タフトはダイハツのクロスオーバーSUV型軽自動車。ダイハツ・キャストアクティバの後継モデルで、「クロムベンチャー」はその特別仕様車である。
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ダイハツ・タフトとは?
2020年6月に登場したダイハツ・タフト。
ダイハツの新しいプラットフォームであるDNGAの第3段(軽自動車としては第2段)として登場したタフトは、昨今流行りのクロスオーバーSUVというジャンルに位置するダイハツ渾身の1台だ。
ムーヴやタントよりも高い最低地上高や15インチの大径タイヤ、スクエアボディという外観からはスズキ・ハスラーを強く意識したモデルとなっており、それまで存在したダイハツ・キャストアクティバの後継モデル、しいてはさらにその前に存在したテリオスキッドの後継モデルとなりうるニューモデルとなっている。
出典:ダイハツ認定中古車
力強さやタフさを強調した個性的なデザイン
タフトのキーコンセプトは「タフ&オールマイティーファンツール」。
その名前の通りエクステリアにはSUVらしい力強い外観に前席天井にはガラスルーフ(スカイフィールトップ)を備え、多彩な収容スペース(クルースペース)と自由自在にアレンジ可能な後部座席(フレキシブルスペース)により日常からレジャーまでアクティブに活躍できるモデルとしている。
インテリアはドライバー中心の配置設計による使いやすさと黒基調による上質感を両立させたインパネにホールド感のオレンジのアクセントカラーを施した高いセパレートタイプのシート。
メーカーオプションでは外観のカスタムパーツとして樹脂パーツやダークメッキまたはクロムメッキを組み合わせた以下、3パターンを用意。好みに応じて変更できるようにした(※Xグレードは選択不可)。
カラーバリエーションはタフト用にダイハツの軽として新設定した3色を含む全5色を設定。
スカイフィールドトップ
タフトの大きな特徴のひとつである「スカーフィールドトップ」。
フロント天井にガラスルーフを全グレードで標準装備とし、開放感あふれる空間を演出した。ガラスそのものもスーパーUV&IRカットガラスの採用で紫外線対策と室内温度対策にもなる(※開閉は手動式となる)。
フレキシブルスペース
後部座席はフルフラット可能なフレキシブルスペースとし、さらにシートバックボードとデッキボード表面には立体形状のパターンを施して汚れても拭き取りやすい素材を採用。
多彩なシートアレンジと組合わせて日常からレジャーまで使いやすさを追求した。
DNGAによる基本性能&安全性能、良品廉価
タフトはタントに続き軽自動車としては第2段となるDNGAの採用により軽量と高剛性を両立。剛性を高め乗り心地をアップさせた。
さらに同じくタントで新採用した改良型エンジンを採用し発進加速を向上。ターボエンジンとD-CVTの組み合わせで加速感を高めた。そのうえで価格設定はお求めやすい良心価格とした。
SUV性能としてはライバルのハスラーよりも10mmアップの190mmの最低地上高に15インチタイヤ。フロントのアプローチアングルは27°にリアのデパーチャーアングルは58°確保し悪路での走破性能を高めた。
さらにグリップサポート制御機能を搭載し、タイヤが空転した場合でも電子制御により空転を抑制。発進や加速をサポートする。
自動ブレーキや安全装備、ダイハツ軽初の電動パーキングブレーキ
スマートアシストは3年半ぶりの新型ステレオカメラを搭載。イメージセンサー変更により夜間歩行者検知機能を追加。さらに検知機能も認識処理変更により性能が向上した。加えて衝突回避支援ブレーキの対応速度引き上げと
自動ブレーキ等では進化版のスマートアシストを搭載。新開発となるステレオカメラを採用して衝突回避支援ブレーキ機能の対応速度を引き上げ、夜間の歩行者検知機能を追加。
また、ダイハツの軽自動車初となる電動パーキングブレーキの採用で利便性と安全、安心性能を向上させた。
さらに新プラットフォームのDNGAをp採用することにより軽量化と高剛性を高次元で両立。乗り心地や操縦安定性の良さと力強い走りを実現しつつ、お求めやすい価格とした。
さらにダイハツの軽自動車としては初となる電動パーキングブレーキを全車に標準装備。
メーカーオプションではダイハツコネクトを設定。9インチスマホ連携ディスプレイオーディオに加え6.8インチスマホ連携ディスプレイオーディオを追加できるようにした。
