N-ONEはホンダのセミトールワゴン型軽自動車。本稿ではデビュー当初の2012年11月~2014年4月までを前期型とし、これを扱う。
出典:ホンダ認定中古車
ホンダ 初代・N-ONEとは?
2012年11月にデビューしたホンダのN-ONE。N-ONEは、N-BOX、N-BOX+に続くNシリーズの第3弾となるこの車は、かつてのホンダの軽乗用車、「N360」をモチーフにしたデザイン性の高いモデルとして生まれた。
年配の人には懐かしく、若い人には新しく感じる個性的なデザインは、ライバルのワゴンRやムーヴ、アルトやミラとはデザインの方向性が異なるモデル。
輸入車ではビートルやミニ、フィアットなど往年の名車を現代風にアレンジして復活させている例があるが、ホンダのN-ONEもそれを思わせるものであった。
その個性的な外観に加えインテリアでは大人4人がくつろげる室内空間を実現。エンジンは新開発となるS07A型エンジン(※Nシリーズで共通)を採用し、ターボモデルにおいてはクラストップレベルの高トルクとなっている。
トランスミッションもCVTを使用し、ライフやゼスト時代よりも燃費を向上させた。また、軽量化や高剛性を両立させたボディに専用サスペンションの採用で安定した走行性能と優れた静粛性を実現している。
安全技術としては横滑り防止装置のVSAを全グレードで標準装備とし、エマージェンシーストップシグナルとヒルスタートアシストも全グレードで標準装備とした。
モデル構成は「ノーマル」とカスタムモデルに相当する「プレミアム」の2種類。プレミアムではノーマルモデルよりも上級な内外装により名前通りのプレミアム感を演出。
個性的な外観に加えて上級装備により「プレミアムな軽乗用車」としての魅力を高めたグレードだ。
さらにノーマルモデルでもターボエンジンを搭載したグレード(ツアラー)を用意し、自然吸気エンジンのベーシックなモデルからターボエンジンで上級装備の「プレミアム ツアラー」まで多彩なグレード展開となっている。
前期型・初代N-ONE(JG1/JG2)のグレード G、G・Lパッケージ、ツアラー、プレミアム、プレミアム・ツアラーの違い
初代N-ONE・後期モデルのグレード展開はエントリーグレード「G」、Gに快適装備をプラスの「G・Lパッケージ」、
ターボエンジン搭載「ツアラー」、快適装備プラスの「ツアラー・Lパッケージ」、
上級グレード「プレミアム」、快適装備プラスの「プレミアム・ツアラー」、
上級ターボ「プレミアム ツアラー」、上級ターボ&快適装備の「プレミアム ツアラー・Lパッケージ」などがある。
このほか特別仕様車が3種類と、コンプリートカー「モデューロX」も設定されていた。
初代・後期モデルのグレードについてはこちらから。

初代・最終モデルのグレード(セレクト、RSなど)についてはこちらから。

Gグレード
前期・初代O-ONEのエントリーグレード。装備が厳選され価格を抑えた最もベーシックなモデル。
出典:ホンダ認定中古車
エクステリアではハロゲンヘッドライトにフォグランプが非装備。
ホイールキャップでベーシックな外観。インテリアではステアリングガーニッシュがオプション設定。LEDポジションランプは標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
快適装備は
- フルオートエアコン
- スマートキーレス
- プッシュエンジンスタート
- チルトステアリング
- パワーウィンドウ
- タコメーター付き3眼式メーター
- イモビライザー
- セキュリティアラーム
などを標準装備する。
G・Lパッケージ
Gグレードに快適装備をプラスしたGよりもワンランクアップのグレード。
G・LパッケージではGグレードの装備に追加で
- 「ディスチャージヘッドランプ」
- 「スーパーUVカット・フロントドアガラス」
- 「クロームメッキドアハンドル」
- 「LEDドアミラーウィンカー」
- 「ハーフシェイド・フロントウインドウ」
- 「ドアガーニッシュ(※フロントのみ)」
- 「サイドカーテンエアバッグ」
などを標準装備。
オプション設定でブラックインテリアが選択可となる。そのため中古車ではブラック内装の個体も存在する。
ツアラー
Gグレードにターボエンジンを搭載したエントリー・ターボ仕様車。
Gグレードの装備に加えて、「フロントスタビライザー」と「フロントベンチレーテッドディスクブレーキ」が標準装備となる。
ベーシックな装備ながら、高性能なターボエンジン搭載でも新車価格123万円からという、お買い得なモデルだった。
ツアラー・Lパッケージ
G・Lパッケージの快適装備にターボエンジンを搭載した標準ターボ仕様車。
出典:ホンダ認定中古車
G・Lパッケージの装備に加えて「クルーズコントロール+パドルシフト」、「14インチアルミホイール」、「フロントベンチレーテッドディスクブレーキ」、「フロントスタビライザー」を標準装備する。
オプション設定でブラックインテリアが選択可。
プレミアム
前期型・初代N-ONEの上級グレード。メッキパーツなどでエクステリアをカスタムし、内装もブラック系で上級感を与えたモデル。
出典:ホンダ認定中古車
エクステリアでは「ディスチャージヘッドランプ」に「フォグランプ」、「LEDサイドターンランプ」、「ドアサイドモール」、「テールゲートスポイラー」、「14インチアルミホイール」を。
