ネイキッドはダイハツのkクロスオーバーSUV軽自動車。本稿では1999年~2001年までの前期型について扱う。
ダイハツ・ネイキッドとは?
1999年にデビューしたダイハツのネイキッド。ネイキッドの特徴は大きな丸目ヘッドライトもさることとながら、ボディ全体が無骨感にあふれているのが最大の特徴である。
これは本来であればボディ下に隠す部分をあえてむき出しにすることによって独特の個性と修理時の利便性をもたせたものである。車名の「ネイキッド」はこのことの由来している。
パッケージングは立体駐車場に入庫可能な1,550mの全高とし、ほぼ直角に開くサイドドアや大口径ハッチバックドアを採用。
リアシートを簡単に取り外し可能とした超低床フロアにより1,095Lの荷室容量を確保。助手席は軽バンのような前倒し機構を採用し、2.1mまでの長尺物を積載可能とした。
画像参照元:カーセンタサー(アクティブカーズ)
エクステリアは箱型ボディにタフさやシンプルさを感じるデザインを融合。むき出しの留具が特徴的なバンパーやグリルに、ドアヒンジなどワイルド感も感じさせるエクステリア。
インテリアは軍用車のような個性的かつ直線基調のワイドストレートインパネとフロントコンソール、フローティングホーン式4本スポークステアリングインパネに抗菌インテリアを採用。
使い勝手もバーエンドキャッチャーが4つ。Cピラー埋め込みナットが6箇所。リアハッチバック内側にもナットを2箇所埋め込んでフリーアレンジ可能なインテリアとした。さらに汚れても拭き取りやすい撥水シート生地とラゲッジスペースにはイージーケアマットを標準採用。
安全装備としてボディは衝突安全ボディのTAFを採用し、横滑り防止装置のDSVとブレーキアシスト付ABSをオプション設定。SRSエアバッグはグレード別に標準装備とした。
エンジンはツインカムDVVTのEF-VE型とEF-DET型ターボエンジンの2種類を設定。これに4ATまたは5MTを組合せた。
快適装備はキーフリーシステムをオプション設定。スクロールエアコン、パワステ、パワーウィンドウ、パワードアロックは全グレードに標準装備する。
前期型・ネイキッドのエクステリア(外装)
フロントデザイン。前述のとおり大きな丸目ヘッドライトが目につく。そこの長方形のメッシュ状グリルが組み合わさってカスタム感のあるフロントデザインとなっている。
シンプルだが個性あるフロントだ。なお、ターボモデルではボンネット上にエアダクトが付く。
こちらがネイキッドのターボモデル。
サイドから。高さはワゴンRやムーヴなどに似ている感じもするが全高は1550mmに抑えられれ立体駐車場に入る高さをキープしている。
これはスズキのKeiや三菱のeKワゴンなど程よい高さを持つ軽自動車と同じ部類に入る。その一方でボンネット部分は低く抑えられ出っ張りもほどほどあるので、セダンタイプでもワゴンタイプでもない独特なデザインとなっている。
なお、地上最低高がSUV並みの180mm(4WDでは150mm)あるので一般的な軽自動車よりは悪路走破性が高くなっている(ただしデフロックは装備されない)。
リア。縦型コンビランプを両脇の中央部に配置。バックランプを丸型にすることでフロントデザインと共通性をもたせている。
エンジン・機能装備・自動ブレーキなど
エンジンは3気筒のNAとターボの2種類。自然吸気エンジンはEF-VE型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンで最高出力は58ps(43kW)/7600rpm、最大トルクは6.5kg・m(64N・m)/4000rpm。
ターボエンジンはEF-DET型直列3気筒インタークーラー付きDOHCターボエンジン。最高出力は64ps(47kW)/6400rpm、最大トルクは10.9kg・m(107N・m)/3600rpm。
トランスミッションは4ATと5MTで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。運転席エアバッグのみ全グレード標準装備で、充実装備のGパッケージで助手席エアバッグも標準装備。EBD付きABSはオプション設定。横滑り防止装置のVSDは2WDのATのみにオプション設定。
ネイキッド L750SとL760S型の違いと悪路走破性について
