NV100クリッパーは日産の(軽貨物)ワンボックス型軽自動車で、スズキ・エブリイ(DA17V型)のOEMモデルである。本稿では3代目DV17V型を扱う。
出典:日産認定中古車
- 日産 3代目・NV100クリッパーとは?
- 日産版・NV100(DR64V)クリッパーとスズキ・エブリイ(DA17V)との違い
- 3代目NV100(DR17V)クリッパーの改良点
- 3代目NV100クリッパーのグレード一覧 DX,DX GLパッケージ,GX,GXターボの違いなど
- NV100クリッパー(DR17V)とNV100クリッパーリオ(DR17W)の違い
- NV100クリッパーバンのエクステリア(外装)
- エンジン・機能装備・安全装備など
- NV100クリッパー(DR17V)の最大積載量 AmazonFlexで利用可
- NV100クリッパー(DR17V)の税金 軽貨物・4ナンバー登録で安い
- 2023年3月31日届出 NV100クリッパーのリコール AGSの不具合
- NV100クリッパーバンのインテリア(内装)
- 3代目NV100クリッパーの総評
- 兄弟OEMモデル マツダ・スクラムバン、三菱・ミニキャブバン
日産 3代目・NV100クリッパーとは?
2015年2月にフルモデルチェンジし、3代目となった日産のNV100クリッパー。
初代は2003年に三菱・ミニキャブバンのOEMモデルとして登場。ミニキャブバンの生産終了後はスズキ・エブリイ(DA64V)のOEMモデルとして継続されていた。
そのエブリイがフルモデルチェンジしたのを機に日産のNV100クリッパーもフルモデルチェンジとなった。
3代目となるNV100クリッパーは6代目スズキ・エブリイ(DA17V)がベース。ベースとなった6代目エブリイはおよそ10年ぶりのフルモデルチェンジとなり、最新技術が注ぎ込まれたフルモデルチェンジとなっている。

エンジンは新型のR06A型を採用。先代までのK6Aに置き換わり吸気VVT機構を採用し低燃費や低速トルク強化でワンランクアップ。ボディやフレームには高張力鋼板などの使用範囲の拡大やエンジン、足回り、内装、電装部品などで軽量化を実施し先代比で最大40kgの軽量化を実現。
パッケージングはタイヤ位置とダッシュパネルを前方に移動することにより乗員スペースの広さをキープしつつ荷室が先代よりも拡大。
DXグレードでは1910mm(※2名乗車でリアシート倒した状態)の荷室長でクラストップレベルを実現した。
オートマチックトランスミッションも先代までの3ATに変わり5MTをベースにクラッチを自動化した5AGSを新規採用。
ターボ用は4ATを用いるなど商用モデルでありながらワンランク上の部品で静粛性アップや低燃費化を実施した。
これにより2駆(FR)の5AGSモデルでは20.2km/L(JC08モード)の低燃費を実現するなどフルモデルチェンジに相応しいメカニズムが与えられた。
収納スペースもインパネドリンクホルダーやセンターミドルトレー、フロントドアポケットなどをインパネに効率よく配置。頭上の上にはオーバーヘッドシェルフの採用(※DX GLパッケージ、GX、GXターボグレードのみ)でより利便性を高めた。
自動ブレーキ技術では「エマージェンシーブレーキ(※スズキのレーダーブレーキサポートに相当)」をグレード別に設定。踏み間違い衝突防止アシスト、VDC、エマージェンシーストップシグナル、ヒルアシストスタートなどもグレード別に設定した。
日産版・NV100(DR64V)クリッパーとスズキ・エブリイ(DA17V)との違い
NV100クリッパーとエブリイとの違いは外観上はほとんどなく、エンブレムが異なる程度。
初代NV100クリッパーが登場したときはグリル周りに専用デザインが用いられていたが、2代目以降から差別化がなされていなくなった。
※同シリーズのOEM軽トラ、NV100クリッパートラックは日産専用デザインが採用される。
グレード構成では若干異なり、エブリイのPAリミテッドに相当するグレードがNV100クリッパーではDXグレード。
エブリイの最廉価グレードであるPAグレード(キーレスエントリーやスモークガラス、全面UVカット機能付ガラス等を省いた最安グレード)は存在しない。その分一番安いDXグレードの価格が若干高くなっている。
