トゥデイはホンダのハッチバック型軽自動車。本稿では初代の後期に追加された商用モデル、「トゥデイ ハミング」を扱う。
概要
アルト、ミラ、ミニカに並ぶホンダ製軽ボンネットバン「トゥデイ」は1985年9月に初代が登場した。
今でこそN BOXの快進撃でホンダの軽は元気だが、昭和のN360の大ヒット以降に「ユーザーユニオン事件」が発生。トゥデイは1974年に軽から一度撤退(※商用モデルは除く)してからの再参入モデルであった。
そのトゥデイは当時売れ筋だったハッチバック型の中でもちょっと異色の存在で、他車より最も低い全高を特徴としていた。1993年には乗用モデルがフルモデルチェンジ。
初代トゥデイ・ハミングの特徴とトゥデイとの違い
2代目となるも販売不振により継続販売されていた初代の商用モデルをベースに省略されていた快適装備とボディカラーを増やし、商用バンの安い維持費を売りにセカンドカーとしての需要を掘り起こすモデルと追加した。これが「トゥデイ ハミング」というグレードだ。
トゥデイ ハミングではバンパーとドアハンドルをボディ同色とし、乗用タイプと同じスタイリッシュな外観に。ボディカラーも2色から5色へ拡充。
快適装備では非設定だった「パワーウィンドウ」、「パワーステアリング」、「マニュアルエアコン」を標準装備化。「リアシートが狭い以外はほぼ乗用タイプと同じ」としつつ価格を抑えたモデルであった。
エクステリア
フロントデザイン。初代の後期型で変更となった角目ヘッドライトが特徴で商用バンではあるがバンパーは着色されている。パット見では乗用モデルに見える外観というのがポイントだ。
初代のCR-Xにも通ずる角を使ったデザインはこの手の軽自動車としては(低い全高と相まって)スポーティーであり、スペース重視の今の軽自動車にはない個性的な外観だ。
サイドから。全高が低いのが最大の特徴でまつでスポーツカーのような低さだ。商用モデルでありながらドアミラーもボディ色にカラーリングされている。
足元は12インチスチールホイール+ホイールキャップ。タイヤサイズは145/70R12。
リア。バンパー埋込み型コンビランプがリアの特徴。フロントと同じく長方形タイプでデザインが統一されている。ハミングにはサイドにデカールが付く。
エンジン・機能
エンジンは3気筒SOHC自然吸気エンジン。2代目にはビートのデチューンエンジンが搭載されたスポーティーモデル、トゥデイRsが存在するがハミングでは初代の控えめエンジンとなっている。
最高出力は42ps(31kW)/6000rpm、最大トルクは5.4kg・m(53N・m)/5000rpm。昨今では珍しいキャブレター式のエンジンとなる。
トランスミッションは4MT、3AT、5MTの3種類。駆動方式はFFまたは4WDだが、FFのマニュアル仕様だと4AT、FFのオートマは3AT、4WDはマニュアルのみで5MTとなっていた。
インテリア
インパネ。価格を抑えるため当時の商用モデルでは省略されることが多かったパワーウインドウ、パワーステアリング、マニュアルエアコンが標準装備されている。
スピードメーター。商用モデルらしくタコメーターが無く簡素なつくり。
MT。まわりにカバーが無く、地面からニョキッと生えたデザインあたり商用モデル感を感じる。
シートはセパレートタイプ。
リアシート。荷室を想定した商用モデルということでこちらも質素なつくりだ。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。トゥデイ自体全高が低いため荷室も上方向に狭く、(商用バンであることから)基本的にはリアシートを倒して荷室として使うのがメインだ。
まとめ
トゥデイ ハミングは商用モデルを乗用モデル風に仕上げた異色の軽自動車である。
発売時期も2代目が販売される中、初代が継続販売されそれはトゥデイの生産終了まで続くという異例のモデルであった。当時の新車価格でも66万8000円から、女性をターゲットとしても3ATモデルが73万円で車税は軽乗用よりも安いというかなりのお買得&維持費の安いモデルであった。
デザインも当時のアルトやミラよりもスポーティーで結果的に2代目を越えるヒットモデルとなった。
中古市場では今でも人気のトゥデイRsの影に隠れ、まれに出現する希少モデルとなっている。
もっと高年式で車内も広い他の軽自動車が多いため、あえてこれを足車に選ぶ人は少ないと思うが、デザイン重視の人であれば考えてみるのも悪く無いモデルである。
近年ではタマ数がかなり減ったため年式や走行距離を考えると少し前よりも中古価格が上昇している。
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