【3代目・後期】ホンダ アクティバン(HH5/HH6型)

アクティバン

アクティバンはホンダの軽ワンボックス型軽自動車で軽貨物にあたるモデルである。本稿では3代目、HH5およびHH6の2010年7月マイナーチェンジ~を後期型とし、これを扱う。

3代目・後期型アクティバン HH5/HH6型

画像参照元:ホンダ認定中古車

概要

1999年5月にフルモデルチェンジし、3代目となったホンダのアクティバン。軽トラのアクティトラックと同時にフルモデルチェンジし、フロントまわりはおなじだが、運転席後ろからがアクティバンでは箱バンタイプとなる。

ホンダの軽ワンボックスは歴代、軽トラと同じくMRレイアウトを採用するのが大きな特徴で、スバルのサンバー(※ダイハツ製を除く)に匹敵する独特のメカニズムを持つ軽バンである。

初代は1977年に登場し、2代目は1988年にフルモデルチェンジ。それからおよそ11年ぶりのフルモデルチェンジとなった。

3代目アクティバンは新規格に対応し新衝突安全設計ボディと歩行者障害軽減ボディを採用。また、低出力と高燃費を両立した新エンジンの採用しつつ、従来のMR方式に加えセミキャブオーバータイプのボディとロングホイールベースによる実用性の大幅向上など、新時代のフルモデルチェンジにふさわしい内容となっている。

エクステリアは先代のイメージを引き継ぎつつもヘッドライトを大型化しオーソドックス感をプラス。さらにマルチリフレクターヘッドライトの採用でスタイリッシュな顔つきとした。

3代目アクティバンのパッケージング

パッケージングはアクティ伝統のMR方式を採用しつつ、前輪を可能な限り前に配置したセミキャブオーバータイプを採用。これによりホイールベースは先代比プラス520mmの2420mmに。加えて低床、低重心も実現した。

荷室長は最大2640mm(※タウングレードを除く)を確保し、フルフラットを実現。また、2シーターの「PRO-A」グレード、キャビンと荷室を分離した「PRO-B」など仕事に便利な多彩なラインナップを設定。

また、フロントシートはフラットかつ広い居住スペースを実現し、エンジンが運転席下に無いことで静かなキャビンを実現。また、助手席シートの跳ね上げ機構(PRO-Bグレード)により多様な使い方も実現した。

エンジン・燃費性能・最小回転半径など

エンジンは新開発のE07Z型「ハイパー12バルブ PGM-FIエンジン」を採用。先代よりも8馬力以上パワーアップした新開発エンジンで、加えて「10万kmメンテナンスフリーのイリジウムプラグ」、「DLI(ディストリビュータレスイグニション)点火システム」、「長寿命・タイミングベルト」採用でメンテナンス性や耐久性も向上させた。

これにエンジンをボディ後方、後ろタイヤよりも前に配置するMR方式を採用し優れた操縦安定性と重量配分によるトラクション性能を両立させた。なお、最小回転半径は4.5mで電動パワーステアリングを3代目では標準装備(※PRO-Bを除く)とした。

安全装備など

ボディは前面衝突フルラップ55km/h、前面オフセット衝突64km/h対応した新衝突安全設計ボディに歩行者障害軽減ボディも採用。インテリア前席キャビン上部のルーフサイド、ピラーなどに衝撃を吸収する構造も採用した。

安全装備としては運転席用SRSエアバッグを全タイプ標準装備。助手席用SRSエアバッグはメーカーオプションで設定とした。このほかフロント3点式ロードリミッター付きプリテンショナーELRシートベルトを標準装備。リア3点式ELR/ALR(チャイルドシート固定機構)シートベルトを標準装備は上級のタウングレードに標準装備。

ABSはメーカーオプション設定とし、MT車にはクラッチスタートシステムを新採用した。ただし、快適装備のエアコンはレス仕様でオプション設定となっていた。

3代目アクティバンHH5/HH6と2代目バモスHM1/HM2との違い

3代目アクティバンと2代目バモスの大きな違いは4ナンバーの軽貨物モデルか、5ナンバーの乗用モデルかの違いとなる。

また、内外装やエンジンも異なり、アクティバンは質素なボディカラー(シルバーまたはホワイトのみ)にアルミホイールは非設定。

内装も簡素なシートとなるが、バモスは乗用モデルらしいポップなボディカラーの設定に専用インパネクラスターや上級なシート、ターボエンジンの設定などの違いがある。

3代目アクティバン・後期型の改良点と前期との違い 一部改良など

3代目・後期型アクティバンの改良点( 2010年8月マイナーチェンジ)