「タフト クロムベンチャー」の特別装備とノーマルとの違い
そのタフトに2021年5月。オプションの外装メッキパーツやダークシルバーの内装を標準装備とし、アクティブ感や上質感をプラスさせた特別仕様車が設定された。それがこの「クロムベンチャー」である。
「クロムベンチャー」ではエクステリアに
- オプションのフードメッキガーニッシュ
- バックドアメッキガーニッシュ
- メッキアウターハンドル
- シルバーリアガーニッシュ、
- (※Gターボのみ)シルバー塗装のアルミホイール
を。
インテリアでは
- ダークシルバーのインテリアアクセント
- シルバースティッチ入りフロントセパレートシート
を標準装備としつつ、お買い得とした特別仕様車となっている。
エクステリア
クロムベンチャーのフロント(メッキグリル)
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。適度なスクエアボディ感でSUVらしさを表現しているのがダイハツ・タフトの特徴だが、標準ではメッキグリル(メッキフードガーニッシュ)が非装備でオプション扱いとなっていた。
これをクロムベンチャーでは標準装備。オプションを選ばずともスタイリッシュな外観となっている。このほかバンパー下部のシルバーアンダーガーニッシュもクロムベンチャーでは標準装備となる。
SUVといえばこのアンダーガーニッシュがポイントなので見た目的にも嬉しい。
なお、メッキグリルは本来オプション品で最廉価のXグレードでは非設定。この大型メッキグリルを含めたセットパックが上述の通り3種類あり、その中でメッキグリルまたはダークブラックメッキグリルを装着可能だ。
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ヘッドライトは4代目タントと同じく全グレードでフルLEDヘッドライトを採用。ハイロー独立式でかつ両方ともLEDを採用したヘッドライトとなる。
フォグランプもGグレードがベースのため純正でLEDフォグランプとなる。さらにアダプティブドライビングビームが標準装備となる。4代目タントカスタムで導入されたサイドビューランプは全グレードに標準装備。
サイド
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サイド。クロムベンチャーの特別装備としてアウタードアハンドルがメッキ化された「メッキドアアウタードアハンドル」を標準装備。
サイドからもスタイリッシュなワンポイントが追加されている。ボディカラーは標準仕様と同じで全9色を設定。
クロムベンチャーのタイヤサイズ、純正アルミホイール
足元はハスラーよりも少し大きいタイヤサイズ、165/65/R15の15インチアルミホイールとなる。
デフォルト状態だとGターボがガンメタ塗装、Gがシルバー塗装となっているが、クロムベンチャーではGターボのみ標準のガンメタ塗装からシルバー塗装へ変更されGクロムベンチャーとGターボクロムベンチャーで共通のアルミホイールとなる。
リア(メッキバックドアガーニッシュ、シルバーアンダーガーニッシュ)
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リア。SUVらしい露骨なスクエア形状がめにつく。雰囲気的には3代目タントカスタムを上下方向に圧縮したようなイメージも感じるデザインだ。
コンビランプはヘッドライトと同じようなデザインで、サイドにフロント同様のLEDウィンカーが埋め込まれている。
クロムベンチャーの特別装備としてはフロントのメックグリルとセットでオプションとなっていた「メッキバックドアガーニッシュ」を標準装備。
バンパー下部には同じくリア用の「シルバーアンダーガーニッシュ」も標準装備。フロント同様SUVらしさと上質感をアップさせている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジン
エンジンは4代目タントで初搭載した大幅改良型のKF型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。
3代目タントに搭載されていたKF型をベースに(※発表時)日本初となるマルチスパークの採用やフワール噴霧を採用したことで燃焼効率を大幅に向上。
Gクロムベンチャーの自然吸気エンジンでは最高出力52ps(38kW)/6900rpm、最大トルク6.1kg・m(60N・m)/3600rpm。
