アルトはスズキのハッチバック型軽自動車。本稿では6代目のHA24S/24V型を扱う。本稿では6代目(HA24S/24V型)の2006年12月~2009年11月までを後期型とし、これを扱う。
6代目 スズキ・アルトとは?
2004年9月にフルモデルチェンジし、6代目となったスズキ・アルト。6代目では先代のデザインから少し乖離し、角と丸みを基調としたデザインが大きな特徴だ。
6代目アルトのテーマは「自分の時間に気軽に使える親近感のわくクルマ」。軽自動車本来の特徴である経済性の高さや使い勝手などアルトとしての基本性能を追求している。
デザインは若々しさと暖かみをテーマに円と直線をテーマにした外観フォルムとした。居住スペースは直線を。フェンダ部では曲線を用いて美しく安定感のあるスタイリングとし、細部にも円と直線のモチーフを採用した。
6代目アルトでは運転のしやすさや快適な乗り心地を追求。フロントガラスの角度を立てて前方視界を見やすくし、バックドア越しの後方視界も広げてバック駐車をしやすくした。
前後のシートスライド量はそれまでの180mmから240mmに拡大。様々な体型の人でも乗りやすい着座位置を選べるようにした。また、室内高を1230mmとし、上方向のゆとり空間を向上。前席シート着座高を25mm高くして560mm、後席は605mmとし乗降性を向上させた。
荷室はリアシートを倒さずともベビーカーが積める広さとし、上級グレードのXでは分割可倒式リアシートを採用。インパネにはコンビニフックを採用し、4人分のドリンクホルダーのほか、カードケース、フロアコンソールボックス、インパネアンダートレー、フロントドアポケットなど収納スペースを確保。
プラットフォームは軽量衝撃吸収ボディの「TECT」を採用し、衝突安全性を向上。GとXではハザードランプとセキュリティアラームを採用している。
6代目・後期型アルトとは?改良点と前期との違い
その6代目アルトは2006年12月にマイナーチェンジを行い後期型となった。
後期型ではEとXグレードのフロントまわりのデザインが変更されたほか、内装面でブラウン色のシート表皮を新規採用した。
また、EとḠⅡグレードの2WD・3AT車の排ガス性能向上及び燃費性能向上を行い、「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」認定。かつ「平成22年度燃費基準+10%」達成し、グリーン税制適合車とした。
ボディカラーではピンクゴールドの「アンティークローズメタリック」と、アルトでは初採用となる黄緑系の「ライムグリーンメタリック」の新色2色を含めた、全9色を設定。
内外装でより魅力を高めたマイナーチェンジとなっていた。
6代目・後期アルト(HA24S/HA24V)のグレード一覧 E、GⅡ、X、30周年記念車、EⅡ、VP、VS違いなど
6代目後期アルトのグレード展開は乗用モデルの廉価グレード「E」、ミドルグレード「GⅡ」、上級「X」などが設定されたいた。
貨物4ナンバー仕様の軽バン(アルトバン)グレードは「VS」と「VP」を設定。
特別仕様には「EⅡ」、「アルト誕生30周年記念車」が設定されていた。
E
6代目前期アルトの廉価グレード。乗用グレードの中で最も安く、装備が簡略化された安いグレード。
前期で設定された「EⅡ」グレードを「E」グレードに名称変更し、前期モデルよりも装備が拡充された。
エクステリアではスチールホイール+ホイールキャップ、リアのプライバシーガラスが無し、手動タイプのドアミラーで樹脂タイプ・非塗装のドアミラー&アウタードアハンドルで簡素な外観が特徴。
インテリアは前期EⅡ用のファブリックシート表皮を採用。
機能装備もキーレスやABSなどが非装備だが、
- エアコン
- パワステ
- パワーウィンドウー(後期で標準装備化)
- AM/FMラジオ
などは付く。エアバッグも運転席と助手席に標準装備する。
5MTと3ATの2種類で、FFと4WDを設定。
後期のボディカラーは「スペリアホワイト」、「シルキーシルバーメタリック」、「キャッツアイブルーメタリック」に加え、
- 「ライムグリーンメタリック」
- 「ムスクブルーメタリック」
- 「ミルクティーベージュメタリック」
- 「ブライトレッド2」
- 「アンティークローズメタリック」
を加えた全8色に増えた。
GⅡ
6代目後期アルトのミドルグレード。EグレードやEⅡよりも装備が若干良くなる。
後期モデルでは「G」グレードが廃止され、前期で特別仕様車だった「GⅡ」グレードをカタロググレードに昇格。これに統一となった。
エクステリアでは「GⅡ専用グリル」とプライバシーガラスを標準装備し、Eグレードよりもスタイリッシュな外観が特徴。
インテリアでも「GⅡ専用のベージュシート表皮」を採用。
