パレットSWはスズキのトールワゴン型の軽自動車。スズキ・パレットのカスタムモデルである。
出典:ガリバー
スズキ・パレットSWとは?
2009年9月に登場したスズキ・パレットSW。先にデビューしていたパレットのカスタム的なモデルで、専用の内外装が与えられたスポーティモデルでもある。
エクステリアはシャープさや立体感を強めた専用ヘッドライトにスケルトン構造の専用グリル、バンパーもエアロ形状とし、大開口のロアグリルとした。
また、ヘッドライトもディスチャージヘッドライトを標準で採用し、かつリアコンビランプも専用のスモークタイプを採用、細部まで差別化を行った。
インテリアではダークグレーのインパネやドアトリム、ブラック調のシート表皮などで上級感を与えた。
エンジンはK6A型を採用し、副変速機構付CVTを新たに採用するなど走り(発進加速、追い越し加速)や燃費も向上させた。
便利装備としてはバックモニター付きCDプレイヤーをオプション設定。別売りのUSB接続延長ケーブルとつなげることでiPodなどと連携可とした。
出典:ガリバー
ボディカラーもカスタムモデルらしく、パレットSW専用色としてパールホワイト、ルナグレーパールメタリックなど全6色を設定した。
なお、スポーティモデルがパレットSWに移行したことにより、標準パレットにあったパレットTやパレットTSが一時消滅。後に復活するも(標準Tグレードに)スポーティな装備がなされることは無かった。
そのため2009年9月のパレットSW登場以降は、パレットSWがスポーティなカスタムモデルとしての位置づけとなった。
パレットSW(MK21S)の前期・後期の違い、3型・4型改良など
パレットSWはデビューの2009年9月に登場し、生産終了の2013年2月までの間に数回の改良があった。ただし外観上の変更点はなく、モデル終了まですべて同じ見た目となる。
中身に関しては細かく下記のようなアップデートがなされた。特に3型改良からはCVTに副変速機が搭載され、加速や燃費が向上した。また、エコドライブインジケーターも搭載され、運転者にエコ運転を促すようになった。
前期と後期モデルで区別するなら、3型改良の2010年8月モデル以降が後期モデルとなる。
パレットSWの前期・後期の違いについて
パレットSWの前期と後期の違いは大きくはトランスミッション。
前期モデルでは廉価グレード「GS」が4AT、上級「XS」と上級ターボ「TS」がCVT搭載に対し、後期モデルではGSグレードが廃止され、CVTグレードのみに統一。
さらにCVTそのものにも改良が施され副変速機内蔵タイプのCVTに置換された。さらに後期型ではスピードメーターに「エコドライブインジケーター」が追加され、エコドライブ時には「ECO」ランプ表示する機能が備わった。
このほかその後の一部改良ではアイドリングストップ機能を追加し燃費向上をはかった「XS アイドリングストップ」グレードが追加されている。
外観や内装に関してはほぼ変更されておらず、前期も後期も基本は同じ見た目。ただしヘッドレストのみ2012年6月の4型改良時に大型化されており、快適性が若干向上している。
2010年5月・一部仕様変更
2010年5月仕様変更ではグレード体系整理により全グレードをCVT化。
2010年8月・3型改良
2010年8月の一部改良(3型)ではこの副変速機付きCVTを改良。ロックアップ領域を拡大しメカニカルロスの低減も行ったことでさらに燃費が向上した。
さらにエコドライブインジケーターをスピードメーター内に搭載し、エコ運転を促す機能が追加された。また、ハイマウントランプもLED化された。
2012年2月・一部改良
2012年2月の一部改良ではCVTオイルを低粘度タイプに変更したことでCVT内部の摩擦抵抗を低減。これも燃費アップにつながった。
2012年6月・4型改良
最後の改良となる2012年6月(4型)ではカスタムモデルのパレットSWのXSグレードでアイドリングストップシステムを追加しさらなる燃費向上を図った。
また、2012年7月改定の保安基準に対応するためヘッドレストが大型化され4型ではわずかに快適性もアップした。
パレットSW(MK21S)のグレード GS、XS、TS、特別仕様車リミテッド、リミテッドⅡの違いなど
パレットSWのグレード構成はエントリーグレード「GS」、上級グレード「XS」、上級ターボ仕様「TS
」の3種類。
これ以外に特別仕様車が「リミテッド」と「リミテッドⅡ」とで2種類設定されていた。
標準モデルのパレットについてはこちらから。