Gターボクロムベンチャーがターボエンジンとなり、最高出力64ps(47kW)/6400rpm、最大トルク10.2kg・m(100N・m)/3600rpm。
これに新開発のスプリットギヤを採用したD-CVTの採用でFFのJOC08モード燃費は25.7kmを達成した。
また「ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ」、略してDNGAの第3段として設計され、軽量化高剛性ボディのDモノコック採用により車両剛性が向上。
キビキビとした動きとフラットな乗り心地を両立しつつ高い静粛性も実現した。
自動ブレーキ、安全装備
自動ブレーキ関連では夜間歩行者検知機能を追加した新型ステレオカメラを採用。加えて検知性能も向上し、衝突回避支援ブレーキの対応速が引き上げられた。
さらにGクロムベンチャーとGターボクロムベンチャーではベースモデルに標識認識機能が標準装備。
また、Gターボクロムベンチャーには全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)をベースモデルに標準装備。渋滞時等に運転者の負荷を軽減する。
また、ACCはノンターボのGグレードでもオプションで選択も可能だ。(※2021年2月時点で)ハスラーではターボグレードしか付いてない機能なので、このあたりはタフトが優位だ。
このほかレーンキープコントロールはGターボに標準装備、Gにはメーカーオプション。ふらつき警報、路側逸脱警報機能、車線逸脱警報機能、は全グレードで標準装備。
このほか安全装備としてはVSC&TRC、ABS、エマージェンシーストップシグナルも標準装備となる。
タフトの4WD機能(ブレーキLSD/グリップサポート制御)、雪国での利点とハスラーのグリップコントロールとの違い
グリップサポート制御の仕組みとメリット
タフトには4WD性能を高める機能として「グリップサポート制御」がFF(2WD)を含む全グレードに搭載する。
これはぬかるみや悪路などでタイヤが空転した際、電子制御で空転したタイヤにブレーキを掛けて空転を抑制。駆動力を回復し推進力を得る機能。
特に北国の雪道で、急な大雪や春先の暖気でわだちやぬかるみが発生した際、グリップサポートが付いていると、そうでない生活4駆よりもスタックしずらくなり走破性が向上するメリットがある。
ハスラーのグリップコントロールとの違い
ライバルのハスラーには「グリップコントロール」として搭載されており、仕組みははほぼ同じ。

ただし、ハスラーのグリップコントロールは4WD車のみに搭載するのに対し、タフトでは2WD車を含めた全グレードに標準装備するなど、違いがある。
一方でハスラーに搭載の「ヒルディセントコントロール」や「スノーモード」はタフトには搭載されておらず、タフトはライトなクロスオーバーSUVとなる。

特に前モデルの「キャストアクティバ」ではヒルディセントコントロールに相当する「ダウンヒルアシストコントロール」が搭載されており、SUV機能が省略されている。
タフト LA900SとLA910S型との違い
タフトのLA900SとLA910Sとの違いは駆動方式。LA900Sは前輪を駆動するFFのタフト。
LA910SはLA900Sベースで全部のタイヤを駆動する4WDのタフト。ただし4WDシステムにはビスカスカップリングが用いられ、普段はFFで滑ると自動的に4WDに切り替わる街乗り4WD。
かつて存在したテリオスキッドのようなデフロックは無いもの、ハスラーのグリップコントロールと同じ電子制御による「グリップサポート制御機能」を備え、悪路や雪道などでタイヤがスリップした際も脱出を容易とする。
ただし、ハスラーにはあった下り坂で自動的にブレーキ制御する「ヒルディセントコントロール」や滑りやすい雪道での発進に便利な「スノーモード」は非搭載。
インテリア
インパネ
インパネ。クロムベンチャーではエアコンレジスターパネル、
インパネセンターシフトベゼル、
メーターパネルがダークシルバー加飾となり、ベースよりも落ち着いたワンポイントのアクセントカラーで上質感やアクティブ感を演出する。
フロント天井にはガラスルーフを全グレードに標準装備する。開放的もさることながら、視界が上方向にかなり広がり前方の標識や信号機など認識しやすいメリットも。ちなみに開閉は手動式のため若干煩わしさを感じるものの長期的な目線でみると電動式のような電気トラブルは無いためコスト的にも理にかなっている。
