エブリイワゴンはスズキのワンボックス型軽自動車である。ここでは2代目のDA64W型の2010年5月~を後期型とし、これを扱う。
出典:スズキ認定中古車
2代目 スズキ・エブリィワゴンとは?
2005年8にフルモデルチェンジし、2代目となったスズキ・エブリイワゴン。初代は軽自動車新規格時代に登場。商用モデルの「エブリイ」に対し、乗用モデルは「エブリイワゴン」となる。
2代目の開発コンセプトは「ファミリーがファーストカーとして選んで満足できる『軽ミニバン』」。
快適な居住空間と便利な積載性能を追求し、パワースライドドアの採用など乗用モデルとしての使い勝手をさらに向上させたフルモデルチェンジとなった。
エクステリアでは箱型で安定感のあるスクエアかつスタイリッシュなボディデザインにピラーの一部をブラックアウト化。開放的かつ大きな窓を表現した。
さらにグリップ式メッキドアハンドルの採用や、スライドドアレールガーニッシュの採用、3つの新色を追加した7種類の豊富なボディカラーを採用した。
インテリアではベージュとブラウンの2色を採用し、グレード別でJPとJPターボにはブラウンシート。PZターボ、PZターボスペシャルグレードにはブルー&グレーの2タイプのシート表皮を用意。
便利装備としては軽乗用モデルでは初となるパワースライドドアを採用し、スライドドアクローザーも新規採用した。
さらにPZ系グレードには電動オートステップ(※PZターボのみ)、フルオートエアコンなど上級装備を充実させた。
パッケージングは全車にインパネシフトを採用し、前席は左右ウォークスルーを実現。前席と後席に内蔵式乗降ステップを採用。また乗り降りしやすいよう大型乗降グリップも使用した。
また、L型ロアアーム+サスペンションフレームの新構造を採用し、サスペンションの取付け剛性を上げることで、操縦安定性と乗り心地を向上させた。
ボディにはハシゴ状のフレームや高張力鋼板を多用した新開発ボディーを採用し、万が一の歩行者への頭部衝撃を緩和する衝撃吸収構造をボンネットやフェンダーなど車体前部に採用。乗員に対してはピラーやルーフサイドなどの一部に衝撃吸構造を採用した。
快適装備としては全車にカテキン・エアコンフィルター付きエアコン、AM/FMラジオ(JOINグレードはCD付き)を全グレードに標準装備。
安全装備としてもパワードアロック、セキュリティアラーム、運転席・助手席SRSエアバッグを全車標準装備とした。
2代目エブリイワゴン・後期型の改良点と前期や中期との違い
その2代目エブリイワゴンは2010年5月に2回目となるマイナーチェンジ(5型改良)をうけて後期型となった。
出典:ホンダ認定中古車
サイドアンダースポイラーのデザイン変更し、リアコンビランプをクリアータイプにすることで個性と精悍さをアップさせた。
また燃料給油口付近の改良も行われ、パレットで先行していたものと同じくキャップホルダーがフューエルリッド裏側に取り付けられた。
エンジン構成は前期にあった自然吸気エンジングレードが消滅。全てターボエンジン搭載グレードのみとなった。
さらにターボエンジンはセッティングが見直され、中期モデルよりも低速トルクを向上。最大トルクが減少したものの、ストップ・アンド・ゴーが多い街乗りでの扱いやすさを向上させた。
インテリアではシート表皮のセンター部分を細かなブロック柄とし上質感をプラス。
ボディカラーには新色の「ブリーズブルーメタリック」を追加するなど最上級グレードにおいて内外装でスタイリッシュさをアップさせたマイナーチェンジとなった。以下、詳細を解説する。
2代目・後期型エブリィワゴン(DA64W)のグレード JPターボ,PZターボ,PZターボスペシャルの違い
2代目・後期型エブリィワゴンのグレード展開は下から順に「JPターボ」、「PZターボ」、「PZターボスペシャル」の3種類。
後期モデルは全グレードでターボエンジン仕様のみで、各グレードに標準ルーフとハイルーフ仕様の2種類を設定。
JPターボ
2代目後期エブリィワゴンのエントリーグレード。装備が一番簡素な分、価格を抑えた安価なグレード。