出典:ホンダ認定中古車
インテリアではブラック内装で上級感を演出。
快適装備では「フロントスタビライザー」を標準装備する。
プレミアム・Lパッケージ
プレミアムに快適装備を与えたワンランクアップのグレード。
プレミアムの装備に加えてサイドエアバッグシステム、本革巻きステアリング、スーパーUVカット・フロントドアガラスが標準装備となる。
プレミアム ツアラー
「プレミアム」グレードにターボエンジンを搭載した上級ターボ仕様車。
プレミアムの装備に加えてフロントベンチレーテッドディスクブレーキが標準装備となる。
プレミアム ツアラー・Lパッケージ
「プレミアム ツアラー」に快適装備をプラスした最上級ターボグレード。
出典:ホンダ認定中古車
プレミアムの装備に加えて
- スーパーUVカット・フロントドアガラス
- サイドカーテンエアバッグ
- 前席用i-サイドエアバッグシステム
- クルーズコントロール
- パドルシフト
- 本革巻きステアリング
- フロントベンチレーテッドディスクブレーキ
- 専用15インチアルミホイール
などが標準装備となる。
初代N-ONE JG1とJG2との違い
初代N-ONEのJG1とJG2との違いは駆動方式。
JG1はボンネットにエンジンを配置し前輪を駆動するFFのN-ONE。JG2はJG1をベースにビスカスカップリングを使って全輪を駆動する4WDのN-ONE。
それぞれにターボ仕様と自然吸気エンジンの2種類があり、駆動方式以外は同じ構成となる。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。日常生活で扱いやすい生活四躯という位置づけ。
エクステリア(外装)
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。丸型のヘッドライトとヘッドライト全体を覆うような黒のグリルで特徴的なデザインとなっている。生き物の顔のようなデザインでかなり個性的。
ワゴンRやムーヴ、ミラやアルトといったベーシックなモデルでは決して見られないもので、シンプルだが気に入れば長く愛せそうなデザインとなっている。
出典:ホンダ認定中古車
なお、ターボモデルではフロントグリル開口部が拡大される。
出典:ホンダ認定中古車
自然吸気エンジンのG・Lパッケージとターボエンジンのツアラー・Lパッケージではプロジェクタータイプのディスチャージヘッドライトを標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
横からのスタイリングも独特。3代目MRワゴンと全高が似ているのだが、リア周りが斜めに落ちていることでムーブやワゴンRとは違った感じになっている。背の高いアルトやミラといったところだろうか。
便利装備として全グレードでHondaスマートキーシステム(ボタンプッシュで施錠の開閉)を標準装備。
スーパーUVカットフロントドアガラスとターンランプ付きドアミラーはG・Lパッケージとツアラー・Lパッケージに標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
足元はノーマルモデルでは基本は14インチスチールホイール+フルホイールキャップ。タイヤサイズは155/65R14。
出典:ホンダ認定中古車
ターボの最上級グレード、「ツアラー・Lパッケージ」では14インチアルミホイールが標準装備となる。
この他、ターボモデルではフロントスタビライザーとフロントベンチレーテッドディスクブレーキを標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
ボディカラーは白や赤、イエローにブラックなどの基本7色に加えて、ルーフとドアミラーをホワイト化した2トーンカラーを設定。
ツートン仕様では赤系のミラノレッド&ホワイト、黄色系のプレミアムイエロー・パールⅡ&ホワイト、水色系のイノセントブルー・メタリック&ホワイト、桃色系のプレミアムピンク・パール&ホワイト4種類が設定される。
さらにLパッケージグレードではアウタードアハンドルがメッキ化される。
出典:ホンダ認定中古車
リア周りも凝っていて、プレミアムグレードならコンビランプが高級風になる。ストップランプもふちを覆うように長方形に光り、他車との違いがよく分かるデザイン。
リアは斜めの傾斜が与えられたことで背が少し高いながらも乗用車のような雰囲気を出している。なお、安全装備として「エマージェンシーストップシグナル」を全グレードで標準装備とした。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:ホンダ認定中古車
エンジンはS07A型の3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンは最高出力58ps(43kW)/7300rpm、最大トルク6.6kg・m(65N・m)/3500rpm。
ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最高トルク10.6kg・m(104N・m)/2600rpm。
