N-VANはホンダの軽貨物車で、アクティバンとバモス&バモスホビオの後継モデルである。本稿では標準モデルのG系とL系(ホンダセンシング含む)を扱う。
出典:ホンダ認定中古車
- ホンダ・N-VANとは?特徴など
- 4ナンバーワンボックス軽貨物と5ナンバー乗用モデルとの違い
- N-VANの一部改良など
- N-VANのグレード一覧 G、L、G・Honda SENSING、L・Honda SENSING(ホンダセンシング)、+スタイルファン、+スタイルクールの違いなど
- N-VANの1年にかかる税金(軽自動車税)は? 4ナンバー軽貨物・自家用でN-BOXよりも安い
- エクステリア(外装)
- エンジン・機能装備・安全装備など
- N-VAN JJ1とJJ2型との違い
- N-VANのリコール 2022年6月2日届け出・低圧燃料ポンプの不具合
- N-VANの正面衝突時の安全性能 エブリイ・ハイゼットカーゴよりは運転席が強固で、軽バンの中ではトップクラス
- インテリア(内装)
- N-VANはサブロク(910×1820)板が平積みできない 仕事ユースやDIY用途では使いづらい
- まとめ
ホンダ・N-VANとは?特徴など
2018年7月に登場したホンダ・N-VAN。
N-BOXやN-WGN、N-ONE、N-BOX+、N-BOXスラッシュに続くNシリーズの第6弾として登場したこのクルマは、それまでの常識を覆すFFの軽ボンネットバンをベースとする軽貨物ワンボックスとして誕生した。
それまでの軽ワンボックスというとスズキ・エブリイやダイハツ・ハイゼットカーゴのようにエンジンを運転席下などの床下に配置し、ボンネット内にエンジンを持たないスタイルが主流。
ボンネット内にエンジンがない分広大な荷室長を誇るものだった。その常識に対し荷室長が狭くなってしまうボンネット内にエンジンを持つ軽ボンネットバンのN-BOXをベースに開発されたホンダの軽ワンボックスがこのN-VANである。
出典:ホンダ認定中古車
N-VANはN-BOXでも採用したセンタータンクレイアウトの採用で荷室を底床化。高さのある荷物も積載できるようにした。
さらに助手席にもダイブダウン機構を取り入れ助手席からリアシート、ラゲッジルームまでフルフラットな空間を実現。
さらに軽バンでは初となるセンターピラーレス仕様により助手席側に大きな開口部を実現。それまでの軽貨物バンにはない利便性を実現した。
エンジンはNシリーズで搭載しているS07B型エンジンをN-VAN仕様へ最適化。低速トルクで高トルクを発生しつつ低燃費とした。
またトランスミッションはCVTのほか、6MTを設定。エンジンと組み合わせてスムーズかつ高い静粛性を実現した。
予防安全技術としては自動ブレーキのホンダセンシングをホンダ軽バンに初採用。以下の機能をグレードやトランスミッションにもよるが最大10個搭載する。
①衝突軽減ブレーキ
②誤発進抑制機能
③歩行者事故低減ステアリング
④先行車発進お知らせ機能
⑤標識認識機能
⑥路外逸脱抑制機能
⑦ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>
⑧LKAS<車線維持支援システム>
⑨後方誤発進抑制機能
⑩オートハイビーム
さらに軽量かつ高剛性な素材を配置しドアインピラー構造によりセンターピラーレス構造であっても充分な衝突安全性を確保した。
また、N-VANでは快適性も重視。運転席は軽貨物にありがちな簡素でコスト重視のシートとは異なり、腰をサポートするホールド性の高いシートで長時間の運転での疲れを軽減。加えて低床設計により足の運びをスムーズに乗り降りしやすくした。
4ナンバーワンボックス軽貨物と5ナンバー乗用モデルとの違い
ボンネットにエンジンのないスズキ・エブリイやダイハツ・ハイゼットカーゴと、ホンダ・N-VANでは見た目以外に室内空間が大きく異る。
エブリイやハイゼットカーゴではボンネットにエンジンが無い分、運転席がより前にあり、後部座席も前側にある。
これによりラゲッジルームも広く、後部座席を倒すとさらに広大な荷室となる。
その荷室長はエブリイで1910mm。ハイゼットカーゴで1950mm。
荷室高はエブリイが1240mm、ハイゼットカーゴが(※ハイルーフで)1235mm
一方のN-VANはボンネットにエンジンがあるため運転席がエブリイやハイゼットカーゴより後ろにあり、後部座席もより後方にある。
