パジェロミニは三菱のSUV(RV)型の軽自動車。本稿では2代目H53AおよびH58A系のデビュー当初である1998年10月~2005年11月までを前期型とし、これを扱う。
画像参照元:ガリバー
- 三菱 2代目パジェロミニとは?
- 2代目前期パジェロミニのグレード S,X,V,スポーツ,Rリンクス,デュークの違いなど
- 2代目前期パジェロミニ 特別仕様車とベースとの違いなど
- 2代目前期パジェロミニの改良点など
- エクステリア(外装)
- エンジン・機能装備・安全装備など
- 2代目パジェロミニ(H53/H58)の持病について
- 2代目パジェロミニ(H53/H58)の燃費改善について
- 2代目パジェロミニH53AとH58A型の違い
- パジェロミニ ターボ車とターボ無し(自然吸気エンジン)の見分け方
- インテリア(内装)
- 2代目前期・パジェロミニの評価
- 2023年から2代目パジェロミニの前期モデルが輸出可能に。初代と同じく人気になる可能性も
三菱 2代目パジェロミニとは?
パジェロミニは「パジェロ」と名がつくことから想像できるように、クロカンであるパジェロの弟分としてデビューした。
1994年に初代がデビューし、1994年にジムニーに対向する形で登場した初代・パジェロミニ。そのパジェロミニは1998年の軽自動車新規格を受けて同年の10月に2代目へとフルモデルチェンジした。
2代目ではそれまでの特徴だった丸目ヘッドライトを廃止し、オーソドックスな角型ヘッドライトを採用。新規格に対応したことでボディ形状は全長で100mm、全幅で80mm拡大するもののスタイリング(パジェロスタイル)はほぼ先代を踏襲。顔つき以外は先代とほぼ同じ外観となっている。
また、モノコック高剛性ボディにクラッシャブルボディ構造とブレーキアシスト機構の採用で、当時の軽自動車としては優れた衝突安全性を誇っていた。
エンジンは新開発となる4A30型4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンと4A30型4気筒DOHC20バルブインタークーラーターボエンジンを搭載。また、先代のオートマは3ATだったが、2代目で電子制御式4ATに置換された。
(※ただし排ガス規制に引っかかりこの4気筒DOHC20バルブツインスクロールターボは2002年9月のマイナーチェンジで廃止、代わりに自然吸気エンジンをターボ化した4気筒SOHC16バルブインタークーラーターボに切り替わった。)
デビュー当初からパジェロミニはジムニーに対して「シティユース」というキャラクターを出していたがこの2代目ではそれが顕著だった。
ベースモデルに対してより個性的な顔をもたせたり(パジェロミニ・デューク)、初代を彷彿とさせる丸目を用意したり(パジェロミニ・リンクス)。
はたまたレカロシートを装備したスポーティーなモデルを追加したり(パジェロミニ VR-S)とまさにムーヴとムーヴカスタムの関係のようなグレード展開をSUVで行っていた。
さらにジムニーでは珍しい2WDグレードや、自然吸気エンジン仕様などで価格を抑えたグレードを設定したりと、見た目重視のグレードも展開していた。見た目のアレンジや装備面の厳選で、安さや個性的なモデルでジムニーに対抗していた。
2代目前期パジェロミニのグレード S,X,V,スポーツ,Rリンクス,デュークの違いなど
2代目パジェロミニのグレード構成は廉価グレードのS、上級自然吸気エンジン仕様のX、上級ターボ仕様のV、スポーツグレードのスポーツ(後にRに改名)、専用グリルやエアロ装備のデューク、丸目4灯ヘッドライトのリンクスなどがある。
Sグレード
2代目パジェロミニの廉価グレード。2WD(FR)オンリー仕様で、ターボ無しの自然吸気エンジン仕様。かつ装備も厳選し価格を抑えた一番安いグレード。4WD機構が無いため見た目重視のグレード。
エクステリアはプライバシーガラスが非装備で、手動ドアミラーに非塗装アウタードアハンドル、スチールホイールで軽バンのような外観が特徴。ルーフレールやリアスポイラーのオプションも非設定。
インテリアでは廉価グレードながらタコメーター付きスピードメーターを標準装備。
ボディカラーはホワイトとグリーンのモノトーン2色のほか、キャンベルイエローマイカ/SシルバーMとカナルブルーM/シンフォニックシルバーMの2色をオプション設定。
