【6代目 中期型】三菱 ミニキャブバン(U61V/U62V型)概要解説 | シン・軽自動車マニア

【6代目 中期型】三菱 ミニキャブバン(U61V/U62V型)概要解説

タウンボックス

ミニキャブバンは三菱のワンボックス型軽自動車。軽バンと呼ばれる軽貨物車である。本稿では6代目U61VとU62V型の中期型(2000年12月~2011年10月まで)を扱う。

出典:ガリバー
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6代目 三菱・ミニキャブバンとは?

1999年1月にデビューした6代目三菱・ミニキャブバン。ミニキャブトラックと同時デビューで新規格の軽商用車として誕生した。

形はエブリイやハイゼットカーゴと同じようにフロントタイヤを最前方に配置&エンジンを運転席したに設けるキャブオーバー型&ロングホイールベースを採用。ただし、独自設計で足元空間を拡大するなど差別化を図っていた。

また、当時の軽自動車、しかも商用の軽貨物としては珍しいリアコンビネーションランプにハイロー独立式の4灯式を採用。乗用モデルらしい豪華な装備品も特徴であった。

ボディカラーも基本の白(ソフィアホワイト)、銀(シンフォニックシルバー)に加え、商用車(軽バン)では珍しい濃青のランスブルーの3色を設定。

出典:ガリバー

パッケージングは先代よりも全長100mm拡大の全長3395mm(※ハイルーフ車)。全幅は80mm拡大の全幅1475mm、全高1890mm。

室内長は2名乗車時に1855mmで室内幅は1370mm、荷室高は1230mmとし、人や荷物をたっぷり積める室内空間とした。

センターミッドシップレイアウトによる採用による前後50対50の理想的な分担荷重、2,390mmのロングホイールベースに1,290mmの前後トレッド、サスペンションは前輪マクファーソンストラット、後輪トルクアーム式3リンクリジット&コイルスプリングにより快適な乗り心地を実現。

安全面では50km/hでの前面衝突に対する乗員の生存空間、および50km/hでの後面衝突時の燃料漏れ防止基準をクリア。加えて自動車安全情報の55km/h前面衝突、着座位置の地上高が高いために新衝突安全基準を免除されている側突にも充分対応とした。

また、運転席SRSエアバッグを全車に標準装備、助手席SRSエアバッグは一部標準装備。3点式チャイルドシート固定機構付リヤシートベルトを全車標準装備。4センサー3チャンネルABSをオプションで全車にオプション設定とした。

エンジンはリーンバーンMVV搭載の3G83型3気筒自然吸気エンジンを設定。駆動方式はFRとパジェロミニなどでお馴染みのパートタイム4WD(イージーセレクト4WD)の2種類で、4WDモデルでは走行中でも道路状況に応じてハイローの切り替えを容易とした(※時速80km以下に限る)

トランスミッションは5MTと3ATの2種類。自然吸気エンジンの5MT車にはハイロー切り替えの副変速機を搭載。上級のCLグレードには4AT車も設定した。

6代目ミニキャブバンのグレード展開はエアコン装備の上級CLグレード、パワステやAMラジオを標準装備したスタンダードなCDグレード、廉価グレードのCSグレードの3種類。

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6代目ミニキャブバンU61V/U62V 中期型の改良点と前期との違い、一部改良など

中期型の改良点など

その6代目ミニキャブバンは2000年12月のビッグマイナーチェンジで中期型となった。

中期型ではフロントデザインを大幅変更。個性的かつ特徴的だったヘッドライトやグリル、フェンダーパネル、バンパーのすべてを変更し顔面の大変更を実施。スタイリッシュなイメージとした。

このほか安全装備として運転席&助手席エアバッグをメーカーオプション設定。MT車にはクラッチスタートシステムを追加。パーキングブレーキ(サイドブレーキ)の位置を運転席右側から前席中央部に移設。操作性と乗降性を向上

快適装備として、インパネはそれまで1DINサイズしか使えなかったオーディオスペースをヒーターパネルと入れ替え、2DINサイズを使えるように改良。中期型マイナーチェンジは特にデザイン面での大幅な改良となっている。

2005年12月一部改良

これ以外に2005年12月の一部改良では全グレードにトリップメーターとヘッドライトレベライザーを標準装備化。

2005年12月の一部改良

2006年12月一部改良ではミニキャブバンの全グレードでサイドミラーを採用し統一化。2007年12月のマイナーチェンジではフロントグリルのデザインを小変更した(横溝タイプから、中央に太いラインをを入れたデザインに変更)。

