【2代目・前期型】パジェロミニ デューク(GF-H58A/TA-H58A型) 概要解説 | シン・軽自動車マニア

【2代目・前期型】パジェロミニ デューク(GF-H58A/TA-H58A型) 概要解説

パジェロミニ

パジェロミニは三菱のSUV型軽自動車。デュークはそのカスタムモデルである。本稿では2代目パジェロミニの前期に設定されていた「デューク」を扱う。

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出典:Goo-net
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三菱 2代目パジェロミニとは?

1994年にジムニーに対向する形で登場した初代・パジェロミニ。そのパジェロミニは1998年の軽自動車新規格を受けて同年の10月に2代目へとフルモデルチェンジした。

2代目ではそれまでの特徴だった丸目ヘッドライトを廃止し、オーソドックスな角型ヘッドライトを採用。

新規格に対応したことでボディ形状は全長で100mm、全幅で80mm拡大するもののスタイリング(パジェロスタイル)はほぼ先代を踏襲。顔つき以外は先代とほぼ同じ外観となっている。

また、モノコック高剛性ボディにクラッシャブルボディ構造とブレーキアシスト機構の採用で、当時の軽自動車としては優れた衝突安全性を誇っていた。

エンジンは新開発となる4A30型4気筒SOHC16バルブ新リーンバーンMVVエンジンと4A30型4気筒DOHC20バルブインタークーラーターボエンジンを搭載

。また、先代のオートマは3ATだったが、2代目で電子制御式4ATに置換された。また、2代目では燃料タンクも拡張され、初代の35Lから43Lへ8Lの容量アップがはかられた。

デビュー当初からパジェロミニはジムニーに対して「シティユース」というキャラクターを出していたがこの2代目ではそれが顕著だった。

ベースモデルに対してより個性的な顔をもたせたり(パジェロミニ・デューク)、初代を彷彿とさせる丸目を用意したり(パジェロミニ・リンクス)、はたまたレカロシートを装備したスポーティーなモデルを追加したり(パジェロミニ VR-S)とまさにムーヴとムーヴカスタムの関係のようなグレード展開をSUVで行っていた。

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基本性能は変わらないものの見た目をアレンジし、個性的なモデルを投入することでジムニーに対抗していた。

ジムニーはグレードこそあってもデザインがほとんど変わることなかったが、パジェロミニはフロントデザイン等を変更した派生グレードを用意していた。デュークもそのひとつであり、軽ワゴンでいうならば○○カスタムといった位置づけである。

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2代目パジェロミニ デュークとは?特徴とデューク前期・後期の違い

パジェロミニ デュークの特徴と装備

1999年1月に追加される形で登場したパジェロミニ・デューク。パジェロミニ・デュークは初代にも存在したパジェロミニのカスタムモデル。

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デューク専用グリルやサイドアンダースポイラー、サイドガーニッシュ、専用バンパーなどで個性的な顔つきとし、内装も専用品を与えスポーティ感を強くしたモデルである。

エクステリアでは

  • 専用大型メッキラジエーターグリル
  • 専用フロントバンパー
  • 専用リアバンパー
  • サイドプロテクトモール
  • サイドガーニッシュ
  • 専用スペアタイヤカバー
  • アルミホイール

を。ボディカラーは

  • ピレネーブラック(P)
  • ソフィアホワイト(S)
  • シンフォニックシルバー(M)

の3色のみの設定。このうちピレーネブラックはボディ下部をシルバーで塗り分けた2トーン仕様となる。2001年10月の仕様変更ではボディカラーが変更され、

  • ブラック(P)
  • ホワイト(S)
  • ミディアムシルバー(M)

のモノトーン3色のみとなった。

インテリアでは

  • デューク専用インパネ
  • デューク専用シート表皮
  • デューク専用ドアトリムクロス

を与え内外装で個性的にかつスタイリッシュとした最上級グレードとなっていた。

前期デュークと後期デュークの違い

なお、2代目パジェロミニ・デュークでも年式よって2種類あり、内外装やエンジンが異なる。

2代目(H58A)の前期型デュークは1999年1月~2000年10月まで。最大の特徴はエンジンがツインカムの20バルブターボな点で、このほか外装もツートンカラーの設定があり、内装もダークグリーン&ベージュの組み合わせによる専用内装。

後期型は2000年11月~2003年8月まで。2000年11月にデュークはマイナーチェンジを受けカラーリング等内外装が若干変更された。ボディカラーはツートンカラーが廃止となりモノトーン3色のみ。

内装も後期型ではブラック内装に変更。また、排ガス規制の関係で2002年9月以降は20バルブのツインカムターボがシングルカムのSOHCターボに置換されている。

ゆえに2002年9月~2003年8月のデュークはSOHCターボエンジンが搭載される。

パジェロミニ・デュークのエクステリア(外装)

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出典:Goo-net

フロントデザイン。デュークのフロントは、ヘッドライトやフォグランプまわりこそ同じだが、中央部に縦方向に大きくスロットの入ったメッキグリルを採用し、鉄仮面のような力強いデザインになっている。

