N-VANはホンダの軽貨物車で、アクティバンとバモス&バモスホビオの後継モデルである。本稿ではカスタムモデルの+スタイルファンを扱う。
出典:ホンダ認定中古車
- ホンダ・N-VANとは?特徴など
- ワンボックス軽貨物との違い
- 「N-VAN」と「N-VAN+スタイルファン」の違い
- 「N-VAN+スタイルファン」と「N-VAN+スタイルクール」の違い
- N-VANの一部改良など
- N-VAN+スタイル ファンのグレード +STYLE FUN Honda SENSING、 +STYLE FUNターボ・Honda SENSING(ホンダセンシング)の違いなど
- エクステリア(外装)
- エンジン・機能装備・安全装備など
- N-VAN JJ1とJJ2との違い
- N-VANのリコール 2022年6月2日届け出・低圧燃料ポンプの不具合
- N-VANの1年にかかる税金(軽自動車税)は? 4ナンバー軽貨物・自家用でN-BOXよりも安い
- N-VANの正面衝突時の安全性能 エブリイ・ハイゼットカーゴよりは運転席が強固で、軽バンの中ではトップクラス
- インテリア(内装)
- N-VAN スタイルファンのまとめ
ホンダ・N-VANとは?特徴など
2019年7月に登場したホンダ・N-VAN。
N-BOXやN-WGN、N-ONE、N-BOX+、N-BOXスラッシュに続くNシリーズの第6弾として登場したこのクルマは、それまでの常識を覆すFFの軽ボンネットバンをベースとする軽貨物ワンボックスとして誕生した。
それまでの軽ワンボックスというとスズキ・エブリイやダイハツ・ハイゼットカーゴのようにエンジンを運転席下などの床下に配置し、ボンネット内にエンジンを持たないスタイルが主流。
ボンネット内にエンジンがない分広大な荷室長を誇るものだった。その常識に対し荷室長が狭くなってしまうボンネット内にエンジンを持つ軽ボンネットバンのN-BOXをベースに開発されたホンダの軽ワンボックスがこのN-VANである。
出典:ホンダ認定中古車
N-VANはN-BOXでも採用したセンタータンクレイアウトの採用で荷室を底床化。高さのある荷物も積載できるようにした。
さらに助手席にもダイブダウン機構を取り入れ助手席からリアシート、ラゲッジルームまでフルフラットな空間を実現。
さらに軽バンでは初となるセンターピラーレス仕様により助手席側に大きな開口部を実現。それまでの軽貨物バンにはない利便性を実現した。
エンジンはNシリーズで搭載しているS07B型エンジンをN-VAN仕様へ最適化。低速トルクで高トルクを発生しつつ低燃費とした。
またトランスミッションはCVTのほか、6MTを設定。エンジンと組み合わせてスムーズかつ高い静粛性を実現した。
予防安全技術としては自動ブレーキのホンダセンシングをホンダ軽バンに初採用。以下の機能をグレードやトランスミッションにもよるが最大10個搭載する。
①衝突軽減ブレーキ
②誤発進抑制機能
③歩行者事故低減ステアリング
④先行車発進お知らせ機能
⑤標識認識機能
⑥路外逸脱抑制機能
⑦ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>
⑧LKAS<車線維持支援システム>
⑨後方誤発進抑制機能
⑩オートハイビーム
さらに軽量かつ高剛性な素材を配置しドアインピラー構造によりセンターピラーレス構造であっても充分な衝突安全性を確保した。
また、N-VANでは快適性も重視。運転席は軽貨物にありがちな簡素でコスト重視のシートとは異なり、腰をサポートするホールド性の高いシートで長時間の運転での疲れを軽減。
さらに低床設計により足の運びをスムーズに乗り降りしやすくした。
ワンボックス軽貨物との違い
ボンネットにエンジンのないスズキ・エブリイやダイハツ・ハイゼットカーゴと、ホンダ・N-VANでは見た目以外に室内空間が大きく異る。
エブリイやハイゼットカーゴではボンネットにエンジンが無い分、運転席がより前にあり、後部座席も前側にある。これによりラゲッジルームも広く、後部座席を倒すとさらに広大な荷室となる。
