【初代・前期&後期 5MTターボ】スズキ アルトラパンSS (初代 HE21S型) | シン・軽自動車マニア

【初代・前期&後期 5MTターボ】スズキ アルトラパンSS (初代 HE21S型)

アルトラパン

アルトラパンは、スズキのハッチバック型軽自動車。「ラパンSS」は初代のHE21S型に設定された男性向けスポーツモデルである。

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初代アルトラパンSSとは?概要や特徴など

2003年9月登場のラパンSS。ラパンがデビューした2002年当初は女性をターゲットにした軽自動車だった。その証拠にターボの設定がなく、ミッションもATのみだった。

後に60馬力(Mターボ)のラパン・ターボが追加されるもスポーツモデルという位置づけではなく、あくまで女性向けラパンの動力性能を向上させたモデルであった。

だが、そこから1年後にそれまでのラパンにはなかった5MTを設定し、64馬力仕様のDOHCインタークーラーターボエンジン、ローダウンサスペンションを標準装備としたホットなモデルが追加されることとなる。それがこの「ラパンSS」である。

ラパンSSでは外観に

  • 専用丸型ヘッドランプ
  • 丸形電動格納式リモコンドアミラー
  • メッシュタイプの専用グリル
  • 大型フォグランプ
  • 14インチアルミホイール
  • SSエンブレム(グリル内とリア)

ボディカラーにはラパンSS専用色「アズールグレーパールメタリック」を含む

  • ブルーイッシュブラックパール3
  • スペリアホワイト
  • アズールグレーパールメタリック
  • シルキーシルバーメタリック
  • ブライトレッド2

の全5色を設定。

内装では

  • モモ製革巻ステアリングホイール
  • 専用バケットシート(ブラックカラー)
  • タコメーター

などを標準装備。

エンジンは上述の通りそれまでのラパン・ターボよりもパワフルな64馬力仕様のインタークーラー付きターボエンジン。

足まわりは-10mmのローダウンサスペンションを標準装備とし、内外装と走りの面を強化したスポーティーな男性向けモデルとなっている。

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ラパンSSの特徴とラパンターボやモードなどとの違い

ラパンSSの特徴

ラパンSSでは外観に専用の丸型ヘッドランプとメッシュタイプのグリル、大型フォグランプ、14インチアルミホイール、SSエンブレム(グリル内とリア)。チェッカーフラッグエンブレムなどスポーティな装備が特徴。

エンジンは上述の通りそれまでのラパン・ターボよりもパワフルな64馬力仕様のインタークーラー付きターボエンジン。足まわりは-10mmのローダウンサスペンションを標準装備。

ミッションはそれまでの4ATに加えラパシリーズで唯一の5MTを新規設定。

インテリアではモモ製本革巻ステアリングホイール、専用インパネガーニッシュにSSロゴ入り専用スピードメーター、タコメーター、専用バケットシート、専用フロアマットを与え、内外装で走りの面を強化したスポーティーな男性向けモデルとなっている。

ラパンターボやラパンモードのターボ仕様とラパンSSとの違い

標準ラパンにはラパンターボ後期モードなどがあるが、標準ラパンのターボ仕様はあくまで標準ラパンの延長上にあるのに対し、ラパンSSはスポーツモデルという位置づけ。

【初代 前期型&後期型】スズキ アルトラパン ターボ(HE21S型)

そのためラパンSSではローダウンサスペンションや内装にもブラックインテリアやスポーティなセミバケットシート、革巻きステアリングにMTの採用などスポーティな装備で男性を意識したモデルである。

【初代 後期型ターボ搭載・特別仕様車】スズキ アルトラパン モード(HE21S型)

