パレットはスズキのトールワゴン型軽自動車。「リミテッド」はその特別仕様車である。
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スズキ パレットとは？
ダイハツが新ジャンルの軽自動車、タントを世に送り出し成功を納めてから約4年後の2008年。タントが２代目に進化しあとを追うようにスズキも対抗車を投入した。それがこのパレットである。
かつてスズキがワゴンRという新ジャルを開拓し、ダイハツがムーブを投入した経緯とよく似ている。
パレットはそれまでのワゴンRよりも全高が高く、エンジンをボンネット内部に収めるトールワゴン型としてスズキでは初のモデルであった。スズキ自身は公言していなかったが、似たような全高とボンネットにエンジンを持つトールワゴン型のダイハツ・タントのライバル車種であることは明らかであった。
外観は室内空間の広さを感じさせるロングルーフデザインにヘッドライトから続く伸びやかななベルトラインの採用で、全長や全幅こそそれまでのワゴンRなどと変わらないものの、視覚的にもゆとりあるデザインとした。また、すべてのピラーをブラックアウトととし、連続したガラスエリアによる開放感も演出した。
パッケージングはホイールベース2400mmの新設計プラットフォームに2025mmの室内長を確保。後席の居住性を向上させるととももにハイルーフ化で1365mmの室内高を確保。デビュー当時としてはトップクラスの室内高をほこった。
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便利機能としては独立したボンネットにエンジンを収めるボンネット型軽自動車としてはクラス初となる後席の両側スライドドアを全車に採用(当時のタントは片側スライドドアのみ)。また、上級グレードでは携帯リモコンから開閉操作可能なパワースライドドアとスライドドアクローザーを採用した。
快適装備ではエアコンの冷風を利用する保冷機能付き助手席アッパーボックスや豊富な収納スペースを用意。上級グレードでは抗アレルゲン＋カテキン・エアコンフィルターを標準装備とし、全グレードで自発光式メーターを採用。上級グレードではタコメーター付きの3連タイプとした。
先進装備としてはキーレスプッシュスタートシステムを廉価グレードを除いて標準採用。上級グレードではディスチャージヘッドランプやオートライトシステムも標準装備とした。また、最上級のTSグレードでは専用チューニングを施したステレオと10個のスピーカーを装備したハイグレードサウンドシステムも採用した。
エンジンは従来通りのK6A型自然吸気エンジンとインタークーラー付きターボエンジンの2種類に4ATを組み合わせたものを採用し、最上級グレードではディスチャージヘッドライトにフルエアロ、ターボエンジンにブラック内装などスポーティなモデルも設定してた。
モデル中盤の2009年9月一部改良(2型）では電子制御スロットルの採用と上級グレードに副変速機付きCVTの採用で燃費が向上した。その一方で標準パレットのターボモデル(TとTS）が一旦カタログから消滅する。
2010年5月仕様変更ではグレード体系整理により全グレードでCVTのみとなった。
さらに2010年8月の一部改良（3型）ではこの副変速機付きCVTを改良。ロックアップ領域を拡大しメカニカルロスの低減も行ったことでさらに燃費が向上。
さらにエコドライブインジケーターをスピードメーター内に搭載し、エコ運転を促す機能を追加。そしてここで一旦消滅していた標準パレットのターボ仕様であるTグレードが復活。６４馬力エンジンとCVTを組み合わせた新グレードへと進化した。
パレット(MK21S)リミテッドとは？特徴と前期Gリミテッドとの違い
リミテッドの特別装備
そのパレットに2010年11月、ベーシックなLグレードをベースにメッキグリルやプロジェクターヘッドライトなどを採用しスタイリッシュとした特別仕様車が追加された。それがこの「リミテッド」である。
エクステリアでは
- プロジェクター式のディスチャージヘッドランプ
- アクセントとなるフロントメッキグリルの追加
- LEDターンランプ付きドアミラー
専用ボディカラーに「シャーベットオレンジメタリック」を追加設定。
インテリアではリミテッド専用の撥水加工を施したファブリックシート表皮を標準装備。
快適装備としては後席左側にリモコンボタン対応のパワースライドドアの採用し両側パワースライドドアにするなど、スタイリッシュさと快適性をアップさせた特別モデルとなっている。
リミテッドとGリミテッドとの違い
なお、Gリミテッドとの違いは
- プロジェクターヘッドライトの有無
- LEDターンランプ付きドアミラーの有無
- 専用ボディカラー(シャーベットオレンジメタリック)の設定の有無
- スマートキーシステムへのリモコンパワースライドドア開閉機能(後部左側)の追加
- トランスミッションがCVTか4ATか
などの違いがある。
リミテッドの方が燃費が良かったり外観がよりスタイリッシュなため、予算があるかぎりはリミテッドの方がオススメだ。
パレット リミテッドのエクステリア（外装）
