エブリイはスズキの商用タイプのワンボックス型軽自動車である。本稿では6代目・DA17V型を扱う。
出典:スズキ認定中古車
6代目 スズキ・エブリイとは?
2015年2月にフルモデルチェンジし、6代目となったエブリイ。先代からおよそ10年ぶりのフルモデルチェンジとなり、最新技術を盛り込んだ軽ワンボックスとなった。
外観では先代を踏襲しつつ若干の精悍さをプラスしスタイリッシュ感を演出。
パッケージングではタイヤ位置とダッシュパネルを前方に移動することにより乗員スペースの広さをキープしつつ荷室が先代よりも拡大。
PCやPAグレードでは1910mm(※2名乗車でリアシート倒した状態)の荷室長でクラストップレベルを実現した。
低燃費化に関しては高張力鋼板などの使用範囲の拡大やエンジン、足回り、内装、電装部品などで軽量化を実施し先代比で最大40kgの軽量化を実現。
加えてエンジンは先代までのK6Aに置き換わり吸気VVT機構を採用した次世代のR06A型エンジンを採用。オートマチックトランスミッションも先代までの3ATに変わり5MTをベースにクラッチを自動化した5AGSを新規採用。
ターボ用は4ATを用いるなど商用モデルでありながらワンランク上の部品で静粛性アップや低燃費化を実施した。
これにより2駆(FR)の5AGSモデルでは20.2km/L(JC08モード)の低燃費を実現するなどフルモデルチェンジに相応しいメカニズムが与えられた。
収納スペースもインパネドリンクホルダーやセンターミドルトレー、フロントドアポケットなどをインパネに効率よく配置。
頭上の上にはオーバーヘッドシェルフの採用(※ジョイン、ジョインターボ、PCグレードのみ)でより利便性を高めた。
また、6代目エブリイからは同社の軽乗用モデルで先行していた自動ブレーキ技術の「レーダーブレーキサポート」をグレード別に設定。ライバルよりも安全性能を高めた。
6代目エブリィのグレード PA,PC,PCリミテッド,ジョインなどの違い
6代目エブリィのグレード構は標準ルーフ専用で廉価グレードの「GA」、同じくハイルーフで廉価グレードの「PA」、ハイルーフ仕様でミドルグレードの「PC」、ABSやCDプレイヤーなど充実装備が与えられた「JOIN(ジョイン)」とそのターボ仕様の「JOIN(ジョイン)ターボ」の5種類を設定。
これ以外に特別仕様車で「PAリミテッド」、「PCリミテッド」などがあり、PAリミテッドは後にカタロググレードに昇格している。
PAグレード
6代目エブリィの廉価グレード。快適装備や便利を簡略化し価格を抑えた一番安いグレード。
安いながらもマニュアル式エアコンとパワーステアリング、ABS+EBD、運転席&助手席エアバッグ、前後カラードバンパーは標準装備する。
一方でキーレスエントリー、パワーウィンドウ、電動格納式ミラー、カラードアウタードアハンドル、ホイールキャップ、リアプライバシーガラス、セキュリティーアラームが非装備。
オーディオ&スピーカーもレス仕様となり、手動式ドアミラーや手動式ウィンドウ、キーレス無しで質素かつかなり硬派なグレードとなっている。
その分新車価格は一番安く、2WD・5MTモデルであれば100万円を切る価格帯だったが、モデル後半では税抜き100万以上になった。
PA スズキセーフティサポート装着車
上記PAグレードに予防安全装備の「スズキセーフティサポート」を装着したグレード。
夜間の歩行者検知を可能とした衝突被害軽減ブレーキの「デュアルカメラブレーキサポート」のほか、
- 誤発進抑制機能
- 車線逸脱警報機能
- ふらつき警報機能
- 先行車発進おしらせ
- ハイビームアシスト
- 後方誤発進抑制機能
- リアパーキングセンサー
- エマージェンシーストップシグナル
が標準装備となる。
これ以外にスピードメーターがマルチインフォメーションディスプレイとタコメーター付きの3眼自発光式メーターに変更され、バックカメラ付きディスプレイオーディオがオプション選択可能となる。
2024年2月の6型改良時にスズキセーフティサポートが標準装備化されたことで廃止。
PA スズキセーフティサポート非装着車
2024年2月の6型改良で新設定された最廉価グレード(受注生産)。
PAグレードに対して
- デュアルカメラブレーキサポート
- 誤発進抑制機能
- 車線逸脱警報機能
- ふらつき警報機能