トランスミッションは全グレードでCVTのみ。駆動方式はFFまたは4WDとなる。
さらに自然吸気エンジンではアイドリングストップシステムを搭載し、VSA(車両挙動安定化制御システム)とHSA(ヒルスタートアシスト機能)がほとんどのグレードで標準装備となっている。VSAは雪国などで心強い装備だ。
特にN-ONEが優れているのはターボ。メーカーも「ダウンサイジング」と謳っているとおりかなりの高性能で、加速でいえばFITの1.3Lと同等かそれ以上に匹敵する。
トルクにいたっては最大10.6kgが2600回転から発生するのだ。一昔前のドッカンターボとは違うのだが、低速からす~とのびるところは1300CCの普通車から乗り換えても不満を感じることはないだろう。
初代・前期N-ONEの持病 CVTの不具合について、ガラガラ、ギー、ゴーなど変なうなり音がする原因など
NシリーズのCVT不具合の内容と原因
初代の前期型~後期中盤にかけてのN-ONEのCVTは、走行距離が増えるとミッション内部の加工片が偶発的にドリブンプーリーベアリング内部に噛み込み、ベアリング内部の軌道面が剥離して異音が発生するケースがある。
これに関してはホンダからCVTの延長保証が出ており、不具合が発生しやすいようだ。
特にCVTフィールドを定期的に交換していないと異音が発生しやすく、一度も交換していないようなN-ONEは発生の可能性が高くなる(N-ONEのCVTフィールドは4万キロごとが交換推奨時期)。
※ただし定期的な交換をしている場合でも走行距離によっては異音が発生するケースもあり

そのまま放置し続けると加速不良から走行不能にまで発展するため、乗り続ける場合はかならず対処が必要となる。
なお、N-ONE以外に同年代のN-BOXやN-BOXスラッシュ、N-WGNなどNシリーズとS660の前期モデルの一部で同様の不具合が発生している。
保証期間
①初度登録日から経過、6年未満の車両
5年または10万km以内 ⇒ 7年または10万km以内
②初度登録日から経過、6年以上の車両
5年または10万km以内 ⇒ 保証期間延長開始後から1年または10万km以内
CVT不具合に対する修理費用について
万が一この現象が出ているモデルで保証期間がすぎると自己負担による有償修理(ミッション載せ替え)が必要。不具合の部品だけの交換は難しく、トランスミッション丸ごと(ASSY)交換となる
新車登録年以外に10万キロ以上の車では保証外なため、8年落ち以上の個体や10万キロ超過の過走行車を買う場合は要注意。
購入後に不具合が発覚しても保証外なため自腹修理となり、ミッション本体と工賃をあわせると約30万円ぐらいの高額修理になる場合がある。
そのため中古で初代モデルのN-ONEを買う場合はこの不具合が出ていないか、あるいは対策済みなどかを確認してから購入することを強くオススメする。
インテリア(内装)
出典:ホンダ認定中古車
インパネ。ベーシックかつレトロ感あふれるデザインで、外観と同じく洗練されたデザインとなっている。
出典:ホンダ認定中古車
最上級ターボモデルのツアラー・Lパッケージではステアリングにパドルシフトとクルーズコントロールが備わる。
出典:ホンダ認定中古車
スピードメーター。センターにスピードメーター。左側がタコメーター、右側がマルチインフォメーションディスプレイの3眼式を全グレードで標準採用し、スポーティーな印象。
メーターは「コーチング機能」によりエコ運転を視覚的にサポート。また、「ECONスイッチ」によりエコ運転モードも備える。
出典:ホンダ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。G・Lパッケージとツアラー・Lパッケージではサイドカーテンエアバッグシステムを標準装備。
出典:ホンダ認定中古車
リアシート。スライド機構のほか、
出典:ホンダ認定中古車
ホンダお得意のセンタータンクレイアウトを採用したことにより、後部座席の低床フロアを実現。これにN-ONEでもリアシートの跳ね上げ式を採用し、利便性も高い。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:ホンダ認定中古車
リアシートを倒してフルフラットにした状態。
まとめ
初代・N-ONEの前期型は、個性的な外観に適度に広い室内。ノーマルモデルでもターボエンジンを備えるなどベーシックさと日常でのタウンユースをも考慮した個性と使い勝手を両立させたモデルである。
特にN-ONEのお勧めはターボを搭載した標準グレードのツアラー。プレミアムのツアラーになると値段がグッとあがるが、普通のツアラーなら少しの価格アップで高性能なターボが付いてくる。
ワゴンRやムーブ、タント、パレットなど背が高くて皆おなじに見える車に飽き飽きしていた人には、このN-OMEはとても魅力的なモデルにみえるはずだ。
中古市場では初代・前期の初期モデルが年数経過から買いやすい価格帯に落ちてきており、自然吸気エンジンのベーシックなGグレードであればお手頃感が強くなる。
タマ数も豊富なことから、背の高い室内空間を優先した軽自動車とは異なるオシャレな街乗り用軽自動車として、需要が見込めるモデルである。
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