また、ターボ仕様の「ジョインターボ」には5MTの設定があるのに対し、NV100クリッパーでは4ATのみの設定となっていた(※2021年9月の4型改良でエブリイ・ジョインターボ&5MTは廃止されている)。

3代目NV100(DR17V)クリッパーの改良点
2016年12月
セットオプションに含まれていたABS+EBDをDXとDX GLパッケージの5AGS車に標準装備化。さらにヒルスタートアシストを新たに標準装備した。
2017年5月・一部改良(3型)
2017年5月の一部改良ではDX系グレードの5AGS車に2速発進モードを新設定した。また、GXグレードに採用していた5AGSを廃止し、4ATに変更した。
2018年4月・一部改良
2018年4月の一部改良では「DX エマージェンシーブレーキパッケージ」に装備されているリモートコントロールエントリーシステム、カーアラーム、プライバシーガラスを「DX(ハイルーフ)」にも標準装備化した。
さらにABS+EBDを「DX」と「DX GLパッケージ」の5MT車にも標準装備されたことで、ABS関連の安全装置が全車標準装備化された。
2019年6月の・部仕様変更
2019年6月の一部仕様変更では「エマージェンシーブレーキ」がステレオカメラ方式の「インテリジェント エマージェンシーブレーキ(スズキ版のデュアルカメラブレーキサポート)」にアップデート。
これにより「踏み間違い衝突防止アシスト」は前進時にエンジン出力を抑制する制御をプラス。後退時ブレーキサポートや先行車発進お知らせ、ハイビームアシスト、オートライトシステムが新たに標準装備となった。
2021年9月・一部改良(4型)
2021年9月の一部改良では
- 夜間の歩行者検知も可能とした「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」
- 踏み間違い衝突防止アシスト
- LDW
- インテリジェント DA
- 先行車発進お知らせ
- ハイビームアシスト
が「DX セーフティパッケージ」と「DX GL セーフティパッケージ」に標準装備化された。
DXグレードでは標準ルーフを廃止してハイルーフのみに変更。さらに乗用モデルのディスチャージライトがGXターボにオプション設定で選択可能となった。
快適装備ではパワーウインドウを「DX」と「DX セーフティパッケージ」に、電動格納式リモコンカラードドアミラーを「DX GLパッケージ」にそれぞれ標準装備。
インテリアでは4ATのパーキングブレーキが足踏み式からレバー式に変更。全グレードでUSB電源ソケットを標準装備化。
GXとGXターボにはフロントメッキグリルが標準装備で追加された。
2022年4月・一部改良
リアのルームランプにLEDを標準採用。オーバヘッドコンソールをオーべヘッドシェルフに変更し収納容量を向上&使い勝手をアップさせた。
さらにGXグレードではステアリングを本革巻きステアリングに変更した。
一方でエブリィワゴンに設定の「バックアイカメラ付ディスプレイオーディオ」単体でのオプション設定は未設定で、日産ディーラーオプションの「日産オリジナルナビゲーション」と「バックビューモニター」の同時装着、または「ナビレコカメラお買い得パック」での対応となる。
2024年4月・一部改良(6型相当・クリッパーバン復活)
2024年4月の一部改良では、OEM元のエブリイ6型と同様の改良が施された。
大きな変更点は
- (4ナンバー)ターボ仕様の復活
- 4ATをCVTに置換
- 4WDのCVT仕様にはブレーキLSDを標準装備化
- パートタイム4WDは電子制御式4WDに変更
- グレード構成の見直し
など大幅改良となった。まず、ターボ仕様で最上級の「GXターボ」が約2年ぶりに復活・再設定。機能装備に
- オートエアコン
- オートスライドドア
を標準装備しつつ、CVT専用グレードとして設定された。これにより4ナンバーのターボ仕様でかつCVTの軽バンが設定されたことになる。
グレード名称では「DX セーフティパッケージ」を廃止して「DX」へ統合。
トランスミッションは「DX」グレードに設定されていた5AGS及び「DX GLパッケージ」、「GX」に設定されていた4ATを廃止し、ATはすべてCVTへ置換となった(※エブリイの4ATは非設定)
CVT車には「ブレーキLSD」(ぬかるみ脱出アシスト(ブレーキLSDトラクションコントロール)のOEM)が標準装備化。4WD・CVT車には
