タウンボックスは三菱の1BOX(ワンボックス)型軽自動車。本稿では初代のU61WおよびU62W型の2007年12月マイナーチェンジモデルを後期と定義し、これを扱う。
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三菱 初代・タウンボックスとは?
1999年4月にデビューした三菱・タウンボックス。それまであったブラボーの後継車としてデビューした。
形はエブリイやアトレーと同じようにフロントタイヤを最前方に配置&エンジンを運転席したに設けるキャブオーバー型を採用。ただし、独自設計で足元空間を拡大するなど差別化を図っていた。
また、当時の軽自動車としては珍しいリアコンビネーションランプにハイロー独立式の4灯式を採用。乗用モデルらしい豪華な装備品も特徴であった。
パッケージングは全長3395mm、全幅1475mm、全高1890mm。室内長は1840mmで室内幅は1220mmとし、人や荷物をたっぷり積める室内空間とした。
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安全面では50km/hでの前面衝突に対する乗員の生存空間、および50km/hでの後面衝突時の燃料漏れ防止基準をクリア。
加えて自動車安全情報の55km/h前面衝突、着座位置の地上高が高いために新衝突安全基準を免除されている側突にも充分対応とした。
また、運転席SRSエアバッグを全車に標準装備、助手席SRSエアバッグは一部標準装備。3点式チャイルドシート固定機構付リヤシートベルトを全車標準装備。4センサー3チャンネルABSをオプションで全車にオプション設定とした。
エンジンはリーンバーンMVV搭載の3G83型3気筒自然吸気エンジンと、パワーや静粛性の高い4A30型4気筒20バルブインタークーラー付きターボエンジンの2種類を設定。駆動方式はFRとイージーセレクト4WDの2種類で、トランスミッションは5MTと4ATの2種類。自然吸気エンジンの5MT車にはハイロー切り替えの副変速機を搭載。
5ナンバーの乗用モデルとして、フロントシートにはローバックセミバケット式シートを採用。リアシートには左右独立のリクライニング付リヤシートとし、利便性や後部座席の快適性をアップさせている。
中期型・初代タウンボックスとは?
初代タウンボックスは2000年10月のマイナーチェンジで中型型に移行。
中期型では新デザインのフロントバンパー、フロントグリル、ヘッドライトによりデザインを一新。シンプルかつスタイリッシュな顔つきとした。
また、タウンボックスの「LX」と「RX」グレードサイドシルガーニッシュを追加。
内装ではリアの5:5セパレートシートを廃止。代わりに大型のアームレスト、カップホルダーを装備した6:4分割式ベンチシートを新採用。
これによりリアシート収納時にくぼみが出来ないフルフラットなラゲッジスペースとなった。また、シート表皮も明るいベージュ系のシート表皮へ変更した。
インパネデザインも小変更し、エアコン操作部とオーディオの位置を入れ替え、2DINサイズのオーディオが装着可能となった。
機能面ではパーキングブレーキを運転席右側から前席中央部へ移設。SRS運転席&助手席エアバッグ、フロントシートベルトプリテンショナーを「タウンボックス」の全グレードに車標準装とした。
さらに5MT車には新たにクラッチスタートシステムを採用し、デザインを機能面で大幅な改良を施したマイナーチェンジとなった。
なお、初代タウンボックスのターボ仕様で搭載されていた4A30型直列4気筒20バルブターボエンジンは中期型マイナーチェンジ当初は継続採用されていたが、排気ガス規制をクリアできず2002年7月で消滅。変わって3気筒ターボに置換された。
後期型・初代タウンボックスとは?改良点と前期・中期との違い
そして、2007年12月には2度目のマイナーチェンジを実施し、後期型に。
後期型タウンボックスではフロントメッキグリルのデザインを変更し、より精悍な顔つきに。内装でも新デザインのインパネを採用しよりスタイリッシュかつ使い勝手を向上させた。
さらに快適装備も兼ね、撥水・撥油機能付き新シート表皮(ブラウン色)を採用。
ボディカラーには新色の「ドーンシルバー」を含めた5色とし、最上級グレードのRXには本革巻きステアリングを標準装備とするなど、上級感やスタイリッシュ、使い勝手を向上させたマイナーチェンジとなった。
後期型・初代タウンボックスのグレード一覧 LX、RX、ロアコンプリート、キャンパーの違いなど
初代・後期型タウンボックスのグレード展開は自然吸気エンジン・上級「LX」、「LX エクシードパッケージ」、ターボエンジン搭載・上級「RX」、「RX エクシードパッケージ」の4種類。
特別仕様車には「ロアコンプリート」、「キャンパー」が設定されていた。
軽バンのミニキャブバンについてはこちらから。
LX
初代タウンボックスの自然吸気エンジン・上級グレード。
エクステリアではフロントメッキグリルが付くものの、サイドアンダースポイラーやアルミホイールが非装備。ホイールキャップなどで簡略化される。リアスポイラーはオプション設定。
インテリアはRXグレードと同じでタコメーター付き2眼式メーターや3本ステアリングホイールなど乗用モデルの内装を採用する。