2009年12月一部改良

2009年12月一部改良ではCDとCLグレードでフロントグリルをボディカラーと同色化。よりスタイリッシュ感をアップさせた。

また、インパネデザインとスピードメーターのデザインも刷新し、近代化。2代目後期型パジェロミニのようにインパネ両側にドリンクホルダーを増設し、ステアリングホイールのデザインも変更した。

2010年8月一部改良

2010年8月の一部改良ではエンジンのフリクション低減等の改良で燃費性能をアップ。バンの2WD車は「平成22年度燃費基準+10%」を達成。「最長10年10万km特別保証延長」の対象車種ともなる。このときに特別仕様車、「40周年記念モデル」を発売

6代目・中期ミニキャブバン(U61V/U62V)と初代・中期タウンボックス(U61W/U62W)との違い

6代目ミニキャブバン中期と初代タウンボックス中期とでは外観、内装、装備面などが異なる。型式も後ろにVが付くと4ナンバーのバン(VAN)を意味し、Wが付くと5ナンバーのワゴン(Wagon)を示している。

基本的に軽貨物のミニキャブバンでは質素で、乗用モデルのタウンボックスでは豪華な装備となる。

U61V/U62V中期型・6代目ミニキャブバンのフロント

U61W/U62W中期型・6代目タウンボックスのフロント

まず外観。左の中期ミニキャブバンではインナーブラックのヘッドライトにブラック塗装のグリル。右側の中期タウンボックスではインナーメッキのヘッドライトにメッキグリルの組み合わせで、構成が180度違う。

軽貨物であるミニキャブバンではベーシック感を演出し、乗用モデルのタウンボックスではよりスタイリッシュ感を出している。

このほかミニキャブバンではアウタードアハンドルやドアミラーが未塗装の樹脂タイプに対し、タウンボックスではボディカラー同色のアウタードアハンドル&ドアミラー(※グレードいよってはメッキドアミラー)となる。

内装でもインパネは同じだが、スピードメーターがミニキャブバンではタコメーター無しの1眼式に対し、タウンボックスではタコメーター付きの2眼式。

U61V/U62V中期型・6代目ミニキャブバンのフロントシート

U61W/U62W中期型・6代目タウンボックスのフロントシート

シートもフロントはミニキャブバンがヘッドレスト一体型の貧弱で簡素なシートに対し、タウンボックスではヘッドレスト分離型で、シート形状も上質かつファブリックシート表皮となる。また、ミニキャブバンではドアトリムクロスが省略される。

U61V/U62V中期型・6代目ミニキャブバンのリアシート

U61W/U62W中期型・6代目タウンボックスのリアシート

リアシートも同様で、ミニキャブバンではヘッドレストが無い一体可倒式の簡易的なシート。タウンボックスではヘッドレスト付きで分割可倒式のリアシートとなる。

ミニキャブバンはあくまで荷物を載せて運ぶ軽貨物という位置づけなので、特に後部座席は簡易的となる。その一方で荷室長はミニキャブバンの方が少し長く、ラゲッジスペースも汚れても大丈夫なようにカーペットでなく、ラゲッジマットなどが使われる。

6代目ミニキャブバン グレード構成 CS、CS2シーター、CD、CLの違いなど

6代目中期ミニキャブバンのグレード構成は廉価「CS」、廉価2名乗車仕様「CS2シーター」、ミドルグレード「CD」、上級「CL」の4種類。標準ルーフとハイルーフの2種類があるが、最上級CLはハイルーフのみの設定。

乗用モデルのタウンボックスについてはこちらから。

【初代・後期型】三菱 タウンボックス(U61W/U62W型)

CSグレード

ミニキャブバンのエントリーグレード(廉価グレード)。日産・クリッパーバンには「SD」グレードとしてOEM供給。

装備を簡略化し、価格を抑えたグレードで、外観では樹脂タイプのドアミラー&ドアハンドル、プライバシーガラス、ホイールキャップが非設定。

快適装備ではキーレスエントリー、パワーウィンドウ、パワステが非装備。エアコンは標準装備でAM/FMラジオはオプション設定。ボディカラーは「ホワイトソリッド」と「シルバーメタリック」の2色を設定。