- 「2WD」
- 「4WD AUTO」
- 「4WD LOCK」
の3つの走行モードの切り替えスイッチを備えた電子制御式4WDを採用。
機能装備として、LEDヘッドライトを「DX GLパッケージ」、「GX」、「GXターボ」に標準装備化。このほか
- 運転席ヒーター付シート
- 助手席シートバックテーブル
も標準装備化された。さらに「GX」のCVT車と「GXターボ」には
- インテリジェントキー
- スライドドアクロージャー
が追加で装備となった。
ボディカラーも従来設定されていなかった
- クールカーキパールメタリック
- スノーパールホワイト3コートパール(特別塗装色)
- 新色のデニムブルーメタリック
- モスグレーメタリック
を追加。これによりエブリイOEMモデルの中では最も多いボディカラー設定となった。
※デニムブルーメタリックとクールカーキパールメタリックはCVT車専用、モスグレーメタリックとスノーパールホワイト3コートパールは「GX」のCVT車と「GXターボ」専用。
車名変更に伴い、フロントとリアの日産エンブレムやステアリングのホーンパッド部にある日産ロゴマークは2020年7月以降から用いられる現行の日産ロゴマークに変更。車名ロゴも(リア左下のデカールは「CLIPPER」)もフォントが変更された。
3代目NV100クリッパーのグレード一覧 DX,DX GLパッケージ,GX,GXターボの違いなど
3代目NV100クリッパーのグレード構成は廉価グレードの「DX」、DXに自動ブレーキをプラスした「DXセーフティパッケージ」。
DXに快適装備をプラスしたミドルグレード「DX GLパッケージ」、上級「GX」、上級ターボ仕様「GXターボ」の5種類。
特別仕様車(エブリイのPAスペシャルなど)は非設定で、基本グレードのみとなる。
2024年4月の一部改良ではグレード構成が若干整理され、「DX」、「DX GLパッケージ」、「GX」、「GXターボ」の4種類となった。
乗用モデルのNV100クリッパーリオはこちらから。

DXグレード
3代目NV100クリッパーの廉価グレード。装備が簡略化された分、価格が一番安いグレード。
スズキの「PA」グレードに相等するが、「PA」よりも装備が若干豪華な分、価格は少し高い。
エクステリアでは
- 樹脂タイプの手動式ドアミラー
- スチールホイール(ホイールカバーレス&センターキャップ付き)
で質素な外観に。ただしエブリイ廉価グレード(PA)には非装備の
- リアのプライバシーガラス
- キーレスエントリー
- パワーウィンドウ ※2021年9月一部改良以降
などの快適装備が付き、PAグレードよりも少し豪華になる。
インテリアでは
- タコメーター無しの単眼式メーター
- フロントシート表皮がビニールのヘッドレスト一体型シート
- オーバーヘッドシェルフ ※2019年6月一部改良以降でハイルーフ仕様のみ
を採用。リアシートは一体可倒式の軽バンタイプを採用。
安全装備としてABS+EDBや運転席&助手席エアバッグ、フロントスタビライザーは標準装備するが、自動ブレーキ類は非装備。
2021年9月の一部改良で標準ルーフが廃止された。
2024年4月の一部改良ではDXセーフティパッケージと統合となり、4ATと5AGSを廃止してAT仕様はすべてCVTに置換。下記、「DX セーフティパッケージ」の自動ブレーキやタコメーター、ハイビームアシスト等が標準装備化された。
DX セーフティパッケージ
上記DXグレードに自動ブレーキをプラスしたグレード。エブリイの「PA スズキセーフティサポート装着車」に相当する。
DXグレードに加えて安全装備で先進安全装備や自動ブレーキの
- VDC
- インテリジェントエマージェンシーブレーキ
- 踏み間違い防止アシスト
- 車線逸脱警報
- ふらつき警報
- 先行車発進お知らせ
のほか、快適装備のハイビームアシスト、タコメーター付き2眼式スピードメーターが備わる。
2024年4月の一部改良で廃止し、DXグレードに統合となった。
DX GLパッケージ
DXグレードに対して快適装備をプラスし、自動ブレーキも標準装備としたミドルグレード。
エブリイ「PC」のグレードに相当する。
「DX GLパッケージ」ではDXの装備に対し快適装備の