このためラゲッジルームも2台に比べ狭く後部座席を倒してもその荷室長は1510mmであまり長くならない。
ただしN-VANではあまり利用しないであろう助手席を倒して助手席からラゲッジルームまでフルフラットにできるようなっており、この場合の荷室長は約2600mmに達する。
横幅は広くならないため縦にも横にも大きい長物はさすがに無理だが、例えば脚立やサーフボードは余裕で積めるし、自転車はもちろんバイクも積載可能で、車中泊する場合にも有用な構造となっている。
最大積載量は一般的な軽ワンボックスと同じく350kg(※+STYLE FUN 4WD、+STYLE COOL 4WDの最大積載量は300kg)。
さらにその助手席側のピラーをタントのミラクルオープンドアのようにレスにすることで助手席側に広大な開口部を確保。
この開口部はエブリイにもハイゼットカーゴにもない特徴で横からの荷物の積み下ろしを用意にした。
加えて低床設計なのでラゲッジルームの床が低く荷物が載せやすく、荷室高も1365mmとライバルよりも100mmほど高くなっている。
例えば女性ドライバーで重たい荷物をラゲッジルームに載せようとした場合、ラゲッジルームの床が低いのでより少ない力で荷室を載せられる。
また、N-VANは燃費性能が良い。この手の軽ワンボックスは「その広大なラゲッジルームと引き換えに燃費には目を瞑る」のが常識だったのだが、N-VANは2代目N-BOXをベースにした軽量高剛性なボディと新世代エンジンと燃費効率に優れるCVTもしくは6MTを組み合わせることでFFのCVTでJC08燃費で21.2km/Lを実現。
一番悪い4WDの6MTでも17.6kmとこの手の軽ワンボックスにしてはかなり優秀だ。毎日仕事で乗る軽貨物だからこそ燃費は特に個人事業主には気になるところで、その点でもN-VANの特徴が現れている。
N-VANの一部改良など
2019年7月・仕様変更
2019年7月の仕様変更では、ボディカラーを一部変更。
「N-VAN +STYLE」に設定の「プレミアムピンク・パール」を「ピーチブロッサム・パール」に入れ替え。「プレミアムホワイト・パール」は「プラチナホワイト・パール」に入れ替えた。
2021年2月・一部改良
2021年2月の一部改良では自動ブレーキの「ホンダセンシング」の設定を見直し。自然吸気エンジンのホンダセンシング無し仕様を廃止し、全グレードに標準装備化。
グレード名やタイプも変更し、標準N-VANはホンダセンシングの名前が取れてシンプルな「G」と「L」に変更。
カスタムモデルの「N-VAN +STYLE」系グレードは「+STYLE COOL」系を廃止し「+STYLE FUN」系タイプのみに集約。「+STYLE FUN」、「+STYLE FUN・ターボ」の2種類とし、すべてハイルーフ仕様のみとなった。
ボディカラーも「+STYLE FUN」系タイプで変更。「ピーチブロッサム・パール」を廃止し、入れ替えで「フレームレッドとサーフブルー」を追加して8色とした。
「+STYLE COOL」系に専用色として設定されいた「プレミアムベルベットパープル・パール(有料オプション色)」は引き継がれず、グレードと同じく廃止された。
標準N-VANに関してはボディカラーの変更は無し。
標準装備のUSBオーディオプレーヤーを非装備とし、オーディオレス仕様に変更した。
2021年4月・仕様変更
2021年4月の仕様変更では「N-VAN +STYLE」に設定のボディカラーが変更。
青系「ブリリアントスポーティーブルー・メタリック」は「フレンチブルー・メタリック」に。
グレー系「シャイニンググレー・メタリック」は「アドミラルグレー・メタリック」に。
黒系「クリスタルブラック・パール」は「ナイトホークブラック・パール」へそれぞれ入れ替えた。
2022年4月・仕様変更
2022年4月の仕様変更では「N-VAN +STYLE」に設定のボディカラーを変更。
「サーフブルー」と入れ替えで「ソニックグレー・パール(有料オプション色)」を新設定した。
N-VANのグレード一覧 G、L、G・Honda SENSING、L・Honda SENSING(ホンダセンシング)、+スタイルファン、+スタイルクールの違いなど
標準N-VANのグレード展開は、エントリーグレード「G」と上級「L」の2種類。「G」と「L」グレードはアクティバンの後継モデル的な位置づけで、軽バン的な要素が強い。