LX エクシードパッケージ
LXの装備に「光輝タイプのメッキグリル」、「木目調インパネガーニッシュ」など標準装備し、よりスタイリッシュとしたグレード。
RX
初代タウンボックスのターボエンジン・上級グレード。
Eグレードに対してサイドアンダースポイラー、13インチアルミホイールを標準装備しスポーティな外観となる。リアスポイラーはオプション設定。
ただしパワースライドドアは上級Gグレードでも非装備で、手動式のスライドドアとなる。
RX エクシードパッケージ
RXの装備に「光輝タイプのメッキグリル」、「木目調インパネガーニッシュ」など標準装備し、よりスタイリッシュとしたグレード。
特別仕様車 ロアコンプリート
2009年11月設定の特別仕様車。タウンボックスをベースにRORAが手掛けた専用エアロパーツを標準装備し、カスタム感を高めたモデル。
自然吸気エンジンのLXグレードとターボエンジンのRXグレードの両方に設定。
ロアコンプリートでは専用フォグランプ付きエアロフロントバンパー、リアアンダースポイラー、サイドスカートを特別装備。軽ワンボックスでありながらカスタムカーのような迫力あるエクステリアとした。
内装でもロアプレートなどを特別装備し特別感を演出。タウンボックスの中でもタマ数が少なく希少・レア車となっている。
特別仕様(特装)車 キャンパー
タウンボックスのルーフ部分に手動開閉式の「ポップアップルーフ」を採用した特装車。
キャンプなどのアウトドアユースを想定し、軽自動車でありながら開放時は室内でも楽に立つことができ着替えにも便利な室内空間を実現したモデル。
このほかキャンパー仕様では以下の装備や特徴がある
- リヤシートを折り畳み、分割式ベッドマットを敷くことにより、2名分のベッドスペースを確保した。
- 車内のプライバシーを守りながら、防寒、防熱、結露防止に効果的な、吸盤装着式の「シェードカーテン」を全窓に標準装備した。
- 手や顔を洗うのに便利なギャレー機能に加え、サブバッテリーシステムやコンセントも装備し、電化製品(300W)の使用も可能とした「ギャレー&シンク」をオプション設定。
- 食事の際などに活用可能な、収納スペース付の「テーブルカウンター」をオプション設定。
- 運転席/助手席/左右スライドドアの窓に装着できる「防虫ネット」を、オプション設定。
ベースグレードはLXとRXの2種類で、それぞれに標準ルーフとハイルーフの2種類を設定。中古車としてはタマ数が少なく、これも希少車となっている。
エクステリア
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前期型ではかなり癖のあるデザインだったがこれを中期型でオーソドックスな形に。
後期モデルではヘッドライトはほぼ共通でフロントグリルをワンポイントのラインメッキパーツを用いたオシの強いデザインとすることでオーソドックスさの中にもきちんとした主張があるデザインとなった。
昨今の軽自動車は挑戦的なデザインが多いため、旧来のベーシックなデザインが好み人にとってはウケがいいだろう。
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サイドから。ドアミラーは中期型の2006年12月の一部改良時に形状が縦長へ変更&それまでの樹脂タイプからカラードドアミラー化されている。全グレードでサイドスカートを標準装備。
足元は13インチ。タイヤサイズは165/65R13で、最上級のRXグレードではアルミホイールが標準装備となる。
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リア。このあたりも特に変更は無い。ワイパーが旧式タイプから最近のものへ変更されている。
コンビランプはタウンボックスの特徴である軽自動車唯一の4灯式タイプ。リアスポイラーはオプション設定。
エンジン・機能
エンジンはNAとターボの2種類。初期の頃はパジェロミニなどに搭載されていた4気筒DOHCターボが存在したが、排ガス規制の問題で後期型では完全に3気筒SOHCターボに移行している。
ターボエンジンは直列3気筒SOHC12バルブインタークーラー付きターボエンジンで、最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは8.8kg・m(86N・m)/3000rpm。
自然吸気エンジンはXSとLSグレードで3G83型直列3気筒SOHC(リーンバーンエンジン)。最高出力48ps(35kW)/6000rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpm。
トランスミッションは4ATまたは5MT、駆動方式はFRか4WD。ただしターボ仕様でRXグレードの4WDは2002年8月以降にそれまでのパートタイム4WDからフルタイム4WDへと変更となった。
安全装備としてはSRS運転席&助手席エアバッグ、フロントシートベルトプリテンショナーを標準装備。ABSは引き続きオプション設定となっていた。
初代・後期型タウンボックス U61WとU62Wとの違い
後期型タウンボックスは駆動方式により型式が異なる。