- 先行車発進お知らせ機能
- ハイビームアシスト
- 後退時ブレーキサポート
- 後方誤発進抑制機能
- エマージェンシーストップシグナル
- 自発光メータータコメーター(常時照明式)
をレス化(非装備化)して新車価格を約3万5000円ほど下げた格安グレード。「とにかく安いグレードがほしい」、「シンプルに余計な装備が必要ない」というユーザー向け。
GA
6代目エブリィの標準ルーフ専用廉価グレード。
装備面はPAと同じだが、ハイルーフが非設定でトランスミッションも5MTのみという、硬派な専用グレードだった(※後に5AGSや4AT車が追加設定される)。
2021年9月にカタログ落ち。標準ルーフのみの設定&硬派なグレードゆえに、需要が少なく中古車はかなり希少。タマ数が少ないレアなグレード。
PC
6代目エブリィのミドルグレード。
PAに比べて快適装備のキーレス、パワーウィンドウ(※フロントのみ)、電動格納ミラー、プライバシーガラス、ホイールキャップを標準装備し、乗用モデルに近くなる。
インテリアでもフロントシートはジョイント同じヘッドレスト分離型形状にファブリックシート表皮の採用で若干質感が高くなり、PAのような質素な雰囲気が薄くなる。
ただし、リアシートはPAと同じ一体可倒式で簡略化されている。
自動ブレーキはデビュー当初、特別仕様車のPCリミテッドに設定していたがその後は無印PCグレードにもオプション設定化。2022年4月には標準装備化された。
さらに2024年2月の6型改良では
- ヘッドライトを4灯式のLEDヘッドライトに変更
- シートバックテーブルの標準装備
- 運転時シートヒーターの標準装備
が追加されている。トランスミッションもこの6型改良で4ATからCVTに変更され、4WDでは電子制御式4WDとブレーキLSD(ぬかるみ脱出アシスト)が標準装備となった。
JOIN(ジョイン)
6代目エブリィの上級グレード。内外装が豪華になり、乗用モデルのエブリィワゴンのような雰囲気が与えれる。
エクステリアにはPCに加えてヒーテッドドアミラー(4WDのみ)、2019年4月(4型)以降はディスチャージヘッドランプがオプション選択可能となり、2022年4月には標準装備化された。
さらに2021年9月にはフロントメッキグリルも標準装備化され他グレードと差別化された。
インテリアではフロントシートはPCと同じ仕様だが、リアシートが変更されヘッドレストが付いた左右分割式シートを採用。センターアームレストも備え後部座席の快適性能がアップする。さらにドアトリムクロスとリアヒーターも標準装備となる。
自動ブレーキはオプション設定となっていたが、2021年9月には標準装備化された。
2024年2月の6型改良ではPCグレードと同じく
- ヘッドライトが4灯式のLEDヘッドライトに変更
- シートバックテーブルの標準装備
- 運転時シートヒーターの標準装備
が追加されている。トランスミッションもこの6型改良で4ATからCVTに変更され、4WDでは電子制御式4WDとブレーキLSD(ぬかるみ脱出アシスト)が標準装備となった。さらにCVT車は
- キーレスプッシュスタートシステム
- 後席スライドドアクローザー
も標準装備化。
ジョイングレードについてはこちらから。
JOIN(ジョイン)ターボ
ジョインにターボエンジンを搭載した最上級グレード。
タコメーター付きの3眼式メーターを備え、ターボ車らしいスピードメーターが付く。
デビュー当初は4AT以外に5MTも設定され、コアなファンに人気のグレードだったが、2021年9月に5MTターボを廃止。4ATのみとなった。
2022年4月には4ATターボもカタログ落ちし、エブリィのターボ仕様車は完全廃止となる。
特別仕様車・PAリミテッド
2015年12月発売の特別仕様車。
ハイルーフの廉価グレードであるPAをベースに快適&実用装備や安全装備をプラスした特別仕様車。
PAリミテッドではPAをベースに電波式キーレスエントリーとスモークガラス、全面UVカット機能付ガラス、セキュリティアラームシステムを標準装備化。
さらに自動ブレーキの「レーダーブレーキサポート」をメーカーオプション設定とするなど、軽貨物でありながら充実の装備をプラスした特別仕様車。PAリミテッドはその後カタロググレードに昇格し、継続販売されている。
