ソニカはダイハツのハッチバック型軽自動車。本稿では2007年8月マイナーチェンジを後期型と定義し、これを扱う。
出典:ガリバー
ダイハツ・ソニカとは?
2006年6月デビューのダイハツ・ソニカ。
それまでのダイハツ売れ筋とは一線を画する低い全高を持ち、室内空間よりも走行性能を重視させたスペシャリティカーとして登場した。同年代のスズキ・5代目セルボSRのように軽の枠を越えた軽自動車を目指したものだった。
開発コンセプトは「爽快ツアラー」。軽自動車でありながらロングドライブを快適に楽しめる、走りや爽快感を追求したクルマとして誕生した。
出典:ダイハツ認定中古車
エクステリアは当時の流行だったタントやムーヴとは一線を画する低い全高に、ボンネットからリアにかけて流れるようなロー&ロングフォルムが最大の特徴だ。
これは高速移動時の空力抵抗も考慮したデザインでもあり、箱型でスペース重視の軽自動車とは完全に設計思想が異なるものであった。
インテリアではその低い全高とは裏腹に2,440mmのロングホイールベースとコンパクトなエンジンルームを組み合わせたことで、1,915mmものの長い室内長を確保。
室内幅も1,320mmとし快適な室内空間とした。また、シートにもこだわり長距離移動も快適となるよう、トヨタ・セルシオ譲りのツアラーベンチシートを採用。
メカニズムでは世界初の「インプットリダクション方式3軸ギヤトレーン構造」を採用したCVTに7段マニュアル変速モードを組み合わせ、マニュアル車のようなシフトチェンジを楽しめるようにした。
エンジンはKF-DET型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンを全グレードに標準装備。
フロント/リヤスタビライザーや専用チューニングのサスペンションにより優れた操縦性や安定性、快適な乗り心地を実現した。
衝突安全性においては衝突安全ボディのTAFを採用し国内及び欧州の衝突安全基準を余裕をもってクリア。
安全装備としてはEBD&ブレーキアシスト付ABSにデュアルSRSエアバッグ(運転席/助手席)を標準装備とし、プリテンショナー&フォースリミッター機構付フロント3点式ELRシートベルト、チャイルドシート固定機構付リヤ3点式ELRシートベルトなども標準装備とした。
後期型ソニカとは?前期型との違いなど
そのソニカは2007年8月に内外装の変更含むマイナーチェンジを行い後期型となった。
エクステリアではメッキグリルを新たに採用。
このほかバンパー下部のボディ同色化、RSとRSリミテッドではサイドストーンガードのボディ同色化、Rグレードでは新たにアルミホイールを標準装備化。
インテリアではインパネカラーを変更し、シート表皮の材質変更を実施。
快適装備としてはRSリミテッドに6スピーカーを標準装備する一方でバニティミラー横のバニティランプが廃止されたマイナーチェンジとなった。
ソニカのグレード R、RS、RSリミテッドの違いなど
ソニカのグレード展開はエントリー「R」上級「RS」、最上級「RSリミテッド」の3種類。
全グレードターボエンジンを搭載し、3眼式メーターやソニカ専用シート表皮を採用する。
特別仕様車の設定は無し。
R
ソニカのRグレードは一番安いグレード。
エクステリアでは
- LED付きドアミラーターンランプ
- ディスチャージライト
- サイドストーンガード
が非装備。
エアコンがマニュアル式エアコンなど装備が簡略化されている。このほか
- キーフリーシステム
- 電動式パワーステアリング
を標準装備。
後期モデルでは前期のホイールキャップから変更され、14インチアルミホイールが標準装備となった。
安全装備はデュアルSRSエアバッグとABS、セキュリティーアラームなどを標準装備する。
フロントスタビライザーはRグレードも含め全グレードに標準装備。リアスタビライザーは2WDのみ標準装備となる。
RS
RSグレードはその中間グレード。
Rに比べてエクステリアでは
- ディスチャージヘッドライト
- 15インチアルミホイール(※デザインはRSリミテッドとは異なる)
- サイドストーンガード
- LEDターンランプ付きドアミラー
- 大径フロントベンチレーテッドディスクブレーキ
を標準装備。
インテリアでは
- スピードメーター内に燃費などを表示する「マルチインフォメーションディスプレイ」
- 自発光式メーター
- クリーンエアフィルター
が備わり、エアコンもオートエアコンとなる。
RSリミテッド
RSリミテッドはソニカの最上級グレード。モモ革巻きステアリングやマニュアルモード付きCVTなど、走りの装備が特徴。
RSの装備に加えエクステリアでは
- フォグランプ
- 専用デザインの15インチアルミホイール(エアロ形状の専用品)
インテリアでは
- モモ社製本革巻ステアリングホイール
- 7速マニュアルモード付きCVT
- 6:4分割可倒式リアシート
- 照明付きバニティミラー(運転席・助手席)
などよりスポーティな装備となる。また、RSの2WDにはオプション設定で「レーダークルーズコントロール」が選択可能だった。
後期型ではこれに「6スピーカーシステム」が標準装備となった。
特にソニカの7速マニュアルモードはMT車のような変速気分を味わえるため、中古で買う場合はRSリミテッドがオススメである。
エクステリア
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。ヘッドライトまわりは変更がないが、メッシュ形状だった前期型グリルからメッキを使ったラインタイプのグリルに変更。スポーティーなイメージからちょっと上品なイメージへと変化させている。
さらにバンパー下部のバンパー下部がブラック色だったのに対し、後期型ではボディ同色となった。なお、最上級のRSリミテッドではフォグランプが標準装備される。
出典:ガリバー
サイドから。RSとRSリミテッドに標準装備のサイドストーンガードは後期型でボディ同色に変更された。
