスマートフォン連携ディスプレイオーディオがメーカーオプションに新設。リアのルームランプをLED化。ハイルーフ仕様車には運転席上部に既存の「オーバヘッドコンソール」から置き換えで「オーべヘッドシェルフ」を標準装備。使い勝手を向上した。一方でエブリィ唯一のターボ仕様車、「ジョインターボ」が廃止された。これは兄弟モデルの日産「NV100クリッパー」も同じで、GXターボが廃止されている。2024年2月・6型改良 ジョインターボ復活&5AGS・4AT廃止(※PA除く)とCVT化
2024年2月の一部改良では4ナンバーエブリイのターボ仕様、ジョインターボがCVT専用グレードとして復活。トランスミッションは5AGSと4ATを廃止(※廉価PAグレードの4ATは除外)し、ATはCVT化。さらに4WDのCVT仕様車にはブレーキLSDの「ぬかるみ脱出アシスト」が標準装備となり、電子制御式4WDも新搭載となった。これはダイハツの11代目ハイゼットカーゴと同じ構成である。【11代目・FR用CVT搭載】ダイハツ ハイゼットカーゴ(S700V/S710V型)
ハイゼットカーゴはダイハツの商用ワンボックス型軽自動車。4ナンバーの軽貨物車(軽バン)である。本稿では11代目S700VおよびS710V型を扱う。11代目ハイゼットカーゴ S700V/S710V型出典:ダイハツ認定中...
- 運転席シートヒーター
- キーレスプッシュスタートシステム
- 後席スライドドアクローザー
- 後席両側ワンアクションパワースライドドア
- フルオートエアコン
- ムーンライトバイオレットパールメタリック(メーカーオプション)
- モスグレーメタリック(エブリイは「JOIN」、「JOINターボ」専用色)
- デニムブルーメタリック(エブリイ「PA」を除く)
【4ナンバー・軽貨物仕様】スズキ スペーシア ベース(MK33V型)
スペーシアベースはスズキのハイトワゴン型軽自動車。スペーシアをベースとした4ナンバー軽貨物仕様車である。出典:ガリバースズキ・スペーシアベースとは?2022年8月に登場したスズキ・スペーシア ベース。スペーシア ベースはスペーシアをベースに...
エブリイPAリミテッド・PCリミテッドのエクステリア(外装)
出典:スズキ認定中古車フロントデザイン。6代目エブリイは先代のデザインと踏襲しつつ、ベーシックでありながらよりスタイリッシュなデザインになっている。フロントからはPAリミテッド、PCリミテッドは同じ見た目なので区別は付きづらい。ただしボディカラーが追加となった2018年6月以降はホワイトかシルバー以外のボディカラーで見分けは可能となった。ヘッドライトはマルチリフレクターのハロゲンヘッドランプでディスチャージなどのオプション設定は無し。
出典:スズキ認定中古車サイド。共にハイルーフ仕様のためルーフ部分は高さがある。 PAリミテッドでは手動式のドアミラー。PCリミテッドでは特別装備としてボディカラーに塗装された電動格納式ドアミラー(4WDはヒーテッドドアミラー付き)となる。このほかPAリミテッドでは省略されていたリアドアとリアクォーターにスモークガラスを標準装備とした(PCリミテッドはベースに既装備)。
出典:スズキ認定中古車足元は12インチスチールホイール。
出典:スズキ認定中古車リア。PAリミテッドではサイドと同じくリアドアにスモークガラスを標準装備。PCリミテッドは同様にベースに既装備となる。「リミテッド」を示すエンブレムやシールは特になし。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはR06A型直列3気筒自然吸気エンジンのみ。最高出力49ps(36kW)/5700rpm、最大トルク6.3kg・m(62N・m)/3500rpm。 2022年4月一部改良では排気側にも可変バルブタイミング機構を用いた改良型を採用。最大トルクも若干抑えられ、自然吸気エンジンは最高出力49ps(36kW)/6200rpm、最大トルク6.1kg・m(60N・m)/4000rpmとなった。トランスミッションは設定当初は5AGSもしくは5MTの2種類だったが、2016年11月に4AT仕様を追加設定し、全3種類となった。駆動方式はFRまたは4WD。 2024年2月の6型改良では5AGSが廃止され、ATは4ATからCVTに変更となったことで5MTとCVTの2種類となった。先代では旧式のK6Aターボだったがこれを新世代のR06Aに置換。ボディも高張力鋼板の使用拡大やその他軽量化でシェイプアップし先代よりも最大で1Lあたり2km前後燃費を改善した。このほかABSを標準装備とし、PA/PCリミテッドでは特別装備として自動ブレーキの「レーダーブレーキサポート」をオプション設定する(※5MTを除く)。レーダーブレーキサポート装着車では自動ブレーキのレーダーブレーキサポート、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESPにABSがブレーキアシスト付きとなる。 2019年6月の一部仕様変更ではレーダーブレーキサポートが「デュアルセンサーブレーキサポート」にアップデート。加えて車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストも追加。さらに後退時用衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」も追加され、誤発進抑制機能は前方に加え後方にも対応するセットオプションも選択可能とした。エブリイPAリミテッド・PCリミテッドのインテリア(内装)