2024年2月の6型改良ではLEDヘッドライトがオプション選択可能となり、レーダーブレーキサポートが標準装備化された。
PAリミテッドについてはこちらから。
特別仕様車・PCリミテッド
2015年12月発売の特別仕様車。ミドルグレードのPCをベースに快適&実用装備や安全装備をプラスした特別仕様車。
PCリミテッドではPCをベースにCDプレイヤー、電動格納式リモコンドアミラー、ヒーテッドドアミラー(※4WDのみ)、フロント2スピーカーを標準装備とした。
さらに自動ブレーキの「レーダーブレーキサポート」をメーカーオプション設定とするなど、軽貨物でありながら充実の装備をプラスした特別仕様車。
PCリミテッドについてはこちらから。
6代目エブリィ(DA17V)の2型、3型、4型、5型、6型の改良点や違いなど
2015年12月・2型改良
2015年12月の2型改良ではGA、PA、PCの5AGS車にABSとヒルホールドコントロールを標準装備。
さらに特別仕様車の「PAリミテッド」と「PCリミテッド」の5AGS車に「レーダーブレーキサポート」をオプション設定とした。
2016年3月・一部仕様変更
2016年3月の一部仕様変更では5AGS車に2速発進モードを標準装備化。
さらにクリープ時の推進力を強化し、発進時や低速時の使い勝手を向上。
2016年11月・一部仕様変更
2016年11月の一部仕様変更では特別仕様車のPAリミテッドとPCリミテッドの4ATを追加設定。
2017年5月・3型改良
2017年5月の3型改良では4AT車をGAのFF仕様車、PA、PC、ジョイン、車いす移動車にも追加設定。
さらにジョインの4ATにはレーダーブレーキサポート・ESP・エマージェンシーストップシグナルのセットオプションも用意。
このほかGA、PA、PCはリアシートを形状変更。荷室をフルフラットにした時の張り出しを無くして積載性を向上させた。
2019年6月・一部仕様変更
2019年6月の一部仕様変更では安全装備を強化。
レーダーブレーキサポートから「デュアルセンサーブレーキサポート」にアップデート。加えて車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストも追加。
さらに後退時用衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」も追加され、誤発進抑制機能は前方に加え後方にも対応した。
これに伴いジョインの4AT、5AGS車とジョインターボ4ATではデュアルセンサーブレーキサポートが標準装備化。PAとPCでは5MT仕様を除いてメーカーオプション設定化された。
ボディカラーでは一部入れ替えが行われ、「クールカーキパールメタリック」を新設定。かわりに「ガーデニングアクアメタリック」を廃止した。
2021年9月・4型改良 アームレスト廃止
2021年9月の4型改良ではジョインターボの5MTを廃止。さらにジョインターボでは乗用モデルのディスチャージライトがオプション設定で選択可能となった。
出典:スズキ認定中古車
インテリアでは4ATのパーキングブレーキが足踏み式からレバー式に変更。これに伴いアームレストが廃止となった。
一方でパワーウィンドウがPAリミテッドにも標準装備化。PAを除くグレードでUSB電源ソケットを標準装備化。
自動ブレーキ類をセットにした「スズキ セーフティサポート」はジョインに標準装備化。PAの5MTにも拡大してオプション設定となった。オートライトシステムとESPはセーフティサポートから分離し全グレードに標準装備化。
ジョインとジョインターボにはフロントメッキグリルが追加された。
また、特別仕様車だったPAリミテッドがカタロググレード化している。
2022年4月・5型改良 ジョインターボ廃止
2022年4月の5型改良では7インチのディスプレイのバックカメラ付きスマートフォン連携ディスプレイオーディオがメーカーオプションに新設。リアのルームランプをLED化。
ハイルーフ仕様車には運転席上部に既存の「オーバヘッドコンソール」から置き換えで「オーべヘッドシェルフ」を標準装備。使い勝手を向上した。
一方でエブリィ唯一のターボ仕様車、「ジョインターボ」が廃止された。これは兄弟モデルの日産「NV100クリッパー」も同じで、GXターボが廃止されている。
2024年2月・6型改良 ジョインターボ復活&5AGS・4AT廃止(※PA除く)とCVT化
