【10代目 前期型】スズキ キャリィトラック(DA52T/DB52T型) | シン・軽自動車マニア

【10代目 前期型】スズキ キャリィトラック(DA52T/DB52T型)

キャリイ

キャリィトラックはスズキのトラック型軽自動車。本稿では10代目の前期型であるDA52TおよびDB52T型(1999年1月~2002年4月)を扱う。

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出典:Goo-net
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10代目 スズキ・キャリイとは?

1999年1月にフルモデルチェンジし、10代目となったキャリィトラック。

軽ワンボックスのエブリイと同時期に登場し、他車同様にフロントデザインまわりを共有し、荷台から後ろは専用のトラックボディとなっている。

10代目のキャリィトラックでは新規格に対応しボディが先代よりも拡大。構造もセミキャブオーバータイプとなった。スズキの軽トラックでは珍しくターボモデルを設定する。

10代目キャリィのボディ形状は新たに搭乗位置よりもタイヤが前にあるセミキャブオーバータイプを採用。新開発の3分割フレーム構造により国内の新しい安全基準に対応させた。

また「軽量衝撃吸収ボディー」を採用して特に居住スペースの剛性アップ。軽自動車新規格に伴うサイズアップにより増えた重量増分は部品一つ一つの見直しで最低限に抑えた。

安全性にも配慮しボディ形状の角を少なくしたり、ステアリングホイールやコラムに衝撃吸収構造の採用、割れにくいインパネ部材の採用で衝突時の乗員に与える二次被害を軽減。

さらにSRSエアバッグをメーカーオプションとして設定。ターボ仕様ではABSもメーカーセットオプションとして新設定。荷台は1410mmまで広げ扱いやすさを向上。

ボディそのものにも耐久性や整備性を向上させるべく、防錆鋼板の使用範囲の拡大や、フレームアンダーコート塗布範囲の拡大により防錆性能を向上。

また、エンジン位置が運転席下に配置したことで荷台に荷物がある状態でもメンテンスを可能とした。

使いやすさも10代目は向上。タイヤ位置がより前方になったことでドア開閉部のタイヤハウスの出っ張りがなく足元が広くなった。フロアも底床となったことで乗降性や居住性がアップしている。

エンジンは車体中央、トレッドとホイールベースを広げたことで乗り心地がアップした。

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10代目前期型・キャリイのグレード KA、KA(エアコン付き)、KA(パワーステアリング付き)、KC、KD、KU、ターボ、農繁の違いなど

10代目前期型・キャリイのグレード展開は廉価「KA」、ミドルグレード「KD」、デラックス仕様「KC」、お買い得グレード「KU」、ターボ仕様「ターボ」、農家向け「農繁」などが設定されていた。

KA

10代目前期型キャリイの廉価グレード。装備が一番簡略化され、価格が最安だったグレード。

パワステ、パワーウィンドウ、エアコン、キーレス、AM/FMラジオなど快適装備がまったく付いておらず、素の状態。

ボディカラーは「スペリアホワイト」と「ホリゾンブルー」の2色。

駆動方式も2WDのFRのみで、4WDが非設定。トランスミッションは3ATまたは5TMの2種類。

モデル中盤でKDグレードに移行した。

KA・エアコン付き

KAグレードにエアコンを標準装備したグレード。

ボディカラーは「スペリアホワイト」のみ。

2WDのほか、パートタイム4WDの2種類を設定。トランスミッションはMTのみ。

KA・パワーステアリング付き

KAグレードにパワーステアリングを標準装備したグレード。

ボディカラーは「スペリアホワイト」のみ。

2WDのほか、パートタイム4WDの2種類を設定。トランスミッションはMTのみでエアコンは非装備。

KU

KAを廃止し新設定した10代目前期のお買い得グレード。

「ラジオを付き」ながらお買い得な新車価格55.5万円(※税抜き)からとしたグレード。

ただし、パワステやエアコンが非装備で、KAのように装備は簡素。

2WDのみの設定。トランスミッションは3ATと5MTの2種類。

KU・エアコン付き

KUグレードにエアコンを標準装備したグレード。

KU・パワーステアリング付き

KUグレードにパワーステアリングを標準装備したグレード。

KD・エアコン付き

「KA・エアコン付き」からグレード名称変更となった新グレード。

ボディカラーに「ホリゾンブルー」が増えたほか、トランスミッションも5MT以外に3ATが追加された。

駆動方式は2WDとパートタイム4WDの2種類。

KD・パワーステアリング付き

「KA・パワーステアリング付き」からグレード名称変更となった新グレード。

ボディカラーに「ホリゾンブルー」が増えたほか、トランスミッションも5MT以外に3ATが追加された。

駆動方式は2WDとパートタイム4WDの2種類。エアコンは非装備。

KC

KAに対し、パワーステアリングとエアコンを標準装備したデラックスグレード。

ボディカラーは「スペリアホワイト」と「ホリゾンブルー」の2色。

2WDのほか、パートタイム4WDの2種類を設定。トランスミッションは5MTと3ATの2種類。

農繁

10代目前期型キャリイの農家向けグレード。

副変速機」と「デフロック」を標準装備し、悪路での走破性を高めたモデル。

このほか農作業がしやすいよう

  • 荷台作業灯
  • テールゲートチェーン
  • テールゲートと鳥居のアッパーガード
  • 大容量バッテリー

なども標準装備する。

4WD&5MTの組み合わせのみ設定。エアコンが非装備でオーディオレス仕様。

ボディカラーは「スペリアホワイト」と「ホリゾンブルー」の2色。

ターボ

10代目キャリイの上級グレード。軽トラでも珍しいターボエンジン搭載モデルで、10代目は前期型にしか設定が無かったレアグレード。

ターボグレードは「パワーステアリング」が標準装備だが、「エアコン」は非装備。

トランスミッションはATと5MTの2種類。駆動方式は2WDまたはパートタイム4WD。

エクステリア

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出典:Goo-net

フロントデザイン。のっぺりとしたオーソドックスな顔つきが11代目前期の特徴で、中央には大きくSUZUKIエンブレムが付く。先代後期の横長ヘッドライトを発展させたデザインで、無難な顔つきをしている。