安全装備として運転席エアバッグは標準装備となる。

CS2シーター

上記SDグレードを2名乗車化したグレード。リアには後部座席が設置されずデフォルト状態でフルラットな荷台が付く。

CDグレード

クリッパーバンのミドルグレード。快適装備がSDグレードよりも豪華になる。クリッパーバンには「DX」グレードとしてOEM。

エクステリアではUVカットガラスを標準装備。プライバシーガラスはオプション設定。

快適装備パワステを標準装備。ただし、前期ではパワーウィンドウ、キーレスエントリーは非設定で、ホイールキャップも無し。AM/FMラジオもオプション設定。

ボディカラーはCSグレードと同じ2色。

CLグレード

ミニキャブバンの最上級グレード。クリッパーバンには「GL」としてOEM。

エクステリアではUVカットガラスを標準装備。プライバシーガラスはオプション設定。

快適装備のパワーウィンドウやキーレスエントリーを標準装備で豪華な仕様に。フロントシートもGLグレードのみ上級なファブリックシート表皮を採用。

たたしCDオーディオや2スピーカーは非設定で、AM/FMラジオのみをオプション設定。

AT車はCLグレードのみの4ATを採用する(SDやDXでは3AT)。

エクステリア(外装)

U61V/U62V中期型ミニキャブバン 2007年12月マイナーチェンジ以降のグリル

フロントデザイン。中期型ではそれまでの特徴的な異型台形ヘッドライトとグリル一体型バンパーのデザインを大幅変更。ヘッドライト、バンパー、フェンダーパネルを一から作り直し、新たにグリルも追加したオーソドックスなタイプとした。

U61V/U62中期型ミニキャブバンのグリル

なお、グリル形状は中期型マイナーチェンジ直後とその後2007年12月マイナーチェンジ以降とでは若干デザインが異なる。デビュー当初は上の写真のように横溝を入れたデザインだったが、2007年12月マイナーチェンジ以降は真ん中に太いラインを入れたデザインに変更された。

軽貨物では珍しいインナーブラックの角型ヘッドライトにブラックカラーのグリルでベーシックでありながらスタイリッシュなデザインともした。前期のデザインが不評だったことが理由だが、ここまでデザインが変わるのも珍しい。

2009年12月一部改良ではCDとCLグレードでフロントグリルをボディカラーと同色化。よりスタイリッシュ感をアップさせた(CXはブラックグリルのまま)。

出典:ガリバー

サイド。このあたりは前期型とほぼ同じ。ただしヘッドライトが新造形となりウィンカーの位置も移動したため、中期型ではフェンダーウィンカーが無くなり、ヘッドライト横に埋め込まれている。このあたりはU61V/U62Vの前期か中期~後期型をサイドビューから見分けるポイント。

足元は12インチスチールホイール。U61V/U62Vの純正タイヤサイズは145R12-6PR。

出典:ガリバー

リア。このあたりは前期とほぼ同じ。軽貨物では珍しい4灯式コンビランプを採用し特徴的なリアビューとなる。ハイマウントストップランプは2008年12月一部改良でほぼ全グレードに標準装備化された。

エンジン・機能

エンジンは自然吸気エンジンのみの設定。3G83型直列3気筒SOHC(リーンバーンエンジン)の最高出力48ps(35kW)/6000rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpm。

トランスミッションはオートマミッションが3ATと4AT(※最上級CLグレードのみ搭載)。マニュアルが5MT。駆動方式はFRかパートタイム4WD。パートタイム4WDでは時速80km以下であれば走行中にFRと4WDの切り替えが可能なイージーセレクト4WDを搭載する。さらに5MTではハイローの切り替え(副変速機)も付く。

安全装備としてはSRS運転席&助手席エアバッグ、フロントシートベルトプリテンショナーを標準装備。ABSは引き続きオプション設定となっていた。

6代目ミニキャブバン U61VとU62V型との違い、ハイルーフと標準ルーフの違い

6代目・中期型ミニキャブバンのU61VとU62Vとの違いは駆動方式。U61Vは後輪を駆動するFRのミニキャブバン。U62VはU61Vベースで前輪を駆動する4WDのミニキャブバン。

ミニキャブバンの4WDシステムはパートタイム4WDで、運転者が任意にFRか4WDを切り替えるタイプ。普段は2駆で走行するため燃費が良いか、悪路に応じて自分で切り替える必要性があるのと、タイトコーナーブレーキング現象も発生するため取り扱いは少々難しい。

また、ミニキャブバンのハイルーフ車とは標準ルーフよりも全高が少し高く、その分室内高も高いモデル。

6代目ミニキャブバンでは上級のCLグレードが全てハイルーフ仕様となり、CDやCSは標準ルーフまたはハイルーフの2種類となる。標準ルーフの全高が1785mmに対し、ハイルーフは1890mmと、約100mm程度高くなる(※乗用モデルのタウンボックスはすべてハイルーフ仕様)。