「PAJERO MINI」のロゴマークと相まって非常に個性的だ。これ以外にもフォグランプやアンダースポイラー付きフロントバンパーなどでカスタム感も強い。

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出典:Goo-net

サイドから。デューク仕様としてドアの下部に「Duke」のロゴマークが入りサイドプロテクトモール、下部にはサイドアンダースポイラーが標準装備となる。

デビュー当初はツートンカラー仕様だったが、2000年11月の改良時ではモノートーンへ変更された。

足元はアルミホイールを標準装備。サイズはパジェロミニ純正と同じ175/80R15。

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出典:Goo-net

※後期デューク(2000年11月~)

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出典:Goo-net

リア。デュークでは標準で純正リアスポイラーが付く。フロントデザインと相まってかなりいい感じだ。コンビランプ等のデザインはノーマルと同じ。

リアバンパーもデューク用でフロントと同じくエアロパーツが付くスタイリッシュなもの。パジェロミニでありながら、フルエアロ化されている。

このほかタイヤカバーも標準装備する(黒銀2トーン仕様はタイヤカバーも2トーンとなる)

エンジン・機能装備・安全装備など

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エンジンは4A30型DOHC 20バルブ4気筒インタークーラーターボエンジン。初代と同じく1気筒あたり5バルブの高性能エンジンで、あの7代目ミニカ・ダンガンでも採用されていたツインスクロールターボエンジン。

最高出力は64ps(47kW)/7000rpm、最大トルクは10.2kg・m(100N・m)/3500rpmを発生する。

ただし、排ガス規制に引っかかりこの4気筒ターボは2002年9月のマイナーチェンジで廃止。代わりに自然吸気エンジンをターボ化した4気筒SOHC16バルブインタークーラーターボに切り替わった。

これにより2002年9月生産以降のデュークは最高出力が64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.0kg・m(88N・m)/4000rpmに変更されている。

トランスミッションは4ATまたは5MTのどちらからで、駆動方式はパートタイム4WD(イージーセレクト4WD)のみの設定。デビュー当初ABSはオプション設定、2001年10月で標準装備化された。

パジェロミニ・デューク(H58A)の持病 ATの不具合

ATの持病・弱点

2代目パジェロミニには有名な持病がいくつかあり、一番多くかつ修理費用がかさむ持病に「ATの不具合」がある。

ボディは頑丈なのだが4ATのバルブボディ(内部のストッパープラグ)という部品に不具合が生じて変速が上手く行われにくくなる。

特に高速道路の巡航や登り坂など回転数が高くなりがちな運転を行い、高油圧状態を繰り返すと負荷が蓄積し故障のリスクが高くなる。

これが発病すると最悪ATミッションの交換となり、リビルト品と工賃で総額30万円ほどかかる高額修理となるケースも(※ミッション交換以外の修理の場合はこれよりも安くなおる場合もあり)。

特にリンクスの設定があった2代目の前期型(2002年8月生産以前モデル)では不具合が発生しやすい。この後2002年9月以降はバルブボディのストッパープラグが対策品に変更され、壊れにくくなった。

MTではこういった事例の報告はない(※ただし前ユーザーの使い方でミッションに癖がついている場合あり)ため、可能であれば5MTの購入がオススメ。

サーモスタットの寿命

次に有名なのはサーモスタットの故障。サーモスタットは冷却水付近にあるパーツで、温度によって弁が開いたり閉じたりするのだが、これが壊れた開いたままの状態になる。

そうなると走行しても水温計が真ん中まであがらず、あるいは全然上がらずヒーターすら効かなくなってしまう。さらにアイドリング回転数も上昇するため極端に燃費が落ちる。パジェロミニで燃費が7~8と極端に悪い場合、サーモスタットの故障を疑う価値はある。

パジェロミニのサーモスタットは経年劣化や過走行で壊れやすく、特に10年以上または10万キロ以上の個体であれば不具合が起きやすい。

こちらについては素人のDIYでも作業可能なので特に大きな心配は不要だが、発生した場合はできるだけはやめの対処をおすすめする。

なお、古いパジェロミニのサーモスタット交換の際に紙パッキンを使用する時は「液体ガスケット」も併用することをオススメする。

新しい紙ガスケットをそのまま使うと、どんなに綺麗にヤスリで削りとっても古いガスケットが残り、密着性が低くなり、高確率で水漏れの原因になる(管理人も自分の車で経験した)。

なので、紙ガスケットの周囲に薄く液体ガスケットを塗って気密性を高くすると水漏れが回避可能となる。

点火プラグとイグニッションコイルの摩耗

あとは持病とまではいかないが過走行のパジェロミニ(8万キロ以上)は点火プラグとイグニッションコイルが交換時期にきている場合がある。

特にパジェロミニのイグニッションコイルは2気筒で1本を使用するタイプ。1本1気筒のタイプより2倍負荷がかかり、かつ4気筒で高回転を多様しがちな4A30型エンジンではイグニッションコイルにかかる負荷もかなりのもので、一般的な軽自動車のイグニッションコイルの寿命目安である8万キロよりも短めと考えたほうが良い。

