トゥデイはホンダのハッチバック型軽自動車。本稿では2代目を扱う。
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ホンダ 2代目・トゥディとは?
アルトやミラなど、ハッチバック型軽自動車が全盛だった時代にホンダが投じた軽がホンダ・トゥデイ。
この2代目はその初代から約8年後の1993年1月にフルモデルチェンジされ、特に女性が乗るセカンドカーとして開発された。
エクステリアは特徴的な丸目ヘッドライトに丸みを帯びたボディラインなど初代よりもキュートな外観が特徴。
内装でも貨物バンから乗用タイプへの変更に伴い後部座席の居住性が向上し、ボディ形状も初代のハッチバックからセミノッチバック形状へと変化した。
エンジンは初代と同じくE07A型を継続採用。その一方でキャブレター仕様のエンジンは廃止され、全車PGM-FI(インジェクター)仕様となった。
さらに軽自動車のオープンスポーツとして今でも絶大な人気を誇るビートと同じツインマップ燃料噴射制御&各気筒独立スロットル機構(MTREC)を搭載したエンジンのデチューン版を搭載するグレードを設定するなど、その外観からはかけ離れたスポーツグレードもホットな存在であった。
1996年2月にはマイナーチェンジをうけ後期型に。後期型ではトランクがハッチバック型に変更され、前期の2ドアは3ドアへ。前期4ドアは5ドアへ変更された。
その中でも異色なのがトゥデイのスポーツグレードとして設定されていたトゥデイRs。
1996年2月のマイナーチェンジで追加設定されたこのRsはエンジンにあのビートに搭載されていたMTRECをデチューンし、3本スポークステアリングとタコメーターを標準装備しスポーティに仕立てたモデルだ。
2代目後期型トゥデイの改良点とRsの特徴、前期のXiや他との違い
本稿で扱う「トゥデイRs」は2代目トゥデイの中でも最も熱いモデル。
1996年2月のマイナーチェンジでそれまでの「Xi」グレードから「Rs」に名称変更した。この「Rs」はエンジンにあのビートに搭載されていたMTRECをデチューンし、3本スポークステアリングとタコメーターを標準装備しスポーティに仕立てたモデル。
トランスミッションは5MTまたは3ATの2種類だったが、駆動方式はFFのみとかなり硬派な設定だった。
トゥデイRs最大の特徴はその車重。同じエンジンのビートの760kgに対しトゥデイRsは80kgも軽い680kg。そのためデチューン版エンジンを搭載するものの、ビートよりも鋭い加速や軽量ボディゆえの軽やかな走りが楽しめるモデルとなっている。
ちなみに前期型Xiとの違いはボディ形状。Xiでは2ドアのほか、トゥデイ・アソシエの4ドアにも設定があったが、後期型はRsに改名し3ドアのトゥデイのみの設定だった。
エクステリア
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フロントデザイン。見た目こそノーマルとほとんど変わらないが、エンジンはビートとほぼおなじものが載っているので羊の皮を被った狼的な印象を受ける(ただし絶対的にはやくないが)。
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サイドから。現代の売れ筋であるワゴンRや、ハイトワゴンのタントなどと比べると車高がとても低い。
全高は1350mm。初代よりも20mmアップしているが、昨今の軽自動車と比べると歴然の差。
またボンネットからフロントガラス、天井にかけても良い曲線を描いている。実はこれは空力抵抗(Cd値)に貢献し、低い車高と軽い車重とも相まって未だにモータースポーツで人気の車種(※写真は後期型)となっている。
足元は13インチ。アルミホイルはオプション設定で、タイヤサイズは155/65 R13。
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リア。ノーマルと異なりハイマウントストップランプ付きリアスポイラーを標準装備している。この部分はスポーティなデザインだ。
後期型では前期のノッチバックスタイルを廃止、一般的なハッチバックへと変更された。
街乗りなどでの利便性は向上したものの、リア周りの剛性面では前期に劣るため、モータースポーツでは前期モデルが重宝される傾向にあった。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは前述のとおり3気筒のSOHC自然吸気のみ。ビートと同じE07A型エンジンをデチューン。
自然吸気エンジンながら最高出力は58ps(43kW)/7300rpm、最大トルクは6.1kg・m(59.8N・m)/6200rpm。
可変バルブタイミング機構のMTREC(Multi Throttle Responsive Engine Contrel)を搭載するもののビート搭載時よりデチューンしたことで最高出力も抑えられているが、当時の自然吸気エンジンとしては高出力を誇っていた。
※ただし近年の軽自動車エンジンは燃費重視&トルクがメインで中速域でのトルクが高い。可変バルブタイミング機構を採用し、エッセに搭載されたKF型エンジンは中速域で6.1kgを発生。
さらにその後はロングストローク型が主流となり、より中速域で最大トルクを発生し、燃費のためにあえて最高出力を抑えるなど、自然吸気エンジンでも高性能なエンジンが登場している
加えて車重は680kgと、ミラバンやアルトバンのような軽量ボディゆえに軽快な走りと旧規格時代の高回転フィーリングが楽しい点が魅力だ。
駆動方式はFFのみでトランスミッションは5MTまたは3AT。安全装備のABSと運転席エアバッグはオプション設定。
インテリア
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インパネ。時代を感じる質素なデザインではあるが、インパネアンダースペースやシフトノブまわりのドリンクホルダーなど使い勝手はそこそこ良い。ただしオーディオは2DINが使えない1DINオンリー。
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スピードメーター。左側にタコメーター、中央にスピードメーター、右に水温&燃料計。自然吸気でもタコメーターが付いている。旧規格の軽自動車はレッドゾーンが高い傾向にありこのRsも8000回転手前までレッドゾーンが刻まれている。
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5MTはシフトブーツが付いたちょっと本格的なデザインとなっている。
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フロントシートはセパレートタイプ。シートは残念がらスポーティグレードにあるようなセミバケットタイプでないため、走りこむ場合は交換が必須となるだろう。このあたりは逆にいじる楽しさがある。
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リアシート。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。旧規格という点とトゥデイ自体の全高が低いため、シートを倒してもあまり広くない。
まとめ
トゥデイ Rsはかつての売れ筋だったハッチバック型に軽オープンのビートとほぼ同じエンジンを搭載した珍しいスポーツモデルである。
ライバル的には当時のアルトワークスやミラ TR-XXあたりとなるがターボが無い点はホンダらしくマニアックなモデルである。
軽自動車は広さや使い勝手が重視されがちだが、こういった軽量ボディに高回転型自然吸気+5MTという個性のある車を選ぶこともアリではないだろうか。ビートと同じくターボの加速感はないのだが、その分エンジンを回して使い切る楽しさは充分持っている。あえてNAを選んでみても面白い。
中古市場では年数経過もあるのだが、アルトワークスやミラ TR-XXに比べるとマイナーなモデルだったためタマ数が極端に少ない。
また希少ゆえに中古価格が高価で、状態が良いと10万キロを越えていても100万円以上の値が付く場合も。気軽には買えないモデルになっている点が少々残念か。
それでもMTRECを搭載した自然吸気エンジンに軽量ボディ&5MT+低重心という組み合わせは現行モデルでは決して味わえない、エンジン屋のホンダらしい魅力的なモデルといえよう。
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