クリッパーリオは日産のワンボックス型軽自動車。本稿では三菱・タウンボックスのOEMモデルである初代のクリッパーリオを扱う。
出典:日産認定中古車
日産・初代クリッパーリオとは?
2007年6月に三菱のタウンボックスのOEMモデルとして登場したクリッパーリオ。
日産の軽自動車としては「モコ」、「クリッパーバン/クリッパートラック」、「オッティ」、「ピノ」に続く第5弾の軽自動車となった。
クリッパーリオではクリッパーバンをベースに日産専用のウィンググリルを装着し、わずかながらフロントデザインをデフォルメ。日産らしさを表現した軽ワンボックスとなっているのが特徴だ。また、クリッパーバンにはないターボモデルをラインナップする。
ちなみにクリッパーの由来は「駿馬、俊足を誇る馬」を意味する英語(CLIPPER)からとられている。
エクステリアは専用ダークスモークフロントメッキグリルにインナーメッキヘッドライトで人目で日産車とわかるデザイン。
ボディスタイルはキャブオーバー型&ロングホイールベースを採用。同年代のライバル(エブリイワゴンやアトレーワゴン)と同じスタイリングとした。
ボディカラーはタウンボックスと同じくブラック、ミディアムブルー、クールシルバー、ホワイトの全4色を設定。
パッケージングは全長3395mm。全幅1475mm、全高1905mm。室内長は2名乗車時に1700mm(※クリッパーバンは1855mmでバンより少し短い)で室内幅は1220mm、荷室高は1325mmを確保。リアシートには乗用モデル用・左右分割式シートの採用で多彩なシートアレンジを可能とする。
センターミッドシップレイアウトによる採用による前後50対50の理想的な分担荷重、2,390mmのロングホイールベースに1,290mmの前後トレッド、サスペンションは前輪マクファーソンストラット、後輪トルクアーム式3リンクリジット&コイルスプリングにより快適な乗り心地を実現。最小回転半径4.3mとした。
安全装備として運転席SRSエアバッグ、ABSを全グレードに標準装備。

エンジンはリーンバーンMVV搭載の3G83型3気筒自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類設定。駆動方式はFRとパジェロミニなどでお馴染みのパートタイム4WD(三菱製イージーセレクト4WD)とフルタイム4WDの2種類で、パートタイム4WDモデルでは走行中でも道路状況に応じてハイローの切り替えを容易とし、高い走破製を実現(※時速80km以下に限る)。
トランスミッションは5MTと4ATの2種類。
クリッパーリオ(U71W/U72W)とクリッパーバン(U71V/U72V)との違い
クリッパーリオ(U71W/U72W)は5ナンバー乗用モデルで、クリッパーバンはU71V/U72Vは4ナンバー軽商用モデル(軽バン・軽貨物)。税金が違うのはもちろん、外観や内装(シート形状)、後部座席の足元空間や快適装備、荷室長が異なる。

U71W/U72Wクリッパーリオのフロントグリル

U71V/U72Vクリッパーバンのフロントグリル
エクステリアではクリッパーリオでは標準でメッキグリルが採用されるの対し、クリッパーバンではボディ同色グリルが採用される。またヘッドライトもインナーメッキか、インナーブラックかの違い、バンパーもクリッパーリオとクリッパーバンではデザインが異なる。
全体的にはクリッパーリオの方が洗練されており、乗用車らしい顔つきが特徴だ。足元もクリッパーバンがスチールホイールに対し、クリッパーリオではアルミホイールを標準装備する。
リアに関してはほぼ同じだが、車名エンブレムがデカールかの違いがある。

U71W/U72Wクリッパーリオのフロントシート

U71V/U72Vクリッパーバンのフロントシート
インテリアではクリッパーリオではフロントシートにヘッドレスト分離型シートが採用されるが、クリッパーバンではヘッドレスト一体型の商用車によくありがちなシートが採用される。