その荷室長はエブリイで1910mm。ハイゼットカーゴで1950mm。荷室高はエブリイが1240mm、ハイゼットカーゴが(※ハイルーフで)1235mm
一方のN-VANはボンネットにエンジンがあるため運転席がエブリイやハイゼットカーゴより後ろにあり、後部座席もより後方にある。
このためラゲッジルームも2台に比べ狭く後部座席を倒してもその荷室長は1510mmであまり長くならない。
ただしN-VANではあまり利用しないであろう助手席を倒して助手席からラゲッジルームまでフルフラットにできるようなっており、この場合の荷室長は約2600mmに達する。
横幅は広くならないため縦にも横にも大きい長物はさすがに無理だが、例えば脚立やサーフボードは余裕で積めるし、自転車はもちろんバイクも積載可能で、車中泊する場合にも有用な構造となっている。
最大積載量は一般的な軽ワンボックスと同じく350kg(※+STYLE FUN 4WD、+STYLE COOL 4WDの最大積載量は300kg)。
さらにその助手席側のピラーをタントのミラクルオープンドアのようにレスにすることで助手席側に広大な開口部を確保。
この開口部はエブリイにもハイゼットカーゴにもない特徴で横からの荷物の積み下ろしを用意にした。
加えて低床設計なのでラゲッジルームの床が低く荷物が載せやすく、荷室高も1365mmとライバルよりも100mmほど高くなっている。
例えば女性ドライバーで重たい荷物をラゲッジルームに載せようとした場合、ラゲッジルームの床が低いのでより少ない力で荷室を載せられる。
また、N-VANは燃費性能が良い。この手の軽ワンボックスは「その広大なラゲッジルームと引き換えに燃費には目を瞑る」のが常識だったのだが、N-VANは2代目N-BOXをベースにした軽量高剛性なボディと新世代エンジンと燃費効率に優れるCVTもしくは6MTを組み合わせることでFFのCVTでJC08燃費で21.2km/Lを実現。
一番悪い4WDの6MTでも17.6kmとこの手の軽ワンボックスにしてはかなり優秀だ。毎日仕事で乗る軽貨物だからこそ燃費は特に個人事業主には気になるところで、その点でもN-VANの特徴が現れている。
「N-VAN」と「N-VAN+スタイルファン」の違い
「N-VAN」はハイゼットカーゴやエブリイのように仕事で使うベーシックな軽貨物的な内外装に対し、N-VAN+スタイルはメッキグリルやLEDフォグランプ、レトロデザインなホイールキャップ、乗用モデルのようなポップなボディカラーに質感を高めたインテリアなど軽貨物でありながら乗用モデルに負けない内外装を持つグレードとなる。
出典:ホンダ認定中古車
また、N-VANには無いターボ仕様が選択でき街乗り以外に郊外に遠出する場合も頼もしい。
「N-VAN+スタイルファン」と「N-VAN+スタイルクール」の違い
もうひとつのカスタムモデル、スタイルクールとの違いは
- スタイルファンがノーマルのN-VANと同じハイルーフ仕様
- スタイルクールよりも控えめなメッキグリル
- 専用にして唯一の丸形イルミネーションポジションランプ付きプロジェクター式LEDヘッドライト
- リアコンビランプがノーマルと同じ通常タイプ
など同じカスタムモデルでも外観が異なる。
ボディカラーもスタイルファンしか選べない黄色系の「プレミアムイエローパール」が選択可能となり、そのポップな外観に磨きをかけ軽貨物ながらスタイリッシュ仕様。
(※逆にスタイルクールでは紫系のプレミアムベルベットパープル・パールが選択可能)。
ノーマルタイプと同じハイルーフ仕様でよりカジュアルなスタイリングがN-VAN+スタイルファンの特徴となっている。
N-VANの一部改良など
2019年7月・仕様変更
2019年7月の仕様変更では、ボディカラーを一部変更。
「N-VAN +STYLE」に設定の「プレミアムピンク・パール」を「ピーチブロッサム・パール」に入れ替え。「プレミアムホワイト・パール」は「プラチナホワイト・パール」に入れ替えた。
2021年2月・一部改良
2021年2月の一部改良では自動ブレーキの「ホンダセンシング」の設定を見直し。自然吸気エンジンのホンダセンシング無し仕様を廃止し、全グレードに標準装備化。
