カプチーノは2シーターオープン型の軽自動車。本稿では1991年~1994年までの前期型であるEA11R型について扱う。
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スズキ・カプチーノとは?
スズキのカプチーノはバブル全盛期の1991年に、軽自動車枠でのスポーツカーとしてデビューした。
長いボンネットにはターボエンジンが縦置きされており、サスペンションも軽自動車としては初となるダブルウィッシュボーン式(独立懸架)を採用。駆動方式はFRで前後重量バランスは51:49を実現していた。
ボディそのものも軽自動車でありながらアルミを用いて軽量化を徹底。コストを優先するスズキにしては異例のアルミボディの採用でスポーツ志向を強めていた。
エンジンはアルトワークスでお馴染みのF6A型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンを採用。
これをエンジン内に縦置きに配置。車内空間が優先される近年の軽自動車とは真逆のエンジン配置で、これもスポーツカーとしての性能を追求した設計となっていた。
そしてフロントに縦置きしたエンジンを後輪で駆動することにより優れた重量配分とハンドリングを実現。
その軽量ボディにターボエンジンを相まって普通車のスポーツカーに引けを取らない走行性能を実現していた。
実用性がメインとなる軽自動車で室内空間を犠牲にし、極限までスポーツ走行に特化したパッケージングはまさにバブル時代ならではの軽自動車であった。
アメリカ25年ルール解禁で価格が高騰
2016年からカプチーノもアメリカへの輸入解禁となり、さらに近年はアメリカ国内でのカプチーノの人気上昇も手伝って価格が高騰傾向にある。
2016年当時は100万ドル程度だったカプチーノが、2021年では500万ドル~600万ドルまで上昇しており、今後はさらに値段があがってもおかしくはない。
その影響を受けて日本国内の中古車価格も上昇している。修復なし、10万キロを越える個体でも100万円以上。10万キロ以下なら150万円ほどの値段が付くこともあり、そのアメリカでの人気ぶりの影響をもろに受けているモデルだ。日本国内の中古車価格も今後はさらに上昇する可能性がある。
なお、高いのは5MTモデルで、後期型で搭載されたATであればそこまで高くはない。
ただしこの時代のATは3速しかない3ATで、高速道路などでスピードを出すと回転数が高くなりがち。そのためできるだけ5MTモデルをオススメする。
前期型カプチーノだけのレアな特別仕様車
前期のカプチーノには販売促進のため、特別仕様車が3回設定された。
後期モデルでは設定が無かったため前期だけのモデルで、タマ数もカプチーノ全体の中ではとても少なく、レア。かつ中古車としては希少なため高値となりやすい。
カプチーノ・リミテッドⅠ
1993年6月登場の第1弾モデル。ボディカラーにディープブルーパールを専用設定し、木目調インパネなどを採用した特別仕様車。
エクステリアに専用ボディカラーとなる「ディープブルーパール」のみを設定。ルーフやリアピラーも車体同色とし、紺色で統一。そのほかにリミテッド専用エンブレム、トランクリキッドキャリアを標準装備。
インテリアではバックスキン調シートに木目調インパネを与え、専用ボディカラーと追加装備で特別感を高めたモデル。
カプチーノ・リミテッドⅠについてはこちらから。

カプチーノ・リミテッドⅡ
1994年3月登場の第2弾。ボディカラーにディープブルーパールを専用設定し、バックスキン調シートなどを採用した特別仕様車を設定。
リミテッドは先に1993年6月に第Ⅰ弾の通称「リミテッドⅠ」が登場しているが、こちらは第Ⅱ弾として登場したため「リミテッドⅡ」もしくは「紺リミⅡ」などと呼ばれる。
カプチーノ・リミテッドⅡについてはこちらから。

リミテッドⅠとの違い
リミテッドⅡではリミテッドⅠに対し木目調インパネとトランクリッドキャリアが省略されるも新車価格は同じ。
リミテッドシリーズの中では最も特別装備が簡略化されているのが特徴。
カプチーノ・リミテッドⅢ
1994年9月登場の第3弾。ボディカラーにサターンブラックメタリックを専用設定し、赤ステッチのバックスキン調シートやカーボン調インパネなどを採用した特別仕様車。
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リミテッドⅢではエクステリアに専用ボディカラーとなる「サテンブラックメタリック」を専用設定。このほか専用リミテッドエンブレムをリアに貼り付け。
インテリアではリミテッドⅡで廃止された木目調インパネに代わり新たにカーボン調インパネを採用。赤ステッチのバックスキン調シートに加え、リミテッドⅡで採用された電動パワーステアリングを車速感応式電動パワーステアリングに変更し、ステアリングの軽さも改善。
リミテッドは先に1993年6月に第Ⅰ弾の通称「リミテッドⅠ」、1994年3月が第Ⅱ弾として登場したためこの第3段は「リミテッドⅢ」もしくは「黒リミ」などと呼ばれる。
カプチーノの特別仕様車であるリミテッドはこれが最後となり、以後の後期型では特別仕様車が設定されることは無かった。
リミテッドⅢについてはこちらから。