2024年2月の一部改良では4ナンバーエブリイのターボ仕様、ジョインターボがCVT専用グレードとして復活。
トランスミッションは5AGSと4ATを廃止(※廉価PAグレードの4ATは除外)し、ATはCVT化。
さらに4WDのCVT仕様車にはブレーキLSDの「ぬかるみ脱出アシスト」が標準装備となり、電子制御式4WDも新搭載となった。これはダイハツの11代目ハイゼットカーゴと同じ構成である。
電子制御式4WDは「2WD」、「4WD AUTO」、「4WD LOCK」の3モードを任意に切り替えて走行可能となり、パートタイム4WD時代よりも扱いやすさが向上した。
機能装備としては廉価PAグレードを除く「PC」、「JOIN」、「JOINターボ」、「エブリイワゴン」全車でヘッドランプが4灯式を採用したLEDタイプに変更され、夜間の省電力化と視認性が向上。助手席シートバックテーブルも標準装備化(エブリイ「PAリミテッド」はLEDヘッドランプをメーカーオプション)。
エブリイは「スズキ セーフティ サポート」が「PA」と「PAリミテッド」にも標準装備化されたことで全車標準装備化。
※「PA」にはオプションの受注生産として「スズキ セーフティ サポート」非装着車を設定(これを選択すると自動的にタコメーター非装備になる)。仕事などで車体価格の安さを求めるユーザーに配慮した。
快適装備も乗用モデルの装備がエブリイに一部採用され、「PC」、「JOIN」、「JOINターボ」には
- 運転席シートヒーター
「JOIN」のCVT車と「JOINターボ」には
- キーレスプッシュスタートシステム
- 後席スライドドアクローザー
をそれぞれ装備。最上級の「JOINターボ」には
- 後席両側ワンアクションパワースライドドア
- フルオートエアコン
のセットがメーカーオプションで選択できるようになった。
ボディカラーは紫系の
- ムーンライトバイオレットパールメタリック(メーカーオプション)
を廃止し、入れ替えでスペーシアベースやスペーシアギアでも設定のある
- モスグレーメタリック(エブリイは「JOIN」、「JOINターボ」専用色)
- デニムブルーメタリック(エブリイ「PA」を除く)
を追加、エブリイワゴンに設定されているパールホワイト(メーカーオプション)をエブリイにも「JOIN」と「JOINターボ」専用色として追加。エブリイは全7色となった。
6代目エブリイのエクステリア(外装)
出典:スズキ認定中古車
フロントデザイン。6代目は先代のイメージのままにヘッドライトにエッジを効かせることでスタイリッシュ感を演出。オーソドックスな箱型の軽バンであっても近代的なイメージとした。
ダイハツの6代目ハイゼットとは異なり、廉価グレードでもカラードバンパーを標準装備し、見た目は悪くない。PAやPCグレードではドアミラーが樹脂タイプの手動式ドアミラーを採用。
出典:スズキ認定中古車
上級グレードのジョイン系ではカラードドアミラーに電動格納ミラーとなる。パット見でジョイン系グレードかを見極めるにはドアミラーがポイント(※ただし純正状態に限る)。
ヘッドライトはハイロー独立式を採用した乗用モデルのエブリイワゴンとは異なり、ベーシックなマルチリフレクターヘッドライト(ハイロー共通タイプ)が与えられる。
2019年4月(4型)以降はジョイン系グレードでディスチャージヘッドランプがオプション選択可能となり、2022年4月には標準装備化された。
さらに2024年2月の6型改良ではジョイン、ジョインターボ、PCグレードでハイロー独立式(4灯式)のLEDヘッドライトが標準装備となり、省電力化と夜間の視認性が向上した。
出典:スズキ認定中古車
2021年9月の4型改良では、上級の「ジョイン」と「ジョインターボ」にフロントメッキグリルが標準装備となった。
出典:スズキ認定中古車
サイド。エブリイワゴンではサイドアンダースポイラーなどエアロパーツが付いていたが、商用モデルということで非装備となる。後部のパワースライドドアも同様。
このほか、セキュリティーアラームとスモークタイプのリアガラスはジョイン系グレードに標準装備(※他の商用グレードでは非スモーク)。
出典:スズキ認定中古車
足元は12インチスチールホイールで、ジョイン系グレードにはホイールキャップも付く。タイヤサイズは145/80R12。
