ハスラーはスズキのクロスオーバーSUV型軽自動車。Jスタイルはその特別仕様車である。本稿では2代目のMR52SおよびMR92S型に設定されたJスタイルを扱う。
出典:スズキ認定中古車
2代目 スズキ・ハスラーとは?
2020年1月にフルモデルチェンジし、2代目となったスズキ・ハスラー。約6年ぶりとなる全面改良では外観はより個性が強くなりひと目でハスラーとわかるデザイン変化し、これ以外には
- 使い勝手を向上させたリヤシートスライド
- タイプラゲッジアンダーボックスの採用
- さらなる自動ブレーキの強化
- 新世代プラットフォーム「ハーテクト」の採用
- 新開発エンジン
- 新開発CVT
- マイルドハイブリッドの全グレード採用
などフルモデルチェンジに相応しい内容となっている。
①個性的でタフさや力強さを感じさせるエクステリア
エクステリアではハスラーのアイデンティティーである丸形ヘッドライトとスクエア基調のグリルを踏襲しつつ、フードの角を上げて厚みのる顔を表現。
ピラーは先代よりも立ててロングルーフにスクエア型の大きなキャビンとし、ピラーとボディ同色としピラーの存在をしっかり見せることで力強く頑丈なイメージに。
リアにはリアクォーターガラスを配置し後方視界を確保。さらにクロスカントリー車にみられるような斬新な2トーンカラーを採用した。
インテリアではタフと機能的、遊び心を刺激するような先進的かつワクワクするデザインとした。
インパネは特徴的な3連インパネカラーガーニッシュを採用。スピードメーターにはスズキ初の4.2インチカラー液晶メーターを採用。
インパネとドアトリムには車体色に対応した3色(バーミリオンオレンジ、デニムブルー、グレーイッシュホワイト)を採用し、シートは縞鋼板柄のシート表皮にインパネと同じ3色のカラーアクセントを採用した。
ボディカラーはガンメタリック2トーン仕様車に、新色の「バーミリオンオレンジ」、「デニムブルーメタリック」を含めた全11色を設定。
②パッケージング
ハーテクトを採用したことにより先代に比べホイールベースを35mm延長し、後部の足元空間を確保しつつ前席は左右乗員距離を30mm拡大。
また悪路走破性能も最低地上高が180mmにアプローチアングルを1度アップの29度。
デパーチャーアングルを4度拡大し50度として先代よりもアップ。そのうえでホイールベースが延長しつつも最小回転半径は先代と同じく4.6mに押さえている。
ラゲッジスペースは荷室側からも操作可能なスライド用ストラップを新規採用。先代同様にラゲッジスペースは汚れても拭き取りやすい素材を採用し、荷室下には防汚タイプのラゲッジスペース採用した。
③パワーアップしたスズキ・セーフティサポート
自動ブレーキ関連では夜間の歩行者検知も可能なステレオカメラ方式の衝突軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」に加え誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、一時停止のの認識を追加した標識認識機能を採用した。
また、ターボ車(ハイブリッドXターボ、ハイブリッドGターボ)には全車速での追従機能を備えたアダプティブクルーズコントロールと車線逸脱抑制機能をスズキの軽自動車としては初採用した。
さらにメーカーオプションとして「全方位モニター付メモリーナビゲーション」を設定。全方位モニター用カメラを採用して周囲360°を立体的に確認できる「3Dビュー」を中央部の液晶パネルに表示してドライバーに表示する。
これに自車の前方および後方から人や物が自車に近づいてくることをお知らせする「左右確認サポート機能」も搭載。さらにシフトレバーをリバースからドライブに切り替えた際に自動でフロント映像に切り替わる「フロントビュー自動表示機能」も備わる。
④鍛え上げた走行性能と快適性能
エンジンは自然吸気エンジン仕様では新開発R06D型エンジンを採用。スズキ軽初のデュアルインジェクションシステムを採用し燃焼効率を高めて燃費性能アップと軽快な走りを実現した。
さらにスズキ軽初のクールドEGR採用でノッキングの発生を抑えて最適なタイミングでの燃焼を実現した。ターボ仕様では引き続きR06A型ターボエンジンとなる。
CVTは新開発となり軽量化と高効率化で優れた燃費性能と軽快な走りを実現。特に低中速域ではスムーズな走りを。高速域ではハイギアードにふって燃費性能を静粛性を高めた。
