タウンボックスは三菱の1BOX型軽自動車。本稿では初代U6○W系の2000年11月マイナーチェンジ~2007年11月までを中期型とし、これを扱う。
出典:三菱認定中古車
初代 三菱・タウンボックスとは?
1999年4月にデビューした三菱・タウンボックス。それまであったブラボーの後継車としてデビューした。
形はエブリイやアトレーと同じようにフロントタイヤを最前方に配置&エンジンを運転席したに設けるキャブオーバー型を採用。ただし、独自設計で足元空間を拡大するなど差別化を図っていた。
また、当時の軽自動車としては珍しいリアコンビネーションランプにハイロー独立式の4灯式を採用。乗用モデルらしい豪華な装備品も特徴であった。
パッケージングは全長3395mm、全幅1475mm、全高1890mm。室内長は1840mmで室内幅は1220mmとし、人や荷物をたっぷり積める室内空間とした。
出典:三菱認定中古車
安全面では50km/hでの前面衝突に対する乗員の生存空間、および50km/hでの後面衝突時の燃料漏れ防止基準をクリア。加えて自動車安全情報の55km/h前面衝突、着座位置の地上高が高いために新衝突安全基準を免除されている側突にも充分対応とした。
また、運転席SRSエアバッグを全車に標準装備、助手席SRSエアバッグは一部標準装備。3点式チャイルドシート固定機構付リヤシートベルトを全車標準装備。4センサー3チャンネルABSをオプションで全車にオプション設定とした。
エンジンはリーンバーンMVV搭載の3G83型3気筒自然吸気エンジンと、パワーや静粛性の高い4A30型4気筒20バルブインタークーラー付きターボエンジンの2種類を設定。
駆動方式はFRとイージーセレクト4WDの2種類で、トランスミッションは5MTと4ATの2種類。自然吸気エンジンの5MT車にはハイロー切り替えの副変速機を搭載。
5ナンバーの乗用モデルとして、フロントシートにはローバックセミバケット式シートを採用。リアシートには左右独立のリクライニング付リヤシートとし、利便性や後部座席の快適性をアップさせている。
初代タウンボックス 中期型の改良点と前期との違い、4A30型20バルブDOHCターボエンジンの廃止
その初代タウンボックスは2000年10月のマイナーチェンジで中期型となった。
中期型では新デザインのフロントバンパー、フロントグリル、ヘッドライトによりデザインを一新。シンプルかつスタイリッシュな顔つきとした。また、タウンボックスの「LX」と「RX」グレードサイドシルガーニッシュを追加。
内装ではリアの5:5セパレートシートを廃止。代わりに大型のアームレスト、カップホルダーを装備した6:4分割式ベンチシートを新採用。これによりリアシート収納時にくぼみが出来ないフルフラットなラゲッジスペースとなった。また、シート表皮も明るいベージュ系のシート表皮へ変更した。
インパネデザインも小変更し、エアコン操作部とオーディオの位置を入れ替え、2DINサイズのオーディオが装着可能となった。
機能面ではパーキングブレーキを運転席右側から前席中央部へ移設。SRS運転席&助手席エアバッグ、フロントシートベルトプリテンショナーを「タウンボックス」の全グレードに車標準装とした。さらに5MT車には新たにクラッチスタートシステムを採用し、デザインを機能面で大幅な改良を施したマイナーチェンジとなった。
なお、初代タウンボックスのターボ仕様で搭載されていた4A30型直列4気筒20バルブターボエンジンは中期型マイナーチェンジ当初は継続採用されていたが、排気ガス規制をクリアできず2002年7月で消滅。変わって3気筒ターボに置換された。
中期型・初代タウンボックスのグレード一覧 SX、LX、RX、サウンドビートエディション、ホワイトエディションの違いなど
初代・中期型タウンボックスのグレード展開は廉価グレード「SX」、自然吸気エンジン・上級「LX」、「LX エクシードパッケージ」、ターボエンジン搭載・上級「RX」、「RX エクシードパッケージ」の5種類。
モデル途中までは各SX、LX、RXの各グレードにハイルーフか、サンルーフ仕様かの2種類が設定されていた。
特別仕様車には「サウンドビートエディション」、「ホワイトエディション」が設定されていた。