これ以外にカスタムモデルでハイルーフ仕様「+STYLE FUN(スタイル ファン)」とロールーフ仕様「+STYLE COOL(スタイル クール)」を設定。こちらはバモスやバモスホビオの後継モデルとされ、乗用モデルのような上級装備が与えられる。
運転支援機能を標準装備したグレードは「G ホンダセンシング」と「L ホンダセンシング」のほか、「スタイルファン」と「スタイルクール」に標準装備する。
デビュー当初は自動ブレーキの「ホンダセンシング(Honda SENSING)」を搭載したグレードと非搭載仕様がそれぞれに設定されていたが、モデル中盤で非搭載グレードを廃止。
グレード名もホンダセンシングの名前が消えて「G」と「L」に集約された。この時に「+スタイルクール」が廃止され、「+スタイルファン」に集約となった。
G
N-VANの廉価グレード。N-VANの中でも最も装備がシンプルかつ簡素化されており、価格も一番安いグレード。軽貨物・アクティバンの後継モデルでホンダセンシング非搭載グレード。
エクステリアでは
- 12インチスチールホイール+センターキャップ、
- 樹脂タイプアウタードアハンドル&ドアミラー(手動ドアミラー)
- カラードフロントグリル、
- UVカット機能付フロントウインドウガラス
- 高熱線吸収/UVカット機能付フロントドアガラス
- LEDリアコンビネーションランプ(ストップランプ&テールランプ)
などを標準装備。
インテリアでは
- トリコット素材のシート表皮
- ステアリングガーニッシュ
- 運転席側のみサンバイザー
- フロントルームランプ
- センターラゲッジルームランプ
などを標準装備。
ボディカラーは「ルナシルバー・メタリック」と「タフタホワイトII」の2種類のみ。
快適装備では
- オーディオスピーカーが運転席側に1個のみ
- AM/FMラジオ(※2021年2月以降はオーディオ仕様となり非装備)
- 電波式キーレスエントリー
- 12Vアクセサリーソケット
- ユーティリティーナット(28個)
- ダイブダウン機能付き助手席・リアシート
を標準装備。
エアコンはフルオートエアコンを採用。
デビュー当初は自動ブレーキのホンダセンシングは非装備だったが、2021年2月の一部改良以降はグレード名が集約されホンダセンシングが標準装備となった。
L
N-VANのエントリーグレード。Lグレードよりも内外装や装備が良くなる。ホンダセンシング非搭載グレード。
Lの装備に加えてエクステリアではスチールホイール+ホイールキャップ、電動格納式ドアミラー、ハーフシェイド・フロントウインドウ、ドアサッシュブラックアウト(センターピラー)を標準装備。
インテリアではフロントシート表皮がジャージーとなり、CVT仕様ではアームレストも付く。サンバイザーが助手席側にも標準装備となり、フロントマップランプ、助手席側のワークランプが追加で標準装備となる。
快適装備ではエアコンにPM2.5対応高性能集塵フィルターが付き、USB電源ソケット、Hondaスマートキー、プッシュエンジンスタート、車速連動オートドアロックシステム(※CVT仕様のみ)、荷室のアクセサリーソケットを標準装備。
「ナビ装着スペシャルパッケージ」と「フロント2スピーカー」はオプション選択可能となる。
デビュー当初は自動ブレーキのホンダセンシングは非装備だったが、2021年2月の一部改良以降はグレード名が集約されホンダセンシングが標準装備となった。
G・Honda SENSING(G・ホンダセンシング)
Gグレードに運転支援機能や安全装備の「ホンダセンシング(Honda SENSING)」を搭載したグレード。
衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉、歩行者事故、低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能を標準装備。
CVT仕様では追加で誤発進抑制機能、ACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉、LKAS〈車線維持支援システム〉、後方誤発進抑制機能が加わる(※6MT仕様は非装備)。
2021年2月の一部改良でホンダセンシングのグレード名を廃止。全グレードにホンダセンシングが標準装備となり、Lグレードに集約された。
L・Honda SENSING(L・ホンダセンシング)