プラットフォームは新世代となるハーテクトを採用。軽量と高剛性を両立させた。特にバックドア、センターピーラー、サイドドアでは環状骨格構造とすることでボディ剛性を強化。
さらにスポット溶接部に「構造用接着剤」をスズキとしては初採用。部品感の隙間をうめることでボディ全体の剛性を向上。これによりすぐれた操縦安定性と乗り心地を実現した。
加えて「高減衰マスチックシーラー」というこもり音や雨音を低減するものを軽自動車初採用し静音性の高い室内を実現している。
また、先代の途中から追加されたSエネチャージは普通車のソリオなどと同じマイルドハイブリッドへ名称変更。
発電機能付きモーターの出力は先代の1.6kWから自然吸気エンジンでは1.9kW、ターボ仕様では2.3kWへと引き上げられた(※リチウムイオン電池は先代と同じ3Ah)。
さらに回生ブレーキ等の充電効率を改善させアシスト時間は従来の10%アップ。アシスト可能な速度域もそれまでの最大時速85kmから時速100kmまで拡大した。
⑤強化された4WD機能
スズキの軽自動車としては初となる「スノーモード」を新たに採用。スイッチひとつで雪見やアイスバーンでのスムーズな発進をサポート可能とした。
その他に先代モデル同様にぬかるみや滑りやすい路面で発進をサポートする「グリップコントロール」、
急な下り坂で安心して下れる「ヒルディセントコントロール」を4WD仕様車に標準装備とした。
特別仕様車 2代目ハスラー Jスタイルとは? ハスラーとの違いなど
その2代目ハスラーに登場からおよそ1年後となる2020年11月。
ルーフレールや専用メッキフロントグリル、HUSTKERアルファベットエンブレム等を装着し、専用インパクトや専用シートを採用しより上質な内外装とした特別仕様車を設定した。それがこの「ハスラーJスタイル」である。
Jスタイルという特別仕様車は初代ハスラーにも全3回(Jスタイル、JスタイルⅡ、JスタイルⅢ)にわたって設定されたがこれはその2代目バージョンとなる。
外装では
- ルーフレール
- 専用メッキフロントグリル
- HUSTLERアルファベットエンブレム
- スチールシルバーメタリックのフロントバンパーガーニッシュ&リアバンパーガーニッシュ
- メッキフォグランプガーニッシュ
- メッキドアハンドル
- J STYLEエンブレム
を。
内装では
- ブラウン&ダークブルーのレザー調ファブリックシート表皮
- フロントドアにレザー調ドアトリムクロス
- ブルーイッシュシルバーのドアトリムカラーガーニッシュ&インパネガーニッシュ
- ブルーイッシュシルバーのフロアコンソールトレー
- メッキンサイドドアハンドル
快適装備として「ナノイー搭載フルオートエアコン」と「360度プレミアム&UV&IRカットガラス」を標準装備。
内外装をスタイリッシュとし、快適装備を追加して機能性を高めた特別仕様車となっている。
2代目ハスラーJスタイルのエクステリア(外装)
出典:スズキ認定中古車
フロントデザイン。2代目ハスラーの顔つきは先代とほぼ変わっていないというのが最大の特徴だ。丸目のヘッドライト、中央部のグリル、SUV的なバンパー…ただし、細かくみるとボンネット先端の角が立ち、より垂直になっていたり、バンパーのデザインもより力強くなっていたりとよりSUV寄りになっている。
Jスタイルの特別装備としては専用メッキフロントグリルとハスラー文字入りエンブレムと
出典:スズキ認定中古車
スチールシルバーメタリックの専用フロントバンパーとメッキフォグランプガーニッシュが標準装備となる。
ベースモデルよりもメッキ部分が大型化&下部にアクセントメッキが追加され精悍さが増したメッキグリルにアルファベットエンブレムで個性と押しの強さががアップ。さらにスチールシルバーメタリックで塗り分けられたバンパーもそれに磨きがかかった外観となっている。
イメージ的には初代ハスラーのJスタイルⅡやJスタイルⅢのドレスアップを2代目ハスラーに適用した感じだ。なお、ヘッドライトはXグレードベースのためLEDプロジェクターヘッドライトに丸型のLEDポジションランプとなる。
出典:スズキ認定中古車
サイド。フロントでも角が立っているのがわかったが、横から見るとよりスクエアな形状になっているのがわかる。
特にボンネット先端は角が立ち、よりSUVらしい力強いデザインとなっている。この他リアクォーターガラスが2代目では追加され後方視界のアップと見た目の雰囲気がよくなった。