グレード名やタイプも変更し、標準N-VANはホンダセンシングの名前が取れてシンプルな「G」と「L」に変更。
カスタムモデルの「N-VAN +STYLE」系グレードは「+STYLE COOL」系を廃止し「+STYLE FUN」系タイプのみに集約。「+STYLE FUN」、「+STYLE FUN・ターボ」の2種類とし、すべてハイルーフ仕様のみとなった。
ボディカラーも「+STYLE FUN」系タイプで変更。「ピーチブロッサム・パール」を廃止し、入れ替えで「フレームレッドとサーフブルー」を追加して8色とした。
「+STYLE COOL」系に専用色として設定されいた「プレミアムベルベットパープル・パール(有料オプション色)」は引き継がれず、グレードと同じく廃止された。
標準N-VANに関してはボディカラーの変更は無し。
全グレードに標準装備していたAM/FMラジオまたはUSBオーディオプレーヤーを非装備とした。
2021年4月・仕様変更
2021年4月の仕様変更では「N-VAN +STYLE」に設定のボディカラーが変更。
青系「ブリリアントスポーティーブルー・メタリック」は「フレンチブルー・メタリック」に。
グレー系「シャイニンググレー・メタリック」は「アドミラルグレー・メタリック」に。
黒系「クリスタルブラック・パール」は「ナイトホークブラック・パール」へそれぞれ入れ替えた。
2022年4月・仕様変更
2022年4月の仕様変更では「N-VAN +STYLE」に設定のボディカラーを変更。
「サーフブルー」と入れ替えで「ソニックグレー・パール(有料オプション色)」を新設定した。
N-VAN+スタイル ファンのグレード +STYLE FUN Honda SENSING、 +STYLE FUNターボ・Honda SENSING(ホンダセンシング)の違いなど
N-VANのカスタムモデル、スタイルファングレード展開は、自然吸気エンジン仕様「+STYLE FUN・Honda SENSING」とターボ仕様「 +STYLE FUN・ターボ Honda SENSING 」の2種類。
それぞれ運転支援機能を標準装備する。
デビュー当初は自動ブレーキの「ホンダセンシング(Honda SENSING)」を搭載したグレードと非搭載仕様がそれぞれに設定されていたが、モデル中盤で非搭載グレードを廃止。
グレード名もホンダセンシングの名前が消えて「G」と「L」に集約された。
標準N-VANやクールに関してはこちらから。
+STYLE FUN・Honda SENSING(+スタイルファン・ホンダセンシング)
+スタイルファンの自然吸気エンジングレード。標準N-VANのLグレードよりもワンランク、装備が良くなる。
エクステリアでは
- カラード&プラチナ調クロームメッキグリル
- 丸形イルミネーションポジションランプ付きプロジェクター式LEDヘッドライト
- LEDフォグランプ
- 2トーンカラー仕様のホイールキャップ(スタイルファン専用)
- 電動格納式ドアミラー
- ハーフシェイド・フロントウインドウ
- ドアサッシュブラックアウト(センターピラー)
などを標準装備。
インテリアでは
- ジャージー採用フロントシート表皮(CVT仕様にはアームレスト付き)
- 運転席+助手席サンバイザー(バニティミラー付き)
- 助手席側ワークランプ(LED)
- フロントマップランプ(LED)
- リアシートピロー
- シルバー加飾のステアリングガーニッシュ
- ピアノブラック調加飾のエアコンアウトレットリング
- クロームメッキドアインナーハンドル
などを標準装備する。
快適装備は
- PM2.5対応高性能集塵フィルター付きフルオートエアコン
- Hondaスマートキー&プッシュエンジンスタート
- ポップアップ機構付きスライドドア
- 車速連動オートドアロックシステム(CVTのみ)
- フロント2スピーカー
- USBオーディオプレーヤー(AM/FMチューナー内蔵+AUX外部ジャック付き) ※2021年2月以降はオーディオ仕様となり非装備
- 荷室アクセサリーソケット
- ユーティリティナット(28個)