ネイキッドL750SとL760S型の違いは駆動方式。L750Sは前輪を駆動する2WD(FF)のネイキッド。
L760SはL750Sベースで全輪を駆動する4WDのネイキッド。ただし4WDのシステムには街乗り4駆と呼ばれるビスカスカップリングを用いたオンデマンド式が採用されている。
これは普段はFFで走行し、悪路や雪道などで後輪との前後差が生じると自動で4WDに切り替わるシステム。ジムニーやパジェロミニのパートタイム4WDのように自分で切り替える必要がなく、タイトコーナブレーキング現象も発生しないため扱いやすい。
なお、クロスオーバーSUV的な雰囲気のネイキッドだが、センターデフロックやブレーキLSDなどSUVらしい機構は一切持たない。
そのため「見た目だけのなんちゃってSUV」的な中途半端な存在となってしまい、発売後に販売台数が失速し低迷。フルモデルチェンジすることなく数年で姿を消すこととなった。
ただし、最低地上高は180mmと意外と高く、当時のスズキKeiや三菱eKアクティブのようなクロスオーバーSUV的な雰囲気を持つ。そのため積雪地帯などではタントやミライースといった最低地上高の低いクルマよりもスタックしづらく、大雪でも多少は安心だ。
前期型・ネイキッドのインテリア(内装)
インパネ。軍用車を思わせるような独特のデザイン。なおデビュー当初はブラックとグリーンのツートンカラーを貴重としたが、その後のマイナーチェンジで黒系へと変更されている。
こちらがマイナーチェンジ後のインパネ。
続いてメーターパネル。こちらも独特で、独立したスピードメーターとタコメーターの間にシフトインジケータ等を備える。
ステアリングはウレタンステアリング。4本ステアリングタイプで、握る部分には滑りにくい素材が使われている。エアコンはマニュアル式エアコン。
5MTのシフトノブ。フロアシフトを採用。
ATのシフトノブ。前期はコラムシフトの設定はなし。
フロントシートはセパレートタイプ。
リアシート。足元はこの世代のモデルのため狭い。
ラゲッジルーム。リアシートが狭い分、ラゲッジスペースはかなり広い。内装部分も一般的なカーペット生地ではなく、ハスラーやタフトにも標準採用で汚れても拭き取りやすい「イージーケアアマット」を採用。。
シートを倒した状態。助手席も倒れるので長物を積むときに便利だ。さらにネイキッドは特徴があって
このようにリアシートそのものを取り外すことが可能だ。
これにより写真のように常にリアシートを外して荷室として使うことも出来る。リアシートを取り外した場合は後部座席の床面が低くなり、背の高い荷物を縦方向に積むことも可能となる。
前期型ネイキッドのまとめと中古価格の上昇&値上げ?
まとめと中古車としての再評価
ダイハツのネイキッド(前期型)は、独特なスタイリング、丸目ヘッドライト、程よい高さが特徴の軽自動車である。
車内の広さはワゴンRやムーヴ、それよりも広大なタントやスペーシア等と比較するとどうしても劣ってしまうが、それを許容でき人であればデザインが良いので好きになれる1台。
後期型のFというグレードではオーソドックスな角型ヘッドライトのものも追加されたので、ボディスタイリングは魅力的だけどフロントが気に入らないひとはそちらも見て欲しい。
ネイキッド自体は2004年に生産を終了しているのでかなり古い個体が増えてきている。かつてはタマ数もそれなりにあり、安価なモデルであったが近年は全国でも200台を切る少なさで残存数の減少と中古車全体の価格上昇に伴いネイキッドも再評価。若干ではあるが中古価格が上昇傾向にある。
特に数が少ない5MTモデルは以外といい値段がするため価格に見合った個体なのかをよく見極めることを強くオススメする。
ネイキッドの後継モデルについて
比較的高い最低地上高やイージーケアマットなど、アウトドアユースに使える趣味性の高い仕様はその後キャストアクティバやタフト、ウェイクや6代目アトレーにも引き継がれ、スズキ・ハスラーのようなダイハツ・軽クロスオーバーSUVモデルの先駆け的な存在となった。
また、ボディパーツを交換可能なシステムは2代目コペンにも採用されるなど、生産期間はそれほど長くなかったが、コンセントやメカニズム、キャラクターはその後にダイハツ車でも生かされることとなる。
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