U61Wはエンジンを前方、後輪を駆動するFRのタウンボックス。U62WはU61Wをベースに全輪を駆動する4WDのタウンボックス。
前期や中期型の初期には4気筒エンジン搭載モデルがあったため、型式はU63WとU64Wが存在したが、その後廃止となったため型式からも消滅した。
なお、2002年8月以降のターボ仕様の4WD(RX)はパートタイム4WDからフルタイム4WDに変更となった。
初代・後期型タウンボックスの持病 4ATの不具合・トラブル・故障
U61WとU62Wに搭載された4ATは不具合の事例が多く報告されている。これはミニキャブバンに限った話でなく、同年代の2代目パジェロミニ、トッポBJ、eKワゴン、eKスポーツの4ATでも同様の不具合が見られる。
内容はバルブボディという部品に不具合が生じて変速が上手く行われにくくなる。これが発病すると冷間時に1速から2速へシフトアップするときに、ムチウチのような大きな変速ショックが発生しする。
10分程度走ると不具合は消えるのだが、これを放置すると最悪ミッションが壊れて自走不可となる。
バルブボディまわりを交換や修理しすると治るケースがある(直らない場合はATのコンピュータ交換か、ミッション載せ替えが必要)。
可能であればミッションそのものが故障し、高額修理となる前に修理することをオススメする。
特にタウンボックスの中でも前期型(2002年8月以前)の4ATが故障しやすく、それ以降は故障しやすいストッパープラグが対策品になるので、ATの不具合事例は少ない。
中古で購入する場合は、4AT搭載のタウンボックスでこれら変速ショックが無いか確認すること(※5MTはこのような故障の事例は無いのでできればマニュアル車をオススメする)。格安で購入しても修理に多額の費用がかかるとかなり痛い。
インテリア
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インパネ。2年後の2009年12月のマイナーチェンジで近代風に変更された。
中期型で使いづらかったインパネ部にドリンクホルダー(両側2箇所)が追加され、かつオーディオはAUX端子を装備した2DIN AM/FM CDプレイヤーに変更している。
さらにオーディオの位置が中期までの下部から上部へ移動したことで、カーナビなどの画面が見やすくなった。
なお、このドリンクホルダーの追加デザインは、同時期にマイナーチェンジした2代目パジェロミニの後期型モデルでもみられ、使い勝手が向上している。
マイナーチェンジ後の後期スピードメーター。これだけ見ると最新モデルにもみえる。
2009年12月以前のモデルではこのように中期型とほぼ同じインパネ。ただし、インパネのカラーがツートン仕様に変更されている。
2009年12月以前のスピードメーターは中期型と同じ。
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フロントシートはセパレートタイプ。2009年12月以降では撥水・撥油機能を施したブラウン色の新シート表皮を採用。ドアトリムクロスと共にイメージの刷新と使い勝手をアップさせている。
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それ以前ではベージュ+グレーのツートンカラーとなっている。同じ顔つきでも年式により内装が異なるので要注意。
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リアシート。
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2009年12月以前のリアシート。
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ラゲッジルーム。片方だけ倒れているがかなり広いことがわかる。
まとめ
初代タウンボックスの後期モデルはオーソドックス中にも主張の強いグリルで、落ち着きと高級感のあるデザインのワンボックス軽自動車となっている。
ライバルはスズキのエブリイワゴン、ダイハツのアトレーワゴン、ホンダのバモスあたりだがデザイン的には一番オーソドックス感があり、万人受けしやすいのでそういった層には人気のあるモデルである。
ただしこの手の軽自動車全般にいえることだが広大な荷室と引き換えに車重が増してかつトランスミッションも古いものが多く昨今の最新モデルと比べると燃費でかなり劣るところがある。
そこは荷室が広いこととのトレードオフだが通勤や街乗りなどストップ・アンド・ゴーが多い街乗りメインの場合は要注意すべきポイントである。
なお、初代タウンボックは日産へ「クリッパーリオ」としてOEM供給された。日産風のデザインでタウンボックスとは若干顔つきがことなり、かつ日産ブランドによりイメージも異なる。こちらも中古で買う場合はチェックされたい。
中古市場では年数経過もあり比較的割安な価格帯となっている。燃費や加速性能、自動ブレーキなどは最新モデルに及ばなが、比較的安くて装備が豪華な5ナンバー乗用モデルの軽バンを探している場合は選択肢にいれても良いかもしれない。
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