2024年からの中古車・アメリカ輸出の概要
つい一昔前までは軽自動車の海外輸出はロシアや一部のアジアを除いてほとんど行われていなかったが、ここ近年はアメリカで軽トラブームが巻き起こり、25年落ちでも軽トラや一部のスポーツモデルなど個性的な軽自動車がアメリカ輸出されている。
そんな界隈の軽自動車だが、2024年(令和6年)からは大人気軽トラの新規格モデルが25年落ちとなり、輸出可能となる。
それ以前の軽トラは旧規格の軽トラで車体寸法が現行モデルよりもひと回り小さく、キャビンも小さいモデルばかりだった。
これが2024年からはボデイが拡大され、キャビンもひとまわり大きくなった1999年発売以降の新規格モデルが輸出可能となり、それ以前で一般的だった旧規格モデルよりも体格の大きなアメリカ人に好まれる&より人気になる可能性がある。
出典:楽園ハワイと私
また軽トラ以外ではセダンタイプで「ダイハツ・初代ミラジーノ」が輸出可能となり、個性的な内外装でこちらもある程度人気が出る可能性もある。
そんな2024年から新たに輸出可能となる軽自動車を一覧でご紹介する。
今までは25年も経過すれば鉄くずか部品取りの価値しかなかった軽自動車だが、アメリカ輸出により中古車として買い取られるチャンスがかなり出てくる。
2024年から新たに輸出可能となる軽トラック
スズキ・キャリイ(10代目・DA52T/DB52T)
1999年1月フルモデルチェンジの10代目。
新規格に対応しボディが9代目よりも拡大。構造もセミキャブオーバータイプとなったのが大きな特徴。
新開発の3分割フレーム構造により国内の新しい安全基準に対応させつつ、タイヤ位置が移動したことでタイヤハウスの出っ張りが無くなり、足元も広く、フロアも低くなり乗降性と居住性が向上した。
そしてスズキの軽トラックでは珍しくターボモデルを設定。
軽トラの中ではベーシックなモデルで、ハイゼットトラックのライバル的存在。
マツダ・スクラムトラック
上記キャリイのOEMモデル。エンブレム違いで中身は基本的に同じ。
ダイハツ・ハイゼットトラック(9代目・S200P/S210P)
1999年1月フルモデルチェンジの9代目モデル。
9代目ではキャリイとは異なりフルキャブタイプを継承しつつ軽新規格と安全対策を取り入れているのが特徴。一方でプラットフォームは8代目トラックの設計の多くを踏襲しコストを抑えている。
9代目はボディ拡大により荷台長は1,940mmに、床面フロア長も2,020mmに拡大。またボディの85%に亜鉛メッキによる防錆鋼板を採用し、カチオン電着塗料により高い防錆性能を実現した。
さらに「ストロング防錆仕様」がスペシャル、ローダンプ、パネルバングレードを除いてオプション設定され、軽トラック初となる錆による穴あき5年、表面錆3年の長期保証を実現した。
キャリイやライバルには無いキャビン拡大仕様の「ハイゼットトラック・ジャンボ」の設定もあり、より快適性が高くなる。
三菱・ミニキャブトラック
1999年1月フルモデルチェンジの6代目。
6代目はキャリイと同じセミキャブスタイルにセンターミッドシップレイアウト&ロングホイールベースの組み合わせ。これにより当時トップレベルの安全性と乗員スペース、積載スペースを確保しつつ機能的で力強いデザインとした。
ボディそのものも1998年の軽自動車新規格に伴い先代よりも全長が100mm、全幅が80mm拡大。これによりクラッシャブルゾーンが増大し、当時の乗用小型車と同等レベルの全方位衝突安全性とした。
また、センターミッドシップレイアウトにより50:50の重量配分なども実現している。
安全装備としては運転席/助手席SRSエアバッグとABS及び3点式チャイルドシート固定機構付きリヤシートベルトを全グレードにオプション設定。
エンジンは新開発の3G83型を採用。新リーンバーンMVVを全グレードに搭載し優れた低燃費と排ガス中のCO2を削減した。
ホンダ・アクティトラック
1999年5月フルモデルチェンジの3代目