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フロントデザイン。ノーマルのパレットはタントとの違いを出させるためなのか、斜めの切り込みを意識したヘッドライトで、タントのようなオーソドックス感が無くかなり好き好きの別れるデザインであった。
それがリミテッド用にプロジェクトタイプのディスチャージヘッドライトを採用したことで目元がキリッとしまり、これはこれでアリなんじゃないかと思わせるデザインに変貌した。
元々大きなヘッドライトだったので、これに従来タイプのマルチリフレクターでは面積が大きくなりすぎてのっぺりとした感じがあったが、プロジェクターヘッドライトが内蔵されたことでその不細工な感じが無くなった。これはパレットにおいては大きなポイントだ。
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これ以外にフロントはアクセントとして専用のメッキグリルを装備する。
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サイドから。ターンランプ付きLEDサイドミラーを標準装備する。
このほかリミテッド仕様として左側電動パワースライドドアが、リモコンキーで操作できるようになっている。写真のオレンジ色はリミテッド専用に追加された「シャーベットオレンジメタリック」だ。
足元はベースモデルと同じ１３インチスチールホイール＋ホイールキャップ。タイヤサイズは155/65R13。
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リア。この辺りは特に変更点はなし。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはK6A型直接３気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpm。
トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WD。パレットは2009年9月のマイナーチェンジで全グレードがそれまでの4ATに置き換わり、CVTには副変速機が内蔵された。これにより加速性と燃費の向上(デビュー当初のFFで20.0km/l→22.5km/l、4WDで18.0km/l→21.5km/lを達成)に貢献している。ただし、その後のスペーシアと比べるとちょっと見劣りする。
パレット リミテッドのインテリア（内装）
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インパネ。内装はGグレードとほぼ同じ。
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スピードメーター。見やすいベーシックなタイプ。なお、３型改良以降のためエコドライブインジケーターが追加されている。このあたりはノーマルと共通だが
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フロントシートはベンチシートタイプでリミテッド専用の撥水加工を施したファブリックシートとなっている。
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リアシート。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
パレット リミテッドの評価
パレットのリミテッドはベーシックなLをベースに精悍さを与えるプロジェクターヘッドライト式のヘッドライトに、左側後部にリモコンボタン対応のスライドドア、内装では専用のファブリックシートを採用した特別な１台である。
ターボモデルこそ無いが、副変速機により街乗りオンリーであればそこそこの加速性があり、それでいて夜間に頼もしいディスチャージヘッドライトの採用で遅くなった時間の子供の送迎に心強いし、手元で操作できるリモコンボタンドアなど子育てのママさんには嬉しい装備内容となっている。
最大の問題点であるヘッドライトまわりのデザインも、同年代の２代目タントに比べれば好き好きが別れるところだが、プロジェクターヘッドライトを埋め込んでいることで、パット見ノーマルと比べれば見た目が良くなっている。少なくとも個人的にはノーマルパレットを考える際は最低でもプロジェクターヘッドライト採用グレードをオススメしたい。
中古市場では人気がスペーシアに移行した関係で、比較的安価に購入可能なモデルとなっている。特にディスチャージヘッドライトやリモコンキー対応の電動パワースライドドアなど快適装備も付いている点ではお買い得なモデルである。
自動ブレーキはさすがに無いのだが、安価でそこそこスタイリッシュなハイト軽を探している場合は有用なモデルである。
なお、この後のバージョンアップ版の「リミテッドⅡ」では新ボディカラー「メロウブロンズパールメタリック」の追加して再登場する。
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