ミニキャブトラックは三菱の軽トラック型軽自動車。本稿では6代目の中期型(2000年11月~)に設定された特別仕様車、「40周年記念スペシャル」を扱う。
出典:ベヘドオート
6代目 三菱・ミニキャブトラックとは?
1999年1月にフルモデルチェンジし6代目となった三菱のミニキャブトラック。
6代目の大きな特徴は先代よりも前輪の位置をかなり前に配置し、キャビンを大きくとったことにある。さらには軽トラでは珍しいハイマウントストップランプの標準装備など他社とは差別化されていた。
パッケージングはセンターミッドシップレイアウトにセミキャブスタイル&ロングホイールベースの組み合わせ。これにより当時トップレベルの安全性と乗員スペース、積載スペースを確保しつつ機能的で力強いデザインとした。
ボディそのものも1998年の軽自動車新規格に伴い先代よりも全長が100mm、全幅が80mm拡大。これによりクラッシャブルゾーンが増大し、当時の乗用小型車と同等レベルの全方位衝突安全性とした。また、センターミッドシップレイアウトによる50:50の重量配分なども実現している。
安全装備としては運転席/助手席SRSエアバッグとABS及び3点式チャイルドシート固定機構付きリヤシートベルトを全グレードにオプション設定。
エンジンは新開発の3G83型を採用。新リーンバーンMVVを全グレードに搭載し優れた低燃費と排ガス中のCO2を削減した。
使い勝手も前輪を前方に配置したことで前席ドアが大型化。これによりスムーズな乗降とし、ゆとりある足元空間を実現した。さらにラジエーターの配置も見直して積載スペースを拡大。使いやすさも向上させている。
センターミッドシップレイアウトと50:50の重量配分、ロングホイールベースや高剛性ボディ構造、後輪トルクアーム式3リンクリジット&コイルスプリングなどの組み合わせで快適な乗り心地を実現。
4WDシステムにはパジェロミニでもお馴染みのイージーセレクト4WDを採用。80km/h以下で走行中においても道路状況に応じて2WD/4WD-Hiの切り替えが容易に行なえるようにした。これに加えて5MT車ではハイローの切替可能な副変速機も採用した。
6代目・ミニキャブトラック中期型の改良点と前期との違い
6代目ミニキャブトラックはデビュー後約2年後の2000年12月にビッグマイナーチェンジを行った。外観上からもフルモデルチェンジに近い内容で大幅改良だった。
エクステリアではヘッドライトとフロントバンパーのデザインを変更。さらにフェンダーパネルやフロントグリルを追加することでスタイリッシュなイメージとした。
内装はほぼ同じだがオーディオパネルの位置を変更し、2DINサイズのオーディオを装着可能とした。
装備や機能面ではパーキングブレーキを運転席右側から前席中央部に移動、MT車にはクラッチスタートシステムを採用。リアサスペンションはバンプラバーの拡大を含めたチューニングにより積載状態での尻上がり感の是正と操作性を向上。
さらに荷台有効長をそれまでの+70mmアップの1925mmとし、積載能力をアップ。加えて亜鉛メッキ鋼板の採用部位の拡大、床下、 ドア・サイドシル内部への防錆剤塗布等の防錆処理をメーカーオプションで設定し、錆に対する耐久性を向上。外装と機能面や装備面でより魅力を高めたマイナーチェンジとなった。
特別仕様車・ミニキャブトラック40周年記念スペシャルとは?特徴と他との違い
その6代目中期型ミニキャブトラックに2006年5月。初代モデル登場から生誕40周年を記念する特別仕様車が軽貨物バンの「ミニキャブバン」と軽トラックの「ミニキャブトラック」の両方に設定された。
そのうちの軽トラックの方がこの「ミニキャブトラック 40周年記念スペシャル」である。
出典:ベヘドオート
ミニキャブトラック40周年記念スペシャルは、充実装備のVX-SE(エアコン付き)グレードをベースにエクステリアでは
- メッキフロントグリル
- インナーを光輝タイプとしたマルチリフレクターヘッドランプ
- ボディ同色(ホワイトソリッド)の大型ドアミラー
を採用。
インテリアでは
- シート生地をファブリック化
- インパネのセンターパネルに木目調パネル
を採用し乗用車テイストを強めつつ、ベースモデルよりも差別化をはかり上級な内外装を与えた特別仕様車であった。
エクステリア
出典:ベヘドオート
前期と比べてひとめで違うのはフロント。縦方向に大きくファニーフェイス寄りのヘッドライトはほぼ長方形の角型ヘッドライトへ変更された。
40周年記念スペシャルでは本来インナーブラック仕様だったヘッドライトをインナーメッキ仕様のスタイリッシュなマルチリフレクターヘッドライトに変更。