などを標準装備。「ナビ装着スペシャルパッケージ」はオプション設定。
自動ブレーキ関連では衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉、歩行者事故、低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能を標準装備。
CVT仕様では追加で誤発進抑制機能、ACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉、LKAS〈車線維持支援システム〉、後方誤発進抑制機能が加わる(※6MT仕様は非装備)。
+STYLE FUN・ターボ Honda SENSING(+スタイルファン・ターボ ホンダセンシング)
+スタイルファンのターボエンジン搭載グレード。ターボにより力強い走りが特徴のグレード。ただし6MTが非設定で、CVTのみとなる。
装備内容は自然吸気エンジンの+スタイルファンと同じ。
エクステリア(外装)
出典:ホンダ認定中古車
フロントデザイン。N-VANはN-BOXがベースでなんとなく似ているように感じるがよく見ると細部は異なる。
ヘッドライトは2代目N-BOXに比べて縦方向に大きくし、斜めの切り込みを持たせることで商用車らしいベーシックな印象を与えている。
グリルもオーソドックスな水平基調で誰からも受け入れやすいデザインとした。バンパーもグリルと同じ用に水平方向を意識したデザインで非常にベーシック。
出典:ホンダ認定中古車
スタイルファンではこれにメッキグリル、クロームメッキカバー付きLEDフォグランプ、プロジェクター式LEDフルヘッドライトを標準装備する。
メッキグリルはスタイルクールよりも控えめな中央のライン1本のみがメッキ仕様となり、そのかわり押しの強いヘッドライトによりスタイルクールとは異なるポップな顔つきでよりスタイリッシュ感がアップ。ベースモデルの軽貨物感がかなり薄れた顔つきとなる。
フルLEDヘッドライトはポジションランプもLEDで、丸形に点灯する。
出典:ホンダ認定中古車
サイド。横からも2代目N-BOXに近いがやはり細部が異なる。運転席付近のフロントクォーターガラスは非装備でボンネットのエッジは緩やかに傾斜。
リアのクォーターガラスも形状が異なり、サイドガラスからルーフにかけてもN-VANのほうがボリュームがある。
ボディサイド中央部には波線のような3本ラインのくぼみが与えられており、ワンポイントのアクセントとなっている。また、若干ながらボディ剛性の強化にも一役買っている。
さらにスライドドアの取っ手は商用車らしくベーシックなデザインで両側とも非電動の手動式となる。
スタイルファンではハイルーフ仕様となり、ノーマルのN-VANと同じ高さ。かつボディカラーを7種類設定。
N-VANでは軽貨物らしい廉価な白系(タフタホワイト)とシルバー系(ルナシルバーメタリック)の2色のみだったが、スタイルファンでは乗用モデルと同じコストのかかるパールやメタリックなボディカラーを設定。
- 白(プラチナホワイトパール) ※2019年7月以前はプレミアムホワイト・パール
- 銀(シャイニンググレー・メタリック)
- 黄(プレミアムイエローパール)
- 黒(クリスタルブラックパール)
- ピンク(ビーチブロッサムパール)
- 青(ブリリアントスポーティブルーメタリック)
- 緑(ガーデンクリーンメタリック色
の全7色から選択可能とした。この軽貨物らしくないボディカラー設定も魅力の一つとなっている。
なお、ボディカラーは入れ替えが数回行われており、
2021年4月の仕様変更では
- 青「ブリリアントスポーティーブルー・メタリック」は「フレンチブルー・メタリック」に。
- グレー「シャイニンググレー・メタリック」は「アドミラルグレー・メタリック」に。
- 黒「クリスタルブラック・パール」は「ナイトホークブラック・パール」へ
2022年4月以降では「ソニックグレーパール」を追加している。
助手席は上述のとおり助手席側センターピラーレスとなる。
