エッセは、ダイハツのセダンタイプの軽自動車。エッセカスタムはそのカスタムモデルである。
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ダイハツ・エッセとは?
2005年12月に登場したダイハツのエッセ。車名の由来は英語の「ESSENCE(本質)」からで、軽自動車の本質を追求して作られた1台であった。
軽自動車は1998年の新規格後にボディサイズが一回り拡大し、それまでの軽自動車(旧規格)に比べると走りも室内空間もワンランクアップしていったのだが、それと同時に新車価格もどんどん上昇する傾向にあった。
特に乗用モデルの売れ筋ともなると100万円以上はザラで、ターボ付きとなるとさらに高く130万円~というのも珍しくなくなっていた(近年ではさらにワンランクアップし150~200万手前というグレードも珍しくない)。
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そんな高価格化する軽自動車市場に低価格と割り切りで2005年に勝負したのが「エッセ」である。ちょうどスズキの8代目アルトや同社のミライースの前身的なアプローチの軽自動車で、軽自動車の本質を徹底的に追求して開発。「安くて燃費が良い」をコンセプトとしたモデルであった。
エンジンは新開発のKF-VE型を採用し、優れた環境性能に低燃費、低価格で高い経済性を実現。
エクステリアは飽きのこないオーソドックスかつ愛嬌あるデザインに居心地いいインテリアデザイン。ボディカラーは自然色をモチーフにしたカラー設定で内外装で色の調和をさせている。
パッケージングは乗り降りのしやすさ、運転しやすさ、使いやすい室内を実現した。
エッセカスタムとは?標準エッセとの違い
ベースモデルであるエッセのデビュー当初は女性ユーザーを意識したモデルだったが、硬派なFFの5MTモデル(軽量なボディに新開発エンジンの組み合わせ)が以外にも男性に受け、ノーマルの登場から1年後に外観をスポーティに仕立てたカスタムモデルの追加となった。
もともとエッセはシンプルとデザインを追求した軽自動車で、見た目は最近の軽自動車でありながらどこか安っぽい感じが強い。逆にそこがまた昔のアルトやミラ感を醸し出しエッセの特徴といえる部分だ。
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エッセカスタムではベースとは異なる男性層を中心とした幅広いユーザーをターゲットとし、ノーマルのエッセに対し専用エアロパーツ(フロントアンダースポイラー、
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サイドアンダースポイラー、リアアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラー)によるフルエアロ化や14インチアルミホイールなどでスポーティーかつスタイリッシュな外観を与え。
内装ではブラック基調の内装と追加でタコメーターを標準装備。そのかにもメッキーパーツを用いて質感の高いクールなインテリアとなっている。
エンジンなどメカニズム面はノーマルと同じでターボエンジンの設定がなかったが、元々軽量ボディに可変バルブタイミング機構を備える自然吸気エンジンの組み合わせで、回して楽しいスポーティな部分を持っていたエッセ。
これに内外装でもスポーティな雰囲気が与えられたことで自然吸気エンジンのスポーツモデルともいうべきモデルに仕上がっている。
エッセカスタムL235SとL245Sとの違い
エッセカスタムL235SとL245Sとの違いは駆動方式。L235Sはボンネットにエンジンを配置し前輪を駆動するFFのエッセカスタム。
L245SはL235Sをベースにビスカスカップリングを使って全輪を駆動する4WD仕様となる。
エクステリア
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フロントデザイン。カスタム仕様としてフロントアンダースポイラーを標準装備。スポイラー角にはアクセントカラーとして赤ラインが加わり、ノーマルとの違いを出している。
加えてフォグランプを装備しベーシックでありながら、スポーティーな顔つきとした。
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サイドから。カスタム仕様としてサイドアンダースポイラーを標準装備。こちらもサイドスポイラー下部に赤いラインを入れてカスタム感を出している。
ボディカラーは写真のブラックマイカメタリック(黒系)のほか、白系にコットンアイボリーまたはホワイト、ノーマルと同じ黄系のサンシャインイエロー、オプションカラーでカシスフィズスペクトラシャインなど最大で全7色を設定。
ターンランプ付きドアラミラーウィンカーもカスタムでは標準装備。
足元はカスタム仕様として14インチアルミホイール。タイヤサイズは155/65R14。
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リア。カスタム専用のリアスポイラーとリアアンダースポイラーを標準装備。リアアンダースポイラーには赤いラインが入っており、さりげないアクセントでノーマル差別化がなされる。
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エンブレムはノーマルと同じでカスタムでありながらカスタムを示す専用エンブレムは装着されない。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはノーマルと同じ3気筒の自然吸気のみ。第3のエコカーであるミライースの前期型でも採用されている新開発の(第1世代)KF型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンを採用。
最高出力は58ps(43kW)/7200rpm、最大トルクは6.6kg・m(65N・m)/4000rpm。
これに5MTまたは4ATを設定する。駆動方式はFFまたは4WDだが、5MTに関してはFFモデルのみとなる。
ターボの設定がないものの新開発のエンジンと軽量ボディ、低重心によりワゴンタイプやハイトワゴンなどに比べるとその走りはスポーティーで5MTなら回して楽しい1台。
