スピアーノはマツダのハッチバック型軽自動車。スズキ・アルトラパン(初代)のOEMモデルである。本稿では前期型に設定された特別仕様車、「タイプM」を扱う。
概要
2002年2月デビューのマツダ・スピアーノ。スズキのアルトラパンよりOEM供給を受けるこのモデルはアルトラパンのボディフォルムはそのままに。フロントグリルを専用品としベースモデルよりもより一般受けしやすい外観が特徴となっている。
後期モデルでは一部グレードに丸目ヘッドライトが採用されるが前期ではスポーツグレードの前期スピアーノSSを含め、マツダ風のペンタゴングリルによりベーシック感が強いのも特徴である。ベースにあったうさぎマークは付いていないため、ターゲット的にはラパンの若い女性向けからより裾野を広げた感じだ。
スピアーノのベースである初代アルトラパンはデビューから2代目へフルモデルチェンジする間に数多くの特別仕様車が設定されたが、OEM版であるスピアーノはほとんど無く非常に簡素なモデルであった。
スピアーノ タイプMの特別装備とスズキ版モードⅡとの違い
その中でも唯一、2002年12月に設定された特別仕様車が「タイプM」というモデルである。
タイプMは外観に専用デザインのドアミラー、フォグランプ付きバンパーにメッキドアハンドルを装備し、内装では木目調インパネガーニュシュを装着。質感を向上させたモデルである。ちょうど同時期にラパンで設定された「モードⅡ」のOEM版でもある。
エクステリアでは専用デザインの丸型電動格納式ドアミラー、メッキアウターハンドル、丸形フォグランプを。
ボディカラーにはクールベージュメタリックとグローブグリーンパールを追加設定。
インテリアでは木目調デザインの専用インパネガーニッシュにウッド&レザー調のステアリングホイール、ベージュ色の専用モケットシート&ドアトリム表皮を。
快適装備としてはマニュアルエアコンからオートエアコン(カテキン・エアフィルター付き)に変更し、リアシートを分割可倒式としている。
スズキ版、初代ラパンのモードⅡとの違いはフロントグリル程度で、大きくは変わらない。ただしスズキ版では専用のメッキフロントグリルに対し、マツダのタイプMではノーマルと全く同じフロントグリルなので若干特別感が薄れた仕様となっている。
エクステリア
フロントデザイン。タイプMでは丸型のフォグランプ付きバンパーを標準装備とした。これ以外はベースモデルと同じだが、大きめのフォグランプがスタイリッシュ感をアップさせている。
サイドから。ドアハンドルはメッキ仕様。
ドアミラーもメッキ仕様のおしゃれな形状を採用。モードⅡと同じ仕様だが、ボディスタイルによく合うレトロ調のデザインでスピアーノの見た目を向上させる。
アルミホイールはベースと同じ。アルトラパンのレトロ調ホイールとは異なりベーシックな5本スポークタイプ。
エンジン・機能
エンジンは3気筒自然吸気エンジンのみ。最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpmを発生。トランスミッションは4ATのみで駆動方式はFFまたは4WD。ターボモデルの設定はなくNAのみとなる。
インテリア
インパネ。モードⅡと同じくタイプMでは木目調インストルメントパネルを採用。本革&ウッドステアリングホイールと共にレトロ感あるれる内装とした。
スピードメーターはベースと同じ。
フロントシートはデビュー当初はセパレートシート。2004年10月マイナーチェンジではサイドブレーキをフットブレーキに置換しベンチシート化した。シート表皮はベージュ色の専用ファブリックシートを採用。モードⅡ同様に明るい雰囲気を与えた。
リアシート。
ラゲッジルーム。ベースモデルでは左右一体式のリアシートだったが、タイプMでは利便性の高い左右分割式に変更されている。
まとめ
スピアーノのタイプMは専用メッキドアミラーや木目調インパネ、ウッド&本革ステアリングなど上級の変更点を与え質感を向上させたモデルである。
スズキ版のモードⅡと比べると専用グリルが与えられないなどノーマルとの差別化があまり無いが元々ベーシックな外観であったため、個性的なモードⅡよりは万人受けしやすく、加えて内装では木目調のレトロ感が与えられるなどこれはこれで魅力あるモデルとなっている。
初代のアルトラパンを探している人で、変化球的にマツダでも良いと思った人はこの木目調インパネのタイプMも面白い選択だ。現行モデルでここまで木目調を使った車もあまりないため希少な存在といえよう。
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