足元はホイールキャップ付き12インチスチールホイール。ホイールキャップではあるがデザインがレトロ調で軽貨物なN-VANによく似合うデザインとなっている。
デザインはスタイルファンとスタイルクールで共通。タイヤサイズは商用車らしく145/80R12。
出典:ホンダ認定中古車
リア。2代目N-BOXベースだが、コンビランプは開口部を広く保つため細長デザインとなっている。
コンビランプはスタイルクールではクリアーテールになっていたが、スタイルファンではN-VANと同じ通常タイプのコンビランプとなる。
この他リアワイパーが通常の位置になくルーフ部分にきている。これは中央部にワイパーを設置すると内側にその分の膨らみが生じ、荷室スペースを圧迫してしまうため。
このためN-VANでは少しでも荷室スペースを広くするためあえてワイパーをテールゲート最上部へ移動させている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはS07B型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンとS07B型直列3気筒インタークーラー付きDOHCターボエンジンの2種類。
出典:ホンダ認定中古車
自然吸気エンジンの最高出力は53ps(39kW)/6800rpm、最大トルク6.5kg・m(64N・m)/3600rpm。
N-VAN用にチューニングされたS07B型エンジンで特に低~中速域でのトルクがN-BOXのものより太く、配送業などの業務用途で扱いやすくなっている。また耐久性や信頼性も向上し、走行距離が伸びやすい軽バンらしい専用仕様となる。
ターボエンジンの最高出力は64ps(39kW)/6000rpm、最大トルク10.6kg・m(104N・m)/2600rpm。
ターボエンジンは2600回転で最大トルクを発生するため街乗りではかなり乗りやすく、エンジン音も静か。
トランスミッションは自然吸気エンジンのスタイルファンがCVTまたは6MT。ターボエンジン仕様のスタイルファン・ターボはCVTのみとなる。駆動方式はそれぞれFFまたは4WDとなる。
予防安全技術のホンダセンシングの内容は上述のとおりで、デビュー当初はスタイルファン・ホンダセンシング、スタイルファン・ターボ・ホンダセンシングという風にグレード名に「ホンダセンシング」が付くもののみ標準装備だった。
が、2021年2月の一部改良で非装備グレードを廃止。
ホンダセンシングがグレード名に付かなくなり、全グレードでホンダセンシングが標準装備となったと同時にロールーフ&カスタム仕様であるスタイルクールが廃止。
以後カスタムモデルはこのハイルーフ仕様のスタイルファンのみとなった。
N-VAN JJ1とJJ2との違い
N-VANのJJ1とJJ2の違いは駆動方式。JJ1は前輪を駆動するFFのN-VAN。JJ2はFFのNーVANをベースに全部のタイヤを駆動する4WDのN-VAN。
ただし4WDに関してはジムニーやパジェロミニなどの本格軽SUVとは異なり、基本はFFで、前後の回転差が生じた時(滑った時など)に4WDとなるビスカスカップリングを用いたパッシブタイプのオンデマンド4WD方式(ただしN-BOXを流用せず荷物積載時の高負荷に耐えられるよう1.5リッタークラスをベースに専用開発したトルク容量アップ仕様)。
パートタイム4WDのようなタイトブレーキング現象が発生せず街乗りでは扱いやすいが、その分本格的な悪路走行には向いていないのでその点は十分注意されたい。
なお、FFモデルのJJ1と4WDモデルのJJ2では4WD用の部品配置の関係で燃料タンク容量が微妙に異なる。FFのJJ1は27リットルに対し、4WDのJJ2は25リットルとなる。
N-VANのリコール 2022年6月2日届け出・低圧燃料ポンプの不具合
2022年6月2日にホンダから国交省へN-VANのリコールが届け出られた。
対象となるのはJJ1型N-VANで、対象となるのは2018年6月から2018年12月までの車体。ざっくりいうとデビュー~半年後生産までのFFモデルが対象だ。
