タントはダイハツのトールワゴン型軽自動車。タントファンクロスは4代目の後期モデル(2022年10月マイナーチェンジ~)で追加されたクロスオーバーSUV風の派生モデルである。
出典:ガリバー
ダイハツ・タント ファンクロスとは?
2022年10月に4代目タントの派生モデルとして新設定された「ファンクロス」。
ファンクロスは4代目タントをベースに流行りのクロスオーバーSUVテイストを取り込んだもうひとつのカスタムモデルである。
エクステリアは
- 力強いファンクロス専用ヘッドライト
- SUVテイストのグリル
- シルバー加飾+アンダーガード風フロントバンパー
- 専用アルミホイール
- ルーフレール
でアクティブ感たっぷりの外観にカスタム。
インテリアではタントの利便性はそのままに、キャンプやアウトドアを想定した「撥水加工フルファブリックシート表皮」、「オレンジ色のエアコンレジスターリング&ドアトリムパネル」などを標準装備。
機能装備では「ラゲッジルームランプ」、「後部座席USB電源ソケット」、「防水加工シートバッグ」なども与え、アウトドアユースでの利便性を向上させた。
など専用内装を採用。標準タントともタントカスタムとも異なる内外装でスライドドア付きのスーパーハイトワゴンに個性を持たせたモデルとなっている。
ちょうどスズキ・スペーシアのクロスオーバー風モデル、「スペーシア ギア」に相当するモデルでダイハツもこのジャンルに参戦となった。
タント ファンクロスのグレード タントファンクロスとタントファンクロスターボの違いなど
タント ファンクロスのグレード展開は自然吸気エンジンでエントリー「ファンクロス」と、上級ターボ仕様「ファンクロスターボ」の2種類のみ。
ファンクロスはタントカスタムのカスタムXに相当するグレードで、内外装の装備が豪華で価格もカスタムXより高く上級グレードの位置づけ。
ファンクロスターボはカスタムRSと同じ位置づけ、カスタムRSよりは若干価格が安い。
ファンクロス
ファンクロスの自然吸気エンジン・上級グレード。
エクステリアでは
- ファンクロス用フードガーニッシュ
- ファンクロス用シルバーアンダーガーニッシュ(フロント/リア)
- サイドガーニッシュ
- ルーフレール
- カラードオート格納式ドアミラー
(※4WDはヒーテッドを標準で、2WDはヒーテッドがオプション設定) - 360°スーパーUV&IRカットガラス
(フロントクォーター/フロントドア/リヤドア/リヤクォーター/バックドアウインドゥ) - ピラーブラックアウト
- ファンクロス専用LEDヘッドライト&LEDフォグランプ
- 14インチアルミホイール(ファンクロス専用ガンメタ塗装)
インテリアでは
- ファンクロス専用・カモフラージュ柄ファブリックシート表皮
- オレンジ色のエアコンレジスターリング&ドアトリムパネル
- ラゲッジルームランプ
- 後部座席USB電源ソケット
- 防水加工シートバッグ(後席)
- ユーティリティフック(デッキサイド4個)
快適装備は
- フルオートエアコン
- プッシュエンジンスタート
- キーフリーシステム
※イモビライザー機能付・タッチ式リクエストスイッチ付(運転席/助手席)・リクエストスイッチ付(バックドア) - USB電源ソケット(運転席1口、後席右側1口)
※助手席インパネのUSBソケットは 9インチスマホ連携ディスプレイオーディオにセットオプション設定。 - 後席左右パワースライドドア
※ワンタッチオープン機能/ウェルカムオープン機能/タッチ&ゴーロック機能付 - スライドドアイージークローザー(左右)
- 助手席イージークローザー
- 電動パーキングブレーキ
- オートブレーキホールド機能
- 格納式リヤドアサンシェード
- D assist切替ステアリングスイッチ
- リヤヒーターダクト
などを標準装備。
安全装備はスマートアシストⅢを標準装備し、
- 衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者[昼夜]
- 衝突警報機能(対車両・対歩行者[昼夜])
- ブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)
- 車線逸脱抑制制御機能
- 車線逸脱警報機能
- 路側逸脱警報機能
- ふらつき警報
- 認識支援
- 先行車発進お知らせ機能
- 標識認識機能(進入禁止/最高速度/一時停止)
- AHB(オートハイビーム)
- サイドビューランプ
を標準装備。全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール) とレーンキープコントロール、コーナリングとーレースアシストはセットオプション設定。
純正ナビ装着用アップグレードパックは標準装備する。
ファンクロスターボ
上記ファンクロスにターボエンジンを搭載した上級ターボ仕様。ターボエンジンによりパワフルな走りが特徴。
このほかファンクロスの装備に追加で
- 15インチアルミホイール
- 本革巻きステアリング
- 本革巻きインパネセンターシフトノブ(メッキボタン/メッキ加飾付き)
が標準装備となる。
タント ファンクロスとタントカスタムとの違い
ファンクロスとタントカスタムの違いは外観と内装、ボディカラーが異なる。

