【コペンの祖先】ダイハツ リーザ スパイダー(L111SK)概要解説 | シン・軽自動車マニア

【コペンの祖先】ダイハツ リーザ スパイダー(L111SK)概要解説

リーザ

リーザはダイハツのハッチバック型軽自動車。スパイダーはそのオープンカーモデルである。

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画像提供元:目白自動車

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ダイハツ リーザ スパイダーとは?

1991年11月登場のダイハツ・リーザスパイダー。

軽のオープンカーというとダイハツのコペンが有名で、バブル時代は軽自動車ABCとよばれたマツダのAZ-1、ホンダのビート、スズキのカプチーノが思いつく。

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特にAZ-1やビート、カプチーノが登場した時代はバブル絶頂期で、軽自動車とえいどもスポーツ思考に全振りした、今では考えられない個性的なモデルを各社が販売していた。

ライバルのスズキ、エンジンのホンダ、プラットフォームはOEMながらボディを専用設計するマツダオートザムに影響されダイハツも軽オープンの販売を計画。軽自動車ABCに対抗スべく、ダイハツも新モデルを投じることとなる。

ただし、ダイハツはライバルとは異なり専用設計でなく、既存のモデルを流用する手法で登場させた。

当時ミラの派生車種として誕生した上級思考の「リーザ」をベースに作られたのがこの「リーザスパイダー」である。リーザはもともと3ドアハッチバックだったが、屋根から後部にかけての部分をぶった切ってオープン仕様へと変貌した。

なんだか工業高校の自動車科が実習で作りそうなやり方だが、元々専用設計されたものではなかっため、トランクルームが全く無いなど、当時の軽自動車としては異例なかなり実用性の低い仕様となっていた。

この手の最後発で登場させた「スバル・ヴィヴィオ タルガトップ」とは大違いである。

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出典:wikipedia

こちらはベースとなったダイハツ・リーザ。ハッチバックの部分がないだけで、基本的にボディは同じだ。

リーザ スパイダーはターボ搭載・スポーツグレードのTR-ZZをベース。これにルーフからリアゲートにかけてをオープン化するため、失った分の剛性を保つためボディを補強。ベースモデルよりも90kg増加した。

この重量増を補うため自然吸気エンジンは設定せず、ターボ仕様のみを設定。

専用装備としては幌以外に

  • サイドデカール
  • リアスポイラー
  • 12インチアルミホイール(スパイダー専用デザイン)
  • MOMO革巻きステアリング

などスペシャリティーカーに相応しい内外装が与えられる。

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リーザ スパイダーのエクステリア(外観)

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フロントデザイン。基本的にリーザがベースなのでフロントからは特段の違いは無い。ボンネットにはリーザのターボ用エアダクトが備わり、ノーマルとの違いを演出。

ヘッドライトを除けば同年代の3代目ミラ・TR-XXに似たデザインである。

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サイド。ここからがスパイダー仕様となり、ベースのリーザに対しルーフから後ろを大胆にもカット。3ドアハッチバックから2ドアのスパイダーに生まれ変わった。

幌はそれまで後部座席&ラゲッジルームだったところを格納スペースに。このため座席より後ろの収納スペースが無くなっている。この他、スパイダー専用のデカールがサイドに付く。

足元はスパイダー専用デザインの12インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは155/70R12。

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リア。幌は手動式。リアのコンビランプも同年代のミラに似ている。マフラーはミラTR-XXと同じく2本出し。

リーザ専用装備として大型のルーフスポイラーが標準装備となり、スポーティな雰囲気を高めている。

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幌をしまった状態。ものすごい後付け感がある。

エンジン・機能装備・安全装備など

エンジンはEF-JL型の直列3気筒SOHC12バルブインタークーラー付きターボエンジンのみの設定で最高出力は64ps(47kW)/7500rpm、最大トルクは9.4kg・m(92.2N・m)/4000rpmを発生する。

これに組み合わされるのは3ATまたは5MTで駆動方式はFFのみ。車重は730kgなので一個前のコペン(830kg)と比べると100kgも軽量だ。

安全装備としてはエアバッグはもちろん、ABSも非設定の硬派な仕様。登場した1990年代初頭を考えると致し方ない。

リーザ スパイダーのインテリア(内装)

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インパネ。内装は当時の軽自動車としてはかなり力が入っていて、ダイハツ伝統のモモステ(本革)、シートには人工皮革のバケットタイプを標準装備。

スピードメーターもオレンジ文字盤の2眼式を採用し、ベースモデルよりもかなりテコ入れがなされて質感やスポーティ感が向上していた。

デザインは時代を感じるものがあるものの、シンプルで味がある。

まとめ

リーザスパイダーは、デビュー当時ダイハツ初の軽オープンとして登場した実験的な車であった。

初代コペンと比べると100kg軽量な分は加速やブレーキングで差が出るので、コペンには無い旧規格らしいライトウェイトの面白さがある。

ただ、ライバルのカプチーノやビートが男性向けのスポーツカーとして販売されたのに対し、リーザスパイダーは女性をターゲットしたスペシャリティカー的な車だった。

当時の車好きの男性はカプチーノビートを買ったのだが、趣味性の高いリーザスパイダーは(形状的にイマイチなデザインも相まって)それほど売れず、タマ数はカプチーノやビートと比べると超絶少なくかなり少ない(総生産台数は380台)。

さらにそのマニュアルモデルとなると余計に希少だ。もし探すとなると困難を極めるモデル。中古サイトで掲載されていたとしても希少性から高値となることが予測される。

なお、今回画像の利用を許可していただいた目白自動車さんでは、当時このリーザスパイダーを1台扱っている(2014年7月13日時)。それもとても希少なマニュアル仕様で、H3年式の走行距離はまもなく5万キロというかなりいい状態だった。

リーザ スパイダーはコンセプトは面白かったが、実用性に難の大きい幌や、中途半端なパッケージング、ニッチなターゲット層などからABCトリオの影に埋もれてしまい、ほとんど売れず登場から2年ほどで生産終了となった。

その後2002年に初代コペンが登場するまで、ダイハツの軽オープンカーはおあずけとなったが、専用設計ボディ、高性能で耐久性の高いJB-DET型4気筒ターボエンジン、電動オープン構造などリーザスパイダーの失敗点が大いに反映され初代コペンが登場する。

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