3代目のアクティトラックでは歴代のMRレイアウトを採用するとともに、ホイールベースを拡大。ボディを完全新設計し(衝突に対応させ)それまでの2代目とは異なるセミキャブオーバー型のボディとなった。
衝突安全性では前面フルラップ衝突55km/h、前面オフセット衝突64km/hという 世界最高水準の衝突安全性を実現。これと同時に歩行者傷害軽減ボディも同時に実現している。
また、軽トラックとしてはいちはやくマルチリフレクターヘッドライトを全グレード標準採用(当時の軽トラとしてはアクティトラックが初)。夜間の視認性向上だけでなく、昼間の見た目もアップさせ、新規格にふさわしい順当なレベルアップをみせた。
スズキやダイハツ、三菱では見られないMRレイアウトなどの独自性から軽トラの中でも人気があり、キャビン拡大の3代目は一番人気となる可能性あり。
スバル・サンバートラック
1999年2月フルモデルチェンジの6代目。
軽新規格で乗用バンのサンバーディアスと同じくボディサイズが先代より拡大するのはライバル各社と同じだったが、それまで続くフルキャブ形状を維持。他社ライバル(ハイゼットトラック、キャリィトラック、ミニキャブトラック、アクティトラック)とは一線を期するパッケージングだった。
メカニズムでは伝統の軽トラック唯一のエンジン後置き&後輪駆動のRRレイアウトを踏襲。これによりフラットな積載スペースと余裕の居住スペース、RRレイアウトのよるぬかるみなどや坂道でも良好なトラクション、優れたキャビン内の静粛性を実現した。
アメリカではホンダ・アクティトラックと同様に独自のメカニズム(4気筒エンジンや独立懸架式サスペンションの採用、RR方式)で人気がある。
2024年に新たに輸出可能となる軽バン・軽セダンタイプ
軽トラ以外には同じくフルモデルチェンジした各メーカーの軽ワンボックスのほか、ダイハツのミラジーノやネイキッドあたりが輸出可能となる。
特にこの中でもミラジーノはアメリカで人気がでる可能性があり、国内のミラジーノのタマ数がアメリカ輸出の影響でより減少していく可能性がある。
軽バンは長距離を移動するよりは近距離の街中メインで、小回りが効いて荷物も載せられることから買い物などで重宝する。特に島で面積が小さく、移動距離が短くて駐車場も狭いハワイでは人気との情報も。
スズキ・エブリイ/エブリイワゴン(DA52V/DB52V/DA52W)
1999年1月フルモデルチェンジの4代目。
セミキャブデザインの新ボディを採用するが、エンジン搭載位置は運転席下にあり、構造上はキャブオーバータイプとなる。
自然吸気エンジンとターボエンジンを設定し、乗用モデルは後部座席も広く居住性が高い。
マツダ・スクラムバン/スクラムワゴン
上記エブリイのOEMモデル。エンブレムが違う程度でグレード構成や中身は同じ。
ダイハツ・ハイゼットカーゴ/アトレーワゴン
1999年1月フルモデルチェンジの9代目。
デザインはあのジウジアーロ率いるイタルデザイン・ジウジアーロが手掛けたとして有名で、軽バンらしくからぬ伸びやかなエクステリアが特徴。
9代目ハイゼットカーゴは運転のしやすさからセミキャブタイプとなり、万一の衝突時にドライバーの被害を低減する国産車初の引き込み式ステアリングを採用している。
アトレーワゴンは乗用タイプでリアシートの居住性や快適性が高くなる。
三菱・ミニキャブバン/タウンボックス
1999年1月フルモデルチェンジの6代目。
スズキと同じくキャブオーバーを採用。デビュー当初は特徴的なヘッドライトが不評ですぐさまマイナーチェンジを実施し顔面整形が行われデザインが大幅変更された。
乗用モデルのタウンボックスは後部座席の快適性に加え、最上級RXグレードにはブラボーGT後継グレードとして、4気筒20バルブ・ツインスクロールターボエンジンを搭載するなど、豪華なグレードだった。
ホンダ・アクティバン/バモス(HH5/HH6/HM1/HM2)
1999年5月フルモデルチェンジの3代目。
軽トラのアクティトラックと同時にフルモデルチェンジし、フロントまわりはおなじだが、運転席後ろからがアクティバンでは箱バンタイプとなる。