4代目・後期型タントカスタムの外観
タントカスタムは従来どおりのメッキパーツによるシャープさや豪華さを表現していたが、ファンクロスではクロスオーバーSUVテイストのグリル、やシルバーアンダーガーニッシュ付きバンパー、専用アルミホイールで差別化される。
ボディカラーもファンクロス専用色として
- レイクブルーメタリック
- フォレストカーキメタリック
- コンパーノレッド
を含めた全8色を設定。

4代目後期タントカスタムのシート
インテリアではタントカスタムがファブリック×レザー調(+ブルーアクセントカラー)に対し、ファンクロスのシート表皮はファブリックシート表皮に変更となり、柄もアウトドアを連想させるカモフラージュ柄(ゼブラ模様)を採用。
インパネ加飾もタントカスタムがディープブルーに対し、ファンクロスではオレンジの加飾を採用する。
さらに快適装備はUSB電源ソケットがファンクロスで後席にも標準装備となり、デッキサイド右側/天井にはラゲッジスペースランプも追加される。
加えてラゲッジスペースには汚れても拭き取りやすい防水加工シートバックがファンクロスに標準装備。上下2段調節式デッキボードを組み合わせてアウトドアやレジャーで使いやすい仕様となる。
タント ファンクロスの走破性・SUV性能について
タントファンクロスはクロスオーバーSUVの外観から、オフロード走行も可能に見えるが実は見た目だけで、ハスラーやタフトのようなSUV機能(グリップコントロールなど)は持っていない。
そのため見た目だけのクロスオーバー風スーパーハイトワゴンとなる。
最低地上高は2WDが150mm、4WDが165mmと、タントカスタムと同じ。
豪雪地帯で悪評だったウェイクは2WDと4WDとも140mmだったので、ウェイクよりは大雪やシャーベット時にお腹をこすりづらく、雪道など悪路走破性が若干高い。

なお、eKクロス スペースからマイナーチェンジし新発売の三菱「デリカミニ」ではeKクロスと同じブレーキLSDのグリップコントロールやヒルディセントコントロールを搭載予定。
同じスーパーハイト系ワゴンでもデリカミニのほうが悪路走破性が高く、降雪地帯の街乗りで有利なモデルといえる。
ウェイク後継モデルとしてのタント ファンクロス
ファンクロスはウェイクの生産終了後に登場したモデル。
エクステリアはもちろん、撥水加工のファブリックシートや防汚ラゲッジスペース、ユーティリティフックなどアウトドアやレジャーユースを想定しており、実質的な後継モデルとみている。
さらに最低地上高もウェイクよりもアップし、4WDでは一般的な165mmを確保。ハスラーやタフトのように強くはないまでも、4WDモデルとしては平均的な悪路走破性を持つ。

タントファンクロスのエクステリア(外装)
出典:ガリバー
フロントデザイン。ファンクロスでは専用ヘッドライトと専用フードガーニッシュ(グリル)、専用バンパーに専用シルバー塗装アンダーガーニッシュを装着。
ぱっと見タントカスタムと同じヘッドライトに見えるが、ウィンカーの位置、ポジションランプ、メッキパーツの加飾など中身は全くの別物。
出典:ガリバー
タントカスタムではシャープなヘッドライトに対し、ファンクロスではワイド感を演出し、力強さを表現している。
さらにファンクロスではボンネット部分も高くしよりスクエアに見せることで、SUVらしい雰囲気も与えた。
バンパー下部はSUVを連想させるシルバー塗装のアンダーガーニッシュを与え、バンパーも樹脂パーツを組み合わせるなど、タントカスタムとはかなり差別化している。
出典:ガリバー
サイド。タントファンクロスではルーフ分にブラック塗装のルーフレールを標準装備。見た目以外にも実用性をアップさせた。
また、タントカスタムではLEDサイドドアミラーが付いていたが、ファンクロスでは標準タントと同じフェンダーウィンカーを採用。
サイドガーニッシュは共通品となる。
出典:ガリバー
足元はファンクロス専用ガンメタ塗装アルミホイール。自然吸気エンジンのファンクロスが14インチ:タイヤサイズは155/65R14。
ターボ仕様ファンクロスターボが6本スポークの15インチアルミホイールとなる。タイヤサイズは165/55R15。
出典:ガリバー
リア。ファンクロスでは専用シルバー塗装アンダーガーニッシュとリアバンパーを装着。フロントド同様樹脂パーツを採用視することでSUV風の雰囲気とした。
このほかテールゲートスポイラーを標準装備するが、テールランプはカスタム用のクリアーテールではなく、標準タントと同じコンビランプを採用。
バックゲート中央右側にはファンクロス専用エンブレムが付く。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは大幅改良型のKF型直列3気筒自然吸気エンジンまたは同ターボエンジンの2種類。スペックは前期と同じ。ただし後期モデルではエンジン制御が改良され、燃費が若干向上した。
自然吸気エンジンは最高出力52ps(38kW)/6900rpm、最大トルク6.1kg・m(60N・m)/3600rpm。
ターボエンジンは最高出力64ps(47kW)/6400rpm、最大トルク10.2kg・m(100N・m)/3600rpm。
これに新開発のスプリット(遊星)ギヤを採用したD-CVTの採用でFFのJOC08モード燃費は27.2kmを達成した。
また「ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ」、略してDNGAの第1段として設計され軽量化もさることながらサスペンション性能を追求。
乗り心地と運動性能を高次元で両立させた。さらに静粛性もボディのエアロ加工による風切り音の低減と防音材の最適配置等で向上させている。
安全装備はスマートアシストⅢを全グレードに標準装備。スマートアシストⅢでは
- 対車両・昼夜歩行者検知対応衝突回避支援ブレーキ機能
- 衝突警報機能(対車両・対歩行者[昼夜])ブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)
- 車線逸脱抑制制御機能
- 車線逸脱警報機能
- 路側逸脱警報機能
- ふらつき警報
- 先行車発進お知らせ機能
- 標識認識機能(進入禁止/最高速度/一時停止)
- AHB(オートハイビーム)
- サイドビューランプ
が付く。また、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKC(レーンキープコントロール)はCTA(コーナリングトレースアシスト)とセットでオプション設定。
駐車支援のパノラマモニター、スマートパノラマパーキングアシストもオプション設定となる。
タントファンクロスはデリカミニのブレーキLSD(グリップコントロール)やヒルディセントコントロールが非装備
タントファンクロスはクロスオーバー系のスーパーハイトワゴンで見た目も内装もアウトドアユースを強く意識した作りだが、オフロード走行で頼もしいグリップコントロールやヒルディセントコントロールは非装備となる。
もちろんこの手の軽自動車で本格的な悪路走行をする人は居ないと思うが、雪国では特にグリップコントロールが付いていると大雪や春先の暖気により急な雪解けでグチャグチャ雪になってもタイヤが空転しずらく結果的にスタックしずらいなど、大きなアドバンテージがある。
同じクロスオーバー系スーパーハイトでもタントファンクロスは完全な見た目だけなので、4WDであっても一般的な軽自動車の4WDの走破性を持つ程度。
同社のハスラーのライバル、タフトにはグリップコントロールが装備されているので状況によっては追加設定される可能性は十分ある。