エクステリアでは13インチスチールホイール+ホイールキャップ、ベーシックなメッキグリルに標準テールランプの装備で、クリアーテール、テールゲートメッキガーニッシュ、リアスポイラー、パワースライドドアは非装備。
インテリアでは後期マイナーチェンジが適用されず、中期型と同じシート表皮を採用。
快適装備はマニュアル式エアコンにパワステ、キーレスエントリー、パワーウィンドウなどを標準装備する。
PZターボ
2代目後期エブリィワゴンの上級グレード。内外装がJPターボより豪華になる。
エクステリアでは専用大型メッキグリルにフォグランプ付きエアロバンパー、サイドアンダースポイラー、リアスポイラー、クリアーテール、テールゲートガーニッシュ、リアバンパー、13インチアルミホイールを標準装備。エクステリアがスタイリッシュになる。
快適装備も後席左側パワースライドドアを標準装備。
インテリアでは後期マイナーチェンジが適用されシート表皮がセンター柄にブロック柄を採用した上級シートとなる。
快適装備ではフルオートエアコンを標準装備する。
PZターボスペシャル
2代目後期エブリィワゴンの最上級ターボ仕様車。PZターボの装備に加えてさらに快適装備が豪華になる。
エクステリアでは14インチアルミホイールに後席両側パワースライドドア+左側後方にはオートステップ機構も標準装備。
PZターボスペシャルには快適装備のディスチャージヘッドランプをオプション設定。
2代目・後期エブリイワゴンのエクステリア(外装)
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。後期型ではメッキグリルのデザインを大幅変更。直線1本と下にVの字状のグリル3本を組み合わせた存在感あるメッキグリルとした。
さらにバンパーやフォグランプのデザインも同時に変更され、それまでのPZターボやPZターボスペシャルとは異なる精悍な顔つきになった。
ヘッドライトはオプションのHIDを選択するとハイローが独立したヘッドライトとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
なお、この変更が適用されるのはPZターボとPZターボスペシャルの2グレードで、一番下のJPターボではそれ以前の顔つきとなる。
出典:スズキ認定中古車
サイド。後期型ではサイドアンダースポイラーのデザインを刷新した。
足元はJPターボとPZターボが13インチアルミホイール。PZターボスペシャルのみ14インチアルミホイールとなる。
出典:スズキ認定中古車
リア。後期型ではコンビランプをクリアーテール化。標準タイプよりもスタイリッシュなリアビューとなっている(※ただしJPターボは標準テールランプにメッキガーニッシュが非装備)。
ボディカラーには後期型で写真色、水色系の「ブリーズブルーメタリック」が追加され、華やかな色が選択できた。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはK6A型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンのみ。前期では自然吸気エンジンの設定があったが、後期ではグレードを集約して廃止。すべてターボエンジンのみとなった。
ターボエンジンの最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.7kg・m(95N・m)/3000rpm。
トランスミッションは4ATのみで駆動方式はFRまたは4WDとなる。
ターボエンジンは後期型で出力が見直され、前期と中期の最大トルク10.5kg・m(95N・m)/3500rpmから減少している。その分中速域でのトルクが増えて街乗りでは乗りやすくなっている。
自動ブレーキ等の装備は一切設定がなく、搭載されるのは次の3代目エブリイワゴンからとなる。
このほか安全装備として運転席&助手席エアバッグとABS、セキュリティーアラームが全グレードで標準装備となる。
2代目エブリイワゴン(DA64W)は燃費が悪い&その原因とは?
