アルトラパンはスズキのハッチバック型軽自動車。ここでは初代のHE21S系について小変更や特別仕様車をまじえつつ概略的に記述する。
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スズキ 初代・アルトラパンとは?
2002年1月登場のスズキ・アルトラパン。
同社のベーシックな軽乗用車、アルトの派生モデルとした誕生したこのクルマはそれまでの軽乗用車にありそうでなかった個性的な丸みを帯びた箱型フォルムの外観と、家電や家具を意識した親しみやすい室内空間が特徴の軽乗用車である。
アルトラパンが登場した時代では同社のワゴンR、ライバルのダイハツ・ムーヴをはじめとするトールワゴンが全盛期となる中、アルトラパンは広さを最優先ではなく内外装のデザインを重視し若い女性をメインターゲットとすることで大ヒットした。
その後もマイナーチェンジやフルモデルチェンジを重ね15年以上続く息の長いモデルとなっている。
ボディカラーも当時としては珍しく12色もの種類を設定。この初代からルーフをホワイトに塗装したツートンルーフを設定したり、内装色も2色設定することで、カラーリングにこだわる若者を意識。
インパネもそれまでのスズキ車とは異なるファッショナブルなデザインで洗練されていた。
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エンジンはアルトやワゴンRで実績のあるVVT機構付きのK6A型エンジンを採用。
安全面でも64km/hオフセット前面衝突にも対応した、軽量衝撃吸収ボディーTECT(テクと)を採用しこれ以外に運転席&助手席にSRSエアバッグとシートベルトフォースリミッター、シートベルトテンショナーを標準装備。
ABSもオプション設定するなど安全面でも装備を充実化していた。
初代ラパンのエクステリア(外装)
フロント
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フロントデザイン。ボディ形状に合わせた丸みを帯びたスクエア型のヘッドライトが特徴的だ。これに中央には従来のスズキのロゴマークではなく車名の由来となったうさぎマークが付いており非常にオシャレ。
デビュー当時の軽は室内空間が広い実用的なモデルか一部のマニアに受けるスポーティーな物がほとんどだったので、ラパンのようなセンスの良い軽自動車は女性ユーザーにとても注目をあびた存在だった。
ラパンターボのフロント
出典:スズキ認定中古車
2002年10月にはデビュー当初設定のなかったターボエンジン(Mターボ)を搭載した「ラパン ターボ」を追加。これに伴い専用グリルとフォグランプ付きバンパーが与えられた。
ホットハッチ・MT&ターボ仕様のラパンSS
出典:三木スズキ
デビュー当初はメインターゲットが女性だったものの、2003年9月には男性をターゲットにしたスポーツモデル、「ラパンSS」を追加。
外装では
- 丸目ヘッドライド
- 丸形ドアミラー
- メッシュグリル
- 大型フォグランプ専用アルミホイール
- SSエンブレム
内装では
- タコメーター
- MOMO製本革巻ステアリングホイール
- セミバケットシート
- ブラックインテリア
を与えノーマルラパンには設定のなかった「64馬力のDOHCインタークーラーターボエンジン」と「5MT」、「マイナス10mmのローダウンサスペンション」を組み合わせたホットなモデルである。
ラパンL
出典:スズキ認定中古車
さらに2005年12月には丸目ヘッドライドと専用メッキグリル、専用バンパーを与えクラシカルな雰囲気を与えた「Lグレード」が追加されている。
5型、6型改良 (ヘッドライト、グリルデザインの変更)
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2007年5月一部改良(6型)では丸目以外のグレード(GとX)でグリルデザインの変更とボディカラーと同色化が行われた。
また、ヘッドライドは2005年12月(5型)でマニュアルレベリングを導入した新デザイン(ウィンカー球を縦の楕円状に。ポジション球をヘッドライド内部へ移動)のものに変更されている。
サイド
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サイド。全高の低いセダン型で、ボンネットが独立しリアのトランク部分がわずかに立って独特のフォルムをしている。
ワゴン型ではこのデザインは不可能で、セダン型ならではの普通車っぽいデザインだ。背の高いモデル(ワゴンR、ムーヴ、タントなど)にいかにもよくある軽自動車には見えないので、この点も人気の理由だった。
初代ラパンの純正アルミホイール、タイヤサイズ
見た目からもわかるようにデザイン性に重点を置いている点は、ボディを流用しクラシカル風に仕立てたアルトCがあまり売れなかったことに起因するのかもしれない。
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足元はクラシカルな13インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは155/65R13。
初代ラパンのホイールキャップ
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廉価グレードではホイールキャップとなる。
リア
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リア。それまでのスズキ車にあったSUZUKIのロゴやエンブレムがない。かわりに筆記体で「Lapin」と書かれたエンブレムを装着。非常にオシャレな部分でクラシックな雰囲気を演出している。
テールランプが少し古臭いが、社外品のキラキラしたユーロテール(インナーブラック仕様もあり)が発売されているので交換してスタイリッシュにすることも可能だ。
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2006年4月(5型)ではコンビランプがクリアー化された。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはデビュー当初はK6A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。