出典:スズキ認定中古車
リア。リアビューが乗用モデルのエブリイワゴンとは最も異なる部分で、商用のエブリイではベーシックな角型コンビランプとなる。
3代目のエブリイワゴンではコンビランプが中央両サイドから商用モデルと同じ下部バンパーに移動したが、デザインは乗用モデルらしいスタイリッシュなものとなっていた。ただ、互換性はあるため後から乗用モデル用のバンパーを購入して交換することは可能だ。
このほか、商用モデルではEVERYのマークがエンブレムではなく、デカールとなる。サイドと同じくバックゲートガラスはスモークタイプとなる。
エンジン・機能装備・安全装備など
出典:スズキ認定中古車
エンジンはR06A型直列3気筒自然吸気エンジンまたは同インタークーラー付きターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンは最高出力49ps(36kW)/5700rpm、最大トルク6.3kg・m(62N・m)/3500rpm。
ターボ仕様は最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク9.7kg・m(95N・m)/3000rpmを発生する。
2022年4月一部改良では排気側にも可変バルブタイミング機構を用いた改良型を採用。
最大トルクも若干抑えられ、自然吸気エンジンは最高出力49ps(36kW)/6200rpm、最大トルク6.1kg・m(60N・m)/4000rpmとなった。
乗用モデルではターボのみだったが、商用モデルでは自然吸気エンジンも選択可能となっている。グレード名はそれぞれ自然吸気エンジンが「ジョイン」。
ターボ仕様が「ジョインターボ」となる。トランスミッションは4AT、5AGSもしくは5MTの3種類。ただし、5AGSは自然吸気エンジンのみの設定となる。
2024年2月の6型改良では5AGSが廃止され、ATはPAグレードを除いて4ATからCVTに変更となった。
駆動方式はFRまたは4WD。先代では旧式のK6Aターボだったがこれを新世代のR06Aに置換。ボディも高張力鋼板の使用拡大やその他軽量化でシェイプアップし先代よりも最大で1Lあたり2km前後燃費を改善した。
このほか、ジョイン系グレードでは他の商用グレードでは非設定(※2015年12月小改良以降では全グレードで標準装備化)のABSを標準装備とし、グレード別(※2015年12月小改良以降はオプション設定に移行)に自動ブレーキの「レーダーブレーキサポート」を設定する。
レーダーブレーキサポート装着車では自動ブレーキのレーダーブレーキサポート、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESPにABSがブレーキアシスト付きとなる。
2019年6月以降はレーダーブレーキサポートが「デュアルカメラブレーキサポート」にアップデート。加えて車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストも追加。
さらに後退時用衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」も追加され、誤発進抑制機能は前方に加え後方にも対応した。
2022年4月以降はPCやPAリミテッドで「デュアルカメラブレーキサポート」が標準装備化された。
エブリイ(DA17V)の最大積載量 AmazonFlexで利用可
エブリイの最大積載量は全グレードで350kg。
最近登場したスペーシアベースでは最大積載量が200kgのため、AmazonFlexの条件に適合せず使えないが、エブリイはジョインでもジョインターボでもいずれのグレードでもAmazonFlexで使える。
ダイハツ・10代目ハイゼットカーゴのクルーズターボでは最大積載量が200kgで条件に適合しない問題があるが、スズキの6代目エブリイではその心配は無用だ。
もちろん、AmazonFlex以外にウーバーイーツやWoltなど地方のフードデリバリー配達や小口配達(個人の委託契約)にも使えるので、このあたりは一番応用力が高い軽バンでもある。
エブリイ(DA17V)の税金 軽貨物・4ナンバー登録で安い
エブリイは4ナンバー・軽貨物登録の軽自動車。