Gグレードに運転支援機能や安全装備の「ホンダセンシング(Honda SENSING)」を搭載したグレード。
衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉、歩行者事故、低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能を標準装備。
CVT仕様では追加で誤発進抑制機能、ACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉、LKAS〈車線維持支援システム〉、後方誤発進抑制機能が加わる(※6MT仕様は非装備)。
2021年2月の一部改良でホンダセンシングのグレード名を廃止。全グレードにホンダセンシングが標準装備となり、Gグレードに集約された。
+STYLE FUN・Honda SENSING(+スタイルファン・ホンダセンシング)
+スタイルファンの自然吸気エンジングレード。標準N-VANのLグレードよりもワンランク、装備が良くなる。
エクステリアでは
- カラード&プラチナ調クロームメッキグリル
- 丸形イルミネーションポジションランプ付きプロジェクター式LEDヘッドライト
- LEDフォグランプ
- 2トーンカラー仕様のホイールキャップ(スタイルファン専用)
- 電動格納式ドアミラー
- ハーフシェイド・フロントウインドウ
- ドアサッシュブラックアウト(センターピラー)
などを標準装備。
インテリアでは
- ジャージー採用フロントシート表皮(CVT仕様にはアームレスト付き)
- 運転席+助手席サンバイザー(バニティミラー付き)
- 助手席側ワークランプ(LED)
- フロントマップランプ(LED)
- リアシートピロー
- シルバー加飾のステアリングガーニッシュ
- ピアノブラック調加飾のエアコンアウトレットリング
- クロームメッキドアインナーハンドル
などを標準装備する。
快適装備は
- PM2.5対応高性能集塵フィルター付きフルオートエアコン
- Hondaスマートキー&プッシュエンジンスタート
- ポップアップ機構付きスライドドア
- 車速連動オートドアロックシステム(CVTのみ)
- フロント2スピーカー
- USBオーディオプレーヤー(AM/FMチューナー内蔵+AUX外部ジャック付き) ※2021年2月以降はオーディオ仕様となり非装備
- 荷室アクセサリーソケット
- ユーティリティナット(28個)
などを標準装備。「ナビ装着スペシャルパッケージ」はオプション設定。
自動ブレーキ関連では衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉、歩行者事故、低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能を標準装備。
CVT仕様では追加で誤発進抑制機能、ACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉、LKAS〈車線維持支援システム〉、後方誤発進抑制機能が加わる(※6MT仕様は非装備)。

+STYLE FUN・ターボ Honda SENSING(+スタイルファン・ターボ ホンダセンシング)
+スタイルファンのターボエンジン搭載グレード。ターボにより力強い走りが特徴のグレード。ただし6MTが非設定で、CVTのみとなる。
装備内容は自然吸気エンジンの+スタイルファンと同じ。

+STYLE COOL・Honda SENSING(+スタイルクール・ホンダセンシング)
+スタイルファンの自然吸気エンジングレード。標準N-VANのLグレードよりもワンランク、装備が良くなる。
エクステリアでは
- クロームメッキグリル
- オートライトコントロール付きハロゲンヘッドライト
- LEDフォグランプ
- ホイールキャップ(N-VAN・Lグレード共通)
- 電動格納式ドアミラー
- クリアーテールランプ(LED仕様)
- ハーフシェイド・フロントウインドウ
- ドアサッシュブラックアウト(センターピラー)
- クロームメッキ・リアライセンスランプ
などを標準装備。
インテリアでは
- ジャージー採用フロントシート表皮(CVT仕様にはアームレスト付き)
- 運転席+助手席サンバイザー(バニティミラー付き)
- 助手席側ワークランプ(LED)