ちなみに軽自動車でガラスルーフを備えたモデルは珍しく、直近だと8代目ミニカにサンルーフ仕様車がある程度。ガラスルーフではなく開閉する方式であれば初代アルトラパンのキャンバストップなどがある。

ステアリング
ステアリングはGクロムベンチャーとGターボクロムベンチャーでメッキ加飾とステアリングスイッチ付きの本革巻ステアリング。全グレードでチルトステアリングとなる。
スマホ連携ディスプレイオーディオ
さらにGとGターボのみD assist切り替えスイッチが付き、オンにするとパワーモードとなりエンジンとCVTの制御がパワフルになって力強い加速を得ることができるようになる。
メーカーオプションでナビは9インチまたは6.8インチスマホ連携ディスプレイオーディオを設定。対応したスマホアプリでは連携によりこの画面で操作できるようになるほか、スマートパノラマパーキングアシスト、パノラマモニター、バックモニターも表示可能となる。
さらにテレビ、ラジオ、Bluetooth接続による音楽、ハンズフリー通話等も利用可能だ。加えてダイハツコネクトというダイハツが提供する遠隔サポートも利用可能になりもしものときも安心のディスプレイオーディオとなっている(※ナビを使用する場合はスマホとの接続が必要)。
このほかディーラーオプションで9インチスタイリッシュメモリーナビとワイドスタンダートメモリーナビを設定する。
電動パーキングブレーキ
シフトノブ下部には電動パーキングブレーキのレバーが。オートブレーキホールド機能(渋滞や信号待ちでブレーキペダルを離してもブレーキ状態を保持する)も備わる。
収納スペース
収納スペースは非常に多く、レジャーを意識したくつくりとなっている。
クロムベンチャー専用フロントシート
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フロントシートはセパレートタイプ。昨今のベンチシートに比べるとサイトサポートがしっかりしており、ホールド感が高いシートだ。さらに生地は汚れても拭き取りやすいファブリックシートとなる。
クロムベンチャーの特別装備としてシルバースティッチが施される。運転席&助手席にヒートシーターが標準装備。シート柄はかつてのネイキッドの特別仕様車を思わせる迷彩カラーとなっている。
リアシート
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リアシートはベースモデルと共通で特に変更はなし。
ラゲッジスペース
ラゲッジルーム。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシートを倒した状態。分割可倒式で使い勝手はいい。ハスラー同様にラゲッジスペースとリアシートの背面には汚れても拭き取りやすい素材が使われている。
まとめ
タフトに設定された特別仕様車、「クロムベンチャー」は外装にはメッキグリルやメッキガーニッシュ、アンダーガーニッシュやメッキドアアウタードアハンドルなどでスタイリッシュさや上級感を。
内装ではインパネのダークシルバー加飾によるアクセントカラーやシルバースティッチ入のフロントシートでもその上級感を演出した特別仕様車である。
本来、外装のメッキパーツなどに関してはオプション設定されていたいもので、フロントグリル&リアガーニッシュ(メッキパック)、フロントアンダーガーニッシュとメッキドアアウタードアハンドルなどを付けると全部で10万円ぐらいアップしてしまうのだが、クロムベンチャーではこれらをセットで約7万円アップ程度で買えるお得な特別仕様車となっている。
奇しくも2020年11月に追加となったライバルのスズキ・2代目ハスラーの特別仕様車、「ハスラー Jスタイル」に似たような構成で価格的にも非常に近い。タフトのクロムベンチャーはハスラーのJスタイルをかなり意識した特別仕様車となっている。

※名前的にも3代目ジムニーにあった特別仕様車、「ランドベンチャー」や「クロスアドベンチャー」にもよく似ており、スズキを意識していることを連想させるモデルである。


2022年9月にはダークブラックメッキ仕様のグリルやガンメタ塗装ホイールなどを採用したもうひとつの特別仕様車、「ダーククロムベンチャー」が追加され、特別感やお買い得感をアップさせている。

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