後期型・ラパンSSの改良点と前期との違い

そのラパンSSは2007年5月に一部(6型)改良を受け後期型に。

後期型のラパンSSでは外観はほぼ同じだが、主に内装面での変更がなされた。

専用バケットシートはシート表皮のデザイン変更。センター部分にチェック柄が際立つ2トーンカラーのセミバケットシートとした。

さらにドアトリムクロスもこれに合わせて変更。

これ以外では2006年4月の一部(5型)改良時にフェンダーウィンカーとテールランプをクリアー化。

また、インパネカラーをシルバーからダークシルバーに変更。

かつそれまで標準装備だったモモ社製本革巻ステアリングホイールを廃止。スズキ製の本革巻ステアリングホイールに入れ替え、モモステはオプション設定とした。

以下、詳細を解説する。

ラパンSSとKeiワークスとの違い

ラパンSSが登場した時期に、当時絶版となったアルトワークスの後継モデルとしてKeiワークスも販売されていた。

【前期型】スズキ Keiワークス(TA-NH22S型) 概要解説

ラパンSSもKeiワークスも同じK6A型ターボエンジンに5MTを組み合わせたホットモデルであったが、キャラクターが少し異なる。

Keiワークスは元々クロスオーバーSUVの「Kei」(※ハスラーの前身モデル)をベースとし、ローダウンサスペンションや専用エアロパーツ、レカロシートなどでスポーティに仕立てたモデル。

ベースモデルよりもかなり差別化されスポーツグレードとなっていたが、腰高感が否めなくワークスにしては車重も重たかったためアルトワークスと比較すると一部酷評の部分があった。

一方ラパンSSは背の低いラパンがベースのため、車高が低くて腰高感も無くどちらかというとアルトワークスに近い性格だった。

なおスポーティな専用装備としてKeiワークスは共同開発のレカロシートやリアディスクブレーキを標準装備していたが、ラパンSSではレカロシートがオプション設定、リアは通常と同じくドラムブレーキのままなど、Keiワークスほど走りの装備は奢られていなかった。

SSがストリートスポーツを意味するように、ラパンSSはワークスとは異なるあくまで街乗りメインのキャラクターとなっていた。

エクステリア

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出典:三木スズキ

フロントは専用丸目ヘッドライトにメッシュタイプの専用グリルとフォグランプ付きバンパーが与えられノーマルとは違ったスポーティさを演出している。

ぱっと見、往年のアルトワークス+スポーツカスタムにも見えるデザインだ。

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出典:三木スズキ

大型フォグランプとメッシュタイプの開口部付きバンパーも標準で与えられそれまでの女性向けラパンとはまったく異なるスパルタンな顔つき。

それでいてラパンの面影も残る不思議なデザインは女性向けというよりは男性向けを狙った感じで、元々のラパンのキャラクターを考えると大転換なモデルである。

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出典:三木スズキ

サイドからのシルエット。ワゴンタイプに比べると車高が低く、これはスポーツ走行において重要なポイント。チューニングすればサーキットでも楽しめるモデルである。

ラパンSSではノーマルよりも10mm落ちたローダウンサスペンションが標準装備される。ただしこれはサーキット向けのガチガチなものではなく、あくまで街乗りをスポーティーに乗れる程よく固い部類のサスペンション。

SSの由来である「ストリート・スポーツ」を考慮すると納得の部分でもある。

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出典:三木スズキ

フェンダー部にはチェッカーフラッグをプラスした専用エンブレムを装着。フェンダーウィンカーはデビュー当初クリアータイプだったが、2006年4月マイナーチェンジ(後期型)でオレンジ色に変更された。

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出典:三木スズキ

足元は専用デザインの14インチアルミホイールを標準装備。

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出典:三木スズキ

リアのデザイン。オーソドックスな感じに赤いSSのエンブレムがはえる。

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出典:三木スズキ

なお2006年4月マイナーチェンジ(後期型)ではコンビランプがクリアータイプに変更される。デザインが曇って古臭いが、社外品でユーロテールが出ているので交換するといいだろう。

エンジン・機能装備・安全装備など

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エンジンはK6A型直列3気筒DOHC12バルブICターボエンジン。最高出力64ps(47kW)/6500rpm、10.8kg・m(106N・m)/3500rpmを発生(Keiワークスと同じ)。

トランスミッションは5MTか4ATの2種類で、駆動方式はFFまたは4WD。FF・5MTモデルであれば車重が800kgなので、そこそこ軽快に走る。走りを求めるならマニュアルを。