1999年10月にはレガートグレイM/シンフォニックシルバーMが追加された。
快適装備もキーレスエントリーとパワーウィンドウ、集中ドアロック、リアシートのヘッドレスト、オーディオ(AM/FMラジオ)が非装備。パワステとマニュアル式エアコンは標準装備する。安全装備のエアバッグは運転席のみで、ABSもオプション設定だった。
2000年11月の仕様変更で廃止。
Xグレード
2代目前期パジェロミニの自然吸気エンジン・上級グレード。廉価なSグレードよりも装備が豪華になり、Xグレードから2WDに加えて4WDも設定されていた。
エクステリアでは15インチアルミとプライバシーガラス、ルーフレール、リアスポイラー、フォグランプをオプション設定。
インテリアではAM/FMラジオ・カセットデッキと4スピーカーを標準装備。CDオーディオをオプション設定。
快適装備はパワーウィンドウを標準装備し、キーレスエントリーはデビュー当初オプション設定(後に標準装備化)。ボディカラーはSグレードと同じ。
Vグレード
2代目前期パジェロミニの上級グレード。20バルブのターボエンジンを搭載し、4WDのみの設定。
エクステリアでは15インチアルミホイールとプライバシーガラスを標準装備。ルーフレールとリアスポイラー、フォグランプはオプション設定。
快適装備はほぼXグレードと同じだが、Vグレードでキーレスエントリーは標準装備となる。ボディカラーはXと同じ。
スポーツ
2代目パジェロミニの廉価なターボグレード。ターボエンジン&4WDのみの設定で、Vグレードよりも装備を厳選し、価格を抑えていた。
エクステリアではリアスポイラーを標準装備。一方でアルミホイールやプライバシーガラスは非設定。
快適装備もパワーウィンドウやキーレスエントリー、オーディオやスピーカーが非装備で硬派な仕様に。
ボディカラーもソフィアホワイトソリッド1色のみで、バンパーも未塗装(樹脂タイプ)。これによりVグレードよりも10万円ほど安かった。
1999年10月の仕様変更で廃止し、Rグレードに移行。
Rグレード
1999年10月に追加設定したストリート仕様のパジェロミニ。
2WD&ターボ&4ATのみという組み合わせに40mmローダウンサスペンションと専用エアロバンパー、サイドアンダースポイラー、インナーブラックのヘッドライト、専用スペアタイヤケースを標準装備する。
インテリアでも専用ニット調生地を採用。
便利機能としてはマルチモードキーレスエントリーシステム、UVカットガラス(フロント、フロントドア)を装備とし、パジェロミニでありながらスポーティー感を強めたモデル。
2003年8月まで販売され、その後はレカロシートを標準装備した「VR-S」に移行した。
パジェロミニRについてはこちらから。
デューク
2000年11月一部改良時に追加された派生グレード。専用グリルやサイドアンダースポイラー、サイドガーニッシュ、専用バンパーなどで個性的な顔つきとし、内装も専用品を与えスポーティ感を強くしたモデル。
エクステリアでは専用大型メッキラジエーターグリル、専用フロントバンパー、専用リアバンパー、サイドプロテクトモール、サイドガーニッシュ、専用スペアタイヤカバー、アルミホイールを。
インテリアでは専用シート表皮&専用ドアトリムクロスを与え内外装で個性的にかつスタイリッシュとしたターボエンジンのみ設定の最上級グレード。2003年9月のマイナーチェンジで廃止された。
デュークについてはこちらから。
リンクス
概要
上記デュークと同じ2000年11月一部改良時に追加された派生グレード。
リンクスとは北米、ユーラシア大陸に生息するヤマネコのことで、山道が似合うパジェロミニに相応しい名前となっている。
エクステリアでは専用丸目4灯式ヘッドライトと専用グリルに変更。
内装でも本革巻ステアリングホイールやブラックシート表皮&ドアトリムクロスなど、ノーマルよりも上級感が与えられたグレードとなっていた。
今でも2代目パジェロミニの中では人気を誇るグレードで、デュークと並んで中古価格では比較的高値となりやすい。
リンクスについてはこちらから。
リンクスX
自然吸気エンジン仕様のリンクス。パジェロミニXがベース。ボディカラーはXとは異なり専用モノトーンカラー3色のみ(ピレネーブラックパール、サテライトシルバーメタリック、レガートグレイメタリック)を設定。
リンクスV
