アルトラパンはスズキのハッチバック型軽自動車。本稿では初代のHE21S系に設定されていた特装車、「キャンバストップ」を扱う。
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初代アルトラパン・キャンバストップとは?
2002年1月登場の初代アルトラパン。2008年11月の2代目アルトラパンにバトンタッチするまでの間に色々な特別仕様車(モード、Gセレクション)やスポーティーグレード(ラパンSS、ラパンバージョンV)などが投入された。
その中でも一番希少でかつ軽自動車史上でも珍しいモデルがある。それが今回扱う「キャンバストップ」というグレードだ。
キャンバストップというのはオープンボディの一種。天井部分に開口部を設け、そこに蛇腹状のキャンバスという幌を設置。開口部分がこれにより開閉するものである。
同じく天井部分に開閉機構を持つサンルーフよりも広大な開口部分を得られるため開放感がかなり大きく、完全な幌のオープンカーより手軽なのが特徴だ。
1998年の軽自動車新規格前ではキャンバストップブームを作ったマツダ(当時はオートザム)のキャロルにキャンバストップがあったが、その後は軽に採用されることがなかった。
そのキャンバストップを大胆にもアルトラパンに採用したモデルがこの「キャンバストップ」というグレード。
このモデルはちょっと特別で完成車を架装メーカーのベルアート(現在はスズキエンジニアリング)に持ち込んで制作された「特装車」という位置づけになる。
初代ラパン・キャンバストップの特徴、特別装備など
ラパン・キャンバストップではエクステリアに特徴的なキャンバストップをルーフ部分に採用。さらにウィンドディフレクターも標準装備として開放時の風の巻き込みを低減。
この他に「ラパンロゴマーク入アルミホイール」、「フロントグリルのラパンエンブレムを赤色塗装」、「ブルーリフレクターヘッドランプ」を。
インテリアでは
- レッドシート表皮
- ホワイトインパネ
- パールホワイト塗装のセンターガーニッシュ&エアコン吹出口
とし、ファッショナブルな内装に。
ボディカラーは内装コーディネート色として使用したパールホワイトとブライトレッドの2色のみのを設定。
快適装備としてはAM・FMラジオ付MD・CDプレイヤーも標準装備とした特装車となっていた。
エクステリア
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フロントデザイン。ラパンSSのような丸目ではなくノーマルと同じ顔つき。パット見ではノーマルラパンだが変更点はルーフ部分。
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正面から見てもちょっと立体的なので見分けが付くと思うが、上から見るとこのようになっている。
ルーフ部分はブラックに塗装され、ここに開放時の風の巻き込みを軽減するウインドディフレクターを装着。その後ろにはキャンバストップの本体である幌が付いている。
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キャンバストップオープン時はこのようにかなり開放的となる。なお、幌は電動開閉式だ。
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これ以外にフロントには専用の赤いラパンエンブレムが備わる。ヘッドライトはブルーリフレクタータイプ。
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サイドから。天井部分のキャンバストップが確認できる。アルミホイールのホイールキャップにはウサギマークとラパンロゴが付く。ボディカラーはブライトレッド2とホワイトパールの2種類を設定。
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リア。このあたりは共通。初代ラパンの中でもこのキャンバストップだけルーフ部分が黒いので、ここはキャンバストップを見分けるポイントだ(※ただし純正状態にかぎる)。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3気筒の自然吸気エンジンのみ。最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpmを発生。トランスミッションも4ATのみで、駆動方式はFFのみとなる。
ノーマルのラパンには4WDモデルやターボモデルが存在するが、キャンバストップとして設定されたのはFFの4ATのみとなる(ベースはXグレード)。
安全装備として運転席&助手席エアバッグ、ABSを標準装備する。
インテリア
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インパネ。内装も手が入っている。インストルメントパネルは白色を採用。エアコン吹き出し口はパールホワイト塗装とすることでアクセントを付けている。
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フロントシートはセパレートタイプ。ソファーをイメージしたレッドカラーのシート生地を採用。ドアトリムも赤色となっている。
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リアシート。
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キャンバストップオープン時はこのように天井が蛇腹上に開閉する。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
まとめ・初代ラパン キャンバストップの持病について
初代アルトラパンのキャンバストップは軽自動車では珍しいキャンバストップ仕様のモデルである。
これ以降のモデルでは純正でキャンバストップとなっている軽自動車は無く、新規格では唯一無二の存在だ。メカニズムはFFに4ATとこの時代の平凡的なものだが、この強い個性はそのメカニズム以上に光るものがあり、そういった点で評価できる1台である。
中古市場では膨大な初代アルトラパンと比較してキャンバストップはかなりタマ数が少なく、レア車となっている。状態がよく低走行だと高値が付いているが、意外と手頃なタマもある。
ただ、キャンバストップ車全般に言えることだが部品が劣化してくると雨漏りや修理費が高額(ネットの事例では10万程度)となったり、その構造上から雪国の青空駐車では厳しい部分もある。キャンバストップのラパンを購入する際は十分注意されたい。
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