パジェロミニは三菱のSUV(RV)型の軽自動車。本稿では2代目H53AおよびH58A系の前期型(1998年10月~2002年8月)の間に設定された特別仕様車、リミテッドエディションを扱う。

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概要
1994年にジムニーに対向する形で登場した初代・パジェロミニ。そのパジェロミニは1998年の軽自動車新規格を受けて同年の10月に2代目へとフルモデルチェンジした。
2代目ではそれまでの特徴だった丸目ヘッドライトを廃止し、オーソドックスな角型ヘッドライトを採用。新規格に対応したことでボディ形状は全長で100mm、全幅で80mm拡大するもののスタイリング(パジェロスタイル)はほぼ先代を踏襲。顔つき以外は先代とほぼ同じ外観となっている。
また、モノコックボディにプレス加工で造ったラダーフレームを床に溶接した「ビルドインフレーム・モノコック構造」を採用。乗り心地と高剛性を両立している。
さらにクラッシャブルボディ構造とブレーキアシスト機構の採用で、当時の軽自動車としては優れた衝突安全性を誇っていた。
エンジンは新開発となる4A30型4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンと4A30型4気筒DOHC20バルブインタークーラーターボエンジンを搭載。
また、先代のオートマは3ATだったが、2代目で電子制御式4ATに置換された。
デビュー当初からパジェロミニはジムニーに対して「シティユース」というキャラクターを出していたがこの2代目ではそれが顕著だった。ベースモデルに対してより個性的な顔をもたせたり(パジェロミニ・デューク)、
初代を彷彿とさせる丸目を2灯式にして発展させた(パジェロミニ・リンクス)、
はたまたレカロシートを装備したスポーティーなモデルを追加したり(パジェロミニ VR-S)とまさにムーヴとムーヴカスタムの関係のようなグレード展開をSUVで行っていた。
基本性能は変わらないものの見た目をアレンジし、個性的なモデルを投入することでジムニーに対抗していた。
2代目パジェロミニ アニバーサリーリミテッドX/アニバーサリーリミテッドVの特別装備と違い
その2代目パジェロミニの前期に設定された特別仕様車の一つが本稿で扱う「アニバーサリーリミテッド」である。
2代目前期のアニバーサリーリミテッドは2代目パジェロミニ初の特別仕様車として登場。自然吸気エンジンの上級Xグレードとターボ仕様のVグレードをそれぞれベースに魅力的な3ウェイ2トーンボディカラー、メッキグリル、光輝アルミホイールなどでスタイリッシュに仕立てつつ、お買い得とした特別仕様車となっていた。

具体的にはエクステリアではメッキグリル、15インチ光輝アルミホイール、ルーフレール、スペアタイヤケース、フォグランプを標準装備。
インテリアでは特に特別装備はないが、安全装備として当時オプション設定だったABSを標準装備とした。
エクステリア

フロントデザイン。2代目パジェロミニの前期のため、グリルデザインなどそれ以降とは異なる。アニバーサリーリミテッドではこれにメッキグリルを標準装備。
これ以外にオプション設定となっていたフォグランプも標準装備としスタイリッシュ感と利便性をアップさせている。

サイド。パジェロミニといえばの特徴的なツートンカラー、「3ウェイ2トーン」を標準採用。
カラーリングは茶系とシルバーを組合わせた「シンフォニックシルバー/ロアンヌレッド・3ウェイ2トーン」と、ブルーとシルバーを組み合わせた「シンフォニックシルバー/ネアーズブルー・3ウェイ2トーン」の2色のみを設定。
通常のツートンカラーとは異なり、上部と中部、下部で色を3方向で塗り分け個性的かつスタイリッシュにしたカラーリングで特別感がかなり高くなっている。
「パジェロミニといえばこのカラー」という人も多いツートンカラーでこの特別仕様車の魅力の一つとなっている。