U71W/U72Wクリッパーリオのリアシート

U71V/U72Vクリッパーバンのリアシート
後部座席もクリッパーリオは左右分割式のシートに対し、クリッパーバンは左右一体可倒式の簡易的なシート。足元の広さも異なり、後部座席を倒してフルフラットにした際の荷室長もクリッパーリオは1700mmに対し、クリッパーバンは1855mmと、違いがある。
このほかに安全装備としてクリッパーリオはABSが全グレードに標準装備に対し、クリッパーバンはオプション設定など。
クリッパーリオ(U71W/U72W)とタウンボックス(U61W/U62W)との違い
クリッパーリオとタウンボックスとではフロントデザインが大きく異る。

U71W/U72Wクリッパーリオのフロントグリル
クリッパーリオではウィンググリルが採用されたメッキグリルに対し、タウンボックスではオーソドックスな太いラインのグリルをメッキ化したグリルを採用。差別化がなされる。これ以外はエンブレム程度で中身は同じ。
グレード構成は同じでベーシックな自然吸気エンジングレードがクリッパーリオはEに対し、タウンボックスはLX。上級ターボグレードはクリッパーリオがGに対し、タウンボックスではRXとなる。
インテリアに上級装備などを追加したスペシャルパッケージ(タウンボックスはエクシードパッケージ)も同じく設定される。
ただし、クリッパーリオをベースとしたカスタムモデルで「タウンボックスM2」相当の、「エアロバージョン」は設定されるが、タウンボックスの「ロアコンプリート」は日産版には非設定。

クリッパーリオ(U71W/U72W) 前期や後期型の違い、一部改良など
OEM元のタウンボックスでは外装の小変更があったが、クリッパーリオではそれがなく、初代は同じデザインのままだった。
ただし内装では変更があり2010年1月に近代化改修される。そのため初代クリッパーリオは内装の違いで前期・後期とする場合がある。
2007年7月には特別仕様車エアロバージョンを追加(タウンボックスM2相当)。専用エアロバンパー、専用サイドスカート、専用リアアンダースポイラーでワンボックスながら迫力のエクステリアとした。
2007年12月一部改良では内装色をダークグレー/グレーの2トーンカラーに変更。キーシリンダー取付部の強度向上。ボディカラーに「ドーンシルバーメタリック」を追加。シート生地は撥水・撥油加工シートに変更した。さらに運転席シートベルトリマインダーを新規装備。上級ターボ仕様のGでは本革巻きステアリングを標準装備化。
2008年12月の一部改良では道路運送車両の保安基準及び協定規則への対応に伴い、スライドドアセンターレールの端末エッジ部、フロントフェンダー、リアアンダーミラーの形状を変更し、ドリップチャンネル前後端開口部の縮小を行った。
2010年1月の一部改良ではインパネ、スピードメーター、ステアリングまわりのデザインを変更。近代化改修された。同時に新ボディカラーとして、特別塗装色の「ナイトバイオレット・パール(三菱名:ミスティックバイオレット・パール)」と「ホワイトパール」を追加。
2010年8月の一部改良では自然吸気エンジンのEグレードでエンジンのフリクションを低減&燃費を向上。ボディカラーには「チタニウムグレー・メタリック」を新規追加した。
初代クリッパーリオ(U71W/U72W)のグレード一覧 Eグレード、Gグレード、エアロバージョンの違いなど
クリッパーリオ(U71W/U72W)のグレード展開はし自然吸気エンジン上級「E」グレードとターボ搭載上級グレード「G」グレードの2種類。
Eグレードは自然吸気エンジンが採用され、Gグレードではターボエンジンのみの設定となる。また上級装備を追加したオプション「スペシャルパッケージ」(タウンボックスはエクシードパッケージ)も同じく設定される。
ただし、クリッパーリオをベースとしたカスタムモデル、「エアロバージョン」は「タウンボックス M2」と同じく設定される。ただし、タウンボックスの「ロアコンプリート」に相当するグレードは非設定。
なお、タウンボックスと同じくEグレードの4WDは軽バンの「クリッパーバン」と同じ任意に切り替えるパートタイム4WDが採用されるが、Gグレードでは切り替え不要なフルタイム4WDとなる。
軽バンのクリッパーバンはこちらから。