その3代目アクティバンは2010年8月にマイナーチェンジを行い後期型に。

後期型では快適装備としてキーレスエントリーとAM/FMラジオチューナーを標準装備化。助手席はスライド機構とリクライニング機構付きのシートに変更&シート表皮を刷新。使い勝手を向上させた。

さらにグレード構成が見直されそれまでの上級グレード、「TOWN」を廃止。廉価グレードの「PRO-A」とミドルグレードの「SDX」の2種類とした。

2012年6月14日の一部改良

「SDX」グレードで高熱線吸収/UVカット機能付プライバシーガラス(リアドア/リアクォーター/テールゲート)が標準装備となる。

2015年3月19日の一部改良

燃費性能(JC08モード)が向上し、全グレードで平成27年度燃費基準を達成した。

3代目アクティバンの生産終了

2018年4月末に軽自動車規格の衝突安全基準強化に伴い3代目アクティバンが生産終了。以後はN-VANへバントタッチ。2018年7月には在庫分の販売を終了しラインナップからも完全消滅。

3代目後期アクティバンのグレードの違い

3代目アクティバンのグレードは2種類で廉価グレードの「PRO-A」とミドルグレードの「SDX」。それ以前は「TOWN」という上級で乗用思考なグレードが存在したが、後期で廃止となった。

アクティバン「PRO-A」グレード

「PRO-A」は完全2名乗車の2シーター仕様で、アクティバンの中でも廉価グレードの位置づけ。安全装備や快適装備などが省略される分、新車価格が安かった。

安全装備ではEDB付きABSが非設定。快適装備ではフロントパワーウィンドウも非設定で手動式ウィンドー。リアシートも非装備でリアドアやリアゲートガラスのプライバシーガラスも非設定。

これ以外では キーレスエントリーとAM/FMラジオチューナー、電動パワーステアリング、エアコン、運転席&助手席エアバッグなどは標準装備。

アクティバン「SDX」グレード

「SDX」はエントリーグレード。「PRO-A」に比べて装備が少し豪華な軽バン。リアシートも簡易的なものだが付いており、4名乗車仕様。ただしそれまであった上級グレードの「TOWN」と比較すると装備は簡素である。

安全装備のEDB付きABS、快適装備ではフロントパワーウィンドウがともオプション設定で、選択すらできなかった「PRO-A」よりも装備が豪華となる。これ以外の装備は「PRO-A」と同じ。

ボディカラーは両方とも「タフタホワイト」か「アラバスターシルバー・メタリック」の2種類のみの設定。

3代目後期アクティバンのエクステリア(外装)

フロントデザイン。3代目アクティバンはオーソドックスな台形ヘッドライト&グリルとバンパーが特徴だ。先代の2代目ではヘッドライトまわりにブラックラインを用いて眼力を強調していたが、3代目ではこれを辞めてベーシック感を強めた。また、中央部にはグリルを採用している。

乗用モデルのバモスとはグリル付近が異なり、バモスではメッキグリルによるスタイリッシュさを強調したたが、貨物のアクティバンでは省略され、形状もベーシックなグリルとなる。

なお、後期モデルでは外装の変更点はなく、見た目は前期とまったく同じ。

3代目後期アクティバン SDXグレードのサイドビュー(側面)

サイド。商用車らしく質実剛健な見た目。前タイヤが極限まで前方に配置されたロングホイールベースであることがわかる。もちろん電動スライドドアは非装備で、両方とも手動スライドドアとなる。

キーレスエントリーは後期モデルで全グレード標準装備となったが、ミラーは非電動タイプの樹脂製(非塗装)手動ミラーとなる。

PRO-Aグレードではリアガラスやテールゲートガラスのプライバシーガラスが非装備で簡素な外観となる。

足元は12インチスチールホイール。タイヤサイズは145R12-8PR LT。

リア。アクティバンのテールランプは先代と同じく下部で横長に配置。荷物の出し入れなどを考慮した設計で、リアゲート開口部が広くなる特徴がある。

エンジン・機能装備

エンジンはE07Z型直列3気筒SOHC12バルブ自然吸気エンジンのみ。前期と比較してよりも最高出力が1ps、最大トルクは0.1kg程度抑えられている。後期モデルの最高出力は45ps(34kW)/5500rpm、最大トルクは6.0kg・m(59N・m)/5000rpm。

4WDの4AT仕様のみ若干出力やトルクが異なり、最高出力は52ps(38kW)/7000rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpm。