GS
パレットSWのベーシックなエントリーグレード。
装備を簡略化し価格を抑えたグレードだが、標準パレットのGグレードよりは装備が豪華になる。
エクステリアではSW専用フロントスケルトングリル、ディスチャージヘッドランプ、フォグランプ、エアロパーツ、クリアーコンビランプ、14インチアルミホイールを標準装備。
インテリアではブラックインテリアにメッキインナーハンドル、タコメーター付き3眼式メーター、ドアアームレストなど標準Gグレードよりも豪華になる。
ただし、トランスミッションが4ATのみの設定で、標準Gグレードと同じく加速性能や燃費性能がCVT搭載グレードよりも悪い。また、快適装備のパワースライドドアは非装備で両方とも手動スライドドアとなる。
2010年8月の3型改良で廃止。
XS
パレットSWの上級グレード。
GSグレードよりも装備が豪華で、特に副変速機付きCVTの搭載により加速性能や燃費性能が向上したグレード。
エクステリアではGSに加えてLEDサイドターンランプ付きドアミラー、切削加工14インチアルミホイールと後席助手席にパワースライドドアを標準装備。
TS
XSグレードにターボエンジンを搭載した最上級ターボ仕様車。
XSの装備に加えてパレットSW唯一の64馬力ターボエンジンを搭載。
快適装備では両側パワースライドドアを標準装備。スピーカーシステムも6スピーカーを標準装備し、本革巻きステアリング+オーディオスイッチ、パドルシフト、ルーフスピーカーイルミネーションを標準装備する。
TSのみCDプレーヤーや10スピーカーを装備する「ハイグレードサウンドシステム」をオプション設定していた。
特別仕様車 リミテッド
2010年11月設定の特別仕様車。上級グレードの「XS」がベース。
パレットSWリミテッドではエクステリアではスケルトンタイプのブラックメッキグリル、ブラックメッキヘッドランプ、ガンメタ塗装のアルミホイールを新規採用。
ボディカラーでは専用色のバタフライバイオレットメタリックを追加設定。
インテリアでは紫色のアクセントラインを施した専用ファブリックシート表皮にオーディオスイッチ付き本革巻ステアリングホイール、8スピーカーシステム+青色LEDイルミネーション、バックモニター付きCDプレイヤーをメーカーオプションに設定。
内外装でブラックや紫色のアクセントカラーでシックに仕立てた特別仕様車。
パレットSWリミテッドについてはこちらから。

特別仕様車 リミテッドⅡ
概要
2010年11月に設定された特別仕様車。上記「リミテッド」のバージョン2。
エクステリアではインナーブラックのディスチャージヘッドライト、インナーブラックのスケルトンメッキグリル、ガンメタ塗装の専用アルミホイールを。
インテリアでは専用のシルバースティッチ入りラックススエードシート表皮やシルバースティッチ入り本革巻ステアリングホイール(一部ピアノブラック調、オーディオスイッチ付)、8スピーカーを装備し、ルーフスピーカーにはイルミネーション青色LEDを採用。
ボディカラーにはリミテッドⅡ専用色となるスーパーブラックパールを含めた全6色を設定。
そして便利装備として両側パワースライドドアを標準装備とし、内外装をスタイリッシュに。かつ機能装備を加えて上級な雰囲気とした特別仕様車となっていた。
パレットSW リミテッドⅡについてはこちらから。