機能装備も
- 電動格納ミラー(4WDモデルはヒーテッドドアミラー)
- キーレス
- パワステ
- エアコン
- パワーウィンドウ
- セキュリティアラーム
などを標準装備。
ボディカラーも「ミルクティーベージュメタリック」、「ブライトレッド2」、「ラベンターメタリック」を含めた6色を設定。
X
6代目後期アルトの上級グレード。Gグレードよりもさらに装備が良くなる。
エクステリアでは電動格納ミラー+カラードドアミラー、リアガラスがプライバシーガラスに変更、アルミホイールを標準装備。
インテリアでもリアシートが分割可倒式シートに変更となり内外装で質感が高くなる。
また、ATモデルでは唯一4ATを採用し静粛性や燃費も良くなる。
2007年6月の一部改良ではEBD付きABSが標準装備化された。
特別仕様車 EⅡ
2007年6月設定の特別仕様車。廉価グレード「E」グレードをベースに
- パワードアロック
- 電波式キーレスエントリーシステム
- UVカットガラス
- セキュリティアラームシステム
- ボディ同色カラードドアハンドル
などを採用し装備を充実さつつお買い得とした特別モデル。
前期では新グレードとして初登場。後期ではEグレードに名称変更しカタロググレードとして設定されていたが、「EⅡ」として再度設定された。
特別仕様車 アルト誕生30周年記念車
2009年5月設定の特別仕様車。アルトの誕生30周年を記念するお買い得な特別モデル。
30周年記仕様では最廉価グレードのEグレードをベースにエクステリアでは
- ドアサッシュとAピラーを黒色装飾
- ボディカラーには特別設定の紺色(ノクターンブルーパール)をはじめとする5色を設定
- リアゲートに30周年記念デカールを貼り付け
快適装備としては
- キーレスエントリー
- パワードアロック
- セキュリティアラーム
を標準装備とし、ベースのEグレードよりもわずか1万円アップの「71万4000円」からとした大変お買い得とした特別仕様車となっいた。
なお、生誕記念モデルはその後の8代目(HA36S)でも再設定され、同じく廉価グレードをベースに魅力的な装備を与えつつ、お買い得な特別モデル(Lリミテッド)として登場する。
VS
6代目アルトの貨物・廉価グレード。乗用モデルの「E」グレードに近い簡素な装備で価格を抑えたグレード。
装備もエアコン、エアバッグ、パワステが付く程度でリアガラスは非スモークタイプ、鉄チンホイール、手動式ドアミラーなど、シンプルな装備が特徴。
ボディカラーは「スペリアホワイト」のみの設定。
VP
6代目アルトの貨物・ミドルグレード。「VS」グレードよりも少し装備を拡充させ使い勝手を向上。
VPグレードではVSに非装備だった「集中ドアロック」と「キーレス」、「セキュリティアラーム」を標準装備。使い勝手を良くした。
なおVPグレードは7代目のアルトバンではVSを廃止してVPのみ継続設定。ラストの8代目アルトバンでも引き続き設定されるなど、アルトバンを示す4ナンバー専用グレードでもある。
エクステリア(外装)
出典:Goo-net
フロントデザイン。後期型ではEとXグレードでフロントグリルおよびバンパー部のデザインを変更。グリルをバンパー一体としたデザインとなった。
さらに後期型ではウィンカーがバンパー部分へ移動し、グリルも大きめの穴が開いたものに変更されている。ただし、GⅡグレードとバンタイプではこの変更は適用されない。6代目後期型の顔つきはちょっとポップな雰囲気が加わった感じだ。
出典:ダイハツ認定中古車
GⅡグレードでは上述のとおり、従来通りのヘッドライト横にウィンカーを配置した顔つきとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
続いてサイドから。全高は先代より30mmアップし室内空間が広くなっている。後期型はフロント周りの変更のみでサイドは特になし。
ボディカラーに関しては後期型で「アンティークローズメタリック」と「ライムグリーンメタリック」の2色が追加された。
さらに2008年7月には「エアブルーメタリック」と「クラッシーレッドパール」が追加。「EII」専用色として設定されていた「マルーンブラウンパール」は全グレードで設定可能となった。
その一方で「ブライトレッド2」、「ムスクブルーメタリック」、「アンティークローズメタリック」、「ライムグリーンメタリック」は廃止となった。
出典:ダイハツ認定中古車
足元はEグレードが12インチ。XとGⅡは13インチホイールキャップ付きスチールホイールとなる。タイヤサイズは12インチが135/80R12、13インチは155/65R13。
出典:ダイハツ認定中古車
