【2代目・後期(最終)型】ホンダ バモス G(HM1/2型) 概要解説 | シン・軽自動車マニア

【2代目・後期(最終)型】ホンダ バモス G(HM1/2型) 概要解説

バモス
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ホンダ・バモスとは?

出典:ガリバー

1999年6月登場のホンダ・バモス。それまでのストリートの後継として、360CC時代に存在したかつての懐かしい名前を復活させての登場となった。

バモスは軽バンのアクティバンと同時デビューで、それまで存在したストリートの後継モデルとして登場。スズキ・エブリイワゴンダイハツ・アトレーワゴンと同じ5ナンバー乗用タイプの軽ワンボック車である。

ただし5ナンバー乗用モデルとしてアクティバンと共有する部分もありながら、リアまわりは専用設計とし、全高の低いロールーフ仕様としている。

そしてバモス最大の特徴はエンジンを後方に配置し、後輪を駆動するミッドシップレイアウト(MR)方式を採用する点。

これにロングホイールベースを組み合わせ底床かつフルフラットなフロアをフロント、リア、ラゲッジスペースに確保。快適な室内空間とした。

当時のライバル他社(※スバル・サンバーを除く)が運転席の下にエンジンを配置したキャブオーバーに対し、バモスは後方配置により優れた重量配分と低床フロアを実現。乗り心地や静粛性、ラゲッジスペースの使い勝手などが優れていた。

エクステリアはバモス専用のグリルで乗用車らしいスタイリッシュな顔つきと、サイドスカート、アルミホイール(またはホイールキャップ)、専用テールランプで4ナンバーの軽バン(アクティバン)とは差別化。

出典:ガリバー

インテリアでもバモス専用内装と6:4分割可倒式リアシート(※ポップアップ機構付き)の採用で居住性とラゲッジスペースの使い勝手を両立。

エンジンは「ハイパー12バルブ PGM-FI エンジン」を搭載。最高出力:46PS/5,500rpm (ネット値)、 最大トルク:6.0kgm/5,000rpm (ネット値)を発生。4WD車には自動で切り替わるリアルタイム4WDを採用。

安全装備はSRSエアバッグにEBD付きABSをオプション設定。

快適装備にはエアコン、電動パワステ、間欠&ミスト機構付フロントワイパー、リアワイパー、パワードアロック(※キーレスはグレード別に装備)、フロントパワーウィンドウ、プライバシーガラス、4WDにはリアヒーターを標準装備する。

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後期型バモスの改良点と中期や前期との違い

そのバモスは2007年2月にフロントデザインとリアコンビランプのマルチリフレクター化を含めたマイナーチェンジを行なった。俗にいう後期型である。

HM1_last_L (5)

後期型バモスのフロント

中期型バモスのフロント

後期型ではグリル、フロントバンパー、リアバンパーのデザインを変更。

中期型バモスのリア

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後期型バモスのリア

特にフロントバンパーはエアロフォルム仕様とし、テールランプは大型リアコンビネーションランプ(ブラックスモーク)を採用。リアバンパーもリフレクターが横長となり、メッシュ形状のを取り入れてスタイルなデザインに。

ルーフ部分にはマイクロアンテナも新規採用しスタイリッシュ感をアップさせた。

中期型バモスのインパネ

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後期型バモスのインパネ

インテリアではスピードメーターのフォントデザインを変更し視認性を向上。上級L系グレードではホワイトメーターを採用し質感を向上。

このほか後期モデルでは全グレードでオーディオレスが標準仕様に変更(2スピーカーのみ標準装備)。

「Sパッケージ」からローダウンサスペンションなどを標準装備した新グレード、「L・ローダウン」と「Lターボ・ローダウン」を新規追加した。

また後期モデル後半ではグレード構成が大幅整理され、ターボ仕様が廃止。終盤にはグレードが自然吸気エンジンの1種類のみになるなど、前期や中期とは大きく異る。

バモス最終型(HM1/HM2)のGグレードとは?