この時代の4ATは旧式のトルコンATで、最近のCVTでもなくマニュアルモードも存在しない。余程の理由がない限りマニュアルを選択したほうが楽しい(なお、中古車は4AT車は安いが、5MTモデルは高い)。

Keiワークスとは異なり、リアはディスクブレーキ化されず、フロントにヘリカルLSDの(※FFのみ)標準設定もない。

ラパンSSの持病

ラパンSSの4WDはビスカスカップリングを用いたセンターデフ式のフルタイム4WDだが、このビスカスカップリングの耐久性(欠陥品に近い)に問題があり走行距離や使用具合によってこのビスカスカップリングから異音がするトラブルが数多く報告されている。

スズキ自身もこれを把握し、新車登録から9年または10万キロ内での無償交換(リコール)を出していたほど。特に10万キロをすぎると発生しやすく、使用状況によっては7万キロ後半で発生した事例もある。

この部品は2代目と3代目ワゴンR(MC系とMH系)、5代目アルト(HA系)、初代アルトラパン(HE系)、Kei(HN系)などでも部品を共有していたのだが、この車種すべてで部品の延長保証が行われたぐらいで、スズキの持病ともいえる有名な部品となっている。

よって中古の4WD仕様のラパンSSを購入する場合は前オーナーが修理しているか確認したほうが良いだろう(既にリコール期間は過ぎており、自費で修理するとリビルド品で5万円前後、新品で7万前後+工賃がかかり高額な出費となってしまう)。

インテリア

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出典:三木スズキ

インパネまわり。ラパンSSではインパネのカラーがシルバー化されエアコン吹き出し口はメッキリングが付く。ATはノーマルと同じくコラムシフト。

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出典:三木スズキ

ノーマルモデルではスピードメーターのみだったので、後付でタコメーターが追加されている。なお前期型ではスズキでは珍しいモモステを標準装備。

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2006年4月マイナーチェンジ(後期型)ではインパネのカラーがダークシルバーに。さらにモモステはオプション設定され、SSロゴ入りの本革巻ステアリングホイールに変更された。

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スピードメーターはSS専用でロゴ入りタイプ。タコメーターも追加装備。

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マニュアルモデルでは4代目アルトワークスと同じようなシフトブーツ付きMTとなっている。

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出典:三木スズキ

シートはこちらもく4代目アルトワークスと同じようなセミバケットタイプ。

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出典:三木スズキ

2007年5月マイナーチェンジ(最終型)ではシート表皮とドアトリムクロス付近のデザインが変更され、シルバーとブラックのツートンカラーとなった。

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なお、純正オプションでKeiワークスのようなレカロシートが用意されていた。ただオプション扱いで一脚10万程度と高価なため導入した個体が少なく、中古で出回っているラパンSSでレカロシートを装着したものは極端に少ない。Keiワークスの純正レカロシートと互換性があるのでヤフオク等で入手すると手頃だ。

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フロアマットはフェンダーエンブレムと同じくチェッカーフラッグのデザイン。

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出典:三木スズキ

リアの足元は狭め。

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出典:三木スズキ

2007年5月以降のリアシート。フロントと同じくツートンカラー化される。スライド機構は非装備。

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出典:三木スズキ

ラゲッジルームは広め。

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出典:三木スズキ

リアシートを倒した状態。ただしタントのようなハイト系と比べると高さがないので自転車を丸々載せるような使い方は出来ない(スポーツタイプでタイヤを外せば可能)。

まとめ

ラパンSSの総評

初代アルトラパンに設定された「ラパンSS」は女性向けのアルトラパンをベースにターボエンジンや専用内外装でスポーティーに仕立てた男性向けモデルである。

当時としては希少な5MTとターボエンジンに背の低いセダンタイプということで、走りを求めるユーザーに人気のモデルであった。

車重は4代目アルトワークスと比べると100kg以上も重たかったため俊敏さは無かったが、ラパンベースゆえの独立した後部座席など快適性もそこそこ高く、荷物も載せられて実用性は高かった。