パレットSW リミテッドとリミテッドⅡとの違い
リミテッドとの違いは両側パワースライドドアの有無。
リミテッドⅡはリミテッドのバージョンアップ版となり、リミテッドの仕様に加えリミテッドでは左側後方のみパワースライドドアだったのに対し、両側スライドドアを標準装備。
また、シート表皮もラックススエードを用いた上質なシート表皮に刷新。本革巻ステアリングホイールにシルバースティッチが入って特別仕様車として豪華な1台となっている。
パレットSWのエクステリア(外装)
出典:ガリバー
まずはフロントデザイン。ノーマルとは明らかに違うヘッドライトと専用グリルが特徴で、ほどよくカーブしたU字型のラインにグリルとヘッドライトが一直線にならぶデザインでシャープさと力強いを表現している。まさにカスタムモデルにふわさしいデザインといえよう。
グリル部分は同年代のワゴンRスティングレーと同じようなクリアー状のグリルとなっている。ヘッドライトはタントカスタムと同じようにディスチャージライトを標準装備。
この他バンパーもSW専用品で、大開口のロアグリルやフォグランプ、エアロパンパーなどスポーティなデザインとなっている。
出典:スズキ認定中古車
ちなみにこちらがノーマルのパレット。かなりフロントデザインが変更されているのがわかる。
サイドから。かなり全高が高い。ベースと同じく1735mm、室内高は1365mmとなっており、同年代の2代目タントカスタムの全高1750mm、室内高1355mmを意識しているのが伺える。
この他パレットSWではサイドアンダースポイラーと(※GSを除いて)LEDターンランプ付きドアミラーを標準装備する。
足元は14インチアルミホイール。タイヤサイズは165/55R14。
出典:ホンダ認定中古車
リア。カスタムモデル用の専用コンビランプを装備している。こちらはマルチリフレクタータイプで、ノーマルとは外観が洗練されている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはスポーティーモデルながらK6A型の自然吸気エンジンとターボの2種類が用意。
自然吸気エンジンは最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpm。
ターボエンジンは最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.7kg・m(95N・m)/3000rpmとなる
この点もタントカスタムと同じ。「ノーマルのパレットのデザインが嫌だけどターボは必要ない」というニーズをきちんと汲み上げているようだ。
トランスミッションは副変速機付きのCVT。駆動方式はFFと4WDの2種類を設定。
ノーマルのパレットと同じように車重がかなりあるので、値が張るが加速性能を求めるのであればターボモデルを選択したい。
安全装備としてはブレーキアシストとEBD付きABSを標準装備。運転席と助手席エアバッグも標準装備となるが、自動ブレーキ類は一昔前の世代なので特に無し。
パレットSW ターボ車の見分け方
パレットSWのターボ付きかターボ無しかを見分け方はかなり難しい。一昔前のターボ車のようにボンネットにインタークーラー冷却用の穴(エアダクト)が無いためである。
外観でも全グレードでアルミホイールやスケルトングリル、ディスチャージヘッドランプが標準装備のため、判断はかなり難しい。
LEDサイドターンランプミラーは自然吸気エンジンの上級XSグレード以上の装備なので、GXとの判別は可能だ。
インテリアでの見分けは簡単で、ターボ仕様のTSグレードにのみピアノブラック加飾の本革巻きステアリングが標準装備となる。
なのでウレタンステアリングであればターボ無し。本革巻きステアリングがついていればターボ車。
パレットSWは燃費が悪い?欠点など
燃費が悪いとの口コミが多く、欠点を持つパレットSW。この手のスーパーハイト系ワゴンは車重が重たく、アルトやワゴンRなどの背の低い軽自動車よりも燃費が悪い傾向がある。
特に軽量化が得意なスズキでもスーパーハイトワゴンの初代モデルであるパレットシリーズはそこまで軽量化が施されておらず、重量増が足かせになりやすい。
①車重が重たく燃費や加速が悪い
パレットSWは、あまり軽量化がなされておらず、部品が増える4WDモデルではジムニーやパジェロミニと同じぐらい車重が重たい。
この手のスーパーハイトワゴンはスライドドアを装備し、室内空間も広いことからボディやガラス面積も大きくなり車両重量が重たくなる傾向にある。
パレットSWはスペーシアカスタムと同じく両側にスライドドアを装備し、かつ電動パワースライドドアも設定するなど、装備が豪華。一方で軽量化はひと世代前のモデルとあってスペーシアカスタムほど施されていないため車体重量がかなり重たくスペーシア世代に比べてもかなり重たい。
また、S-エネチャージやマイルドハイブリッドなどの低燃費技術も一切無い。
ゆえに重たい車重のためジムニーのような悪い燃費になりやすく、ターボ無しだと加速も悪くなる。
②トランスミッションの効率が悪く、燃費に悪影響
安いGSグレードではトルコン式4ATが採用されており街乗りでは効率が悪いため燃費が悪くなる傾向にある。加えて走行抵抗が増える4WDモデルではさらに悪い。
そのためパレットSWの4ATで4WDのモデルに関しては特に燃費が悪い傾向にある。
同じパレットSWでもCVTモデルで(特に副変速機が付いた2010年8月以降)あれば街乗り燃費がそこそこ良くなるので、燃費が気になる人はCVTのパレットSWを選ぼう。
極端に燃費が悪い場合は過走行により点火プラグやイグニッションコイルが劣化している可能性もある。これら消耗品の交換で燃費が改善する場合もあるため、このあたりをメンテナンスしてみるのも手。
③パレットSWのK6A型エンジンはオイル漏れ(オイル下がり)がおきやすい
パレットSWに搭載されるはK6A型エンジンは過走行になるとオイル管理がまめに行き届いてない固体ではオイル漏れ(オイル下がり)などのトラブルの発生しやすくなり、このあたりもマイナスポイント。
この症状はK6A型エンジンを搭載する初代ラパンや2代目ラパン、4代目ワゴンRなどでも同様のトラブル事例があり、持病的トラブルとなっている。
特に軽自動車とあってオイル管理に疎い女性ユーザーが前オーナーだと、ろくなオイル管理もしていない場合があるため要注意だ。
K6A搭載のパレットSWを購入する場合はオイル漏れなどのエンジントラブルが発生していないかなど確認することをオススメする。
パレットSWのエアコンは故障しやすい
パレットとパレットSWのエアコンはかなりの割合で故障しやすく、特にエバポレーターに起因するトラブルでガスが漏れてエアコンが効かなくなるケースが多い。
このエバポレーターについてはスズキから公式にリコールが出されているほどで、中古車・自動車整備業界では有名なトラブルのひとつとされている。
そのため中古でパレットやパレットSWを購入する際は、まずエアコン関連の状態を確認し、きちんと動作するか、リコール対象車の場合は対策済みかなど購入前によく確認することを強くオススメする。
もしかしたら悪徳な業者、あるいは現状渡しの中古屋の場合はエアコンが正常動作しない状態でもそのまま販売しているケースもある。ゆえに修理済みなのかあるいは故障したままなのか必ず確認するようにし、安いからといって安易に購入しないように注意したい。
パレットSWのインテリア(内装)
インパネ。パレットSWではそれまでのパレットTやパレットTSと同じブラック系インテリアを採用。スポーティな印象とした。
エアコンは全グレードでオートエアコン。
スピードメーターはタコ付きで自発光式。エコドライブインジケーターも備わり走行中は色でエコドライブを促す。
ステアリングはTSグレードで本革巻ステアリングホイール。XS以下ではウレタンステアリングホイール。ステアリングガーニッシュもSW専用でピアノブラック調のガーニッシュがプラスされる。
出典:ガリバー
フロントはベンチシートタイプ。ブラック基調のスポーティなシート表皮とした。
出典:ガリバー
リアの足元はかなり広い。スライド機構も備える。
出典:ガリバー
ラゲッジルーム。
出典:ガリバー
リアシートのスライド機構で奥に倒し、フルフラットにした状態。
パレットSWの評価
パレットSWの総評
出典:ホンダ認定中古車
ノーマルのデザインから大きく改良さスポーティな外装と質感の高い内装が与えられたパレットSW。
外観は当時のワゴンRスティングレーをスーパーハイトワゴンに落とし込んだような顔つきで、標準パレットよりもスポーティかつスタイリッシュな内外装が大きな特徴となっていた。
これによりノーマルのパレット開発当初は主婦層がメインターゲットだったがパレットSWにより男性ユーザーにも受けいられやいモデルにシフトした。
さらに標準パレットに見られたデザイン不足はこのパレットSWでは解消され、当時のライバルであった2代目タントカスタムに挑めるフロントデザインとなった。