E
初代クリッパーリオの自然吸気エンジン・上級グレード。タウンボックス「LX」のOEMグレード。
エクステリアではフロントメッキグリルが付くものの、サイドアンダースポイラーやアルミホイールが非装備。ホイールキャップなどで簡略化される。リアスポイラーはオプション設定。
インテリアはGグレードと同じでタコメーター付き2眼式メーターや3本ステアリングホイールなど乗用モデルの内装を採用する。
G
初代クリッパーリオのターボエンジン・上級グレード。タウンボックス「RX」のOEMグレード。
Eグレードに対してサイドアンダースポイラー、13インチアルミホイールを標準装備しスポーティな外観となる。リアスポイラーはオプション設定。
ただしパワースライドドアは上級Gグレードでも非装備で、手動式のスライドドアとなる。
特別仕様車 クリッパーリオ エアロバージョン
2007年7月設定の特別仕様車。クリッパーリオをベースに専用エアロパーツを標準装備し、カスタム感を高めたモデル。タウンボックスM2のOEMモデル。
自然吸気エンジンのEグレードとターボエンジンのGグレードの両方に設定。
エアロバージョンでは専用フォグランプ付きエアロフロントバンパー、リアアンダースポイラー、サイドスカートを特別装備。軽ワンボックスでありながらカスタムカーのような迫力あるエクステリアとした。
内装はベースモデルに準じ、エアロバージョンの特別装備は無くEグレードもしくはGグレードと同じ。
エクステリア(外装)
出典:日産認定中古車
フロントデザイン。ベースモデルは三菱・初代タウンボックスの中期型。これに日産版の変更点として初代・クリッパートラックの中期型と同じ「ウインググリル」と呼ばれるT型のグリルを装着。
ただし、クリッパートラックではボディと同色だったのに対し、クリッパーリオではダークスモークメッキ化された精悍なグリルを採用。商用車とは差別化されている。これ以外ではベースとほぼ同じヘッドライトとフロントバンパーを装着。
出典:日産認定中古車
サイドから。このあたりはベースのタウンボックスと同じだ。クリッパーリオのGグレードではサイドアンダースポイラーが標準装備となり、スタイリッシュなサイドビューとなる。

足元は13インチタイヤでEグレードはスチールホイール+ホイールキャップ。ターボのGグレードでは13インチアルミホイールとなる。タイヤサイズは165/65R13
出典:日産認定中古車
リア。中央に日産ロゴエンブレム、左側にクリッパーリオエンブレムが付く以外はベースと同じ。
出典:日産認定中古車
ターボグレードではサイドアンダースポイラーを標準装備。リアスポイラーはそれぞにオプション設定。
エンジン・機能装備・安全装備など