20バルブターボエンジンを搭載したターボ仕様のリンクス。パジェロミニVがベース。ボディカラーはリンクスXと同じ
リンクスZ
リンクスの廉価グレード。自然吸気エンジンに2WD、ATのみの設定。4WD機構を省いて価格を抑えていた。
2代目前期パジェロミニ 特別仕様車とベースとの違いなど
特別仕様車・スキッパー
2000年1月に設定の特別仕様車第1弾。ベーシックなXグレードの2WD車をベースに外観を向上させつつもお買い得とした特別仕様車。
スキッパーではヘッドランプベゼルをブラック化。メッキフロントグリルにアルミホイール、リアとリアクォーターにプライバシーガラスを追加した他、ドアハンドル、ドアミラー、テールゲートガーニッシュをボディと同色化しスタイリッシュな外観に仕立てた。
ボディカラーはモノトーンのみでソフィアホワイト、シンフォニックシルバー、セレーノブルーの3色。フロントドアにはUVカットガラスも標準装備。
初代パジェロミニにもベースよりも内外装でスタイリッシュとした「スキッパー」があったが、2代目では外装のみとなりかつ、自然吸気エンジンと2WD仕様のみという珍しい特別仕様車。
スキッパーについてはこちらから。
特別仕様車・アニバーサリーリミテッドX/アニバーサリーリミテッドV
スキッパーと同じ2000年1月に設定の特別仕様車。
自然吸気エンジンの上級Xグレードとターボ仕様のVグレードをそれぞれベースに魅力的な3ウェイ2トーンボディカラー、メッキグリル、光輝アルミホイールなどでスタイリッシュに仕立てつつ、お買い得とした特別仕様車。
アニバーサリーリミテッドについてはこちらから。
特別仕様車・スヌーピーエディション
2000年4月に設定の特別仕様車。M.シュルツ作のコミック「ピーナッツ」の人気キャラクター「スヌーピー」の生誕50周年を記念してコラボレーションしたモデル。
スヌーピー・エディションでは外装にスヌーピーのデカールや作者シュルツ氏のサインをあしらい、ホイールキャップもスヌーピー柄としたほか内装でもスヌーピーの刺繍入り専用シートやスヌーピーキャラクター入スピードメーターを採用。
内外装でスヌーピー感をアップさせた特別仕様車。
スヌーピーエディションについてはこちらから。
特別仕様車・パールセレクト/パールセレクトターボ
2000年5月に設定の特別仕様車。「X」グレードと「V」グレードをベースに高品質なパールホワイトのシルキーホワイトカラーを専用色とし、ドアミラーやドアハンドルをボディと同色化。完全なホワイトモノトーンカラーとした特別仕様車。
パジェロミニは一般的にSUVらしさを出すためツートンカラーを数多く設定していたが、「パールセレクト」ではシンプルかつ高級感あふれるパールホワイトカラー1色のみを設定。
加えて内装ではブラック&ベージュカラーの専用シートにベージュのドアトリムクロスを与え、特別感を演出したモデル。
パールセレクトについてはこちらから。
特別仕様車・リンクスXリミテッド/リンクスVリミテッド
2000年11月設定の特別仕様車。丸目4灯のリンクスをベースに特別装備と専用ボディカラーを与えたモデル。
「リンクスVリミテッド」は、丸目のリンクスXとリンクスVをベースに追加でエクステリアではパールホワイト塗装の専用ボディカラーにボディ同色ドアハンドル、ドアミラ、テールゲートガーニッシュ、専用アルミホイールを。
機能装備としてはクラリオン製アゼスト2DIN CD/MDチューナーを標準装備。
このほかリンクスVと共通装備としてリンクス専用グリル、リンクス用ダークグレー専用内装とブラックシートを標準装備とし、ノーマルのパジェロミニと内外装で差別化しかつスタイリッシュとしたモデルとなっていた。
リンクスVリミテッドについてはこちらから。
特別仕様車・リンクスVリミテッドⅡ
2001年6月設定の特別仕様車。上記リンクスリミテッドのバージョン2。
バージョン2ではターボ仕様のみの設定で、ボディカラーにはリンクスやリミテッド1で非設定の「3ウェイツートンカラー」2色を専用設定。個性を高めた特別仕様車。
特別仕様車・ホワイトエディション
2001年6月設定の特別仕様車。ハンズフリーシステムを標準装着し、ボディカラーには専用色「ホワイトボディカラー」に専用ストライプテープを施したカジュアル感覚のパジェロミニ特別仕様車。
特別仕様車・スヌーピーエディションⅡ
