スピアーノはマツダのハッチバック型軽自動車。本稿では後期型スピアーノに設定されたXSグレードについて扱う。
出典:マツダ認定中古車
2002年2月に登場したマツダ・スピアーノ。
スピアーノではラパンと同じくそれまでの軽乗用車にありそうでなかった個性的な丸みを帯びた箱型フォルムの外観と家電や家具を意識した親しみやすい室内空間を与えたセダンタイプのベーシックな軽自動車として誕生した。
スピアーノが登場した時代では同社のAZワゴンをはじめとするトールワゴンが全盛期となる中、スピアーノは広さを最優先ではなく内外装のデザインを重視することで若い女性をメインターゲットとしていた。
スピアーノはマツダ仕様としてフロントグリルをアルトラパンのうさぎを用いず4代目・後期型キャロルのようにマツダのファイブポイント(逆五角形)を用いたファミリーフェイスに変更。
ボディカラーもマツダ専用色としてキプロスブルーメタリックを含む全9色を設定。内装色もブルー(マツダオリジナル)とアプリゴット2色設定することで、カラーリングにこだわる若者を意識。
インパネもそれまでのスズキOEMモデルとは異なるファッショナブルなデザインで洗練されていた。
全高はほとんどの立体駐車場に入庫可能な1505mm(FFモデル)としながらも新設計により1255mmの室内高を確保。室内長も当時の背の低い軽乗用車としてはかなり長めの1655mmを確保するなどスタイリングとパッケージングのバランスの取れたモデルとなっていた。
エンジンはアルトやワゴンRで実績のあるVVT機構付きのK6A型エンジンを採用。
安全面でも64km/hオフセット前面衝突にも対応した、軽量衝撃吸収ボディーTECT(テクと)を採用しこれ以外に運転席&助手席にSRSエアバッグとシートベルトフォースリミッター、シートベルトテンショナーを標準装備。ABSもオプション設定するなど安全面でも装備を充実化していた。
後期型スピアーノと前期スピアーノとの違い
スピアーノは2006年4月のマイナーチェンジで後期型となった。
後期型では従来のノーマルモデルで大きな変更はなかったものの、個性的な外観を採用した新グレード、「XF」を追加。これはスズキの「Lグレード」に相当するもので特徴的な丸目ヘッドライトと伸びやかなフロントグリルによりファッショナブルかつ親しみやすい外観とした。
また、このマイナーチェンジで一旦廃止されていたハイプレッシャーターボのスピアーノSS(ラパンSSのOEMモデル)がそれまでの「スピアーノTubro」に置き換わるかたちで復活。
さらにボディカラーでは新色の「ライムグリーンメタリック」を追加。
内装ではデザインの変更はないものの、GとXFグレードではボディカラーとの組み合わせで従来のブルーと新たにイエローのシート&ドアトリム表皮を設定。
内外装で魅力をアップさせたマイナーチェンジとなった。
スピアーノXSとは?概要とノーマルとの違い
その後期型スピアーノに2007年5月一部改良で追加されたグレードがこのXSである。丸目モデルをバージョンアップさせた「XF」グレードと入れ替えで投入となった。
XSのエクステリアには丸目ヘッドライト&メッキグリルを採用し、XFよりも精悍さをアップ。
これ以外はXFと共通でフロント&サイド&リアの下部をシルバー塗装。コンビランプをクリアーテールに変更。13インチアルミホイールを標準装備。
インテリアでは新デザインのシートおよびドアトリム表皮を採用。インパネガーニッシュは白基調にリーフ柄をプラスしより上級感を強めたグレードとなっていた。
スピアーノXSのエクステリア(外装)
フロントデザイン。スポーツタイプである後期スピアーノSSでも用いられていたマツダ用丸目グリルをメッキ化。
スズキ版のメッキグリルとも異なるマツダオリジナルのグリルで、レトロ感がありつつもマツダエンブレム効果によって安っぽくは見えないデザインとなっている。また、軽自動車でここまでメッキを全面に打ち出したデザインも少ないので非常に目立つ1台だ。
サイドから。このあたりはスズキ版同様に下部がシルバー塗装されさりげないオシャレなツートン仕様となっている。レトロ感のあるアルミホイールも標準装備。
足元は13インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは155/65R13。
リア。スズキ同様に後期型ではクリアータイプのコンビランプが装着される。
ランパと違ってスピアーノのでは中央にマツダロゴエンブレム、左にMAZDAエンブレム、右に車名エンブレムと差別化されている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3気筒の自然吸気エンジンのみ。
最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpmを発生。駆動方式はFFまたは4WDでトランスミッションは4ATのみとなる。
安全装備は運転席&助手席エアバッグ、ABSを標準装備する。
スピアーノXSのインテリア(内装)
インパネ。このあたりはほぼベースと同じだが、ステアリング中央はLapinからMマークへ変更されている。
ステアリング&スピードメーター。本革巻ステアリングホイールではないが、シルバー塗装で色が塗り分けられたちょっとオシャレなカラーリング。XSグレードではオーディオパネルが白色に塗装される。
フロントシートはベンチシートタイプ。XSではシート形状を変更し、表皮もオレンジ色とした。
リアシート。スライド機構は無い。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
スピアーノXSの評価
スピアーノのXSは個性的で目立つメッキグリルでレトロ感が強化された初代ラパンのOEMモデルである。ベースモデルの初代ラパン・Lとも差別化がなされており、うさがマークのかわりにマツダエンブレムが付けられていることでよりベーシック感が増し、より万人受けするモデルといえるだろう。
広さこそワゴンRやタントなどの背が高い軽自動車に勝てないが、一人もしくは二人のりがメインでそこまで広さを重視しなのであれば、デザインが優秀な点からも価値ある1台だ。
ターボモデルが無いので街乗りメインとなるが通勤や買物などで個性的なオシャレな軽自動車でシティーユースを楽しみたいというニーズにマッチする。
中古市場では初代ラパンの人気丸目モデルとうことでOEMであってもかつては年式や走行距離の割に値が張る個体もあったが、近年では年数経過やセダンタイプが不人気ということもあってかなり手頃。ただしタマ数がラパンに対してかなり少ないので見つけづらいの難点。
スズキの安っぽさがマツダブランドにより薄れ、上品さも感じるスピアーノXS。安価な価格とデザイン重視の手頃な街乗り軽自動車として、探してみてはいかがだろうか。
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