軽バンのミニキャブバンについてはこちらから。
SX
初代・中期タウンボックスの廉価グレード。
エクステリアはアルミホイールが非装備で、リアのプラバシーガラスも非装備で簡素な外観が特徴。
インテリアでもタコメーター無しの単眼式メーターなど、一部装備が軽バンのミニキャブバンに近い仕様となる。
これ以外はLXなどと同じでタウンボック用ヘッドレスト分離型フロントシート、ヘッドレスト付き分割式リアシート、キーレス、パワーウィンドウ、パワステなどの快適装備が標準装備となる。
その分価格が抑えられていた。
LX
初代タウンボックスの自然吸気エンジン・上級グレード。
エクステリアではフロントメッキグリルが付くものの、サイドアンダースポイラーやアルミホイールが非装備。ホイールキャップなどで簡略化される。リアスポイラーはオプション設定。
インテリアはRXグレードと同じでタコメーター付き2眼式メーターや3本ステアリングホイールなど乗用モデルの内装を採用する。
LX エクシードパッケージ
LXの装備に「光輝タイプのメッキグリル」、「木目調インパネガーニッシュ」など標準装備し、よりスタイリッシュとしたグレード。
RX
初代タウンボックスのターボエンジン・上級グレード。
Eグレードに対してサイドアンダースポイラー、13インチアルミホイールを標準装備しスポーティな外観となる。リアスポイラーはオプション設定。
ただしパワースライドドアは上級Gグレードでも非装備で、手動式のスライドドアとなる。
RX エクシードパッケージ
RXの装備に「光輝タイプのメッキグリル」、「木目調インパネガーニッシュ」など標準装備し、よりスタイリッシュとしたグレード。
特別仕様車 ホワイトエディション
2001年6月設定の特別仕様車。
携帯用ハンズフリーシステムを搭載し、専用ホワイトボディカラーに専用ストライプテープを施しスタイリッシュさと機能装備をプラスした特別モデル。
このほか木目調パネル、専用シート表皮などでカジュアル感も与えていた。
なお、同年代のパジェロミニなどにも似たようなモデルが設定されている。
特別仕様車 サウンドビートエディション
2003年10月設定の特別仕様車。
当時の最新型の三菱電機製6連奏CDチェンジャー機能付き2DIN MD-CD一体型オーディオを標準装備し、音にこだわった特別モデル。
このほかスピーカーを標準で4スピーカー仕様とし、フォグランプや電動格納リモコン式ドアミラーも標準装備とした。
エクステリア
出典:ガリバーアウトレット
フロントデザイン。前期型では異型台形型のヘッドライトだったのが、グリルから続く直線基調のライトへと変更された。
これにより前期型の変わった顔つきから、オーソドックスな顔つきへと変化した。非常に受け入れやすいデザインだ。他にもヘッドライトやバンパー形状も変更。フォグランプの位置もバンパー下部へと移動している。
出典:三菱認定中古車
なお、2007年12月マイナーチェンジ(後期型)ではフロントグリルのデザインを刷新。センターに太いラインを入れ存在感を大きくした(※形状はミニキャブバンのグリルをメッキ化)デザインへ変更した。
オーソドックス感やスタイリッシュさを感じる万人受けしやすいデザインが中期型の特徴である。このほかドアミラーは中期型の2006年12月の一部改良時に形状が縦長へ変更されている。
出典:三菱認定中古車
サイド。全体的な構成はスズキのエブリイと同じく、タイヤが最前列にありエンジンは運転席の下、その分ひろい荷室を確保した設計で、後部座席以降の広い空間が魅力的だ。
中期型では廉価グレードのSXグレードを除いたLXとRXグレードでサイドシルガーニッシュが標準装備となった。タイヤサイズは同じく165/65R13。SXグレードにはアルミホイールをオプション設定。LXとRXではアルミホイールを標準装備とした。
出典:三菱認定中古車
リアのコンビランプは設計年代から古臭い感はあるが、軽自動車では珍しいブレーキランプと尾灯が独立した非一体型の4灯タイプである。中期型はリアまわりの変更点は特になし。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはNAとターボの2種類。初期の頃はパジェロミニなどに搭載されていた4気筒DOHCターボが存在したが、排ガス規制の問題で後に3気筒SOHCターボに変更されている。