- 電動格納式リモコンカラードドアミラー ※2021年9月一部改良以降
- オートライト
- ホイールキャップ
- ハイビームアシスト
- タコメーター付き2眼式スピードメーター
を追加で標準装備し快適性をアップ。シート表皮もヘッドレスト一体型でない、上級GXグレードと同じヘッドレスト分離型形状のファブリックシート表皮に変更。
ただしリアシートは左右一体式のベンチシートを採用し、クッションも薄く快適性はDXと同じレベル。
その一方でオーディオはレス仕様となり、2スピーカーのみ標準装備となる。
このほか燃費アップのために「DX GLパッケージ」からアイドリングストップ機能が標準装備化される。
2022年4月の一部改良では「DX GL セーフティパッケージ」を「DX GLパッケージ」に吸収統合し、自動ブレーキ類の
- VDC
- インテリジェントエマージェンシーブレーキ
- 踏み間違い防止アシスト
- 車線逸脱警報
- ふらつき警報
- 先行車発進お知らせ
が標準装備となった。
2024年4月の一部改良ではATがCVTに置換され、機能装備も拡充。LEDヘッドライト、運転席ヒーター付シート、助手席シートバックテーブルなどが標準装備化された。
DX GL セーフティパッケージ
2019年6月一部改良で「DX GL エマージェンシーブレーキパッケージ」から名称変更したグレード。
DX GLパッケージの装備に加えて自動ブレーキ類の
- VDC
- インテリジェントエマージェンシーブレーキ
- 踏み間違い防止アシスト
- 車線逸脱警報
- ふらつき警報
- 先行車発進お知らせ
が標準装備となる。2022年4月の一部改良で、「DX GLパッケージ」に吸収統合され廃止となった。
GXグレード
3代目NV100クリッパーの上級グレード。エブリィの「ジョイン(join)」に相当する。
上記DX GLパッケージの装備に加えてエクステリアでは2021年9月以降のモデルでキセノンヘッドライトをオプション選択可。
2022年4月の5型以降ではキセノンヘッドライトとメッキフロントグリル、本革巻きステアリングが標準装備となった。
リアシートもバンの左右一体式ベンチシートから、乗用モデル用の左右分割式シートに変更されヘッドレスト&リアセンターアームレスト付きの快適なシートとなる。
また、ドアトリムクロスも標準装備で、ほぼ乗用モデルのクリッパーリオに近い内装が与えられる。
ただし、GXグレードでもエアコンはマニュアル式エアコンとなる。
自動ブレーキ類も標準装備で、NT100クリッパーバンの中でも豪華な仕様。

2024年4月の一部改良ではLEDヘッドライト、インテリジェントキー、スライドドアクロージャーなど機能装備を拡充し、4ATがCVTに置換。CVT仕様にはブレーキLSDや電子制御式4WDも標準装備化された。
GXターボ
上記GXグレードにターボエンジンを搭載した最上級グレード。エブリイのジョインターボに相当。
ただし日産版では4ATのみの設定。
2022年4月の一部改良でカタログ落ちし、以後は絶版グレードとなったが、2024年4月の一部改良で復活した。
復活したGXターボでは4ATをCVTに置換し全車速域における静粛性を向上。4WD仕様ではブレーキLSDや電子制御式4WDで扱い安さが向上している。
機能装備でも
- インテリジェントキー
- スライドドアクローザー
を標準装備化し、より5ナンバー仕様のリオに近い快適性を高めた上級グレートなった。
NV100クリッパー(DR17V)とNV100クリッパーリオ(DR17W)の違い
NV100クリッパーとNV100クリッパーリオの違いは大きくは4ナンバー軽バンか、5ナンバー乗用モデルの違いがある。
ボディ形状は同じだが、細かく見ると内外装やラゲッジスペースの広さが異なる。
クリッパーリオは乗用モデルで内外装が豪華なのに対し、クリッパー(バン)は簡素でグレードにもよるが必要最低限な装備が特徴。
さらにミニキャブバンの手動式スライドドアに対しタウンボックスは全グレードでパワースライドドアを標準装備。最上級グレードでは助手席側にオートストップを備えるなど、機能装備も豪華。
出典:日産認定中古車
エクステリアではNV100クリッパーリオはフルエアロ化され、メッキグリルに4灯式ヘッドライト、専用テールランプ、アルミホイールでスタイリッシュとなるが、
出典:日産認定中古車