- フロントマップランプ(LED)
- リアシートピロー
- シルバー加飾のステアリングガーニッシュ
- ピアノブラック調加飾のエアコンアウトレットリング
- クロームメッキドアインナーハンドル
などを標準装備する。
快適装備は
- PM2.5対応高性能集塵フィルター付きフルオートエアコン
- Hondaスマートキー&プッシュエンジンスタート
- ポップアップ機構付きスライドドア
- 車速連動オートドアロックシステム(CVTのみ)
- フロント2スピーカー
- USBオーディオプレーヤー(AM/FMチューナー内蔵+AUX外部ジャック付き) ※2021年2月以降はオーディオ仕様となり非装備
- 荷室アクセサリーソケット
- ユーティリティナット(26個) ※スタイルファンや標準N-VANは28個
などを標準装備。「ナビ装着スペシャルパッケージ」はオプション設定。
自動ブレーキ関連では衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉、歩行者事故、低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能を標準装備。
CVT仕様では追加で誤発進抑制機能、ACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉、LKAS〈車線維持支援システム〉、後方誤発進抑制機能が加わる(※6MT仕様は非装備)。

+STYLE COOL・ターボ Honda SENSING(+スタイルクール・ターボ ホンダセンシング)
+スタイルファンのターボエンジン搭載グレード。ターボにより力強い走りが特徴のグレード。ただし6MTが非設定で、CVTのみとなる。
装備内容は自然吸気エンジンの+スタイルファンと同じ。

N-VANの1年にかかる税金(軽自動車税)は? 4ナンバー軽貨物・自家用でN-BOXよりも安い
N-VANは4ナンバー軽貨物・自家用モデルのため、1年間の税金(軽自動車税)が5,000円。乗用モデルN-BOXなど、一般的な5ナンバーの乗用軽自動車は10,800円のため、年間5,800円浮く計算になる。
例えば10年保有したとなると単純計算58,000円もの節税になり、浮いた分で外のことに使えたりと、特に軽自動車が必需品な地方都市では他の軽自動車に比べてアドバンテージがある。
なお、一部他サイトで10,800円の記載があるが、これは間違い。5ナンバーの乗用モデルN-BOXなどと勘違いしていると思われる。
このほか車検時に必要な重量税は他の乗用モデルと同じで年間3,300円。車検時は2年分の6,600円が必要になる。
エクステリア(外装)
フロントデザイン。N-VANはN-BOXがベースでなんとなく似ているように感じるがよく見ると細部は異なる。
ヘッドライトは2代目N-BOXに比べて縦方向に大きくし、斜めの切り込みを持たせることで商用車らしいベーシックな印象を与えている。
グリルもオーソドックスな水平基調で誰からも受け入れやすいデザインとした。バンパーもグリルと同じ用に水平方向を意識したデザインで非常にベーシックだ。
サイド。横からも2代目N-BOXに近いがやはり細部が異なる。運転席付近のフロントクォーターガラスは非装備でボンネットのエッジは緩やかに傾斜。
リアのクォーターガラスも形状が異なり、サイドガラスからルーフにかけてもN-VANのほうがボリュームがある。
ボディサイド中央部には波線のような3本ラインのくぼみが与えられており、ワンポイントのアクセントとなっている。
また、若干ながらボディ剛性の強化にも一役買っている。さらにスライドドアの取っ手は商用車らしくベーシックなデザインで両側とも非電動の手動式となる。
助手席は上述のとおり助手席側センターピラーレスとなる。
足元は商用車といえばの12インチ鉄チンホイール。質実剛健な部分が残されている。
上級グレードのLではオシャレなホイールキャップ付きとなる。
リア。2代目N-BOXベースだが、コンビランプは開口部を広く保つため細長デザインとなっている。ブレーキランプ部はLEDだ。この他リアワイパーが通常の位置になくルーフ部分にきている。