足元は15インチアルミホイール。リミテッドエディションでは専用装備として「切削加工15インチアルミホイール」となる。タイヤサイズは純正とは異なり、オンロードを意識した195/70R15に変更。
最低地上高は195mmでスズキ・ジムニーの205mmよりは少し低いもののスズキ・ハスラーの180mmよりは十分高い。ちなみにハスラー対抗モデルのダイハツ・タフトは190mm。

リア。前期型がベースのためウィンカー部がオレンジタイプ。アニバーサリーリミテッド仕様としてはタイヤハウスをボディカラーと合わせてカラーリング。非常にオシャレな見た目となっている。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは4気筒のNAとターボの2種類。これをエンジンルームに縦置きで搭載する。
自然吸気エンジンの「アニバーサリーリミテッドX」では4A30型直列4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンを採用し、最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.3kg・m(61.8N・m)/4500rpmを発生。

ターボ仕様の「アニバーサリーリミテッドV」ではターボエンジンのみの設定。
4A30型直列4気筒DOHC20バルブインタークーラー付きターボエンジンは、最高出力は64ps(47kW)/7000rpm、最大トルクは10.2kg・m(88N・m)/35000rpmとなる。
トランスミッションは5MTと4ATの2種類で駆動方式は4WDのみ。4WDは「イージーセレクト4WD」と呼ばれる切り替え式のパートタイム4WDとなる。
このほか、アニバーサリーリミテッドではABSを標準装備とした。
インテリア

インパネ。前期型なのでインパネのオーディオ周りが少々特殊。一般的なカーナビが入る2DINタイプは仕様できず、1DINが離れたて2箇所入るような特殊な作り。
またドリンクホルダーもインパネ上にはなく使い勝手が悪い。その分、露骨なSUVというデザインで、タフさは強調されいている。
インテリアにおけるアニバーサリーリミテッドの見た目上の特別装備等は特になく、ベースモデルとほぼ同じ内容となる。

スピードメーター。タコメーター付きの2眼メーターでこれはベースモデルと同じ。

ATのシフトノブ。

副変速機のシフトノブ。極端な悪路を走る場合は駆動力が2倍になる「4L」を使う。普段はFRの2Hで低燃費走行。雪道やオフロードでは4Hと路面状況に合わせて副変速機を選択する。

フロントシートはセパレートタイプ。アニバーサリーリミテッド仕様としてダークグレーとニット素材を組み合わせた専用シート表皮(ファブリックシート)となっている。

リアシート。ジムニーと同じくリアシートの足元は狭く、基本的には2名乗車と考えたほうがいい。シートの厚みもリアシートを倒すことを考慮し、薄めになっている。

ラゲッジルーム。

リアシートは分割可倒式なので使い勝手は良いが、基本2名乗車なのであまり使い所はないかも。

リアシートを倒した状態。フルフラットになるため荷室はとても使いやすく、そこそこ広くなる。
まとめ

2代目パジェロミニの前型に設定された特別仕様車、「アニバーサリーリミテッド」は外装に特徴的な3ウェイツートンカラーとアルミホイール、フォグランプ、ルーフレールを。安全装備としてABSを標準装備としつつお買い得とした特別仕様車である。
ベースモデルの「X」や「V」では2トーンカラーにするだけでもオプション扱いで、これにアルミホイールやルーフレール、フォグランプ等機能的な外装パーツがセットになってベースモデルより6万円アップに収まっていたのでお得な仕様となっていた。
最近は4代目ジムニーのフルモデルチェンジの長期納車待ちや、コロナ過によるアウトドアブームの再燃により中古車で手頃なパジェロミニが再評価されつつある。
価格的にも20年落ちに近いのがネックだがこの前期型はとても手頃、かつ名機4A30型の5バルブエンジンに5MTの設定もあって中古車としてマニアには嬉しいモデルである。
パジェロミニはジムニー同様に燃費が良くなく、また室内空間もとても狭く、また最終型でも10年以上も前のため自動ブレーキ等の装備がない。
そのためかなり趣味性が高いモデルなのだが、1人乗りや2名乗車であれば十分な広さを持ち、特に雪国の足としては街乗りでの高い走破性から降雪シーズンに頼もしい存在である。
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