2001年10月に設定の特別仕様車。M.シュルツ作のコミック「ピーナッツ」の人気キャラクター「スヌーピー」の生誕50周年を記念してコラボレーションしたモデルの第2弾。
ベース車を「パジェロミニ リンクス」に変更し、クールをキーコンセプトした特別仕様車。
エクステリアにはボンネットフードにSNOOPYデカール(足跡マーク+文字)、センターピラーにはSNOOPYエンブレム、左リヤクオーターにSCHULZデカール(作者のサイン)、右リヤクオーターにSNOOPY EDITION IIデカールを貼り付け、パジェロミニ&スヌーピーのコラボな外観に。
さらにスペアタイヤカバーは専用デザインを採用、アルミホイールのセンターキャップもフライングエースのスヌーピーをあしらい、リアマッドフラップも足跡マーク、15インチアルミホイールを採用。
インテリアではSNOOPY刺繍入り専用シート表皮にSNOOPYプリントドアトリム表皮、SNOOPYキャラクター入専用スピードメーター、SNOOPYキーホルダーを採用。
内外装でSNOOPYを各所に採用し、スヌーピーエディションⅠよりも可愛らしいコラボなパジェロミニ。
スヌーピーエディションⅡについてはこちらから。
特別仕様車・アニバーサリーリミテッド
2002年1月設定の特別仕様車。パジェロミニ生誕7周年を記念した特別モデルで、Vグレードをベースにアニバーサリーリミテッド専用色の「ダークグレー」もしくは「ダークグリーン」を組み合わせた3ウェイ2トーンのみ全2色を設定。ベルトラインにはピンストライプは貼り付け。
バンパーにはメッキバンパーを採用し、15インチ光輝タイプアルミホイールや本革巻きステアリング、カーボンメッシュ調センターパネルやダークグレーシート表皮で高級感を高めたモデル。
快適装備では2DINのAM/FMチューナーアンプ付きCD/MDプレーヤーや、電動格納式リモコンドアミラーも標準装備する。
2代目前期パジェロミニの改良点など
2000年11月・一部改良
2000年11月の一部改良では助手席エアバッグと前席シートベルトプリテンショナーを全車に標準化した。
2001年10月・一部改良
2001年10月の一部改良では全グレードにABSが標準装備となった。
2002年9月・一部改良
2002年9月の排ガス規制によりDOHC20バルブターボエンジンを廃止。SOHC16バルブターボに置き換えた。
さらにリアコンビランプのウィンカー部をオレンジ色からクリアータイプに変更。シート表皮も変更し、シートヒーターを新たにオプション設定とした。
エクステリア(外装)
フロント
まずはフロントデザイン。初代では丸目ヘッドライトが特徴的だったが2台めではこれを角型へ変更。親パジェロが角型ヘッドライトに移行したことが大きいのだが初代のイメージが強い人にはオーソドックスなデザイン。
逆に丸目ヘッドライトに抵抗の歩い人にとっては受け入れやすいデザインへと変貌した。なお写真は前期の終盤モデルでフォグランプ部分がクリアーク化されている(デビュー当初はイエローレンズ)。さらにターボモデルでは初代同様にボンネットにエアインテークダクトが付く。
なお、グリル内のロゴマークは2代目デビュー当初が赤いスリーダイヤ。1999年10月マイナーチェンジ以降ではシルバーのスリーダイヤに変更される。
自然吸気エンジンではボンネットにエアダクトが非装備なシンプルな外観となる。ここはパジェロミニでターボ付きかターボ無しかを見分けるポイント。
サイド
サイドから。基本的にボディデザインは初代とほぼ同じなのだが、新規格に合わせて全長、全幅、全高が全てアップされている。
ただし室内に至っては室内長が約45mm、室内高が5mmアップしたのに対して室内幅は初代と同じで据え置き。
2代目前期パジェロミニのボディカラー
なお、ボディカラーはモノトーンと2トーンを設定し、モノトーンでは白系の「ソフィアホワイト」と緑系の「ターフィグリーン」の2種類。ただし、モノトーン選択時は写真のようにバンパーが無着色となり、ベーシック感が強くなる。
ツートンカラーはレガートグレイM、キャンベルイエローマイカ、カナンブルーMにそれぞれシンフォニックシルバーMを組みあせたツートンカラーとなる。
2代目パジェロミニ前期・純正タイヤサイズ
足元は廉価グレードで鉄チンホイール。タイヤサイズは175/80R15。
2代目パジェロミニ前期・純正アルミホイール
