ミニカは三菱のハッチバック型軽自動車。ダンガンはそのスポーツモデルである。本稿では7代目・前期(1993年9月~1997年8月)のダンガンおよびダンガン4を扱う。
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7代目 三菱・ミニカとは?
1993年9月にフルモデルチェンジし、7代目となった三菱のミニカ。
7代目ミニカではライバル(アルト、ミラ)とは一線を画する曲線を多用した丸っこいボディと丸目ヘッドライトが特徴だ。
7代目ミニカでは外観の大幅変更に加え室内空間も拡大。外観と室内の両方で進化を遂げた。
エンジンは先代の3気筒エンジンに加え新開発の直列4気筒ターボエンジンを設定。この4気筒ターボは先代で話題となったスポーツモデルの「ダンガン」を7代目でも継続設定するなど女性向けにあらず男性ユーザーにも嬉しいグレード構成で、バブル期らしい華々しい時代であった。
これ以外でもSOHCの4気筒自然吸気エンジンの設定や全車フロントにディスクブレーキを標準装備するなど7代目では正当進化を果たした。
一方で6代目の電動パワステが7代目では油圧パワステに戻るなど一部仕様変更も加えられた。
また7代目では女性を意識した快適装備(UVカットガラス)やボディカラーを設定した「グッピー」グレード、レトロ風デザインを採用した「ミニカ・アンティ」、「ミニカ・タウンビー」、派生で元祖トールワゴンの「ミニカトッポ」など数多くのバリエーションやグレードが存在したのも特徴である。
7代目ミニカ・ダンガンとは?特徴とH31A型/H36A型との違い
その7代目ミニカで最もホットなスポーツグレードが「ダンガン」。
ベースのミニカは外観から想像できるようにメインターゲットは女性層としたいてが、この可愛らしいミニカに4A30直列4気筒DOHC20バルブインタークーラー付きターボエンジンを搭載。
外観もエアダクト付きボンネット、専用バンパー、サイドアンダースポイラー、リアスポイラー、リアバンパーを装着し、羊の皮をかぶった狼のごとく過激な動力性能が与えられた。
内装ではタコメーター付きスピードメーター、セミバケット風船用シート&シート表皮などでスポーティな仕様に。ミニカダンガンは内外装でスポーティに仕立てたホットハッチである。
なお、前期ではグレード名が先代より若干変更になり、4WDモデルは「ダンガン4」、2WDモデルはダンガンではなく「SR-Z」という違う名称となった(※後期モデル(1995年11月以降)ではSR-Zの名称が廃止されダンガンに変更。)。

また、型式はFFモデルで4気筒エンジン搭載車がH31A。4WDモデルで4気筒エンジンのミニカがH36Aとなる。そのためFFのターボ仕様の「SR-Z」はH31A型。「ダンガン4」はH36A型となる。
ダンガンのエクステリア(外装)
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フロントデザイン。この時代のターボの証であるエアダクト付きボンネットを装着。これだけでも元々可愛らしい外観のミニカにスパルタンな印象が与えられている。
加えて専用バンパーが付いてノーマルよりかなりスポーティーな印象が強まった。フォグランプも標準装備となり、エアダクト&エアロパンパー&フォグランプの3セットで丸目ながら厳つい顔つき。
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サイドから。ダンガンではサイドアンダースポイラーが与えられ、横からの見た目も良くなっている。写真のものは消えてしまっているが、
本来はこのように「DOHCイン20バルブ インタークーラーターボ」等の昭和末期~平成初頭にみられた高性能車をアピールするデカールが付いている。なお、ダンガンは3ドアのみのとなる。
足元は13インチアルミホイールを標準装備。タイヤサイズは155/65R13。リアのブレーキはダンガン4がディスクブレーキ。SR-Zはドラムブレーキ仕様。
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リア。リアスポイラーと専用リアバンパーを装着。特に異様にデカイリアスポイラーは迫力満点だ。
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サイド同様、この写真のものは消えてしまっているが、本来はリアハッチに斜め方向に「Dangan」もしくは「Dangan4」とデカールが付く。
エンジン・機能装備・安全装備など
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搭載されるエンジンは当時世界初・世界最小の4A30直列4気筒DOHC20バルブインタークーラー付きターボエンジン。
ツインスクロールターボの加給で最高出力は64ps(47kW)/7000rpm、最大トルクは9.9kg・m(97.1N・m)/3500rpm。
駆動方式はFFか4WD(グレード名はFFモデルがダンガン、4WDモデルはダンガン4)で、5MTか4ATの設定があった。アルトワークスやミラアバンツァートのライバルともいえ、軽自動車らしからぬ鋭い加速を魅せる。
可愛い顔とは裏腹に、走ればめちゃ速い。そんなギャップがこの車の魅力ではないだろうか。残念なことに、ターボモデルが存在したのはこの7代目まで。8代目意向は新規格後に出て車体が一回り大きくなったが、NAのみとなった。
ダンガンのインテリア(内装)
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インパネ。エアコンはマニュアル式。スポーティなダンガンだが、スピードメーターまわりはベースの7代目ミニカと共通デザイン。
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ステアリングまわり。1990年代前半のモデルのため時代を感じるが、逆に味がある。前期型なのでエアバッグは非装備。
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スピードメーター。左側はタコメーターの2眼タイプ。一番左は燃料計、一番右が水温計。最近の車は水温計が簡易タイプが主流のためこの点はスポーティな雰囲気がある。
タコメーターのレッドゾーンは9000rpmとかなり高め。普通の3気筒エンジンとは違う感じを漂わせる。
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5MTのシフトノブ。
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フロントシートはセミバケットタイプ。ダンガン4ではノーマルのミニカとは異なる専用シートが与えられる。
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リアシート。同じくシート表皮は専用品。
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ラゲッジルーム。
まとめ
7代目前期型ミニカダンガンの総評
7代目のミニカダンガン(前期)は可愛らしい7代目ミニカをベースに今では完全消滅した4気筒ターボエンジン&5MT、スポーティーなフルエアロと軽スポーツ好きなら見逃せない装備が魅力の1台。
車重が当時のアルトワークスよりも重かったため、若干遅かったが、独特の4気筒エンジン+20バルブターボのサウンドやフィーリングなど唯一無二な点も含め魅力は十分高いモデルである。
ただし7代目ミニカダンガンは最終型の生産から20年以上経過し、旧車の域に達っするモデル。不具合対応やメンテナンスが必須になるため万人にはオススメできないが、その点を理解して自分で整備したり、信頼できる整備工場がある場合は乗ってみてほしい。
このエンジンに惚れ込むと、沼のように抜け出せなくなるためその点はあしからず。
アルトワークスともミラTR-XX、ヴィヴィオとも違う旧規格のバカッ速い軽自動車を探している人にオススメな1台である。
ミニカダンガンの4A30型DOHC20バルブインタークーラーターボを搭載する三菱車
なお、7代目ミニカ・ダンガンのエンジンは本モデル以外にブラボーGT、トッポBJ・R、ミニカトッポ、初代パジェロミニ、2代目前期パジェロミニ、初代・前期タウンボックス、初代・中期タウンボックス(~2002年7月まで)などにも幅広く搭載された。





ダンガンはタマ数が極端に少なく見つけづらいが、トッポBJはそこそこ。パジェロミニあたりはまだまだ中古市場で見かけることが多いので、20バルブターボに興味を持った人はこちらもオススメ。
5MT・ツインカムなパジェロミニは意外と中古市場で見かける。
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