トランスミッションは2WDモデルが5MTと3AT、4WDモデルが5MTと4ATとなる。駆動方式はMRまたは4WD。ABSはタウングレードのみにオプション設定。

エンジンはスズキやダイハツの3気筒エンジンと比べるとSOHCなので見劣りする感じがするが、ホンダらしい扱いやすさと3気筒なのに上までよく回るエンジンで、ビートのMTRECとまではいかないが5MTと組み合わせると楽しいエンジンである。

安全装備としては運転席&助手席エアバッグを全グレードに標準装備。EBD付きABSはSDXグレードのみオプション設定。

3代目アクティバン HH5型とHH6型との違い

3代目アクティバンのHH5とHH6との違いは駆動方式。HH5は2輪駆動でMRのアクティバン。HH6は全輪駆動で4WDのアクティバンである。

なお、軽トラのアクティトラックではパートタイム4WDを採用し、一部グレードでは副変速機により悪路での走破性を高めているがアクティバンでは全車ビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDとなる。

3代目アクティバンHH5/HH6の持病・弱点 ヘッドガスケット抜け

アクティバンは乗用モデルのバモスと同じくエンジンを車体中央部に横向き状態で設置されいている(※4WDの4ATを除く)。通常は地面に垂直に設置するのが一般常識だが、床下配置でかつ底床フロアを実現するためエンジンの全高が高くなる垂直置きではなく、横向きで設置したものと思われる。

このためガスケットが地面に対して真横を向いているのだが、これがエンジンのオーバーヒートを招きやすくなっている。

理由はオイル管理が不十分だったり、構造的に熱がこもりやすかったり、高負荷運転(高回転多用)が多いなどが考えられる。

オーバーヒートだけで終われば良いのだが、高い確率でヘッドガスケット抜けを起こし、冷却水の水漏れの発生を招いてしまう。E07Z型エンジンを搭載するバモスはこれが持病と呼ばれ、この状態では修理必須で注意が必要だ。

アクティバンの場合はバモスに比べて故障事例が少ないが、バモス同様に床下にエンジンを横置きする関係で整備性が悪く、工賃が高くなる傾向にある(10万後半~20万円程度)。その発生走行距離は10万キロ前後が多いため、特に過走行車を買う場合は「交換済み」かなど充分注意されたい。

3代目後期アクティバンのインテリア(内装)

3代目アクティバン(後期)のインパネ

インパネ。商用車らしい簡素なデザインだが、インパネトレイなど実用性も加味されたデザイン。後期モデルではステアリングのデザインが変更され、スタイリッシュな見た目となった。また後期モデルではAM/FMラジオが全グレード標準装備となった。

ステアリングはウレタンステアリング。

後期モデルのスピードメーター。いい意味で軽バンらしない2眼式のスポーティなタコメーター付きへ中期型マイナーチェンジで変更されている。なお、このメーターは乗用モデルのバモスと同じタイプである。

エアコンはマニュアル式エアコン。

3ATのシフトノブ。

5MTのシフトノブ。

フロントシートはセパレートタイプ。後期モデルではシート表皮が変更され質感が向上。加えて助手席側がスライド機構とリクライニング機構付きタイプに変更され、使い勝手が向上した。

なお、パワーウィンドウはSDXにオプション設定だったためタマによっては手動ウィンドーの場合もあるので注意。

リアシート。ヘッドレスト無しの左右一体可倒式シート。

ラゲッジスペース。

リアシートを倒した状態。

3代目後期アクティバンのまとめ

3代目後期型のアクティバンはエクステリアに変更がなかったものの、キーレスエントリーや AM/FMラジオチューナーの全グレード標準装備化。シート表皮変更やステアリング形状、助手席にはスライド機構やリクライニング機構が加わったことでより使い勝手が向上したマイナーチェンジとなった。

一方で上級のタウングレードが廃止され構成が簡略化された部分もあり、より実用性重視なモデルへシフト。仕事メインの実用車としての側面を強くしていた。

その後は 2018年4月末に衝突安全基準をクリアできず新設計のN-VANへバントタッチし生産終了となった。

中古市場では軽バンらしく比較的安価に買えるモデルである。静粛性や燃費性能、自動ブレーキなど安全装備の面では次世代のN-VANに勝てないが、2名乗車時のラゲッジスペースの広さはアクティバンに圧倒的な軍配があり、MRレイアウトによる優れた重量配分や価格の安さも魅力的。なおかつ5MTの設定もあるため維持費の安い趣味車としても魅力的なモデルである。

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