ソニカは当時の軽自動車の中でも2,440mmのロングホイールベースで、かつ低い全高に空気抵抗の低いボディラインが特徴だ。
※軽自動車で最長のロングホイールベース車はMRレイアウト採用の三菱・アイ
快適な専用シートやスタビライザーと組み合わせ、長距離移動も苦とならない、逆に楽しい軽自動車となっていた。
一番安いRグレードでは14インチの鉄チンホイール+ホイールカバーから変更し、14インチアルミホイールを標準装備とした。
RSの方も後期型は前期RSリミテッドとアルミのデザインを統一。RS、RSリミテッド共通でエアロデザインの専用アルミとした。サイズは165/55R15。
出典:ガリバー
リア。このあたりは変更点は特にない。特徴的なリアコンビランプが印象的だ。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは全グレードでKF-DET型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンのみ。最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは10.5kg・m(103N・m)/3000rpm。
トランスミッションは全グレードでCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。最上級のRSリミテッドのみマニュアルモード付き7速CVTを採用。
これは無段変速機であるCVTにあえて7段階の変化を設け、さらに手動でシフトチェンジが行えるのである。
これによってオートマでありながらマニュアル車のような雰囲気を味わえる。まさにスポーツタイプに相応しい。さらに7速CVTのお陰で、60km巡航で1900rpm、100km巡航しても2900rpmと軽自動車にしてはびっくりな低回転。これが高燃費に寄与する。
安全装備としては
- 運転席&助手席エアバッグ
- EBDとブレーキアシスト付きABS
- プリテンショナー&フォースリミッター機構付フロント3点式ELRシートベルト
- チャイルドシート固定機構付リヤ3点式ELRシートベルト
- セキュリティーアラーム
などが標準装備となる。
ソニカL405SとL415Sとの違い
ソニカのL405SとL415Sとの違いは駆動方式。
FFモデルがL405Sで、L415SはFFベースの4WDとなる。ただし、ジムニーなどのクロカン4WDとは異なりビスカスカップリングを用いたオンデマンド式の4WDとなっている。
そのため常時4WDではなく、前輪と後輪の回転差が生じたときのみ4WDとなる生活四躯仕様となる。
インテリア
出典:ダイハツ認定中古車
インパネ。後期型ではインパネとドアトリム色がグレーからブラックに変更された。さらにRSリミテッドではオプション設定だった6スピーカーパックが標準装備される。
出典:ダイハツ認定中古車
最上級のRSリミテッドではダイハツお馴染みのモモステアリングを標準装備する。オプションではクルーズコントロールが用意されていた。
出典:ダイハツ認定中古車
スピードメーターは前期と共通。RSとRSリミテッドでは自発光式メーターにマルチインフォメーションディスプレイ付きとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
最上級のRSリミテッドでは7速マニュアルモード付CVTが搭載される。Dモードから右に倒すとマニュアルモードとなり、+でシフトアップ、-に倒すとシフトダウンが気軽に楽しめる。
出典:ダイハツ認定中古車
フロントシートはベンチシートタイプ。セルシオで使われていたものを軽自動車用に縮小した特別なシートで、ムーヴやタントのシートとは全く異なり長距離走行でも疲れづらい。
後期型ではシート表皮が刷新された。
出典:ダイハツ認定中古車
なお、前期同様にシートカラーはレッドも選択可能で、中古車では同じボディカラーでもシート色がブラックまたはレッドの個体がある。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシート(レッドタイプ)。
出典:ダイハツ認定中古車
ラゲッジルーム。ソニカの難点はこのラゲッジルームで、セダン型なので仕方ないがかなり小さい。RSリミテッドのみ左右6:4分割可倒式シートを採用。RとRSは5:5式。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシートを倒した状態。6:4分割可倒式となるが高さがあまり無いため極端に上方向に長い荷物はちょっと難しい。ワゴンRやムーヴなどの使い勝手に比べると劣る点があるので注意だ。
まとめ
ソニカの後期型は外観がちょっとだけ上質なイメージとなり、内装も若干テコ入れされたモデルである。
特に最上級のRSリミテッドではオプションの6スピーカーが標準装備されるなど車内で音楽を楽しみたい人には嬉しいマイナーチェンジであった。
ソニカ自体はそのオシの弱い(通称:カピパラ顔)フロントデザインとは裏腹に乗ればびっくりなスペシャリティカーで、走りに関しては当時のムーヴやワゴンRとは別次元の乗り物で走りに関しては評論家の評価も良かった。
ただ、マーケティングが上手くなかったのかデザインがあまり良くなかったのかそれほど売れず登場から2年10か月という短命で生産を終了。
中古市場では生産終了当初はそのプレミアム度からかなり高かったが、最近ではかなり安くなり、その性能から考えればかなりお買い得な中古車。ただしタマ数も以前よりかなり減って見つけるのが難しくなってきた。
広さではムーヴやタントに勝てないが、走りの軽という部分では今でも通用する部分があるのでそういった「軽でも走り」が欲しいというニーズ(※5MTニーズを除く)に答えられる1台だ。
他人と被ることも少ないので満足感も高い。
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