後部座席は圧倒的な広さと快適性があり、スライドドアによる使い勝手の良さ、荷物の積載能力はワゴンRの上を行くので車中泊を考えている人や、より大きな荷物を運ぶ人、大きなミニバンからの乗り換えの選択肢になるうるモデルであった。
その後パレットSWはフルモデルチェンジ時に名称を「スペーシアカスタム」に変更し、英語のSPACEからとった造語で、より室内空間が広い&スーパーハイトワゴンのイメージがしやすい名称で登場する。

今でもデザインは現行モデルに劣っておらず、中古価格からすればお買得なモデルである。燃費があまり良くない部分がネックだが、安くて見た目の良いスライドドア付きスーパーハイトワゴンが欲しい人には嬉しい選択肢である。
パレットSWの中古が安い理由&中古が人気な理由
パレットSWは以前よりもかなり中古価格が低下し、年数経過もあって比較的安価に買えるモデルとなっている。その理由としては中古市場では人気が後継のスペーシアカスタムにシフトたこと。
2代目(初代スペーシア)に続き3代目も登場していることから初代モデルはコアな需要も無く、10年以上経過し安価に買える要因となっている。
さらにN-BOX(カスタム)のような圧倒的な人気が無い点も初代モデルが安価な理由だ。安価なモデルの中でも往年のスティングレーのようなスタイリッシュ感があり、見た目は標準パレットに比べると悪くはなく、スペーシアカスタムのような外観も個性的で色褪せない。

世代が古く、燃費や自動ブレーキなどで最新モデルに勝てない部分もあるが、安価でスポーティな見た目のハイト系軽自動車として中古需要の中でも人気がある。
OEMモデル 日産・初代ルークス ハイウェイスター(ML21S)
ちなみに2009年12月からは日産へ初代ルークス ハイウェイスターとしてOEM供給されている。
日産専用のフロントグリルなど顔つきがスズキ版よりもスタイリッシュかつ精悍になっているので、チェックしてみてほしい。
パレットSWと同じく燃費は良くなく同様の不具合や故障事例があるが、価格帯は年数経過や現行よりも古い世代のためかなり安価に購入可能な点は魅力的なポイント。

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