Jスタイルの特別装備としては天井部分に標準モデルではオプション設定すらなかったルーフレールを標準装備する。
なお、特別仕様車の専用ボディカラーとして8色中5色を専用設定するが、特に「オフブルーメタリック ガンメタリックツートン」は標準モデルにはないボディカラーでかつ初代ハスラーの特別仕様車、「タフワイルド」に設定されていたオフブルーメタリックを2トーン化したもので独特の色合いが特徴だ。
足元はXグレードベースのため15インチアルミホイール。タイヤサイズは先代と同じ165/65/R15。
出典:スズキ認定中古車
リア。2代目ではクォーターガラスが追加されたほか、ボディ形状もかなりスクエアで、特にリアゲート周りもかなりカクカクしているのがわかる。
さらにツートンカラーではルーフだけ塗り分けるのではなく、クォーターガラス付近もルーフと同じようにツートンとすることでクロスカントリー車のようなイメージを出している。
コンビランプはクリアータイプこそ同じだが、赤いレンズの部分が大きくなり、かつスクエアなボディ形状に合わせて角張った長方形タイプに変更されている。ブレーキランプは先代同様にLED仕様。
Jスタイルの特別装備としてはフロント同様のスチールシルバーメタリックカラーに塗られた専用リアバンパーガーニッシュに特別仕様車を示すJ STYLEエンブレムがバックドア左下につく。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは新開発のR06D型直列3気筒DOHC自然吸気と先代と同じR06A型直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボの2種類をJスタイルに設定する。
自然吸気エンジンは最高出力49ps(36kW)/6500rpm、最大トルク5.9kg・m(58N・m)/5000rpm。
ターボは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10kg・m(98N・m)/3000rpm。
初代ハスラーはデビュー当初から5MTの設定があったが、2代目でのトランスミッションはCVTのみとなる(※開発に間に合わなかったそうなので後に追加の可能性あり)。
アシスト用のモータ機能付き発電機(ISG)は先代よりも出力を向上。自然吸気エンジン用は最高出力2.6PS(1.9kW)、最大トルクは4.1kg(40N)/100rpm、ターボ車では最高出力3.1PS(2.3kW)、最大トルク5.1kg(50N)/100rpmとなる。
スズキのマイルドハイブリッドは非力な自然吸気エンジンの軽自動車であってもモーターの最高出力4.1kgアシストを使うので特に発進加速や高速道路の追い越し加速で十分な加速力を得ることができる。
これにCVTは新開発のものを組み合わせ、さらにプラットフォームにハーテクトを採用したことにより燃費はFFでJC08モード燃費、30.4km/リットル、WLTCモードでは22.6kmを達成した。
自動ブレーキ関連では「デュアルカメラブレーキサポート」に誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、一時停止のの認識を追加した標識認識機能を追加。ターボ仕様車ではアダプティブクルーズコントロールと車線逸脱抑制機能が備わる。
メーカーオプションの「全方位モニター付メモリーナビゲーション」を選択した場合は車の周囲360度を見渡すような「3Dビュー」を中央液晶パネルに表示。「左右確認サポート機能」と「フロントビュー自動表示機能」も同時に備わる。
2代目ハスラーJスタイルのインテリア(内装)
インパネ。2代目ハスラーのインパネは水平基調のパネルに大きな3つのガーニッシュを組み合わせ、SUVらしさとポップな感じを組み合わせているのが特徴だ。
このガーニッシュはボディカラーによって3色設定され、画像のグレーイッシュホワイトの他、デニムブルー、バーミリオンオレンジの計3種類が存在するが特別仕様車のJスタイルでは外装のバンパーと同じブルーイッシュシルバー色に変更。上質な外観とした。
このほかドアトリムカラーガーニッシュのブルーイッシュシルバーに変更される。
センター部分はナビを入れる部分で、オプションの全方位モニター付メモリーナビゲーションを選択すると9インチの大型液晶でナビの他、AM/FMラジオ、ワイドFM、スマートホン連携、360度全方位モニターなどをタッチパネル(一部ステアリングオーディオスイッチ)で操作できるようになる。