またスズキスポーツ(現モンスタースポーツ)などをはじめとしたマフラーやECUなどの専用カスタムパーツや社外のテールランプなどパーツもそこそこ豊富で、チューニングを楽しむこともできた。

残念ながら、2代目以降のラパンにはSSグレードは設定されなった。やはり男性向けのスポーツモデルということで購入層が限られそこまで売上が見込めなかったのか、モアスペース系に主力がシフトする中、セダンタイプの販売台数が見込めない派生モデルに開発コストをかけてまで作る余裕は無かったのか分からないが現在では絶版車となっている。

中古市場では上述の「5MT&ターボ」に背の低いセダンタイプで比較的高年式なモデルがほとんど存在しないため、かつてはKeiワークスの5MTと並んで人気モデルとなっていた。4ATモデルは需要があまり無いため安いが、5MTは趣味性や希少性から高値になっている。

これは中古の需要が5MTの方が人気があるためで、スポーティーなターボの5MTはジムカーナ需要もあることからコアなユーザーに人気なのである。

その後5代目アルトワークスが復活したが、2021年~2022年の半導体不足による納車遅れ、フルモデルチェンジした9代目アルトにワークスが非設定となるなどもあり、中古価格は意外といい値段がする。

【5代目 MTターボ&純正レカロ】スズキ アルトワークス(HA36S) 概要解説

OEMモデル マツダ・スピアーノSS (※ATモデルのみ)

なお、ラパンSSはマツダにもOEM供給され、スピアーノSSとして販売されていた。ただしこちらは硬派なラパンSSと違ってMTの設定がないAT専用モデルだった。

もしATのラパンSSを探しているのなら、知名度が低く若干安いスピアーノSSを検討すると安上がりだが、MTのSSを探す場合はマツダ版では非設定のため要注意である。

【前期型】マツダ スピアーノ SS(HF21S型)

ラパンSSが未だ人気の理由&中古価格が高い理由

ラパンSSはシンプルなボディスタイルに愛嬌のある丸目とスポーティなグリル、エンブレム、アルミホイール、オシャレでスポーティなインテリアなどベースのラパンよりも個性的かつ見た目も良い。

そして近年では絶滅危惧種とされつつある5MTとターボの組み合わせで走りも楽しめるモデル。特に背の低いセダンタイプで5MTターボという構成は現行モデルでは5代目アルトワークスを最後に存在しなくなってしまったため、中古市場では手頃な5MTターボの軽スポーツとして人気が続いている。

【5代目 MTターボ&純正レカロ】スズキ アルトワークス(HA36S) 概要解説

同年代のダイハツ製軽自動車は、コペン以外にスポーティな5MTターボモデルが無かったため、このあたりも存在価値を高めている。ミラでさえもターボなしのミラミラバンを除くとATCVTモデルしかなかった。

【前期型】ダイハツ ミラカスタム(L275/285型)

ちなみに同じ軽乗用車の5MTターボでも軽バンがあるが、こちらは荷物が乗せられる分、背の高い箱型ボディで空気抵抗が大きく腰高感も高い。走りを求めるなら必然的に背の低いセダンタイプが選ばれる。

【6代目・4ナンバー上級仕様】スズキ エブリイ ジョイン/ジョインターボ(DA17V型 join)概要解説

また車重も軽バンは900kg~1トン近くとかなりの重量級だが、ラパンSSでは5MT・FFモデルなら800kgとそこそこ軽い。このあたりも人気の理由となっている。

これら理由から中古市場ではATモデルは安いが、5MTモデルの価格が年数経過や走行距離の割りに高い価格となっている。

なお、似たような理由で自然吸気エンジンながら可変バルブタイミング機構付きのエンジンと軽量ボディ&5MTのエッセカスタムや、ノーマルでもエッセのMTモデルは価値が上昇し年々中古価格が上昇している。

【軽量・5MT・VVT(可変バルタイ)搭載】ダイハツ エッセ カスタム (L235S/L245S型)

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