過走行のパジェロミニで点火プラグ、イグニッションコイル、プラグコードをセットで新品交換すれば燃費改善や加速向上などが期待できる。

また、点火プラグが劣化したまま交換せずに使い続けると最悪プラグ先端が溶け落ちてバルブ内を損傷。1気筒死んでエンジン載せ替えかバルブ修理が必須の事態まで発展する。修理費用もAT修理に並ぶぐらい高額になるケースもある。

最近は年式が古くなり、過走行ゆえにこの事例を発生するパジェロミニの報告例が多くなっているので、中古のパジェロミニを買う場合は十分注意されたい。

2代目パジェロミニ(H53/H58)の燃費改善について

パジェロミニに搭載されたエンジンは4気筒の高回転型。そのため点火プラグやイグニッションコイルの劣化がはやく、車重やカタログ燃費以上に燃費を悪化させる要因となりうる。

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特に2代目パジェロミニは生産終了から新しいものでも10年は経過し、安い中古車なら10万キロを越えた個体を買うケースもあると思う。

軽自動車の点火プラグはイリジウムでも5万キロが限界だが、高回転なパジェロミニのエンジンでは4万キロが限界とみる。

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そしてイグニッションコイルもセミダイレクトイグニッション式のため2気筒で1つを併用(残り一個はプラグコードで供給)するタイプ。1気筒1個タイプよりも劣化がはやく、点火プラグが劣化してくるとイグニッションコイルへのダメージも大きくなる。

そのため過走行なパジェロミニ(8万キロ以上)の場合は点火プラグやイグニッションコイル+プラグコードを新品交換することにより燃費アップやトルクの回復などが期待できる。

なお、点火プラグの限界を越えて使用し続けた場合、プラグ先端の金属がシリンダーに溶け落ちバルブを損傷させエンジンブローを引き起こす場合もある。

その際はエンジン載せ替えやオーバーホールなど高額な修理費用がかかるため、特に現状渡しの中古車を購入した場合はまず点火プラグやイグニッションコイルの確認をオススメする。

※H53/H58A型 H51A/H56A型 パジェロミニ用NGK点火プラグ プレミアムRX4本 DCPR7ERX-P

※H58A前期20バルブDOHCターボ用イグニッションコイル

※H58A後期16バルブSOHCターボ&自然吸気エンジン用イグニッションコイル

※H53A/H58A型の20バルブDOHCターボ用プラグコード

※H51A/H56A型、H53A/H58A型の16バルブSOHCターボ用/自然吸気エンジン用プラグコード

インテリア

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インパネ。デュークでは内装でも専用品が与えられる。グリーンとブラックを組み合わせたツートンカラーとなり、ノーマルよりもスタイリッシュ感を強くしている。

デビュー当初は助手席インパネにグリップが付いているが、助手席エアバッグ標準装備化後はこれが無くなった。

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スピードメーター。このあたりはノーマルと共通だ。

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これはイージーセレクト4WDの切り替えレバー。シフトレバーのすぐ下に配置されている。普段は2WDで、雨や降雪時に4WDのHIモード。

万が一ぬかるみでスタックした場合はLowモードにして強力な4WDを使うことが出来る。詳細はこちらを参照。

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フロントシートはセパレートタイプ。ドアトリムクロスと共にデューク専用のシート表皮となっている。

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なお、2002年9月マイナーチェンジ(SOHCエンジンに置換後)ではインパネとシート表皮が刷新された。

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後部座席はちゃっちい作り。やはり2名乗車と割り切ったほうが良さそうだ。

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ボンネットエリアにかなりのスペースを使っているため荷室はかなりせまめ。ただ、2名乗車で使うことを考慮すれば常に座席を倒して使うので問題ないだろう。

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座席を倒せばそこそこ広くなる。

まとめ

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出典:Goo-net

パジェロミニ・デュークはパジェロミニのカスタムモデルという点で、ジムニーにはないデザインの個性さが売り。

ジムニーのようなタフなオフロードで使うような人には向いていないが、街乗りメインで他とは違う1台を探している人には良いモデルである。

特に雪国では大径タイヤに高い車高、スタックに対応した4WDシステムはかなり魅力的であり除雪が追い付いていない市街地と言ったシーンでは頼もしい1台だ。

反面、車重の重さや設計が古い点で燃費が非常に悪く、大きなタイヤも交換時にはかなりのコストを伴う。燃費重視のユーザーは注意しなければならない。

それでも軽自動車でこれだけの走行性能とデザインは歴代パジェロミニの中でも個性的で価値あるモデル。維持費や燃費を許容できるのであれば、選択肢の1台になりうる。

中古市場では2代目パジェロミニ全体のタマ数の中でも前期型という点と、最上級で個性的なモデルゆえにタマ数が極端に少なく希少モデルとなっている。

年式経過ゆえに安い個体が多いがたまに走行距離が少ない上質な個体が出てくると高値となるときもある。

特に前期型のみの搭載された20バルブターボエンジンは現在では考えられないくらい贅沢なエンジンでパワーもかなりある。燃費は良くないが、このエンジンに加え歴代の中でも個性的な顔つきなので、パジェロミニデュークは好きな人には堪らない1台である。

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