クリッパーは軽バンらしくスチールホイールまたはホイールキャップ、エアロパーツも無く、ハロゲンヘッドライトに従来どおり貧素なテールランプなど、コストカットされる。
またクリッパーには標準装備のパワースライドドアが基本非装備で、リアシートもクリッパーリオはヘッドレスベッドやアームレスト付きで快適性が高く、足元空間が広いが、
クリッパーバンではGX以外はヘッドレスベッドなしのベンチシートタイプで、足元も狭い。
その分ラゲッジスペースはクリッパーリオよりもクリッパーバンのほうが広く、より荷物を積めるようになっている。
また軽自動車税も異なり5ナンバーのクリッパーリオ年10,800円に対し、4ナンバー軽貨物のクリッパーバンは年5,000円(営業用貨物登録だと3,800円)と半分ぐらい違う。
NV100クリッパーバンのエクステリア(外装)
出典:トヨタ認定中古車
フロントデザイン。オーソドックスな箱型の軽バンらしいシンプルな顔つき。
先代のイメージは持たせつつも3代目ではヘッドライトの形状が若干鋭角に変更されており、さりげないスタイル感がプラスされている。
日産仕様としてはエンブレムがスズキマークから日産マークに変更になる程度で、バンパーやグリルまわりのデザインはまったく同じ。
出典:日産認定中古車
上級グレードのGXとGXターボでは2021年9月の一部改良でメッキグリルが標準装備となる。さらにGXターボにディスチャージライトをオプション設定とした。
2024年4月の一部改良ではこれがLEDヘッドライト(ハイロー独立4灯式)に変更。「DX GLパッケージ」、「GX」、「GXターボ」に標準装備化された。
出典:日産認定中古車
サイドから。このあたりは先代モデルとほぼ同じデザイン。両側スライドドアを備えるがバンなので左右とも手動式。その分車重が軽い。ドアミラーはDXグレードのみ手動タイプ。
出典:日産認定中古車
足元は12インチ。ホイールキャップはGXとGXターボのみ標準装備で、DXグレードでは鉄チンホイールとなる。タイヤサイズは145/80R12。
出典:日産認定中古車
リア。このあたりも先代モデルとほぼ同じデザイン。
日産仕様としてリアゲートのエンブレムが日産マークへ。さらに車名を示すNV100クリッパーのデカールがエブリイでは右下に対し、左中位置へと若干違いがある。
2024年4月の一部改良では「クリッパーバン」への名称変更に伴い、車名デカールからのNV100の文字が消えた。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジン・トランスミッション・駆動方式など
エンジンはR06A型直列3気筒自然吸気エンジンまたは同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンは最高出力49ps(36kW)/5700rpm、最大トルク6.3kg・m(62N・m)/3500rpm。
ターボ仕様は最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク9.7kg・m(95N・m)/3000rpmを発生する。
2022年4月一部改良では排気側にも可変バルブタイミング機構を用いた改良型を採用。
最大トルクも若干抑えられ、自然吸気エンジンは最高出力49ps(36kW)/6200rpm、最大トルク6.1kg・m(60N・m)/4000rpmとなった。
乗用モデルではターボのみだったが、商用モデルでは自然吸気エンジンも選択可能となっている。トランスミッションは4AT、5AGSもしくは5MTの3種類。
ただし、5AGSは自然吸気エンジンのみの設定となる。駆動方式はFRまたは4WD。スズキ版にあったターボ&5MTは日産仕様には非設定。
先代では旧式のK6Aターボだったがこれを新世代のR06Aに置換。ボディも高張力鋼板の使用拡大やその他軽量化でシェイプアップし先代よりも最大で1Lあたり2km前後燃費を改善した。
自動ブレーキなど
2019年6月の一部仕様変更では「エマージェンシーブレーキ」がステレオカメラ方式の「インテリジェント エマージェンシーブレーキ(スズキ版のデュアルカメラブレーキサポート)」にアップデート。
これにより「踏み間違い衝突防止アシスト」は前進時にエンジン出力を抑制する制御をプラス。後退時ブレーキサポートや先行車発進お知らせ、ハイビームアシスト、オートライトシステムが新たに標準装備となった。