内容は燃料ポンプの不具合。燃料ポンプ内のガソリンを吸い上げる樹脂製の羽根車に不具合があり、使用し続けるこの歯車が変形しガソリンをエンジンに送れなくなる。
これにより最悪エンジンが止まる恐れがある。ただし現状はそこまで重大な事故は発生しておらず、エンジンがかからないケースが68件報告されているとのこと。
なお、今回のリコールはのN-VANのFFモデルが対象。JJ2型の4WDモデルはリコール対象外となっている。
対象車種を使用している人は交換部品の準備ができ次第、リコール対応が実施される。軽貨物という性質上、配送や移動など仕事で使っている人も多いと思う。
リコール通知ハガキまたは封書の到着後、ディラーでの無償交換となるが、個人配送で多忙な業務の場合は時間を作るのが難しいかもしれない。ただ、発症すると業務にもっと支障が出るので致し方ないか。
なお、今回のリコールでは初代N-WGN、初代W-WGNカスタム、2代目前期N-BOX&N-BOXカスタム、初代N-ONE、N-BOXスラッシュ、S660も対象車種となっており、全部で21万9623台が対象となる大規模リコールとなった。
N-VANの1年にかかる税金(軽自動車税)は? 4ナンバー軽貨物・自家用でN-BOXよりも安い
N-VANは全グレード4ナンバー軽貨物・自家用モデルのため、1年間の税金(軽自動車税)が5,000円。乗用モデルN-BOXなど、一般的な5ナンバーの乗用軽自動車は10,800円のため、年間5,800円浮く計算になる。
例えば10年保有したとなると単純計算58,000円もの節税になり、浮いた分で外のことに使えたりと、特に軽自動車が必需品な地方都市では他の軽自動車に比べてアドバンテージがある。
なお、一部他サイトで10,800円の記載があるが、これは間違い。5ナンバーの乗用モデルN-BOXなどと勘違いしていると思われる。
このほか車検時に必要な重量税は他の乗用モデルと同じで年間3,300円。車検時は2年分の6,600円が必要になる。
N-VANの正面衝突時の安全性能 エブリイ・ハイゼットカーゴよりは運転席が強固で、軽バンの中ではトップクラス
N-VANではない他社の軽バン(エブリイやハイゼットカーゴ)は広大なラゲッジスペースを確保するため、エンジンを運転席下に配置するキャブオーバーを採用している。
このためラゲッジスペースが大きくなるものの、クラッシュゾーンも小さく、エンジンもボンネットに無いため正面衝突時の安全性能がどうしても劣り、死亡事故に至りやすい問題点がある。
2023年5月10日には福島県福島市松川町の県道でキャブオーバー型軽バンのハイゼットカーゴとN-VANが正面衝突する事故が発生。
この事故によりハイゼットカーゴはフロントからキャビンにかけて大破し乗っていた男性が死亡している。
一方のN-VANはフロントが大破したもののキャビンまではほとんど到達しておらず、運転手も命に別条はなかった。
ボンネットにエンジンが無い一般的な軽バンは主に街乗りがメインで郊外を走ってスピードを出すようなことは少ないと思うが、ある程度のスピードで事故ると、特に正面衝突では確実に死亡事故に至りやすくこの点は大きなリスクである。
また配送などの業務で使うユーザーは、納期や再配達、時間指定などで時間に追われスピードを出しやすい傾向にある。この点も死亡事故のリスクを高める要因だ。
ボンネットバンのN-VANは絶対的な安全性は軽自動車レベルなので強固とは言い切れないが、少なくともエブリイやハイゼットカーゴよりは正面衝突事故に強く、ラゲッジスペースはどうしても狭くなるデメリットがあるものの、郊外などを走るユーザーにも安心の軽バンであると言える。
荷室の広さを犠牲にできるなら、用途にあわせて快適性や安全性能で選ぶという選択肢もアリかもしれない。
インテリア(内装)
出典:ホンダ認定中古車
インパネ。ベーシックなN-VANと基本デザインは同じだが、一部シルバー加飾やピアノブラック調塗装等で質感が向上している。
具体的にはセンターのエアコン吹出口の水平ライン部をシルバー塗装。
運転席側のエアコンアウトレットリングをピアノブラック調とし、インナードアハンドルもクロームメッキとし、そのまわりはピアノブラック調としてスタイリッシュ感をアップさせている。