ターボグレードでアルミホイールを標準装備(Xグレードではオプション扱い)。
リア
リア。こちらも初代とデザインは同じだがコンビランプがマルチリフレクター化され質感がアップした。
ルーフスポイラーやリアスポイラーはXグレード以上にオプション設定。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジン
エンジンは4気筒のNAとターボの2種類。これをエンジンルームに縦置きで搭載する。
エンジンは4気筒の自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類。
自然吸気エンジンでは4A30型直列4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンを採用し、最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.3kg・m(61.8N・m)/4500rpmを発生。
ターボは4A30型直列4気筒DOHC20バルブインタークーラーターボエンジン。
初代と同じく1気筒あたり5バルブの高性能エンジンで、あの7代目ミニカ・ダンガンでも採用されていたツインスクロールターボエンジン。
最高出力は64ps(47kW)/7000rpm、最大トルクは10.2kg・m(100N・m)/3500rpmを発生する。
トランスミッション・4WD機構(副変速機)
トランスミッションは4ATのみで駆動方式はFRまたはパートタイム4WD(イージーセレクト4WD)。
ただし、2WDモデルに関しては自然吸気エンジンのみの設定となる(ベース車はいずれも4ATの自然吸気2WDのリンクス-Z、自然吸気4WDのリンクス-X、ターボエンジン4WDのリンクス-V)。
「イージーセレクト4WD」では2駆→4駆(高・低)の切り替え機構(副変速機)を備え、いざという時は4駆(スタック脱出用のハイモードもしくは通常走行のローモード)、普段は2駆とユーザーが切り替えることができる。普段は2駆で走れば燃費を稼げるという仕組みだ。
安全装備など
デビュー当初はABSがオプション設定。運転席のみエアバッグを標準装備していたが、2000年11月一部改良で助手席エアバッグと前席シートベルトプリテンショナーを全グレードに標準装備化。
2001年10月の一部改良でABSが全グレードに標準装備となった。
2代目パジェロミニ(H53/H58)の持病について
中古車で今なお人気の2代目パジェロミニ。しかしながらH53およびH58型にはいくつか壊れやすい持病とよばれる部分がある。ボディは頑丈なのだが、それ以外での不具合の事例がいつくかあげられている。
AT・バルブボディ(ストッパープラグ)の故障
いちばん有名なのは4AT。バルブボディという部品に不具合が生じて変速が上手く行われにくくなる。特に2002年8月生産までの2代目の前期型では不具合が発生しやすい。
このストッパープラグは2002年9月一部改良で対策品に変更され、以後の中期や後期モデルは前期よりも故障しずらくなった(※まったく故障しないわけでないが)。
症状としては1速から2速にかけの変速が上手く行われず、ムチウチのような大きなショックが発生するようになる。
ATF交換で多少は改善する場合もあるが上記バルブボディ内のストッパープラグが破損している場合は根本的解決とはならず、放置するといずれATミッションブローに発展する。
特に高速走行や登坂走行などを繰り返し、ATFが高油圧走行となるような使い方をすると壊れやすい。故障した場合はバルブボディの交換で治るケースもあるがバルブボディで完治しない場合はATミッション交換修理となり、20万~30万円ほどかかるケースも。
そのため2代目前期パジェロミニの4AT搭載モデルを中古で買う場合はかならず試乗してATに異常がないか確認することをオススメする。
サーモスタットの寿命
次に有名なのはサーモスタットの故障。サーモスタットは冷却水付近にあるパーツで、温度によって弁が開いたり閉じたりするのだが、これが壊れた開いたままの状態になる。
そうなると走行しても水温計が真ん中まであがらず、あるいは全然上がらずヒーターすら効かなくなってしまう。
さらにアイドリング回転数も上昇するため極端に燃費が落ちる。パジェロミニで燃費が7~8と極端に悪い場合、サーモスタットの故障を疑う価値はある。