これはスズキのスペーシアギアでも同じことが言えるが。

タントファンクロスのインテリア(内装)
出典:ガリバー
インパネ。ファンクロスはタントカスタムのブラックインテリアをベースにエアコン吹き出し口やインパネの一部にオレンジ加飾を与えることで、落ち着いた雰囲気の中にアウトドアやレジャー感を与えた。
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ステアリングはターボ仕様が本革巻きステアリング+本革巻きシフトノブ(メッキ加飾付き)。自然吸気エンジンはウレタンステアリング。
エアコンはフルオートエアコンで、電子パーキングブレーキが標準装備となる。
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フロントシートはベンチシートタイプ。カスタムとは異なるファンクロス専用品で、シート中央部にはゼブラ柄を採用。
過去の名モデル「ネイキッド」を連想させるシート表皮で、アウトドア感を高めている。さらにシート中央部にはオレンジ加飾が加わり、ドアトリムパネルにもオレンジ加飾がプレスされる。
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リアシート。こちらもゼブラ柄を採用。
運転席と助手席の裏側にはシートバッグテーブルや格納式リヤドアサンシェード、リアヒーターダクトを標準装備し、後部座席の快適性を高めた。
ファンクロスだけの専用装備として、USB電源ソケットを後席右側にも1口そなえる。
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ラゲッジスペース。ウェイクやタフトと同じくラゲッジスペースの素材は汚れても拭き取りやすい防汚仕様。
さらにファンクロスではデッキサイド右側/天井にラゲージルームランプが標準装備となり、キャンプやレジャーなどでの使い勝手を向上させている。
また、ラゲッジスペースにはユーティリティフック(4箇所)やデッキボードも標準装備となり、日常ユースからレジャーまで利便性も高い。
タントファンクロスの総評
タントファンクロスは、クロスオーバー風の雰囲気やアウトドアやレジャーに便利な装備を与えたもうひとつのカスタムモデルである。
近年、軽自動車でレジャーやアウトドアを楽しむ人達が増え、既存の軽ワンボックスバン以外にレジャーやアウトドアを意識したモデルが各メーカーから続々と販売されている。
奇しくもダイハツにはウェイクというモデルが存在したが、2022年で生産終了。タントファンクロスがその直属の後継モデルとして誕生することとなった。
タントファンクロスはタントベースとなったことでウェイクの欠点であった低い最低地上高が改善されており、雪国利用でも安心なモデル。
ハスラーやタフトのようなグリップコントロールは非装備なものの、スライドドアによる使い勝手の良さはそれ以上で、かつラゲッジスペースは防汚仕様と、すぐにでも使えるモデルとなっている。
先駆者であった三菱・eKクロス スペースがマイナーチェンジで名称変更。「デリカミニ」として2023年5月に発売。この手のクロスオーバーモデルはしばらく人気が続くとみる。

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