エアコンはXベースのため自然吸気とターボの両方でオートエアコンタイプ。Jスタイルの特別装備としてナノイーを搭載したフルオートエアコンとなる。
その下のスイッチには4WD仕様車のみのスノーモード、グリップコントロール、ヒルディセントコントロールが備わる。新型ジムニーを彷彿とさせるデザインと配置でSUV感がかなりある。
ステアリングがXベースのため本革巻ステアリングとなる。ステアリングのパドルシフトはターボモデルのJスタイルのみ装備される。
スピードメーターはベースと同じ。先代と同じくシンプルな1眼のスピードメーターに液晶パネルの組み合わせだが、2代目では液晶パネルの位置が右寄りになり、かつ4.2インチカラー液晶を初採用した。
カラー液晶はマルチインフォメーションディスプレイとなり、タコメーター、燃費計、マイルドハイブリッドのエネルギーフロー、燃費履歴、スノーモード状態表示、グリップコントロール状態表示、ヒルディセントコントロール状態表示、アイドリングストップ状態表示など多彩な機能をわかりやすくかつ楽しく表示する。
さらにメーター上部にはエコドライブ状態をグリーン(燃費が良い)、ブルー(通常)、ホワイト(回生ブレーキ)で表示する。
出典:スズキ認定中古車
フロントシートはセパレートタイプ。先代ではベンチシートだったが、2代目ではセパレートへ変更された。
シートのアクセントカラーはJスタイルの特別装備としてブラウン&ダークブルーのレザー調&ファブリックシート表皮となる。また、ドアトリムクロスもJスタイルではフロントドアのみブラックのものに変更される。インパネ同様に落ち着きと上質感あるシーとなる。
出典:スズキ認定中古車
リアシートはベースと同じ。ベースはワゴンRなのでかなり後部座席の足元に余裕がある。初代もそうだったが、アルトベースの祖先であるKeiとは異なり、後部座席の乗り降りや居住性は比較にならないほど良い。
出典:スズキ認定中古車
ラゲッジスペース。2代目の新機能としてはリアシートの背もたれに倒すためのストラップが追加。これによりリアハッチを開けてそのまま簡単にシートを倒すことが可能となった。
出典:スズキ認定中古車
リアシートを倒した状態。初代同様にラゲッジスペースは汚れてもすぐに拭き取りやすい素材を使用。さらに倒したときはフルフラットにできるようになっている。
祖先のKeiは後部座席を倒すとフルフラットだったが、このあたりの使い勝手は2代目も継承されている。
2代目ハスラーJスタイルの評価
2代目 ハスラーJスタイルの総評
2代目ハスラーに設定された特別仕様車のJスタイルは外観は専用メッキフロントグリルやアルファベットエンブレム、専用バンパーにルーフレールなどでより個性を強めつつ精悍な外観に。
内装ではスチールシルバーメタリックやブラウンのアクセントカラーなどでポップなイメージからシックで上質な内装とし、ベースモデルよりも落ち着きとスタイリッシュさをアップさせた特別仕様車である。
そのキャラクターは初代のJスタイルⅡやJスタイルⅢに近いものがあり、2代目では初代以上に特別仕様感が高くなっている。
特に専用ボディカラーのオフブルーメタリック ガンメタリック2トーンを選択すれば初代の「タフワイルド」のような雰囲気にもなるため標準モデルよりも魅力がかなり高い特別仕様車とえいよう。
なお、2022年5月にはバージョンアップ版となる「JスタイルⅡ」が発売された。
初代ワンダラーで採用のウッディブラウン2トーンカラーの復活採用や、バンパーガーニッシュのルーフ同色塗装やインパネアクセントカラーをチタニウムグレーに変更するなどJスタイルとは異なる魅力が与えられている。
中古市場では高年式&豪華な特別仕様車とあって価格は高め。割高感があるものの、見た目や使い勝手など満足度は高いモデルである。
OEMモデル マツダ 2代目フレアクロスオーバー XSスペシャル/XTスペシャル
2代目ハスラーのJスタイルはマツダ自動車へXSスペシャル/XTスペシャルとしてもOEM供給された。
Jスタイルと比較するとHUSTLERアルファベットエンブレムが非装備で、かつボディカラーの設定も少ない、自然吸気エンジンは2WDだけ、ターボは4WDのみなど簡略化された特別仕様車だが、よりシンプルでマツダブランドらしい雰囲気も併せ持つ。
スズキブランドが苦手な人や他人と被りたくない人には嬉しい特別仕様車である。
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