最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpmを発生。
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2002年10月には60馬力仕様のターボモデル(ラパン ターボ)追加。通称「Mターボ」と呼ばれる60馬力仕様のターボエンジンで、パワーと燃費を両立させた仕様となっている。
最高出力は60ps(44kW)/6000rpm、最大トルクは8.5kg・m(83N・m)/3000rpm。
ただし、このターボモデルはガチガチなスポーツモデルではなく、あくまでノーマルの動力性能アップ版てきな扱いで、専用のグリルなどが与えられるものの、控えめなターボモデルであった。
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2003年9月にはスポーツモデルのラパンSSを追加。このSS専用エンジンとしてKeiワークスと同じ(K6A型直列3気筒DOHC12バルブICターボエンジンで)64馬力仕様となる。
最高出力64ps(47kW)/6500rpm、10.8kg・m(106N・m)/3500rpmを発生。
後期モデルではSS以外にラパンモードに64馬力ターボが採用された。
トランスミッションは基本は4ATのみで、ラパンSSのみ5MTを設定。駆動方式はFFまたは4WD。
街乗りオンリーで加速性能が気にならないならNAを。追い越しや少し余裕がほしい人はターボモデルを選択するべきだろう。スポーツタイプが欲しい人はマニュアルでSSがオススメだ。
初代ラパン(HE21S)の持病
初代ラパンの4WDはビスカスカップリングを用いたセンターデフ式のフルタイム4WDだが、このビスカスカップリングの耐久性(欠陥品に近い)に問題があり走行距離や使用具合によってこのビスカスカップリングから異音がするトラブルが数多く報告されている。
スズキ自信もこれを把握し、新車登録から9年または10万キロ内での無償交換(リコール)を出していたほど。特に10万キロをすぎると発生しやすく、使用状況によっては7万キロ後半で発生した事例もある。
この部品は2代目と3代目ワゴンR(MC系とMH系)、5代目アルト(HA系)、初代アルトラパン(HE系)、Kei(HN系)などでも部品を共有していたのだが、この車種すべてで部品の延長保証が行われたぐらいで、スズキの持病ともいえる有名な部品となっている。
よって中古の4WD仕様の初代ラパンを購入する場合は前オーナーが修理しているか確認したほうが良いだろう(既にリコール期間は過ぎており、自費で修理するとリビルド品で5万円前後、新品で7万前後+工賃がかかり高額な出費となってしまう)。
初代ラパンのインテリア(内装)
インパネ
インパネ。同年代の他モデルでは見ないファッショナブルなデザインで、当時としてはかなり洗練された内装となっていた。
基本はホワイトカラーのインパネだが、特別仕様車などでは木目調になるなど個性が強調される。
コラムシフト
シフトはコラムシフト。
ラパンSS専用インパネ
ラパンSS(後期)のインパネ。このSSの5MTのみフロアシフトとなる。
スピードメーター
スピードメーター。クラシカルなフォントを用いたシンプルなスピードメーター。
初代ラパンのインパネアナログ時計
スピードメーター右下にはアナログ時計が備わる。
ラパンSS専用タコメーター&スピードメーター
ラパンSSやラパンターボではアナログ時計に変わってタコメーターを追加装備。ラパンSSのみ「SS」の文字がメーター内に刻まれる。
フロントシート(セパレートタイプ)
フロントシート。デビュー当初はセパレートタイプだったが、
フロントシート(ベンチシートタイプ)
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2003年9月(2型)でベンチシートと踏み込み式パーキングブレーキを採用したLグレードを追加。
その後の2004年10月(3型)で全グレードでこのタイプが標準となった(※ラパンSSを除く)。シートカラーはボディカラーにあわせて2色を設定。
フロントシート(SS専用セミバケット)
ラパンSSのみセミバケットシートとなる。写真は後期のツートンカラーシート。
リアシート
リアシート。スライド機構は無し。
ラゲッジスペース
ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
初代ラパン特別仕様車について
初代アルトラパンは、ワゴン系に抵抗のある人や昔ながらのハッチバック系が好きな人、クラシカル風が好きな人、カワイイ系が好きな女性などにおすすめしたい1台である。
シンプルながら飽きのこないボディスタイル、当時としてはかなり洗練されたインパネなど登場から年数が経っているもののその魅力は色あせない部分は魅力的だ。
登場時期や設計年などから燃費や自動ブレーキなどでは最新モデルに劣る部分が多々あるが、その分モデルによっては中古車として安価であるので足車としても嬉しい部分だ。
ラパンは初代の登場から2代目へフルモデルチェンジする8年間の間に複数の特別仕様車が設定された。
専用外装パーツや専用インパネ、専用シートなどノーマルにはない魅力的な装備が与えられているため、中古で探す場合はこちらも念頭に入れておくといい。
以下、順に紹介する(画像またはリンクをクリックで各詳細ページにジャンプ)。
特別仕様車・第1弾「モード」
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初代アルトラパンの特別仕様車第1段は2002年9月登場の「モード」。
上級感をテーマとし、落ち着いた質感の高い内外装デザインを採用した特別仕様車で、メッキグリルや専用丸型ドアミラー、内装では木目調インパネなど上級感を与えたモデルとなる。
後期型モードではラパンターボとグレード統合し、64馬力ターボエンジンが搭載されるため、5MTは無いが初代ラパンのターボモデルとしても人気がある。