軽貨物で自家用登録だと1年間の税金が5,000円。乗用モデルのエブリイワゴンなどの一般的な5ナンバーの軽自動車は10,800円のため、年間5,800円浮く計算になる。
浮いた軽自動車税分は他の物を買ったり、12ヶ月点検や2年に一回の車検代に充当できる。仮にエブリイワゴンを10年保有すれば単純計算58,000円もの節税になる。
また、営業用として使う場合は「営業用貨物車」となり、年間3,800円とさらに安くなる。
ただし黒ナンバー登録(事業用)で使うと、乗用で使えた自動車保険が使えず、黒ナンバー専用の自動車保険が必要になり、これがかなり高いので軽自動車税が安いメリットはあまり無い。
2023年3月31日届出 エブリイのリコール AGSの不具合
2023年3月31日にスズキ自動車はエブリイとキャリイで採用する5AGSに不具合があるとして、国土交通省にリコールを届け出た。
不具合の内容は
- 機械式自動変速機(AGS)のクラッチケーブルにおいて、防水のための被覆構造が不適切なため、芯線に錆が発生するものがあります。そのままの状態で使用を続けると、クラッチケーブルの芯線が破断し、警告灯が点灯するとともに変速不能及び走行不能となるおそれがあります。
- 機械式自動変速機(AGS)のオイルポンプとオイルポンプ駆動用モータのジョイント部において、外部との通気構造が不適切であったため、オイルポンプからオイルが滲んだ場合、オイルが空気と共に、モータ側に浸入することがあります。そのままの状態で使用を続けると、モータ内部が短絡して作動しなくなり、警告灯が点灯するとともに変速不能及び走行不能となるおそれがあります。
- 機械式自動変速機(AGS)において、オイルポンプ駆動用モータのブラシ材質が不適切なため、高温、高湿条件においてブラシが膨張し、摺動不良となるものがあります。そのままの状態で使用を続けると、最悪の場合、ブラシが固着してモータが通電不良により作動しなくなり、警告灯が点灯するとともに変速不能及び走行不能となるおそれがあります。
としている。最悪走行不能になるケースもあるようなのでリコール対象車種の場合はかならず近くのディーラーでの無料整備を受けることを強くすすめる。
対象車種は
- DA17V-100088~DA17V-244615で、製造年が平成27年2月3日~平成29年5月8日
(111,454台) - DA17V-250004~DA17V-393802で、製造年が平成29年5月8日~令和元年6月4日
(48,378台) - DA17V-420005~DA17V-532960で、製造年が令和元年6月4日~令和3年7月14日
(20,247台)
なお、5MTモデルや4ATモデルは対象外となり、すべて5AGSのみが今回のリコール対象。
6代目エブリイのインテリア(内装)
出典:スズキ認定中古車
インパネ。商用モデルのためベーシックなカラーだが、機能性を重視したデザインとなっている。
6代目からは新たな収納スペースとしてインパネドリンクホルダーやセンターミドルトレー、フロントドアポケット、オーバーヘッドシェルフ(2022年4月以降はオーバヘッドコンソール)などが追加されている。
サイドブレーキはジョイン系グレードのみ足踏み式を採用していたが、2021年9月仕様変更で他グレードと同じレバー式に変更。これによりアームレストが非装備となった。
出典:スズキ認定中古車
スピードメーター。PAグレードとPCグレードではシンプルな1眼タイプ。
出典:スズキ認定中古車
ターボ仕様のジョインターボのみエブリイワゴンと同じタコメーター付きメーター(エコインジケーター付き)となる。
出典:スズキ認定中古車
2019年6月の一部改良以降は、右側の燃料残量計をデジタル化&マルチインフォメーションディスプレイを備え、自然吸気エンジンで自動ブレーキを備えたPAリミテッドやPCリミテッド、ジョイン等にもタコメーターが標準装備となった。
出典:スズキ認定中古車
ステアリングはウレタンステアリング。エアコンは全グレードでマニュアル式エアコン。
パートタイム4WD車では4WDスイッチをON・OFFにすることで2WDと4WDを任意に切り替えて使う。
2024年2月の6型改良以降のCVT仕様ではパートタイム4WDが電子制御式4WDに変更となり、「2WD」、「4WDオート」、「4WDロック」の3種類を切りかられるようになり、タイトコーナーブレーキング現象が発生しずらく扱いやすくなった。