スタイルクールとスタイルファンの内装は基本的には同じだ。
出典:ホンダ認定中古車
ステアリングはウレタンステアリングホイール。
出典:ホンダ認定中古車
自然吸気エンジン仕様のみに設定の6MTのシフトノブ。
スピードメーターは全グレード共通でセンターにスピードメーター。左側にタコメーター、右側にマルチインフォメーションディスプレイを備える3眼メーター。
シンプルだが、非常に見やすくかつタコメーターが付いていることで商用車らしくないところも好印象だ。
エアコンは全グレードでオートエアコンを標準装備。商用車ではマニュアルエアコンが主流だが、シートと合わせて快適空間を提供する。
出典:ホンダ認定中古車
フロントシートはセパレートタイプ。N-VANのウリの一つでもあるフロントシートは、一般的な軽貨物のヘッドレスト一体型シートとは大きく異るサイトサポートや座面サポートがしっかりとしホールド性の高いシートとなっている。
これは軽貨物においても長時間運転することを考慮し、シートにこだわった為である。さらに生地は破れづらいよう一枚物とした。
スタイルファンではスタイルクールと同じく表皮が上質なジャージー素材となる。その一方で助手席は補助的なものと位置づけ、軽トラのような簡素なシートとなっている。
出典:ホンダ認定中古車
リアシート。軽貨物なのでヘッドレストが無い簡素なシートとなる。また、シートの座面も薄く乗り心地は良くない。あくまで基本はシートを倒してラゲッジルームとして利用し、まれに人を乗せるという使い方がメインとなる。
出典:ホンダ認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:ホンダ認定中古車
リアシート+助手席を倒した状態。上級のとおりラゲッジルームを倒した状態でも一般的な軽ワンボックスよりは荷室長は短めだが、助手席を倒してフルフラットにし、助手席をミラクルオープンドアとすることでその欠点をカバーする。
N-VAN スタイルファンのまとめ
出典:ホンダ認定中古車
ホンダのN-VANはN-BOXをベースに、軽ワンボックスとしては異例の軽ボンネットバンをベースに誕生させた軽自動車である。
軽ボンネットバンゆえの積載量不足な欠点をN-BOXで培った技術でカバーしており軽ワンボックスとして充分通用するモデルに仕上がっている。
そのカスタムモデルの一つでハイルーフ仕様のスタイルファンは、その名前のとおり軽貨物らしくないN-VANの中でも最もスタイリッシュかつ個性的なな外観と少し上質な室内空間、パワフルなターボエンジンの選択も可能としたより乗用モデルに近づけたグレードとなっている。
ターゲットとしては休日のレジャーなどを楽しみたい層で、その縦長かつ背の高い室内空間を生かして自転車はもちろんオートバイも載せれてしまうほど。
このパッケージングで税金が圧倒的安い軽貨物(自家用軽貨物なら年4000円)ゆえ、魅力がかなり高い1台ともなってる。仕事はもちろん個人でもレジャーや車中泊でも活用できて燃費も良い。軽商用モデルという枠を越えたニーズがありそうなモデルでもある。
なお、ダイハツがN-VANに先駆けて似たようにウェイクをベースとした軽商用モデル、「ハイゼットキャディ」を登場させている。
ハイゼットキャディも似たコンセプトだが、助手席を折り畳めず後部座席を取っ払って2名乗車としているが荷室長が狭いまま。
ミラクルオープンドアのような機構も無いため後発のN-VANや自社のハイゼットカーゴに食われる存在となり、生産終了となってしまった。N-BOXをベースに軽商用モデルとしての機能性や利便性を突き詰めたN-VANが勝利するカタチとなった。
ちなみに、N-VANには6MTに自然吸気エンジンの組み合わせとなっているが、ターボ無しでも思いの外よく走り、そして今どきのエンジンにしては珍しい高回転型となっている。
ゆえに回して楽しい6MT仕様となっていて、意外とターボ無しでも走りを楽しめる面白い軽貨物である。
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