特別仕様車・第2弾「モードⅡ」
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第2弾は2002年12月登場の「モードⅡ」。
上記「モード」のバージョン2的な特別仕様車で、同じくメッキグリル、フォグランプ、丸型ドアミラー、木目調パネルなどを特別装備する。
特別仕様車・第3弾「バージョンV」
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第3弾は「バージョンV」。Mターボのラパンターボをベースによりスポーティに仕立てた特別仕様車で、軽自動車販売台数30年連続No.1達成記念モデルして登場した。
インテリアにグレー調の専用シート表皮&ドアトリム表皮を採用している。
特別仕様車・第4弾「キャンバストップ」
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第4弾は「キャンバストップ」。
その名のとおりルーフをキャンバストップ仕様としたもので、2001年の第35回東京モーターショーに出展されていたモデルを市販化したもの。この時代の軽乗用車としては非常に珍しい仕様であった。
特別仕様車・第5弾「ベネトンバージョン」
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第5弾は「ベネトンバージョン」。
名前の通りイタリアのアパレルメーカー「ベネトン」とカー用品店のオートバックスセブン、スズキの3社でコラボレーションした特別仕様車である。
特別仕様車・第6弾「Lリミテッド」
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第6弾は「Lリミテッド」。
専用の明るい内装色(イエローカラー)を採用してカジュアルなファッション性を高めた特別仕様車。
特別仕様車・第7弾「LリミテッドII」
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第7弾は「LリミテッドII」。
上記「Lリミテッド」のバージョン2的な特別仕様車で、バージョン2では専用ボディカラーのスペリアホワイト、内装にブルー系のシート表皮&ドアトリム表皮を採用するなど爽やかなイメージを与えている。
特別仕様車・第8弾「アンセルバージョン」
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第8弾は「アンセルバージョン」。
車のドレスアップを手掛ける「アンセル」とタイアップし、内装にピンク色を採用した女性向けの特別仕様車である。
特別仕様車・第9弾「Gセレクション」
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第9弾は「Gセレクション」。
ファッショナブルをテーマとした特別仕様車で、Gグレードをベースに専用内装を採用。フロントシートの背もたれにはトレードマークのうさぎの刺繍を施しオシャレな感じを演出。
外観ではGセレクション専用色の「ガーネットオレンジメタリック」を設定する特別仕様車である。
特別仕様車・第10弾「GセレクションⅡ」
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第10弾は「GセレクションⅡ」。
GセレクションⅡは2005年5月登場の「Gセレクション」のバージョン2となり、前モデル同様Gグレードをベースに専用内装を採用し、インパネは木目調パネル。
外装ではバックドアハッチにうさぎエンブレム入りメッキドアハンドルを採用するなど質感の高い内外装を特長とするモデル。
特別仕様車・第11弾「GセレクションⅢ」
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第11弾は「GセレクションⅢ」。
同系列の特別仕様車としては異例となる第3段、「GセレクションⅢ」(2006年11月)では一般的に後期モデルとよばれる初代・5型ラパンのGグレードをベースに専用色となるマルーンブラウンパールを設定。
内装パネルも新たにリーフ柄を施した白色基調のインパネでより魅力を高めた特別仕様車。
特別仕様車・第12弾(最終)「G エディション」
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そして第12弾、最後の特別仕様車は「G エディション」。
Gグレードをベースに専用インパネや花柄のシートとドアトリム表皮を採用し、ベージュとブラウンの落ち着いた色合いながら華やかな印象とした特別仕様車。
それまでのGセレクションとは別系列の特別仕様車となる。
初代ラパンの総評
このように8年者の間に特別仕様車は12車種も誕生し、ノーマルと組み合わせると20種類以上とバリエーション豊富なモデルとなっている。
それぞれに個性や特徴があるため、初代アルトラパンの中古を探す場合はノーマルモデルに終わらず特別仕様車も検討してみると良いだろう。
初代アルトラパンは、ワゴン系に抵抗のある人や昔ながらのハッチバック系が好きな人、クラシカル風が好きな人、カワイイ系が好きな女性などにおすすめしたい1台である。
シンプルながら飽きのこないボディスタイル、当時としてはかなり洗練されたインパネなど登場から年数が経っているもののその魅力は色あせない部分は魅力的だ。
登場時期や設計年などから燃費や自動ブレーキなどでは最新モデルに劣る部分が多々あるが、その分モデルによっては中古車としてかなり安価であるので足車としても嬉しい部分だ。
と、このように8年者の間に特別仕様車は12車種も誕生し、ノーマルと組み合わせると20種類以上とバリエーション豊富なモデルとなっている。
それぞれに個性や特徴があるため、初代アルトラパンの中古を探す場合はノーマルモデルに終わらず特別仕様車も検討してみると良いだろう。
この後の2代目モデルではモダンスタイルに進化、3代目では初代回帰のようなキュートなスタイリングで登場する。
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