リミテッドⅠやリミテッドⅡとの違い
リミテッドⅠに比べるとトランクリッドキャリアが無いなど簡素な部分もあるが、Ⅰにはない車速感応式電動パワーステアリングの標準装備で、最も扱いやすいカプチーノリミテッドとなっている。
また、リミテッドⅠやリミテッドⅡが紺パール色の「ディープブルーパール」を専用ボディカラーにしたのに対し、リミテッドⅢでは黒メタリック色の「サターンブラックメタリック」を採用。
内装はリミテッドⅠが木目調インパネに対し、リミテッドⅢはカーボン調インパネを採用し、シート表皮も赤ステッチ入のバックスキン調シートとするなど、よりスポーティな雰囲気が与えられる。
エクステリア(外装)
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フロントデザイン。異型の楕円形ヘッドライトがカプチーノのキャラクターを印象づけている。スポーティーな顔つきながら可愛らしさも同時に、ありまさに軽自動車のスポーツカーともいうべきデザインだ。
ヘッドライトは当時の軽自動車としては珍しいプロジェクター式のヘッドランプを採用し、スポーティな目つきとなっている。
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サイドから。ボンネットエリアを切り詰めて室内空間を確保しようという軽自動車が多い中、このカプチーノは全くの真逆でボンネットがかなり長い。
車高も低くスポーツカーに必要なロングノーズショートデッキを軽自動車で実現している。
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足元は14インチアルミホイール。タイヤサイズは165/65R14 。
前期と後期のアルミホイールでは若干デザインが異なり、前期は7本スポーク。後期は6本スポーク。純正状態で前期か後期かを見分けるポイント。
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リアは丸くて可愛い感じもある。ヘッドランプ、テールランプは社外品が出ているので交換すればスッキリと若返る。
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なお、ヘッドライトとテールランプの両方で社外品が発売されている。
エンジン・機能装備・安全装備など
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エンジンは2代目後期型アルトワークスと同じF6A型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジン。
最高出力64馬力(6500rpm)、最大トルク8.7kg(4000rpm)を発生する。
なお後期型ではこのエンジンがK6A型に変更され、トルクが10.5kg(3500rpm)とアップしている。
トランスミッションは5MTのみの設定(後期モデルでは3ATが追加されている)。駆動方式はFRのみとなる。
安全装備としてメーカーオプションとして運転席エアバック、3チャンネル4センサーABS、リミテッドストップデフ(LSD)を3点セットで設定。
インテリア(内装)
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インパネ。当時の軽自動車としてはかなり良い方。
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スピードメーター。
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シフトとサイドブレーキ部分。シフトブーツは革製のものが付いており、本格的スポーツカーのような上質なデザインだ。
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フロントシートはセミバケットシートとなる。
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トランクルーム。ちょっとした荷物なら以外と使えそうな広さ。
前期型カプチーノのまとめ
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カプチーノは見た目の通り実用性を度外視した軽スポーツカーであった。アルトワークスやミラターボと比較してもFRによるスポーツ走行は、車を操ることの楽しさを味わえる1台である。
ただそのネックは価格で中古市場ではそのキャラクターゆえにプレミアムがついている。
軽乗用車トリオの中でもAZ-1は異常なプレミアム価格なため比較対象からはずすが、「ターボ付きのFRスポーツ」という点が現行モデルでは存在せず、かつビートよりも直感的にスポーティーな走りを楽しめるため軽乗用車トリオの中では一番人気かつ20年以上経過するモデルにかかわらず値段も高値となっている。
年数経過による消耗品のトラブルや故障などリスクが高い旧車に近くなってきているが、それを含めても軽でFRターボという貴重な存在は、今でも十分な魅力を持つ存在である。
なお、K6A型エンジンに置換する前のモデルでは、特別仕様車(リミテッドⅠ~リミテッドⅢ)が設定されており、写真の黒いカプチーノはその最終盤である「リミテッドⅢ」と呼ばれるもの。
リミテッドシリーズではノーマルに対し内装が専用品(木目調またはカーボン調)に変更され雰囲気がよくなる。また、ノーマルには設定のない専用色が設定されるなどカプチーノの魅力を高めた特別仕様車となっている。
コメント
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カプチーノに関するすべての記事で
アルトワークスと同じF6B型エンジンと記載されていますが
アルトワークスは4気筒のF6Bではなく
3気筒のF6Aです(-∀-`; )
F6BはセルボモードSR-FOUR専用エンジンですよ
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TREKさん、はじめましてこんばんは。
ご指摘ありがとうございます。確かにカプチーノの前期は3気筒エンジンなのでF6Aが正解ですね。早速訂正いたします。