2代目エブリイワゴンは燃費が悪いモデルである。
というのはこの手の軽ワンボックス全般にいえるのだが、車重が1トン近くもあり、ボディ形状も空力抵抗の大きい箱型形状、加えて2代目エブリイワゴンは旧式のトルコン式4ATを採用しストップ・アンド・ゴーの多い街乗りでは伝達効率が悪く、燃費も悪くなる。
さらに4WDモデルで車重が2WDモデルよりも増え、路面状況によっては4WDとなるため走行抵抗も増す。
これら要因から実燃費は2WDモデルで7.53km/L~15.27km/L、4WDモデルに至っては7.85km/L~12.18km/Lと、リッター10に届かない時がある。
※エブリイワゴンでもMTモデルは燃費が良いが、後期モデルはすべてターボ&4AT化されている
同年代のライバル、ダイハツ・アトレーワゴンも似たような数値で、この手の軽ワンボックスは全体的に燃費が悪い。
2代目・後期エブリイワゴンのインテリア(内装)
出典:goo-net
インパネ。後期では特にデザインそのものの変更は無し。ステアリングはウレタンステアリングホイール。エアコンはJPターボがマニュアル式。それ以外はオートエアコンとなる。
スピードメーター。
出典:goo-net
フロントシートはベンチシートタイプ。後期ではセンター柄にブロック柄を採用。上質な雰囲気のシート表皮とした。
出典:goo-net
リアシート。
出典:goo-net
ラゲッジスペース。
出典:スズキ認定中古車
リアシートを倒した状態。軽貨物のエブリイゆずりのラゲッジスペースで、かなり広大だ。
まとめ
出典:スズキ認定中古車
2代目後期のエブリイワゴンは新しいグリルやバンパー、フォグランプにクリアーテールを採用し外観をスタイリッシュに。内装ではシート表皮にブロック柄を採用してより上質感をプラス。内外装でより精悍さをプラスさせたマイナーチェンジとなった。
前期や中期モデルよりも見た目の個性が強くなっており、特にその後の3代目にも通ずるデザインはこの後期型のセールスポイントとなっている。
最近はダイハツ・タントのヒットを筆頭にスズキ・スペーシア(旧パレット)、ホンダ・N-BOX、さらには三菱 ekスペース(日産 デイズルークス)とスーパーハイトワゴン型が次々と登場し人気がこちらにシフトしている。ジャンル的にはこのエブリイワゴンと同じで広い室内空間が特徴だ。
メカニカルな面でも効率のいいスーパーハイトワゴンのCVTに対し、ボディの軽量化など2006年デビューのエブリイワゴンには古さが目立つ。実際燃費に関してもカタログ値で1Lあたり10km以上の差がありガソリン代を考えるとこのエブリイワゴンはセールスポイントが見当たらない。
一方で荷室に関してはこちらが勝っており、座席を倒さずとも広くさらに倒せばかなりの積載量を誇る。4人フル乗車でも結構な荷物が積めるだろう。また、年数経過もあって最新モデルよりは安価に購入可能となっている。
燃費よりも室内空間、中古価格などがポイントで、このような箱型が好きという人が選ぶべき1台だろう。
中古市場では10年落ち・1世代前モデルで安価なタマもちらほら
2代目エブリイワゴンの後期モデルは、登場から10年経過することや現行モデルよりも1世代前のモデルとあって、以前よりも中古価格が下落し買いやすく個体が多くなっている。
現行・3代目モデルの6型以降ではトランスミッションが加速、燃費、静粛性に優れたCVTに置換され、かなり良くなるので予算に余裕があれば迷わず新車や新古車が良い。が、50~60万円程度の予算で5万キロ前後が欲しい場合は、2代目エブリイワゴンの後期モデルであっても十分中古車として魅力がある。
ただし、上述したとおり広さのトレードオフとして苦手な部分もあるためそのあたりは十分考慮して購入してほしい。
コメント