Gグレードは2代目バモスの最終型(2012年6月一部改良)で設定された統合・新グレード。

それまでの自然吸気エンジン・廉価グレードの「M」や自然吸気エンジン・上級「L」グレードを「G」グレードとして統一。

エクステリアでは

  • 3本メッキフロントグリル
  • リアバンパーガーニッシュ
  • 13インチアルミホイール
  • ローダウンサスペンション
  • サイドスカート
  • エアロフォルムバンパー(フロント/リア)

などを標準装備しつつお買い得な価格設定としたグレードである。

このほかGグレードでは

  • ハーフシェイド・フロントウインドウ
  • ユーティリティフック
  • ブラックシート表皮
  • シルバーインパネガーニッシュ
  • 3本スポークステアリング(ウレタン)
  • ルームランプ
  • 電波式キーレスエントリー
  • 2眼式スピードメーター

を採用。

ボディカラーには新色

  • バニラクレム
  • ピンクゴールド・メタリック
  • プレミアムミスティックナイト・パール

を追加した全8色を設定。トランスミッションには3AT(※4WDは4AT)のほか5MTも設定する新グレードとなっていた

※ただし自然吸気エンジンのみの設定。

エクステリア(外装)

出典:ガリバー

フロントデザイン。GグレードではそれまでのLグレードで標準装備だったメッキグリルを標準装備する。Mグレードよりも外観がスタイリッシュなのが特徴だ。

ただしフォグランプは非装備でLローダウン系グレードよりは簡略化される。

出典:ガリバー

サイドから。このあたりは特に変更はない。バモスでは全グレードでサイドアンダースポイラーを標準装備する。

Gグレードでは13インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは155/70R13。

出典:ガリバー

リア。後期型がベースのためテールランプはスタイリッシュなマルチリフレクタータイプを採用し、リアバンパーもエアロ形状を採用。Gグレードでは「リアバンパーガーニッシュ」が標準装備となる。

ただしリアスポイラーは非装備でこのあたりも簡略化されている。

エンジン・機能装備・自動ブレーキなど

出典:ガリバー

エンジンはE07Z型直列3気筒SOHC12バルブ自然吸気エンジンのみ。ターボ仕様は2010年8月に廃止され、最終型では自然吸気エンジンのみの設定。

最高出力は46ps(34kW)/5500rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/5000rpm。

4WDの4AT仕様のみ若干出力やトルクが異なり、最高出力は53ps(39kW)/7000rpm、最大トルクは6.2kg・m(63N・m)/4000rpm。

2015年3月一部改良以降はエンジンが改良され燃費性能が向上。これにより若干スペックダウンしている。最高出力は45ps(34kW)/5500rpm、最大トルクは6.0kg・m(59N・m)/5000rpm。

4WDの4AT仕様のみ若干出力やトルクが異なり、最高出力は52ps(38kW)/7000rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpm。

トランスミッションは2WDモデルが5MTと3AT、4WDモデルが5MTと4ATとなる。駆動方式はMRまたは4WD。ABSはオプション設定。

トランスミッションは3AT、4AT、5MTのいずれか。駆動方式はMRまたは4WD(ビスカスカップリング式)となる。ダイハツやスズキではエンジンを運転席の下あたりに配置しているがホンダのバモスではリアタイヤのすぐ手前に配置し、重量バランスを考慮した構造になっている。

安全装備として運転席&助手席エアバッグを全グレードに標準装備。EBD付きABSはオプション設定。

2015年3月一部改良でGグレードもにもEBD付きABSが標準装備となった。

バモスの持病 不具合や故障しやすい箇所など

バモスは姉妹モデルのバモスホビオ、軽バンのアクティバンと同じくエンジンを車体中央部に横向き状態で設置されいている(※4WDの4ATを除く)。

通常は地面に垂直に設置するのが一般常識だが、床下配置でかつ底床フロアを実現するためエンジンの全高が高くなる垂直置きではなく、横向きで設置したものと思われる。

このためガスケットが地面に対して真横を向いているのだが、これがエンジンのオーバーヒートを招きやすくなっている。

理由はオイル管理が不十分だったり、構造的に熱がこもりやすかったり、高負荷運転(高回転多用)が多いなどが考えられる。

オーバーヒートだけで終われば良いのだが、高い確率でヘッドガスケット抜けを起こし、冷却水の水漏れの発生を招いてしまう。E07Z型エンジンを搭載するバモスホビオはこれが持病と呼ばれ、この状態では修理必須で注意が必要だ。