2021年9月の一部改良ではGXターボでは「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」、「踏み間違い衝突防止アシスト」、LDW、インテリジェント DA、先行車発進お知らせ、ハイビームアシストがDXグレードとDX GLパッケージに標準装備化された。
NV100クリッパー(DR17V)の最大積載量 AmazonFlexで利用可
NV100クリッパーの最大積載量は全グレードで350kg。
最近登場したスペーシアベースでは最大積載量が200kgのため、AmazonFlexの条件に適合せず使えないが、NV100クリッパーはDX、DX GLパッケージ、GX、GXターボでもいずれのグレードでもAmazonフレックスで使える。
旧モデルのダイハツ・10代目ハイゼットカーゴのクルーズターボでは最大積載量が200kgで条件に適合しない問題があるが、スズキの6代目エブリイではその心配は無用だ。
もちろん、AmazonFlex以外にウーバーイーツやWoltなど地方のフードデリバリー配達や小口配達(個人の委託契約)にも使えるので、このあたりは一番応用力が高い軽バンでもある。
NV100クリッパー(DR17V)の税金 軽貨物・4ナンバー登録で安い
NV100クリッパーは4ナンバー・軽貨物登録の軽自動車。
軽貨物で自家用登録だと1年間の税金が5,000円。乗用モデルのNV100クリッパーリオなどの一般的な5ナンバーの軽自動車は10,800円のため、年間5,800円浮く計算になる。
浮いた軽自動車税分は他の物を買ったり、12ヶ月点検や2年に一回の車検代に充当できる。仮にNV100クリッパーを10年保有すれば単純計算58,000円もの節税になる。
また、営業用として使う場合は「営業用貨物車」となり、年間3,800円とさらに安くなる。
ただし黒ナンバー登録(事業用)で使うと、乗用で使えた自動車保険が使えず、黒ナンバー専用の自動車保険が必要になり、これがかなり高いので軽自動車税が安いメリットはあまり無い。
フードデリバリーなど個人委託の配送サービスで使う場合は保険のコストがかさむ点に注意が必要だ。
2023年3月31日届出 NV100クリッパーのリコール AGSの不具合
2023年3月31日に日産自動車はNV100クリッパーで採用する5AGSに不具合があるとして、リコールを発表した(届け出は製造元のスズキ自動車)。
不具合の内容は
- 機械式自動変速機(AGS)のクラッチケーブルにおいて、防水のための被覆構造が不適切なため、芯線に錆が発生するものがあります。そのままの状態で使用を続けると、クラッチケーブルの芯線が破断し、警告灯が点灯するとともに変速不能及び走行不能となるおそれがあります。
- 機械式自動変速機(AGS)のオイルポンプとオイルポンプ駆動用モータのジョイント部において、外部との通気構造が不適切であったため、オイルポンプからオイルが滲んだ場合、オイルが空気と共に、モータ側に浸入することがあります。そのままの状態で使用を続けると、モータ内部が短絡して作動しなくなり、警告灯が点灯するとともに変速不能及び走行不能となるおそれがあります。
- 機械式自動変速機(AGS)において、オイルポンプ駆動用モータのブラシ材質が不適切なため、高温、高湿条件においてブラシが膨張し、摺動不良となるものがあります。そのままの状態で使用を続けると、最悪の場合、ブラシが固着してモータが通電不良により作動しなくなり、警告灯が点灯するとともに変速不能及び走行不能となるおそれがあります。
としている。最悪走行不能になるケースもあるようなのでリコール対象車種の場合はかならず近くのディーラーでの無料整備を受けることを強くすすめる。
このリコールでは対象車種のアクチュエータを点検し、不具合に該当する場合は
①クラッチケーブルを対策品に交換
②オイルポンプとオイルポンプ駆動用モータを対策品に交換
③オイルポンプ駆動用モータを対策品に交換
の無料実施を行う。
対象車種は
- DR17V-100004~DR17V-153673で、製造年が平成27年2月14日~平成29年4月28日
(46,855台) - DR17V-250001~DR17V-312827で、製造年が平成29年5月8日~令和元年6月4日