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出典:Goo-net

サイドから。フロントタイヤを最前面に配置するロングホイールタイプ。1999年11月マイナーチェンジでは荷台の長さがライバルよりも短く不評だったため室内空間を短くして荷台を延長。若干室内空間が狭くなった。

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出典:Goo-net

リア。

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出典:Goo-net

ターボ仕様では左側に専用ターボデカールが付く。

エンジン・機能装備・安全装備など

エンジンはF6A型3気筒SOHC自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類。

自然吸気エンジンの最高出力は37kw(50ps)/6000rpm、最大トルクは62n・m(6.3kg)/3500rpm。

ターボ仕様は最高出力は41kw(56ps)/5500rpm、最大トルクは78n・m(8.0kg)/3000rpm。

ただしターボエンジンはエンジンスペースの関係からインタークーラーを装備しない56馬力仕様となる。

2000年5月マイナーチェンジではターボエンジンモデルが廃止。2001年9月マイナーチェンジではエンジンがK6Aのオールアルミ製DOHCエンジンに置き換わった。

トランスミッションは5MTまたは3ATの3種類で駆動方式はFRまたは4WDの2種類。4WDの農繁グレードでは副変速機に加えてデフロック機構を備える。

DA52TとDB52Tとの違い

DA52TとDB52Tとの違いは駆動方式がFRまたは4WDの違いとなる。DA52Tは二輪駆動のFRモデル。DB53TはFRベースの4WDモデルと覚えるといいだろう。

なお、エンジン型式は2001年8月まではタイミングベルト方式のF6A型となる。その後2001年9月以降と10代目の後期型(DA63TおよびDA65T)ではタイミングチェーン方式のK6A型に置換された。

タイミングベルト式のF6A型では一定距離でタイミングベルト交換のメンテンス(追加費用)が発生するので要注意。

4WDのシステムはジムニーパジェロミニと同じパートタイム4WD方式。運転席に設けられた切り替えレバーを操作することでFRの2Hモード、4WDの4Hとより駆動力が高くなる4WDの4Lの3種類を切り替えることができる。

また、ぬかるみに対応させるため一部のグレード(農繁仕様など)ではデフロックが備わりより悪路に強くなる。

一般的な乗車のスタンバイ式4WDとは異なり、農道や畑、あぜ道など悪路を走る軽トラックでは伝統的により強力なパートタイム4WDを採用する傾向が強い。

インテリア

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インパネ。

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スピードメーター。

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3ATのシフトノブ。

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5MT。

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5MTの4WDではレバー式の副変速機が付き、農繁グレードではデフロック機構(スイッチ式)が付く。

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出典:Goo-net

シート。

まとめ

11代目キャリィトラックの前期はのっぺりとした顔つきにロングホイールベースが特徴の軽トラックである。

歴代キャリィトラックの中でもターボ仕様があった希少モデルでときたまネット上ではターボ仕様をベースにカスタムしたキャリィトラックをみかける。

ヘッドライトやバンパーは乗用モデルの初代エブリイワゴンと互換性があるため、特にヘッドライトなどマルチリフレクター化すると面白いだろう。

中古市場では年式経過もありかなり買いやすい価格の軽トラックとなっている。

個人的にはあまりかっこ良いフロントデザインとはいえないので積極的にオススメはしないが、全体的に高値になりやすい中古軽トラ市場の中で買いやすい値段は魅力的な1台である。

2025年ルール適用で2024年から10代目キャリイトラック(DA52T/DB52T)がアメリカ輸出可能に

10代目キャリイトラックは2024年に製造から25年が経過し、アメリカ25年ルールが適用され初期モデルが輸出可能となる。

近年アメリカでは日本の中古軽トラックが大人気で、農場や牧場の敷地内移動車として高い人気がある。

それまで農場や牧場を移動する車といえば、屋根が付いてない小型のバギーカーやゴルフカート、もしくは大型のピックアップトラックがメインで、前者は雨風をしのげず、後者は小回りが不得意で燃費も悪いなど決して敷地内移動車として優れたものではなかった。

そこに登場した日本の軽トラックは、小回りが聞いて雨風がしのげるのはもちろん、4WDモデルであればバギーカーのように悪路走破性も高く、荷台には十分な荷物の載せられてと使い勝手は抜群。燃費もピックアップよりは全然良いため、その可愛らしさも相まって人気が高まっている。

キャリイトラックはホンダのアクティトラックやスバルのサンバーのような独自のメカニズム(MRレイアウト)を持たないオーソドックスな軽トラのため、コアなファンは付きづらいが、ハイゼットトラックと同じくオーソドックスな軽トラとして需要が見込める。

今までは旧世代・旧規格で室内空間が狭いキャリイトラックがメインだったため、新規格のキャリイトラックが輸出可能となれば今まで以上にアメリカで人気が出る可能性が高い。

そしてこれまで日本では25年経過した軽トラックは廃車か部品取りの価値しかなかったが、アメリカ需要により中古車として買い取られる可能性も十分あり、売る場合も二束三文とはならなくなる。

今までのように安値で買い叩く買取業者には十分注意したい。

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