これは中央部にワイパーを設置すると内側にその分の膨らみが生じ、荷室スペースを圧迫してしまうため。このためN-VANでは少しでも荷室スペースを広くするためあえてワイパーをテールゲート最上部へ移動させている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはS07B型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ(※ターボはカスタム仕様の+スタイルファン(旧名称・+スタイルファンターボ、+スタイルクールターボ)のみに設定)。
最高出力53ps(39kW)/6800rpm、最大トルク6.5kg・m(64N・m)/3600rpm。
N-VAN用にチューニングされたS07B型エンジンで特に低~中速域でのトルクがN-BOXのものより太く、配送業などの業務用途で扱いやすくなっている。また耐久性や信頼性も向上し、走行距離が伸びやすい軽バンらしい専用仕様となる。トランスミッションはCVTまたは6MT。駆動方式はFFまたは4WDとなる。
予防安全技術のホンダセンシングの内容は上述のとおりで、デビュー当初はG・ホンダセンシング、L・ホンダセンシングという風にグレード名に「ホンダセンシング」が付くもののみ標準装備だった。
が、2021年2月の一部改良で非装備グレードを廃止。ホンダセンシングがグレード名に付かなくなり、全グレードでホンダセンシングが標準装備となった。
N-VAN JJ1とJJ2型との違い
N-VANのJJ1型とJJ2型の違いは駆動方式。JJ1型は前輪を駆動するFFのN-VAN。JJ2型はJH1をベースに全部のタイヤを駆動する4WDのN-VAN。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるビスカスカップリングを用いたパッシブタイプのオンデマンド4WD方式。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。
N-VANのリコール 2022年6月2日届け出・低圧燃料ポンプの不具合
2022年6月2日にホンダから国交省へN-VANのリコールが届け出られた。対象となるのはJJ1型N-VANで、対象となるのは2018年6月から2018年12月までの車体。
ざっくりいうとデビュー~半年後生産までのFFモデルが対象だ。
内容は燃料ポンプの不具合。燃料ポンプ内のガソリンを吸い上げる樹脂製の羽根車に不具合があり、使用し続けるこの歯車が変形しガソリンをエンジンに送れなくなる。
これにより最悪エンジンが止まる恐れがある。ただし現状はそこまで重大な事故は発生しておらず、エンジンがかからないケースが68件報告されているとのこと。
なお、今回のリコールはのN-VANのFFモデルが対象。JJ2型の4WDモデルはリコール対象外となっている。
対象車種を使用している人は交換部品の準備ができ次第、リコール対応が実施される。軽貨物という性質上、配送や移動など仕事で使っている人も多いと思う。
リコール通知ハガキまたは封書の到着後、ディラーでの無償交換となるが、個人配送で多忙な業務の場合は時間を作るのが難しいかもしれない。ただ、発症すると業務にもっと支障が出るので致し方ないか。
なお、今回のリコールでは初代N-WGN、初代W-WGNカスタム、2代目前期N-BOX&N-BOXカスタム、初代N-ONE、N-BOXスラッシュ、S660も対象車種となっており、全部で21万9623台が対象となる大規模リコールとなった。
N-VANの正面衝突時の安全性能 エブリイ・ハイゼットカーゴよりは運転席が強固で、軽バンの中ではトップクラス
N-VANではない他社の軽バン(エブリイやハイゼットカーゴ)は広大なラゲッジスペースを確保するため、エンジンを運転席下に配置するキャブオーバーを採用している。
このためラゲッジスペースが大きくなるものの、クラッシュゾーンも小さく、エンジンもボンネットに無いため正面衝突時の安全性能がどうしても劣り、死亡事故に至りやすい問題点がある。
2023年5月10日には福島県福島市松川町の県道でキャブオーバー型軽バンのハイゼットカーゴとN-VANが正面衝突する事故が発生。
この事故によりハイゼットカーゴはフロントからキャビンにかけて大破し乗っていた男性が死亡している。
一方のN-VANはフロントが大破したもののキャビンまではほとんど到達しておらず、運転手も命に別条はなかった。
ボンネットにエンジンが無い一般的な軽バンは主に街乗りがメインで郊外を走ってスピードを出すようなことは少ないと思うが、ある程度のスピードで事故ると、特に正面衝突では確実に死亡事故に至りやすくこの点は大きなリスクである。