(49,141台) - DR17V-420002~DR17V-472964で、製造年が令和元年6月4日~令和3年7月2日
(22,926台)
なお、5MTモデルや4ATモデルは対象外となり、すべて5AGSのみが今回のリコール対象。
エブリイのOEMモデルの中でも日産バージョンは最も販売台数が多く、リコール対象台数もエブリイに次いでかなり多い。
NV100クリッパーバンのインテリア(内装)
出典:日産認定中古車
インパネ。商用モデルだが先代よりもよりシンプルかつ機能性を高めて洗練されている。特に左右のエアコン吹き出し口のすぐ下には新たにドリンクホルダーが設けられ、利便性がアップしている。
ステアリングは全グレードでウレタンステアリングホイール。
パートタイム4WD車では4WDスイッチをON・OFFにすることで2WDと4WDを任意に切り替えて使う。
2024年4月の一部改良では4WD・CVT車に電子制御式4WDを採用。スイッチボタンの2WD、4WDオート、4WDロックを任意に切り替えて使用する。4WDオートに入れておけばこれまでのパートタイム式4WDのようなタイトコーナーブレーキング現象が発生しづらく格段に扱いやすくなった。
また、4WD・CVT仕様ではブレーキLSDも標準装備化され雪道や林道などのぬかるんだ路面でもスタックしづらくなった。
エアコンはマニュアルエアコン。
スピードメーターは自然吸気エンジンがシンプルな1眼式。
ターボ車では乗用モデルと同じタコメーター付きの3眼式となる。

2019年6月の一部仕様変更以降は、自動ブレーキを搭載した「DXセーフティパッケージ」や「DX GLパッケージ」にもタコメーター付きの3眼式が標準装備化された。
オプションで2DINのナビ等を設置可能。
5MTのシフトまわり。先代と同じインパネシフトとなる。
5AGSのシフトまわり。
出典:Goo-net
フロントシートはセパレートタイプ。DXグレードでは軽貨物らしいヘッドレスト一体型の貧素なシートだが
出典:日産認定中古車
GXグレードでは乗用モデルと同じシート形状に変更される。
出典:Goo-net
DXグレードのリアシート。ヘッドレストが無い軽貨物タイプの簡易シート。
出典:日産認定中古車
GX系グレードのリアシート。ヘッドレストが付いて乗用モデルと同等となる。また、リアのパワーウィンドウも標準装備。足元も軽貨物にしてはそこそこ広くアルトバンに比べると快適性は高い。
出典:日産認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:日産認定中古車
リアシートを倒した状態。
なお、DX系グレードとGX系グレードでは荷室長に違いがあり、リアシートを倒した状態の長さはDXグレードは1910mm、GXグレードは1820mmと荷物をメインに乗せるか人を乗せるかで仕様が異なる。
3代目NV100クリッパーの総評
3代目NV100クリッパーは、刷新されたエンジンに軽量化がはかられたボディ、自動ブレーキやよりスタイリッシュになったデザインなど先代よりも魅力がかなりアップしたフルモデルチェンジとなった。
エブリイのジョインターボにあった5MTの設定が無いのは残念だが、それ以外では使い勝手も良く広い荷室に加えて日産というネームバリューによりスズキの安っぽさが感じられないOEMモデルである。

特に燃費面では5AGSや5MTであれば同年代のライバルと比較しても優れており、加えて日産によるブランド力もあってOMEモデルな軽貨物バンの中では隠れた名車となっている。
特に税金面でも軽貨物として優遇されるため、日産の販売店が多い都市部の企業が社用車として買う場合も人気がある。
中古市場では3代目モデルのタマ数がOEMモデルとしては異例なほど豊富で、高年式ゆえにあまり安くはないが、中古で買う場合も見つけやすい。
マツダや三菱版と異なりブランド力や販売力の高さなのか、その人気の高さが伺える。
兄弟OEMモデル マツダ・スクラムバン、三菱・ミニキャブバン
なお、同じ兄弟モデルにマツダのスクラムバン、三菱のミニキャブバンがあるが、この2つはほとんど売れておらず、NV100クリッパーよりも見かけないレアな軽バンとなっている。


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