ホンダの軽ワンボックスは歴代、軽トラと同じくMRレイアウトを採用するのが大きな特徴で、スバルのサンバー(※ダイハツ製を除く)に匹敵する独特のメカニズムを持つ軽バン。また、5MTモデルも多く、走りを楽しめる。
ターボ車はバモスのみの設定。
スバル・サンバーバン/ディアス ワゴン/ディアス スクラシック
1999年1月フルモデルチェンジ(発売は2月)の6代目。
他社がセミキャブ化される中、サンバーだけはフルキャブを維持した6代目モデルの軽バン・軽ワゴンタイプ。
トラックと同じくRR方式レイアウトに4気筒エンジン、独立懸架式サスペンションなどこだわりの装備が特徴で、ライバル他社の軽バンにはないしなやかな乗り心地やエンジンのスムーズさなどが大きな特徴。
乗用モデルのディアスバンは後部座席の居住性や快適性に重点をおいたグレード。
ダイハツ・ミラジーノ
1999年3月登場の5代目ミラ派生モデル。
出典:ダイハツ認定中古車
5代目ミラをベースにヘッドライトやフェンダー、バンパーなどを専用設計しミニのようなレトロな外観が特徴のモデル。
内装でも専用シート表皮や木目調インパネなどジーノ専用品でレトロ感を強調。ミラよりも内外装で上質感が高い。
今でも中古車は国内で根強い人気があるが、2024年には初代ミラジーノの初期モデルが輸出可能となる。ターボ仕様や5MTモデルもあり、その愛くるしい外観からアメリカで人気となる可能性あり。
ダイハツ・ネイキッド
1999年11月登場の新モデル。
セダンタイプのミラとワゴンタイプのムーヴの中間程度の全高に、少し高めの最低地上高でクロスオーバーSUVのような雰囲気を与えたニューモデル。
室内空間も軍用車のような個性的なインパネデザインに、リアシートを簡単に取り外し可能としたメカニズム、超低床フロアの採用で1,095Lの荷室容量を誇るなど使い勝手は良好。助手席は軽バンのような前倒し機構をも採用し、2.1mまでの長尺物を積載可能とした。
ターボ仕様や5MT車もあり、ミラジーノと同じく意外な人気となる可能性あり。
スズキ・アルトワークス(4代目後期・HA12S/HA22S)
1999年10月マイナーチェンジの4代目後期モデル。
フロントデザインがヘッドライトの変更(インナーブラック→メッキタイプ)でイメージが変わり、前期で不評だった可変バルブタイミング機構が排除され、チューニングしやすくなった。
軽新規格後の一回り大きいボディのため先代のような俊敏さはないが、体格の大きいアメリカ人でも少し乗りやすくなっている。
スバル・プレオ ネスタ
1999年6月・初代プレオに追加された派生モデル。
クロームメッキの専用グリル、丸目4灯式ヘッドライト、2トーンカラーの採用でレトロ感を演出したモデル。
ミラジーノのように個性的なエクステリアで人気となりそうだが、現存する中古車が少ないためこちらは微妙かも。
25年ルールによる国内の影響
25年ルールが適用されアメリカ輸出可能となると、国内から中古車がアメリカ流出しタマ数が減る可能性がある。アメリカで人気が出れば以前よりも高値で外国人バイヤーが買っていくことの予想される。
アメリカの軽自動車ブームが到来する以前は国内で25年経った軽自動車はほとんど価値が無く鉄くずや部品取り値段しかつかなかったが、これからは価値ある中古車としての需要が発生してくる。
一方でミラジーノなど国内でもいまだ人気のあるモデルは需要の取り合いとなり、流通量も減ることから少しずつ値上がりしてく可能性も。
カプチーノやビート、AZ-1などの高騰まではいかないものの、手頃な価格帯のミラジーノがアメリカに流出し、高価格帯の中古車が国内の残ることから以前よりもミラジーノが買いづらくなる。
本格的なスタートは2024年だが、特に初代ミラジーノに乗りたい人は価格が上昇する前に購入しておいたほうが良いかも。
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