2002年7月までのRXグレードに搭載されたターボエンジンは4A30型・4気筒DOHC20バルブインタークーラー付きターボエンジン。最高出力は64ps(47kW)/6500rpm、最大トルクは10.0kg・m(98N・m)/3000rpm。
2002年8月以降は3気筒エンジンの3G83をターボ化したものに置換。直列3気筒SOHC12バルブインタークーラー付きターボエンジンの最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは8.8kg・m(86N・m)/3000rpm。
自然吸気エンジンはXSとLSグレードで3G83型直列3気筒SOHC(リーンバーンエンジン)。最高出力48ps(35kW)/6000rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpm。
トランスミッションは4ATまたは5MT、駆動方式はFRか4WD。ただしターボ仕様でRXグレードの4WDは2002年8月以降にそれまでのパートタイム4WDからフルタイム4WDへと変更となった。
安全装備としてはSRS運転席&助手席エアバッグ、フロントシートベルトプリテンショナーを標準装備。ABSは引き続きオプション設定となっていた。
初代・中期型タウンボックス U61W/U62W/U63W/U64Wそれぞれの違い
初代、中期のタウンボックスはエンジンや駆動方式により型式が異なる。まず、3気筒自然吸気エンジンの場合はU61WまたはU62W。ターボエンジンの場合はU63WまたはU64Wとなる。
駆動方式でも異なり、自然吸気エンジンで2駆(FR)だとU61W。自然吸気エンジンの4WDはU62W。かわってターボエンジンの2駆(FR)だとU63W、ターボで4WDならU64Wとなる。
なお、2002年8月以降のターボ仕様の4WD(RX)はパートタイム4WDからフルタイム4WDに変更となった。
インテリア
初代タウンボックス、中期型のインパネ。デザインそのものは前期と同じだが、中央部のエアコンパネルの位置が下部から上部へ移設。前期では搭載できなかった2DINタイプのオーディオやカーナビが搭載できるようになった。
エアコンはマニュアル式エアコン。ステアリングはウレタンステアリングホイールで、本革巻きステアリングは非設定。
タコメーター。2002年7月までの20バルブターボの場合はレッドゾーンが8000rpmまでのタイプ。
20バルブターボ廃止の2002年8月以降、3気筒ターボ仕様ではレッドゾーンが7000rpmのタイプとなる。なお、SXグレードではタコメーターレスの1眼タイプとなる。
5MTのシフトノブ。フロアシフトを採用。
ATもフロアシフト。
フロントシートはセパレートタイプ。中期型ではシート表皮が明るいベージュ系のシートカラーに変更された。
リアシート。中期型ではそれまでの5:5セパレートタイプから、6:4の分割可倒式へと変更となった。肘掛けとカップホルダーも増設されており、快適性がアップしている。
リアは座席を倒さずともこの広さ。
リアシートを倒した状態。中期型以降ではリアシートの形状変更により中央部のくぼみができなくなった。これにより完全フルフラットな荷室となる。
まとめ
初代・中期型のタウンボックスは刷新されたフロントデザイン、機能性や快適性がアップしたリアシートとラゲッジスペース、新シート表皮の採用で内装の雰囲気も変化しているのが特徴である。
伝説のエンジン、4A30型の20バルブツインカムターボエンジンが廃止されたのが大きなポイントでもあるが、それまでのタウンボックスが尖りすぎていた部分もあり、よく言えば普通に戻ったともいえる。
中古市場ではさすがに古いモデルとなるためタマ数が少ないが、人気のエブリイワゴンやアトレーワゴンよりもあまり人気が無いのでタマによってはお買い得感がある。
この後最後のマイナーチェンジを歴て三菱製タウンボックスは終了となり、2代目以降はスズキ・エブリイワゴンのOEMモデルとしての登場となる。
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