加えて40周年記念スペシャルではグリルもメッキグリルを標準装備とし、特別感とりスタイリッシュな雰囲気とした。
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サイドから。前期よりも少し荷台が拡大されている。ヘッドライトの変更に伴いすぐ隣りあったサイドウィンカーが廃止されている。また外からではわからないがキャビン内部が形状変更されている。
最低地上高は軽トラックとしては低めの150mm。
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40周年記念スペシャルではドアミラーをボディと同色化。
軽トラックではここが非着色の樹脂カラーとなることが多いが、40周年記念スペシャルではこれをボディカラーに着色し、乗用車感を出している(※ただし電動格納式リモコンドアミラーとはならず、手動タイプとなる)。
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足元は12インチスチールホイール。
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リア。このあたりはベースモデルと同じ。40周年記念スペシャルを示すエンブレムやデカール類は装着されない。
エンジン・機能装備・安全装備など
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エンジンは3G83型3気筒SOHC自然吸気のみ。
最高出力は48ps(35kW)/6000rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpm。トランスミッションは5MTまたは4AT、2種類。
駆動方式はFRまたは4WDとなる。4WDについてはAT、MTともにパートタイム仕様で、MTの場合は副変速機が付いてた。
インテリア
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インパネ。中期型がベースなので上述のとおりオーディオパネルのデザイン変更が実施され、それまで搭載不可能だった2DINタイプのオーディオもしくはナビを設置可能とした。
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40周年記念スペシャルではインパネのセンターパネルに木目調パネルを採用。軽トラックでは珍しい木目調パネルを標準装備することで、インテリアでも乗用車ライクな雰囲気とした。
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スピードメーター。前期と同じでこのあたりはベースモデルに準ずる。
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5MT。4WDモデルではイージーセレクト4WDが備わり、シフトノブの下に切り替えスイッチが付く。さらに5MTでは副変速機の切り替えレバーがシフトノブ左側に備わる。
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ATのシフトレバー。
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シート。40周年記念スペシャルではシート生地がファブリック仕様となり、ベースモデルよりも機能性がアップした。
まとめ
出典:ベヘドオート
6代目中期型のミニキャブに設定された特別仕様車、「40周年記念スペシャル」は外装にメッキグリル、インナーメッキのヘッドライト、ボディと同色のドアミラーを。
インテリアでは木目調パネルにファブリックシート生地など内外装で乗用車テイストを強めた特別仕様車となっていた。
U61T/U62T型の40周年記念スペシャルは特に見た目が良く、ベースモデルの特徴的なインナーブラックなヘッドライトとはかなりイメージが異なるので、ベースモデルの見た目が気に入らない人向けの選択肢の一つでもあった。
中古市場では年数経過もあるが、特別仕様車とあってかなり台数が少ないレアな軽トラックとなっている。ただしプレミアム価格は付いていないのでベーシックな装備で見た目が良く、価格も安い軽トラを探している場合は候補にしても良いモデルといえよう。
なお、40周年スペシャルはその後「ラグジュアリーパッケージ」としてカタロググレード昇格。モデル終盤まで継続販売され続けた。
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