スピアーノはマツダのハッチバック型軽自動車。SSはそのスポーツモデルである。本稿ではデビュー当初、前期型の「スピアーノ SS」を扱う。
概要
2002年2月デビューのマツダ・スピアーノ。スズキのアルトラパンよりOEM供給を受けるこのモデルはアルトラパンのボディフォルムはそのままに。フロントグリルを専用品としベースモデルよりもより一般受けしやすい外観としたモデルである。
後期モデルでは一部グレードに丸目ヘッドライトが採用されるが前期ではスポーツグレードの前期スピアーノSSを含め、マツダ風のペンタゴングリルによりベーシック感が強いのも特徴である。ベースにあったうさぎマークは付いていないため、ターゲット的にはラパンの若い女性向けからより裾野を広げた感じだ。
スピアーノはデビュー当初、アルトラパンと同じくターボモデルの設定がなかったが2002年10月にベースのアルトラパンにターボモデルが追加設定されたのを期にOEMのスピアーノにもターボモデルが追加となった。それがこの「スピアーノ ターボ」である。
スピアーノ ターボではアルトラパン ターボ同様に60馬力のMターボエンジンが採用されたほか、グリルこそノーマルスピアーノと同じものの、専用フォグランプ付きバンパーが与えられ、フロントにはベンチレーテッドディスクブレーキを採用。またオプションとなっていたブレーキアシスト付4W-ABSも標準装備とし、街乗りの扱いやすさを向上させたマイルドなターボ仕様となっている。
スピアーノSSの特徴とスピアーノターボ、ラパンSSとの違い
ベース同様にデビュー当初は主に女性をターゲットとしていたため自然吸気のみであったが、同年の10月にはターボモデルを追加。
そして2003年の9月、スズキ版で男性をメインターゲットとしたスポーティーなモデル「ラパン SS」が追加されたのと同時にOEM供給先のスピアーノにもスポーティーモデルが追加された。それがこの「スピアーノ SS」である。
スピアーノSSではエクステリアはほぼラパンターボと同じでエアダクト付きフロントバンパーにフォグランプ、サイドアンダースポイラー、フェンダー部にSSエンブレム、ローダウンサスペンション、14インチアルミホイールを。
インテリアではシルバー塗装インパネにMOMO製本革巻ステアリングホイール、タコメーター、セミバケットシートを標準装備とし、内外装を最もスポーティーとしたモデルである。
OEM元のラパンSSとの違いはフロントグリル。ラパンSSでは丸目ヘッドライトにスポーティーな格子グリルとなってたが、前期スピアーノSSではスピアーノターボと見分けが使いなほどオーソドックスな外観となる。内装はほぼ同じ仕様でかなり控えめなラパンSSといったところ。
エクステリア
フロントデザイン。ラパンSSというと丸目に大きな開口部のグリル、SSエンブレムが特徴であるがこのOEMモデルのスピアーノSSではそれがなく、ノーマルスピアーノのターボモデルと同じ外観となっている。ラパンSSのイメージがあると「??」と意表を突かれるデザインだ。ちなみに一旦SSがカタログから消滅し、その後復活した際(後期型で)はベースと同じく丸目に変更された。
前期型スピアーノSSのフロントはラパンSSのスパルタンなイメージは無く、ベーシック感ただよう落ち着いたデザインとなっている。
サイドから。ラパンSS同様にフロントフェンダーにはSSエンブレムが付く。スズキ版と違うのはサイドウィンカーレンズで、ラパンSS前期はオレンジ色、スピアーノSS前期はクリアータイプとなっている。ベース同様にローダウンサスペンションで車高が若干落ちている。足元は14インチアルミホイールを標準装備する。
リア。コンビランプはスズキ版と同じくノーマルタイプ。エンブレム類はノーマルと同じでセンターにマツダロゴエンブレム、左にアルファベットのMAZDA、右に車名のSpianoとなっている。SSグレードではあるがスズキ版にあったSSエンブレムは付かない。そのためリアビューからはSSなのかそうでないのか見極めるのが難しい。
エンジン・機能
エンジンはK6A型直列3気筒DOHC12バルブICターボエンジン。最高出力64ps(47kW)/6500rpm、10.8kg・m(106N・m)/3500rpmを発生(Keiワークスと同じ)。ノーマルのターボモデル(スピアーノターボ)では低圧ターボ(Mターボ)という燃費重視の60馬力仕様だったのでスポーティーモデルにふさわしい内容となっている。
トランスミッションは4ATのみ。ベースにはラパン唯一の5MTモデルが存在したがOEM先のスピアーノSSにはそれが無い。駆動方式はFFまたは4WDだ。
インテリア
インパネ。このあたりはベースと同じ。
スピードメーターもベースと同じで中央にSSが刻まれている。右側の小さなメーターはタコメーター。ステアリングも(前期型なので)モモステを標準装備。
フロントシートはセミバケットシートタイプ。
リアシート。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
まとめ
スピアーノSSの前期型はオーソドックスな顔つきにラパンSSのメカニズムを持つ穏やかなスポーティーモデルである。ラパンSSと違ってマニュアルが設定されてないため走り好きには敬遠されてしまうが気楽にオートマでもいいという人にとっては十分魅力的な車種かもしれない。
スパルタンなラパンSSと比べて顔つきがゆるいので「尖った軽スポーツ」という印象は薄く、誰でも受け入れやすいモデルだ。
中古市場では年数も経っておりMT設定が無いことからラパンSSよりも安価で購入可能だ。ラパンSSとほぼおなじ顔つきになる後期型ではよりスタイリッシュになるため、AT仕様で良いのであればスピアーノSSでも充分だと思う。
スピアーノ(初代ラパン)のターボモデルを探している人でこの顔つきで問題ないのなら、ノーマルターボにはない良いシートとタコメーター、ローダウンサスペンションが付いてくるので、積極的に前期型を選んでみると良いだろう。
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