また配送などの業務で使うユーザーは、納期や再配達、時間指定などで時間に追われスピードを出しやすい傾向にある。この点も死亡事故のリスクを高める要因だ。
ボンネットバンのN-VANは絶対的な安全性は軽自動車レベルなので強固とは言い切れないが、少なくともエブリイやハイゼットカーゴよりは正面衝突事故に強く、ラゲッジスペースはどうしても狭くなるデメリットがあるものの、郊外などを走るユーザーにも安心の軽バンであると言える。


荷室の広さを犠牲にできるなら、用途にあわせて快適性や安全性能で選ぶという選択肢もアリかもしれない。
インテリア(内装)
インパネ。商用車らしく黒ベースだが、シンプルにまとまっておりかつてのアクティバンやバモスと比べてもかなり質感が向上した。
ステアリングはウレタンステアリングホイール。
N-VANの6MTのシフトノブ。
スピードメーターは全グレード共通でセンターにスピードメーター。左側にタコメーター、右側にマルチインフォメーションディスプレイを備える3眼メーター。
シンプルだが、非常に見やすくかつタコメーターが付いていることで商用車らしくないところも好印象だ。
エアコンは全グレードでオートエアコンを標準装備。商用車ではマニュアルエアコンが主流だが、シートと合わせて快適空間を提供する。
フロントシートはセパレートタイプ。N-VANのウリの一つでもあるフロントシートは、一般的な軽貨物のヘッドレスト一体型シートとは大きく異るサイトサポートや座面サポートがしっかりとしホールド性の高いシートとなっている。
これは軽貨物においても長時間運転することを考慮し、シートにこだわった為である。さらに生地は破れづらいよう一枚物とした。Gグレードでは表皮がトリコット。
上級のLグレードでは少し上質なジャージー素材となる。その一方で助手席は補助的なものと位置づけ、軽トラのような簡素なシートとなっている。
リアシート。軽貨物なのでヘッドレストが無い簡素なシートとなる。基本はシートを倒してラゲッジルームとして利用し、まれに人を乗せるという使い方がメインとなる。
ラゲッジルーム。
リアシート+助手席を倒した状態。
ラゲッジルームを倒した状態でも一般的な軽ワンボックスよりは荷室長は短めだが、助手席を倒してフルフラットにし、助手席をミラクルオープンドアとすることでその欠点をカバーする。
N-VANはサブロク(910×1820)板が平積みできない 仕事ユースやDIY用途では使いづらい
N-VANはラゲッジスペースの広さ(奥行き)がエブリイやハイゼットカーゴに比べて短いので、工事業者や従事者がよく使う「サブロク板」を平積みすることができない。
助手席を倒して縦にすれば積むことができるが、せいぜい数枚程度でかつ助手席側や助手席後方の視界も妨げられるので使い勝手が悪い。
プロユースやDIYでサブロク板を何枚も積むような使い方だとエブリイやハイゼットカーゴの方が無難で、N-VANは選び辛い。
まとめ
ホンダのN-VANはN-BOXをベースに、軽ワンボックスとしては異例の軽ボンネットバンをベースに誕生させた軽自動車である。
軽ボンネットバンゆえの積載量不足な欠点をN-BOXで培った技術でカバーしており軽ワンボックスとして充分通用するモデルに仕上がっている。
また、軽商用モデルのままカスタムモデルも設定しており、税金が圧倒的安い軽貨物(自家用軽貨物なら年4000円)としての魅力がかなり高い1台ともなってる。
仕事はもちろん個人でもレジャーや車中泊でも活用できて軽商用モデルという枠を越えたニーズがありそうなモデルでもある。
なお、ダイハツがN-VANに先駆けて似たようにウェイクをベースとした軽商用モデル、「ハイゼットキャディ」を登場させた。
ハイゼットキャディも似たコンセプトだが、助手席は折り畳めるものの完全フルフラットにはならず、後部座席を取っ払って2名乗車としているが荷室長はそんなに長くない。
ミラクルオープンドアのようなセンターピラーレス機構も無いため後発のN-VANや自社のハイゼットカーゴに食われる存在となり、ハイゼットキャディはすぐに生産終了となってしまった。
N-BOXをベースに軽商用モデルとしての機能性や利便性を突き詰めたN-VANが勝利するカタチとなった。
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