特にエッセのエンジンは自然吸気エンジンながら58馬力と高出力で、トルクも6.6kgとかなり高い。さらに可変バルブタイミング機構のDVVTも付いており、特に低速域において扱いやすいエンジンとなっている。
これに車重がFFの5MTだと700kgだったので意外と軽快に走る。さらに値段も安かったためジムカーナなどでも人気に車種だった。
ここで気づいたと思うがカスタムモデルなのにターボモデルが無い珍しいモデルとなっている。というのもたとえば売れ筋のムーヴカスタムでは設計当初からターボありきでノーマルとカスタムの2本立てが用意されたがこのエッセに関してはもともとカスタムモデルの予定がなく、後から追加投入された経緯を持っている。
その影響もあってダイハツ史上では珍しくカスタムでもターボがない車種となっている。
エッセの持病・エンジンのオイル消費や故障しやすい箇所
なお、このKF型エンジン。自然吸気エンジンとしてはかなりパワフルで可変バルブタイミング機構など魅了的だが、その分オイル管理が重要で特にオイル上がり、オイル下がりなどオイル消費に関するトラブルが数多く報告されている。
特にエッセに搭載された初期型のKFエンジンには有名な「オイルリング固着」という症状がある。これはオイルリングがスラッジで固着し、オイルを大量消費する事態に発展する。
エッセは外観や安さから女性の買い物グルマとして重宝された側面もあり、そういったメンテナンスに興味がないオーナーはたまにエンジンを高回転まで回すこともなく、オイル管理も疎かになっているケースがある。
この他にウォーターポンプも壊れやすい。これも初期のKF型エンジンでは有名な故障箇所で、後に対策品になるほど壊れやすかった。ウォーターポンプも放置するとエンジンが冷却できなくなり、オーバーヒートとなって最悪エンジンブローに至るケースも。
最後にエンジンマウント。KF型エンジンではエンジンマウントのゴムの劣化が激しく、駄目になってくると運転席や助手席側へ不快な振動音が車内に入ってくる。ゴムがちぎれてしまうと車検も合格しないため、これも確認ポイント。
エッセカスタムの場合はノーマルエッセに比べれば無頓着なユーザーは少なく、オイルリング固着の可能性は低いと思うが、中古車で購入する前は記録簿や実物を確認し、マフラーから白煙が出てないか、オイル消費が激しくないかなどを確認することをオススメする。
インテリア
インパネ。カスタム仕様としてインパネを含めた内装はブラックカラーに変更(※写真のアルミペダルは社外品)。
カスタム仕様としてタコメーターが追加された。このようにユーザーが後付けしたかのようなデザインで、カスタム感あふれるちょっとやんちゃな仕様だ。
モモ製本革巻ステアリングホイールはオプション設定。ただし、物自体は2代目ミラジーノ・ミニライトとの共有品となる。
エアコンはマニュアル式エアコン。
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ATのシフトノブ。
5MTのシフトノブ。
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フロントシートはセパレートタイプ。カスタム専用のシート形状&ブラック表皮となる(※ノーマルでは商用モデルと同じくヘッドレスト一体型シート)。
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リアシート。シート自体の生地はまずまず。スライド機構は非装備。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
まとめ
エッセカスタムの総評
エッセ・カスタムは軽量ボディと可変バルブタイミング機構を兼ね備えたエッセをベースにスポーティな専用装備でカスタムした上級思考のグレードであった。
一般的なダイハツのカスタムモデルと異なり、ターボが非設定で内装でもタコメーター付く程度のかなり大人しい仕様だが、素性の良さを活かして5MTモデルであれば自然吸気エンジンの特有フィーリングやキビキビとした走りを楽しめるモデルとなった。
現行モデルはワゴンよりもモアスペースなスーパーハイトワゴンが主流。少し安っぽい感じもあるが、セダンタイプゆえのスタイリッシュな外観をベースにバリバリに改造して楽しむのもアリかもしれない。
エッセはこの手の人気があるのか、社外パーツが豊富なため改造には困らないのもポイント。ただし上述のエンジン関係の持病については充分注意されたい。
ベースモデルのエッセは後継モデルのミライースの登場により2011年7月に生産終了となり、現在は絶版モデルとして中古車でのみ入手可能なモデルとなっている。
エッセカスタムの中古価格上昇(値上げや高騰)とその理由 今後の傾向など
かつては中古市場で比較的手頃なモデルで、安価な価格が魅力的だったがエッセカスタム。
しかしながら近年では新車で買えるセダンタイプのMTモデルが絶滅している。
このためエッセカスタムのような背の低いボディ&5MTといったライトな軽スポーツ的なモデルが新車で一切無く、ダイハツのラインナップでも7代目ミラの商用モデルを最後に消滅し、最後まで残っていたスズキ・アルトのMTモデルや軽貨物アルトバンも2021年8月に完全廃止された。
このため中古市場では5MTの設定があるエッセやエッセカスタムが隠れた人気となり、近年では中古価格が高くなりつつある。
もちろん軽ワンボックスや軽トラには5MTモデルが設定され続けているが、軽ワンボックスは荷物が乗るものの腰高で空気抵抗も大きくセダンタイプとは趣味嗜好が異なる。
軽トラはさらに趣味性が高く仕事や農作業従事者以外の普段使いではエッセカスタムのような需要を完全には吸収できない。方向性が異なるモデルなのだ。
そのため中古市場でのエッセカスタムはそういった需要がかなり高く、中でも走りを楽しめるMTモデルにその人気(需要)が集中し、ATモデルに対しエッセとエッセカスタムの5MTモデルは高額な価格帯となってきている。
カスタム前提であればノーマルエッセでも良いが、最初からタコメーターや純正エアロパーツ、ブラック内装が付く分ノーマルでも見た目や機能性が良いのはエッセカスタムに軍配がある。
後付で色々カスタムするか、ノーマルベースを基本として乗るか予算に応じて選択することになるが、エッセカスタム用のタコメーターはノーマルエッセにもポン付け可能だし、社外のタコメーターをつけるという選択肢もあるため、このあたりは趣味嗜好に左右されるか。
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