バモスは床下にエンジンを横置きする関係で整備性が悪く、工賃が高くなる傾向にある(10万後半~20万円程度)。その発生走行距離は10万キロ前後が多いため、特に過走行車を買う場合は「交換済み」かなど充分注意されたい。

バモスHM1型とHM2型との違い

バモスHM1とHM2型の違いは駆動方式。

HM1型はバモスの2WD(MR)モデル。HM2型はHM1型ベースの4WD仕様車。

4WDには「リアルタイム4WD」というビスカスカップリングを用いたオンデマンド式が採用されている(※この時代のエブリィやハイゼットカーゴは切替式のパートタイム式4WDだったが、ホンダはフルタイム4WDを採用)。普段は2駆のMRで走行し、前輪が滑ると自動的に4WDに切り替わるシステム。

他社のパートタイム4WDのように自分で切り替える必要がなく、タイトコーナブレーキング現象も起きづらいため非常に扱いやすい。

バモスの燃費が悪い理由・原因など

バモスは燃費が悪いモデルとして有名だ。その主な理由は「重たい車重」と「トランスミッション」、「旧世代のエンジン」、「空気抵抗の大きいボディ形状」にある。

もちろんこれはバモスに限った話でなく、同年代に設計されたライバルの軽ワンボックス2代目エブリイワゴン2代目アトレーワゴンでも似たような理由で燃費が悪い。バモスに関しては以下の理由などが考えられる。

なお、5MTモデルであれば燃費がそこそこ良くなるので、燃費重視の人は5MTモデル。特に非積雪地帯であれば2WD・5MTモデルがオススメだ。

車重が重たい

バモスの車重は950kg~1080kgと軽自動車の中でもかなりの重量級。ジムニーパジェロミニなどのSUVモデルに匹敵する車体重量をほこる。

これはボディ形状が箱型で上方向まで大きく、かつガラス面積も大きくなって重量がかさむためにあるのだが、この重量のせいで燃費が悪くなってしまう。特に部品数が多くなる4WDモデルでは重量が2WDモデルよりも重たく、走行抵抗も相まってそれが顕著。

たとえば軽量ボディで燃費が良いアルトやミライースは700kg台で、バモスとは200kg以上の差がある。体重70kgぐらいの人を3人程度乗せているイメージを持つと分かり易いが非力なエンジンに対して車体重量が重たく、非効率な構成となっている。

トランスミッション(3ATまたは4AT)

バモスに採用されるトランスミッションはマニュアルが5MT。オートマが3ATまたは4ATを採用する。

最近の軽自動車では街乗り燃費が良いCVTを採用するのが一般的となったが、バモスは旧式のトルクコンバーターを採用するオートマチックトランスミッション。

郊外ではそこそこ良いが、ストップ・アンド・ゴーを繰り返す街乗りでは燃費が悪くなりやすく、かつ3ATの場合は巡航時のエンジン回転数も高くなりがちで燃費が良くない傾向にある。

さらに3ATモデルはエンジン回転数が高くなりがちで、高速道路を走ると燃費消費量も多くなって燃費がガタ落ちする。

5MTの場合は伝達効率もよく、ATモデルよりも燃費が良くなる。

旧世代のエンジン

バモスのエンジンはN-BOXシリーズが登場する以前から採用する旧世代のE07Z型エンジンで、5代目ライフゼストのP07A型よりも古いエンジン。

ビートと同じ型式で独特のフィーリィングや高回転域は優れいているものの、ショートストローク型で設計が古くN-BOXシリーズで採用するロングストローク型のS07B型と比べると燃費は劣ってしまう。