パジェロミニのサーモスタットは経年劣化や過走行で壊れやすく、特に10年以上または10万キロ以上の個体であれば不具合が起きやすい。
こちらについては素人のDIYでも作業可能なので特に大きな心配は不要だが、発生した場合はできるだけはやめの対処をおすすめする。
なお、古いパジェロミニのサーモスタット交換の際に紙パッキンを使用する時は「液体ガスケット」も併用することをオススメする。
新しい紙ガスケットをそのまま使うと、どんなに綺麗にヤスリで削りとっても古いガスケットが残り、密着性が低くなり、高確率で水漏れの原因になる(管理人も自分の車で経験した)。
なので、紙ガスケットの周囲に薄く液体ガスケットを塗って気密性を高くすると水漏れが回避可能となる。
点火プラグとイグニッションコイルの摩耗
あとは持病とまではいかないが過走行のパジェロミニ(8万キロ以上)は点火プラグとイグニッションコイルが交換時期にきている場合がある。
特にパジェロミニのイグニッションコイルは2気筒で1本を使用するタイプ。1本1気筒のタイプより2倍負荷がかかり、かつ4気筒で高回転を多様しがちな4A30型エンジンではイグニッションコイルにかかる負荷もかなりのもので、一般的な軽自動車のイグニッションコイルの寿命目安である8万キロよりも短めと考えたほうが良い。
過走行のパジェロミニで点火プラグ、イグニッションコイル、プラグコードをセットで新品交換すれば燃費改善や加速向上などが期待できる。
2代目パジェロミニ(H53/H58)の燃費改善について
パジェロミニに搭載されたエンジンは4気筒の高回転型。そのため点火プラグやイグニッションコイルの劣化がはやく、車重やカタログ燃費以上に燃費を悪化させる要因となりうる。
特に2代目パジェロミニは生産終了から新しいものでも10年は経過し、安い中古車なら10万キロを越えた個体を買うケースもあると思う。軽自動車の点火プラグはイリジウムでも5万キロが限界だが、高回転なパジェロミニのエンジンでは4万キロが限界とみる。
そしてイグニッションコイルもセミダイレクトイグニッション式のため2気筒で1つを併用(残り一個はプラグコードで供給)するタイプ。1気筒1個タイプよりも劣化がはやく、点火プラグが劣化してくるとイグニッションコイルへのダメージも大きくなる。
そのため過走行なパジェロミニ(8万キロ以上)の場合は点火プラグやイグニッションコイル+プラグコードを新品交換することにより燃費アップやトルクの回復などが期待できる。
なお、点火プラグの限界を越えて使用し続けた場合、プラグ先端の金属がシリンダーに溶け落ちバルブを損傷させエンジンブローを引き起こす場合もある。
その際はエンジン載せ替えやオーバーホールなど高額な修理費用がかかるため、特に現状渡しの中古車を購入した場合はまず点火プラグやイグニッションコイルの確認をオススメする。
※H53/H58A型 H51A/H56A型 パジェロミニ用NGK点火プラグ プレミアムRX4本 DCPR7ERX-P
※H58A後期16バルブSOHCターボ&自然吸気エンジン用イグニッションコイル
※H51A/H56A型、H53A/H58A型の16バルブSOHCターボ用/自然吸気エンジン用プラグコード
2代目パジェロミニH53AとH58A型の違い
パジェロミニのH53AとH58Aの違いは駆動方式。H53Aはエンジンをボンネットに配置し後輪を駆動するFRのパジェロミニ。H58Aはボンネットにエンジンを配置し全輪を駆動するパートタイム式4WD。
それぞれに自然吸気エンジンとターボエンジンが設定され、かつ5MTまたは4ATの組み合わせとなる。
パジェロミニ ターボ車とターボ無し(自然吸気エンジン)の見分け方
パジェロミニにはターボ車と自然吸気エンジンの2種類が存在するが、その見分け方は簡単。
ボンネット中央部にインタークーラー冷却用の穴(エアダクト)がある方がターボ車、無いほうが自然吸気エンジン車となる。
ちなみに初代H51/H56型と2代目のH53/H58型のどちらもターボ車はボンネットに穴が空いているので、初代と2代目共に「パジェロミニのボンネットに穴がある=ターボ車」、「ボンネットに穴がない=ターボ車じゃない」と覚えるといい。
インテリア(内装)
インパネ
インパネ。初代パジェロミニを踏襲したようなデザインで、当時のパジェロにも通ずるSUVらしい味のあるデザイン。