ラゲッジスペースで背の高い荷物を乗せる場合や、より沢山の荷物を載せる場合はハイルーフを。それ以外は標準ルーフを選択しよう。

U61V/U62Vミニキャブバンの持病 4ATの不具合・トラブル・故障

U61VとU62Vに搭載された4ATは不具合の事例が多く報告されている。これはミニキャブバンに限った話でなく、同年代の2代目パジェロミニ、トッポBJ、eKワゴンeKスポーツの4ATでも同様の不具合が見られる。

内容はバルブボディという部品に不具合が生じて変速が上手く行われにくくなる。これが発病すると冷間時に1速から2速へシフトアップするときに、ムチウチのような大きな変速ショックが発生しする。10分程度走ると不具合は消えるのだが、これを放置すると最悪ミッションが壊れて自走不可となる。

バルブボディまわりを交換や修理しすると治るケースがある(直らない場合はATのコンピュータ交換か、ミッション載せ替えが必要)。可能であればミッションそのものが故障し、高額修理となる前に修理することをオススメする。

中古で購入する場合は、4AT搭載のミニキャブバン(CLグレード)でこれら変速ショックが無いか確認すること(※3ATの不具合はほとんど無いため3ATがオススメ)。

格安で購入しても修理に多額の費用がかかるとかなり痛い。また仕事で使おうと思っている人は故障して不動車となり、足が無くなると営業に支障を来しかねないので注意されたし。

インテリア(内装)

前期インパネ

中期型マイナーチェンジ直後~2009年11月までのインパネ。ドリンクホルダーがインパネに無く、同年代のパジェロミニ同様に少々使いづらい。また、センター部分のオーディオ収納スペースはデビュー当初1DINしか入らず不評だった。

そのため中期型マイナーチェンジ時にエアコンパネルと入れ替えが行われ2DINタイプが使えるようになった。

2009年12月一部改良以降の後期インパネ

2009年12月一部改良時にはインパネデザインが刷新された。このときにドリンクホルダーが左右エアコン吹き出し口前に増設され、使い勝手が大幅向上した。また、オーディオ収納スペースも下部から上部へ移動し、カーナビなど利用しやすくなった。

パワステも2008年12月一部改良でほぼ全グレードに標準装備となった。

シフトノブ

ATのシフトノブ。フロアシフトを採用。

U61V/U62Vの5MTのシフトノブ。

4WDモデルでは左側に副変速機のレバーが備わる。4WDへの切り替えはインパネに設けられたスイッチで行う。

スピードメーター

スピードメーター。中期型~2009年11月までは少しレトロふうな1眼式メーター。軽貨物らしい必要最低限でシンプルなデザイン。

後期スピードメーター(2009年12月以降)

2009年12月一部改良ではスピードメーターも刷新。より見やすく近代化改修された。タウンボックスではタコメーター付きの3眼式に対し、ミニキャブバンでは従来どおりでタコメーター無しの1眼式となる。

エアコン

エアコンはマニュアル式エアコン。2008年12月一部改良以降ではほぼ全グレードにエアコンが標準装備化された。

フロントシート

フロントシートはセパレートタイプ。ヘッドレスト一体型でサイトサポートが弱そうな質素なつくり。

2009年12月一部改良以降ではシート表皮が若干変更され、ブルー系のカラーとなった。

リアシート

リアシート。

リアシート(2009年12月以降)

ラゲッジスペース

ラゲッジスペース。軽バンなのでリアシートを立てた状態でもかなり広い。

リアシートを倒した状態。

6代目・中期ミニキャブバンのまとめ

出典:ガリバー

6代目中期型のミニキャブバンは、大幅変更されたフロントデザイン。2009年12月以降であれば質感と使い勝手が向上したインパネデザインなど、前期型よりもがらりとイメージチェンジしたモデルとなった。

正直なところ前期型はデザインが個性的すぎて、個人的にもとっつきずらい部分があったが、中期型では万人受けしやすいデザインとなり、オーソドックス化されている。この点は無難な軽貨物という点でも合理がいくマイナーチェンジとなっている。

この後の後期型ではヘッドライトのインナーブラックを辞めてグリルもシンプルな顔つきとなり、さらに軽バンらしいマイナーチェンジとなる。このあたりも好き好きは分かれることろ。

中古市場では年数経過もあり、6代目中期型のミニキャブバンは手頃な個体が多い。モデル終盤の2009年12月以降はインパネデザインの変更で若干高くなるが、そのあたりは使い勝手のトレードオフでもある。4ATのモデルには持病的なリスクもあるため、できるなら5MTか、3ATの個体をオススメする。

ちなみに姉妹モデルとして、日産には初代クリッパーバンとしてOEM供給されている。

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