5MTモデルならまだ燃費は良いのだが、ATモデルではミッション自体のロスも大きく高回転重視で燃費効率の悪いエンジンとも相まって燃費が悪くなる。

空気抵抗の大きいボディ形状

バモスのボディ形状は室内空間を重視し、全高を高くとった箱型タイプ。

アルトやミラなどのセダンタイプと比べると空気抵抗も大きく、特に高速道路などでは高いエンジン回転数とも相まって燃費が落ちやすい。他に横風に煽られやすいなど不利な点もある。

インテリア(内装)

出典:ガリバー

5MTのインパネ。Gグレードではシルバーインパネガーニッシュを採用する。

ATのインパネ。フロアシフトを採用する。ただし設計が古く2DINオーディオの位置が下部にありナビを設置しても画面が見づらく使い勝手が悪い。このあたりは別売りの外付けモニターなどをダッシュボード上部に追加設置すると改善する。

出典:ガリバー

ステアリングは3本式のステアリング。Mグレードでは2本タイプを採用していたので、このあたりはアップグレードされている。

出典:ガリバー

エアコンはマニュアル式エアコンを採用。

出典:ガリバー

Gグレードのスピードメーター。2010年8月の一部改良でデザインが刷新され、外枠が青みがかったスタイリッシュなデザインとなっている。タコメーター付き。

HM1_last_L (2)

出典:ホンダ認定中古車

フロントシート。近年ではベンチシートが多い中、バモスはセパレートタイプとなっている。これはフロアシフトのため物理的にベンチシートにできないポイントが大きい。

Gグレードのシート表皮はブラックシートを採用する。2012年6月一部改良では保安基準に適合するためそれ以前のものよりヘッドレストが大型化された。

出典:ガリバー

リアシート。乗用モデルのため左右独立式のリアシートを採用し、中央にはアームレストが付く。

出典:ガリバー

ラゲッジルーム。

出典:ガリバー

リアシートを倒した状態。

2代目バモスGグレードのまとめ

Gグレードの総評

バモス最終モデルのGグレードはLグレードのスタイリッシュな装備にMグレードの安価な価格を組み合わせたモデル終盤のお買い得なグレードであった。

昨今では希少となってしまった5MTモデルを設定するのもポイントで、タマ数は少ないが比較的高年式な5MTモデルを探す場合にも有用なモデルとなる。

ただし上述のとおりエンジンに構造的な不具合を抱えており状態を確認することと、3ATモデルは燃費が良くなく、高速道路を走るとエンジン回転数がかなり高くなるため可能であれば5MTモデルがオススメである。

後継のN-VANでは6MT化され、エンジンも高出力&低燃費仕様のS07B型の採用でバモスよりもさらに走りが楽しくなる一方で、MRレイアウトによる優れたハンドリングが失われたため、このあたりは好き嫌いが分かれる部分である。

中古市場では後継モデルが登場している関係もあり、この手の軽ワンボックにしては比較的安価な価格帯となっている。高年式なGグレードはその中でも高い傾向にあるが、低年式・過走行な安いタマよりは安心感がある。

そしてMTモデルにMRレイアウトという組み合わせは他社にはないホンダ・バモスだけの特徴であり、絶対的な速さは無いものの高回転まで回して楽しいエンジンは、軽ワンボックでありながら走りも楽しめる安くて実用的な面白い軽自動車である。

なお、高年式でもNシリーズの先進安全装備(ホンダセンシングやシティーブレーキアクティブシステム)が一切付いていないため、このあたりは注意が必要だ。

バモスの生産終了とN-VANへの移行

1999年に登場し20年近く生産が続いたバモスだったが、2018年4月には後継モデルのN-VANが発表され5月に公式ホームページからバモスのページが削除。7月にはN-VANが登場と共に完全移行し生産終了となった。

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N-VANではそれまでのMR方式レイアウトからN-BOXをベースとしたFFベースのボンネット型バンに構造変更し、5ナンバーモデルが廃止され、すべて4ナンバー化。乗用思考のスタイルファンクールグレードでも運転席以外は簡素なシートとなるなど、割り切りのモデルとして再スタートしている。

【ロールーフ仕様 カスタムモデル・4ナンバー】ホンダ N-VAN+スタイル クール(JJ1/JJ2型)

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