助手席エアバッグの標準装備化後は助手席インパネの取ってが廃止され、エアバッグが収められた。
エアコンパネル
なお、前期型のオーディオは2DINが使えないタイプ。エアコンパネルをごっそり灰皿上の空きスペースに移動させると前期でも2DINオーディオやナビが使えるようになる
スピードメーター
スピードメーター。全グレードでタコメーター付き。SOHC自然吸気エンジンはレッドゾーンが7000rpmから。
20バルブターボ用スピードメーター
DOHCターボでは8000rpmからとなる。
ステアリング
ステアリングはウレタンステアリング。デュークやリンクス、特別仕様車などで本革巻きステアリングが標準装備となる。エアコンは全グレードマニュアル式エアコン。
ATのシフトノブ
ATと切り替えレバーの様子。「イージーセレクト4WD」と呼ばれるこのシステムは、2駆→4駆(高・低)の切り替え機構を備え、いざという時は4駆の4H、負荷のかかる悪路では強力な4Lモード。普段は2駆とユーザーが切り替えることができる。普段は2駆で走れば燃費を稼げるという仕組みだ。
なお、パートタイム4WDでLSDが非装備なため、タイヤが対角で空転すると「対角スタック」が発生し、身動きが取れなくなる。
なので常に3輪以上タイヤが地面に接地するよう運転テクニックが必要である。
5MTのシフトノブ
5MTのシフトノブ(4WD仕様)。
フロントシート
フロントシートはセパレートタイプ。自然吸気エンジンでは水色とブラックの2トーン。
ターボグレードでは赤系とブラックの2トーンとなる。
さらに1999年10月追加のRグレードではニットのスポーティーなシート生地となる。その後Vグレードではこのニット生地が標準装備となった。
リアシート
リアシート。足元が狭くシート自体もちゃっちい作り。この手の軽自動車は基本2名乗車と割り切るほうが良い。
ラゲッジスペース
ラゲッジルーム。
リアシートを倒すと荷室がかなり実用的になる。
2代目前期・パジェロミニの評価
2代目パジェロミニの前期は、初代よりも若干室内空間がアップし、ヘッドライトとリアコンビランプががマルチリフレクター化されたことで見た目が格段に良くなった。
オーソドックスな角型ヘッドライトも万人受けしやすいデザインで、丸目が基本だったジムニーとも差別化されている。
中古価格的には後期モデルよりも買いやすい値段にあるので安価に買える街乗りSUVとして雪国で重宝する1台だ。
燃費はお世辞にも良くないのだが、除雪があまり行き届いていない道路では万が一のスタック時にも地上最低高と大きなタイヤに直結4WDシステムにより自力で脱出できるので、この点とのトレードオフといったことろ。一人乗りや2人メインが条件となるが、まだまだ雪国では人気の1台だ。
なお、最近ではジムニー人気が派生し、特に5MT・4WDのターボモデルの場合は年式や走行距離の割に意外といい値段がつく場合もある。
その一方で元々少ないというのもあるが5MTのタマ数がかなり減ってきているので解体や海外流出する前に欲しい人は今買っておくことを強くオススメする。まもなく2代目パジェロミニも初期モデルは生産から25年を迎えアメリカ輸出が可能となる。
年数経過から整備やメンテナンスが必須のモデルとなるが後期モデルにはないツインカムの20バルブターボエンジンは後にも先にもこれだけなので、比較的安価に5MTで堪能できる数少ない隠れた名車でもある。
2023年から2代目パジェロミニの前期モデルが輸出可能に。初代と同じく人気になる可能性も
2代目パジェロミニは2023年に初期モデルが生産から25年が経過し、クラシックカーとしてアメリカ輸出可能となる。
同じパジェロミニでも初代モデルは既にアメリカ輸出されており、現地でも軽トラと同じ様に人気車種になっている。パジェロミニは軽トラと同じく悪路走破性が高く、個性的な外観から農場や牧場などでバギーや大型ピックアップトラックに代わる移動手段として注目される。
その派生で本稿の2代目モデルも人気になる可能性があり、特に個性的な丸目4灯式のリンクスやデュークあたりも隠れた人気が出る可能性も。
中古で売却する場合は国内業者よりもアメリカ輸出メインの業者などに売ると意外といい値段が付く可能性がある。
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