リア。このあたりも変更はなく、前期と同じ。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはNAのみの設定。搭載されるK6A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンの最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.2kg・m(61N・m)/4000rpm。
トランスミッションは乗用モデルが3ATまたは4AT、5MTのいずれか。商用モデル(バンタイプ)は3ATまたは5MTの設定。駆動方式はFFまたは4WD。エンジンまわりも変更はなく、前期と同じ内容となる。
安全装備としてはABSがEグレードは非設定。GⅡとXはオプション設定だったが、2007年6月の仕様変更でXグレードのみ標準装備となった。
ただし、2009年4月の仕様変更で最上級のXグレードは廃止された。
6代目アルト HA24SとHA24Vとの違い
6代目アルト、HA24SとHA24Vとの違いは乗用タイプか貨物タイプかの違い。HA24Sは5ナンバー乗用モデルで、HA24Vは4ナンバー貨物バン。
HA24Vは貨物仕様のため後部座席が非常に狭く、かつ垂直の簡易的なシートのため長時間乗車はかなり辛い。基本的にリアは荷室として使うのを前提としたモデル。
また、HA24SとHA24Vとでは内外装も異なり、乗用モデルは内装が少し豪華で、フロントシートやリアシートの形状も異なる。
さらにボディカラーの設定がHA24Vの貨物バンではスペリアホワイト1色&スチールホイールなのに対し、乗用タイプでは白以外のボディカラーやホイールキャップが設定される。
また、HA24Vではドアミラーが樹脂タイプで未塗装。ドアハンドルも未塗装でリアガラスは非スモークタイプとなるなど価格を抑えるために徹底的に簡略化される(ゆえに車重も軽い)。
ただし、税金代がHA24SとHA24Vとでは半分ぐらい違い、13年落ちの重課税となるとその差が大きくなる(HA24Sは12,900円に対し、HA24Vは5000円)。
維持費の安さや車体重量でいえば貨物バンのHA24Vには大きなアドバンテージがある。
インテリア(内装)
出典:ダイハツ認定中古車
インテリアは6代目アルトでは丸型の吹き出し口を採用。それまでオーソドックスな長方形型の吹出口のデザインから一新し、雰囲気が若返った。
ただし質感はプラスチック感があり若干安っぽく感じる。乗用タイプはパワーウィンドウになる。インパネそのものは前期と同じ。
ATのシフトノブ。
出典:ダイハツ認定中古車
こちらはバンタイプの5MTモデル。窓はパワーウィンドウではなく旧来の手動式。
出典:ダイハツ認定中古車
スピードメーター。先代まであったワークス時代にはタコメーターが勇ましかったが、そのモデルも廃止されオーソドックスなスピードメーターに。大きくて視認性が高いので街乗りに適している。
出典:ダイハツ認定中古車
フロントシートはセパレートタイプ。後期型ではブラウン色のシート表皮へ変更された。
出典:ダイハツ認定中古車
アルトバンの6代目後期型で唯一、シート表皮の変更が行われた。
出典:ダイハツ認定中古車
乗用モデルのXグレードでは左右分割式でかつリアシートにヘッドレストがつくが、それでもシートの作りは貧素なもの。
出典:ダイハツ認定中古車
後部座席は倒せば結構荷物が積める。
まとめ
6代目後期アルトの総評
6代目アルトは、先代よりも室内空間がアップし、日常の足として正統進化したモデルだ。
残念ながらワークスの設定が無くなってしまったが、これは売れ筋モデルがハッチバックからワゴンRなどのワゴンタイプへシフトしたことが大きい。あれほどの人気を誇ったアルトワークスでもそのモデル末期では売上が低迷し、次のモデルでは設定を辞めたのだろう。
中古市場では、次の型のモデルがかなり低燃費で、6代目のデザインがイマイチなのか年式や走行距離の割りに安く購入できる。近年ではタマ数がかなり減ってきたため、少し探しづらくなったのがネック。
7代目アルトはヨーロッパ風の丸みを帯びたデザイン、8代目では個性的なデザインとなるので、ちょっと抵抗ある人なんかは以外とこの角ばったアルトを好むかもしれない。そういう人はこの6代目アルトが購入の選択肢となる。
兄弟・OEMモデル 日産ピノ(HC24S)/マツダ5代目キャロル
この6代目アルトは日産とマツダにそれぞれOEM供給され、日産ではピノとして。マツダではキャロルとしても販売された。
フロントのデザインが若干異なるので、このアルトが気になった人はそちらもチェックしてほしい。
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