出典:スズキ認定中古車インパネ。商用モデルのためベーシックなカラーだが、機能性を重視したデザインとなっている。パートタイム4WD車では4WDスイッチをON・OFFにすることで2WDと4WDを任意に切り替えて使う。6代目からは新たな収納スペースとしてインパネドリンクホルダーやセンターミドルトレー、フロントドアポケット、オーバーヘッドシェルフ(2022年4月以降はオーバヘッドコンソール)などが追加されている。
出典:スズキ認定中古車スピードメーター。当初はタコメーター無しの単眼式を採用していたが、
出典:スズキ認定中古車2019年6月の一部改良以降は、右側の燃料残量計をデジタル化&マルチインフォメーションディスプレイ化。自然吸気エンジンで自動ブレーキを備えたPAリミテッドやPCリミテッドにもタコメーター付き3眼式メーターが標準装備となった。 ATと5MTのシフトレバー。インパネシフトのためMTでもこの位置となる。 5AGSではDモード時に左に倒すとATのマニュアルモードのようにシフトアップやシフトダウンを任意に選択可能となる。
出典:スズキ認定中古車エアコンはPAリミテッドがマニュアル式エアコン。PCリミテッドはオートエアコンとなる。
出典:スズキ認定中古車フロントシートはセパレートタイプ。ブラウンカラーのシート表皮だが、形状は他のエブリイと同じ商用チックなシート形状となる(ジョインとは別物)。
出典:スズキ認定中古車リアシート。軽貨物のため左右一体式のリアシートで、主に荷物を運ぶことを想定としたつくりとなる。スライド機構とリクライニング機構も非装備。
出典:スズキ認定中古車ラゲッジルーム。軽ワンボックスらしい広大な荷室を確保。
出典:スズキ認定中古車リアシートをすべて倒した状態。
エブリイPAリミテッド・PCリミテッドの評価
エブリイPAリミテッド・PCリミテッドの総評
6代目エブリイのPAリミテッドとPCリミテッドはベーシックな軽貨物グレードにワンランク上の快適装備や実用装備をプラスし、より乗用モデルに近づけた特別仕様車である。どうしてもこの手の軽貨物は低価格ゆえに色々と省略される部分が多いのだが、リミテッドシリーズではそれぞれをベースにワンランク上の装備をプラスして軽貨物でありながら日常使いでの利便性や実用性をアップさせている。最上級のジョインおよびジョインターボと比べるとシート形状が疲れやすい軽バンタイプだったり、ターボの設定がない無いどそこまで豪華ではないが、最廉価のPAグレード(アルトバンでいうところのVPグレード)と比べれば十分豪華な仕様となっており、価格設定もPAグレードからさほど高くないことから良心的なグレードでもあった。その後PCリミテッドはPCグレードに統合され廃止となったものの、PAリミテッドは特別仕様車からカタロググレードに昇格。最廉価PAとミドルグレードPCの中間グレードに位置するお買い得なグレードとして設定され続けている。中古市場のPAリミテッドとPCリミテッドについて
中古市場では特別仕様車というグレード設定にも関わらず充実装備のためPCリミテッドの流通量が比較的多い。また燃費性能も軽ワンボックスにしては先代よりも良く、ライバルよりも5AGSや軽量ボディのおかげで幾分良好だ。もし中古で予算があるならDA17V型のPCリミテッドの(癖はあるが慣れれば快適な)5AGS仕様もオススメしたいが、不具合の事例もあるため悩ましいところ。軽貨物のエブリイは昨今流行りのフードデリバリーや個人委託の配送業務に使う場合も元々4ナンバーなので黒ナンバー化するだけでかなりお手頃で、充実装備の特別仕様だと快適性も比較的高く頼もしい。価格はPAグレードよりも少し高めで、高年式モデルだと割高感が少しある。OEMモデル・マツダ スクラムバン PAスペシャル&PCスペシャル
なお、PAリミテッドとPCリミテッドはマツダ自動車にスクラムバンの特別仕様車、PAスペシャルとPCスペシャルとしてもOEM供給された(PAスペシャルその後カタロググレードに昇格している)。 PAスペシャルは2WDで5AGSのみの設定だが、他人と被りたくないあるいはマツダブランドが好きな人はPAスペシャルもオススメである。【5代目 エブリィOEM・特別仕様】マツダ スクラムバン PAスペシャル(DG17V)概要解説
スクラムバンはマツダの(軽貨物)ワンボックス型軽自動車で、スズキ・エブリイ(DA17V型)のOEMモデルである。本稿では5代目DG17V型に設定された特別仕様車、「PAスペシャル」を扱う。出典:マツダ認定中古車5代目 マツダ・スクラムバンと...
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