エンジンは3G83型NAとターボの2種類。ターボエンジンは直列3気筒SOHC12バルブインタークーラー付きターボエンジンで、最高出力は64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは8.8kg・m(86N・m)/3000rpm。
自然吸気エンジンはXSとLSグレードで3G83型直列3気筒SOHC(リーンバーンエンジン)。最高出力48ps(35kW)/6000rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpm。
トランスミッションは4ATまたは5MT、駆動方式はFRか4WD。ただしターボ仕様でGグレードの4WDはフルタイム4WD。Eグレードの4WDはパートタイム4WDとなる。
安全装備としてはSRS運転席&助手席エアバッグ、フロントシートベルトプリテンショナーを標準装備。ABSはクリッパーバンではオプション設定だが、クリッパーリオでは全グレードに標準装備する。
U71W/U72Wの違い
初代クリッパーリオはは駆動方式により型式が異なる。
U71Wはエンジンを前方、後輪を駆動するFRのクリッパーリオ。U72WはU71Wをベースに全輪を駆動する4WDのクリッパーリオ。
なお、同じ4WDでも自然吸気エンジンのEグレードではパートタイム4WD。ターボ仕様のGグレードではフルタイム4WDとなる。
クリッパーリオの持病・4ATの不具合、故障や変速ショックなど
U71WとU72Wに搭載された4ATは不具合の事例が多く報告されている。これはクリッパーリオ(ミニキャブバン)に限った話でなく、同年代の2代目パジェロミニ、トッポBJ、eKワゴン、eKスポーツの4ATでも同様の不具合が見られる。
内容はバルブボディという部品に不具合が生じて変速が上手く行われにくくなる。これが発病すると冷間時に1速から2速へシフトアップするときに、ムチウチのような大きな変速ショックが発生しする。10分程度走ると不具合は消えるのだが、これを放置すると最悪ミッションが壊れて自走不可となる。
バルブボディまわりを交換や修理しすると治るケースがある(直らない場合はATのコンピュータ交換か、ミッション載せ替えが必要)。可能であればミッションそのものが故障し、高額修理となる前に修理することをオススメする。
ベースモデルのタウンボックスでは2002年8月マイナーチェンジ時に持病部品が対策品に交換されたが、それでも4ATの不具合が報告されている。
中古で購入する場合は、4AT搭載のクリッパーリオでこれら変速ショックが無いか確認すること(※5MTはこのような故障の事例は無いのでできればマニュアル車をオススメする)。格安で購入しても修理に多額の費用がかかるとかなり痛い。
インテリア(内装)
インパネ。デビュー当初はこのようにグレーカラーがベースで、インパネガーニッシュ部分がブラック色だったが
2007年12月マイナーチェンジで上半分をグレー、下半分をブラックカラーのツートン仕様に変更。
さらに2010年1月マイナーチェンジではインパネのデザインを刷新。見た目と(エアコン吹き出し手前にドリンクホルダーを設けるなど)実用性をアップさせた。
スピードメーター。デビュー当初から2009年12月まではちょっと古めのデザイン。
2010年1月マイナーチェンジではインパネと同時にスピードメーターとステアリングのデザインも刷新された。これはベースモデルの初代タウンボックスの後期型と同じ変更だ。
ATのシフトノブ。
5MTのシフトノブ。ATとMT共にシフトノブに関しては一度も変更はなく、モデル最後までこのデザインだった。
出典:日産認定中古車
フロントシートはセパレートタイプ。デビュー当初はベージュ系のシートだったが、
出典:日産認定中古車
2007年12月マイナーチェンジでシート生地を撥水・撥油加工シートへ変更。カラーもグレー&ベージュカラーになった。ドアトリムクロスもベージュからグレーへ。
出典:日産認定中古車
さらに最後の2010年1月マイナーチェンジではドアトリムクロスと共にブラウン色に変更された。
出典:日産認定中古車
デビュー当初のリアシート。
出典:日産認定中古車
2007年12月マイナーチェンジ以降のリアシート。
出典:日産認定中古車
2010年1月マイナーチェンジ以降のリアシート。ブラウン色に変更されている。
出典:日産認定中古車
ラゲッジルーム。
出典:日産認定中古車
リアシートを倒した状態。
まとめ
初代クリッパーリオはフロントデザインが小変更され、日産らしさを少しだけ表現した初代タウンボックスの中期OEMモデルである。
この手の軽自動車は元々需要が少ないが特に三菱のタウンボックスのOEM、日産・クリッパーリオとなればかなり希少な部類で、他人とは被りづらい。
中古の軽ワンボックスを探していて他人とは違う個性を求めたい人にオススメなモデルである。特にターボモデルをベースにエアロパーツをあしらった「クリッパーリオ エアロバージョン」(タウンボックス M2のOEM)も存在し、軽ワンボックスとしては異例な迫力ある外観が特徴でより個性をが欲しい場合はそちらもチェックして欲しい。
マイナーな中に個性がキラリと光る軽ワンボックスカーである。ただし上述の4ATに不具合があるためATモデルを選択する場合はかならず試乗して状態を確認することを強くオススメする。
出典:日産認定中古車
この後クリッパーリオはタウンボックスの自社生産終了に伴いクリッパーバンを乗用モデル化したNV100クリッパーバンのGXグレードに以降する。後期型ではエクステリアがさらに上質となり洗練されるため後期型NV100クリッパーリオもオススメだ。

2代目では三菱のミニキャブバン/タウンボックス自社生産撤退によりスズキ・エブリイワゴンのOEM供給を受けたの再スタートとなる。ただし2代目では日産専用デフォルメが無くなり、完全なエンブレム違いのモデルとなる。OEMモデルでも個性がほしい場合は初代後期型が魅力的だ。
























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