ATと5MTのシフトレバー。インパネシフトのためMTでもこの位置となる。
5AGSではDモード時に左に倒すとATのマニュアルモードのようにシフトアップやシフトダウンを任意に選択可能となる。
出典:スズキ認定中古車
フロントシートはセパレートタイプ。PAグレードではヘッドレスト一体型シートを採用し、生地もビニール素材が用いられる。さらにドアトリムクロスは非装備。
出典:スズキ認定中古車
PCとジョイン系グレードではエブリィワゴンと同じシート形状にジョイン系では加えてファブリック生地を採用。商用モデルといえばヘッドレスト一体型のチープなシートが基本のため、この部分はPA以外の大きな特徴。
出典:スズキ認定中古車
PAとPCのリアシート。軽バンらしいヘッドレスト無しの質素な一体可倒式シートとなる。
出典:スズキ認定中古車
ジョイン系リアシート。こちらもフロント同様にジョイン系では乗用モデルの左右分割型シートが採用されている。他の商用グレードでは一体可倒式かつヘッドレスト非装備のとりあえず的なシートが付いているためフロントシート同様にこの点もジョイン系グレードの特徴である。
出典:スズキ認定中古車
ただし、リアシートはバン仕様のためスライド機構とリクライニング機構は非装備となる。
出典:スズキ認定中古車
PAとPCのラゲッジスペース。
出典:スズキ認定中古車
ジョイン系のラゲッジルーム。軽ワンボックスらしい広大な荷室を確保。
出典:スズキ認定中古車
ジョイン系グレードはリアシートに左右分割式シートを採用しているため、このように片側のみ倒して荷室長を長くできる。乗用モデルに近いシートアレンジが可能だ。
出典:スズキ認定中古車
PAとPCのリアシートを倒した状態。
出典:スズキ認定中古車
ジョイン系のリアシートをすべて倒した状態。
まとめ
6代目エブリィの総評
6代目エブリイはよりスタイリッシュになったエクステリアに新世代エンジンや新トランスミッションの採用で走りや燃費を向上。
使い勝手も収納スペースを大幅設定し、より使い勝手もアップ。加えてライバルに先駆けて自動ブレーキを導入するなど意欲的なモデルチェンジとなった。
さらに乗用モデルにはないターボ&5MTの組み合わせもあり、この手のマニアにも納得の仕様となっている。ただし上述のとおり4型以降はターボ&5MTが廃止されたため以降は中古のみとなる。
価格面でも乗用モデルより数十万円ほど安くなっており(乗用モデルは一番安くて2駆の4ATで約142万円から。
ジョイン系は2駆の5MTターボで約120万円からとかなり購入しやすい)、外観や装備面にそれほどこだわらず比較的安い価格で乗用モデル的な軽ワンボックスが欲しい人には嬉しい仕様といえよう。
ライバルのハイゼットはFR用CVTの採用で、AT車として加速性能や燃費性能が大幅向上。加えて自動ブレーキも強化してきているため、ダイハツとスズキの軽バン競争はますます激化することとなる。
OEMモデル 日産NV100クリッパー(クリッパーバン・DR17V)
なお、日産には3代目NV100クリッパーバンとしてOEM供給されている。
エンブレム違いの兄弟車であるが、日産ブランドの販売力によりマツダ・スクラムバンや三菱・ミニキャブバンよりも販売台数は多く、日産エンブレムによりスズキよりも上質に見える不思議なOEMモデル。
スズキの安っぽい感じが苦手な人はOEMモデルのNV100クリッパー(クリッパーバン)がオススメである。
特に2024年4月の6型改良が適用時にはボディカラーが大幅に拡充され、エブリイの個性的なボディカラー(モスグレーメタリック、デニムブルーメタリック、クールカーキパールメタリック、スノーパールホワイト3コートパール)も選択可能となった。
日産ブランドが好きだったりスズキブランドに抵抗がある人、他人と被りたくない人は、積極的にクリッパーバンの方を選択するのもアリ。
OEMモデル 三菱 8代目ミニキャブバン(DA17V)/マツダ 5代目スクラムバン(DG17V)
三菱自動車にも8代目ミニキャブバン、マツダ自動車へは5代目スクラムバンとしてOEM供給されている。
この2台はNV100クリッパーよりも販売台数は少なく、マイナーなモデル。エンブレム違い程度であるが、街中で被ることがエブリイよりもかなり少ないため少しでもこだわりたい人はこの2台もオススメ。
コメント